異世界ファンタジー編 第4話
- 989 名前:1
[] 投稿日:2005/03/15 (火) 01:06:55
- 第4話
5階への階段を駆け上った俺達は、巨大な扉を前にする。重く軋む扉を開けるとそこは大広間。
「よぅ、待ってたぜ。俺の部屋まで辿りついたのは貴様達が始めてだ」
これが魔王フィカブーか。魔王と言うには若い容姿。というより金髪ロンゲ、色黒、節操のなさそうな口調と、明らかにDQN属性。
「しかし異世界人だけが残るとはなぁ…」
彼は意味ありげな含み笑いを浮かべて、俺達2人を交互に見比べた。どうやら彼には、異世界人かどうか見抜く能力があるらしい。
しかし、どういうことだ。異世界人は俺だけのはずなのに。
「七面倒な常套句は要らねぇ。俺の首が欲しければ持っていきな」
「行きます!!!」
目を見開き、深田が吼えた。神速で魔王に接近、凄まじい剣の応酬が繰り広げられる。しかし力量の差は圧倒的だ。深田が精一杯
の猛襲をかけているのに対て、フィカブーは左腕しか動かしていない。
「所詮、女か(プゲラ」
「しまった!?」
フィカブーが一瞬の隙を突いて、大きく剣を振り降ろした。何かが俺の前に、飛んできて床に突き刺さった。深田が持っていた剣だ。
一緒に斬り飛ばされた右腕の肘から下が、柄を握ったままぶらさがっている。
「ウソだろ…深田さん!!」
俺は深田の方に視線をやる。さすがにダメージが大きいのか、床に膝を突いている。
「俺は魔王なんだぜ?そう易々とタマとられてたまるかっての。灰になりなwww」
フィカブーはうずくまる深田に向けて右手を開いた。手の平に素人が見ても分かるほどの邪気が集約する。そこに俺は無我夢中
で走り寄り、すんでのところで深田を救い出す。ナイス俺。そして崩れた壁の影に隠れ、彼女の背を壁に預ける。
「ごめんなさい。約束したのにあなたを守り切れませんでした。逃げてください…」
「そんな……そんなわけにはいかないだろ」
- 990 名前:1
[] 投稿日:2005/03/15 (火) 01:07:38
- とはいえ、さきほど深田を抱える為に錆びた剣を落としてしまった。深田を翻弄した魔王相手に、丸腰ではお話にならない。
「オラオラどうした!そこの道化師、てめぇを相手してやってもいいんだぜ?」
フィカブーは床に刺さった深田の剣から腕を取り、剣をこちらに向けて投げた。それは目の前の壁に突き刺さる。フィカブーは取った
腕に噛み付き、食らっている。俺は覚悟を決めて剣を引き抜くと姿を曝した。深田に教わった通りに剣を構える。その剣は、錆びた青
銅の剣とは明らかに違う感触。手にしっくりとくる。まるで俺の心を汲み取ってくれるかのように、柄は握る手になじむ。
「ほぅ、なかなか見上げた根性じゃねぇか。死ねよ!!」
こちらに向けて突進してくるフィカブー。オーガロードの打撃に匹敵する重い一撃を繰り出す。しかし俺はそれを受けきる。
「く…!」
「なに!?」
続けざまに剣を振るうフィカブーだが、俺は危ういながらも剣で捌いていく。
(俺結構いけるじゃん!?)
意外な好展開に調子に乗りかけた時、俺は凄まじい衝撃に吹き飛ばされた。油断が手元を狂わせ、魔王の爪が繰り出した衝撃刃をまとも
に食らったのだ。思考を何とか保ちつつ、攻撃を受けた腹に手を当ててみる。
「キレ…テナイ!?」
俺はシコルスキー(inオリバ戦)チックに驚いた。革鎧にはかすり傷一つ付いていない。(実はこの鎧は防御力こそ低いが邪耐性+20)。
全ての状況が俺に味方してくれている。さすが俺。
「いけるぞ!!」
「小癪なんだよ!」
剣を下ろして、今度は邪気の炎を放ってくるフィカブー。が、それすらも俺は剣の一振りで防ぐ。そのまま炎を切り裂いてフィカブーに
走り寄り胸を刺し貫いた。苦悶の声を一つ上げて崩れ落ちるフィカブー。
「なかなか上物の異世界人じゃねぇか…だがお前みたいなのが現れたってことは…ククク(悪スレの住人っぽく)、これから起こる祭りの顛
末を見届けられないのが残念だ……じゃあな」
フィカブーは最期までほくそ笑みを浮かべながら絶命した。同時に、彼の身体が徐々に溶けていく(俺以外が俺専用MSに乗った時みたい
に)。そして一つの石が残る。俺はそれを手に取ってみた。
- 991 名前:1
[] 投稿日:2005/03/15 (火) 01:08:54
- 「これは…」
真紅の怪しい光を放つ拳大の石だ。
「……ゲート石……」
背後からの声に振り返ると、深田がマントの切れ端で縛った腕を庇いながら立っている。
「ゲートイシ?」
「わたし達のような…地球から来た異世界人が……あちらに帰る為に必要なゲート石です…」
続く
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