異世界ファンタジー編 第5話

 

12 名前:1 [] 投稿日:2005/03/16 (水) 01:13:07
第5話
魔王フィカブーを見事討伐した俺と深田が下山するや、麓の選手村は大騒ぎ。
「おーーーーーい!!朝一の奴らが還ってたぞぉおおおおお!!」
「マジか!!勇者どこよ!?」
「祭りキターーーーーーーーーーヨーーーーーーーーーーー(・∀・)」
ゲートから村に入るなり、俺達は勇者コンビとして、ビールをかけられたり抱きつかれたりで、もみくちゃにされる。深田は腕の手当てをするために救護所に、
俺は酒場に連行されて一躍時の人。
「そういえば雑魚っぽいのがもう2人いたような」
「まあいいじゃん。魔王居なくなったんだし。気のせいってことにしておこうぜ!」
最後まで雑魚扱いの真岡兄弟。俺は密かに彼らの死を悼み黙祷を捧げた。その後は飲めや食えやの歓迎三昧。しかし俺は深田の腕の状況が気になって気分が
浮かない。ここの連中はそんなことはどうでもよくて、とにかくお祭り騒ぎができればいいようだが。
俺はこっそり酒場を抜け出し、救護所に走る。
「深田さんの様子はどうなんですか?」
「うーむ、切断面の治療はおkなんじゃが…」
医者の話では、持ち帰った腕は魔王が食いちぎった時に瘴気に冒され腐敗が進んでいる。高位治癒魔術でなければ、元に戻すことは難しいとのこと。生憎、
魔術師は世界に5人といない。当然ここにいるわけがない。
麻酔術で眠っていた深田が目を覚ました。あるべきところにない自分の腕を見て、少し寂しそうな目をした。
「何と言ったらいいか…」
「いいえ、覚悟していたことですから。この手に剣を握った日から」
訪れる沈黙。医師が気を利かせて席を外してくれた。
「深田さん、そろそろ教えてくれないか?地球人である俺が…いや君と俺が何故この世界にいるのか」
深田は遠くを見るような目をして語りだした。
「わたしも5年前までは普通の高校生でした。普通に学校に通い、普通に友達と笑い合い、そして普通に恋をするはずでした。でもあの朝、通学途中のわた
しは自転車ごと川に落ち、気が付くとこの世界にいました」

13 名前:1 [] 投稿日:2005/03/16 (水) 01:14:06
「5年間…」
俺は絶句した。この子は5年もの間、この世界でたった一人で生き抜いてきたのだ。その辛苦は想像を絶するものだったろう。
「幸いにもわたし達の身体能力は、この世界で飛躍的に向上するようです。あなたがフィカブーを倒した時のように」
「……」
「勿論、あなたがフィカブーを倒せた理由はそれだけではありません。その剣は異世界人が魔王を倒す為だけに鍛えられた剣です」
深田は、俺が手に携えている剣に目を落とした。確かにあの時、この剣は俺に恐ろしいほどの力を与えれくれた。
「わたしに剣をくれた老魔術師は言いました。この剣で魔王を倒せば地球への帰還を可能にするゲート石を手に入れられる」
俺は懐から石を取り出した。石の色はは真っ赤な血の様で、美しくも不気味な輝きをたたえている。
「そして去り際にこう言いました。わたし達異世界人は、魔王を倒す為だけに”この世界そのもの”に呼ばれるのだと」
「そんな理不尽な……待てよ、君がフィカブーを倒す為に呼ばれたってことは……俺も別の魔王を倒す為に召喚されたってこと!?」
「…ええ。可能性は充分にあります」
フィカブーが言っていた祭りとは、新しい魔王の台頭を意味していたのか。異世界人と魔王で1セット。お互いが対となってこの世界に存在している。
「でも、あなたはそのゲート石であちらの世界に帰ってください。石を砕けば地球への門が開きます。一人通ると消えてしまいますが」
「深田さんはどうする?」
「腕を治す為に南の老魔術師を訪ねてみます。どっちみち、こんな姿では家に帰れませんから。その後であなたの対となる魔王を倒します」
「……」
俺はゲート石を握り締めた。これを砕けば元の世界に帰還できる。またいつもの生活に戻れる。あの平和な……
「よかったですね」
深田は寂しそうに笑った。その顔を見て、石を握る俺の手は緩んだ。

14 名前:1 [] 投稿日:2005/03/16 (水) 01:16:35
「南の老魔術師かぁ。俺も会ってみたいな」
「え?」
「俺も付き合うよ。それに…」
「それに…?」
「帰るなら2人一緒にだ」
俺は深田にゲート石を渡した。
「ありがとう…ございます…」 
深田はさっきとは打って変わって、いつも通りのおっとりとした笑みを浮かべた。翌朝、俺たちは南に向けて村を出た。
                                                                 続く

17 名前:1 [] 投稿日:2005/03/16 (水) 01:41:32
スマソ。修正。

×魔術師は世界に5人といない。
○高位魔術師と呼べる術者は世界に5人といない。

×「わたし達異世界人は、魔王を倒す為だけに”この世界そのもの”に呼ばれるのだと」
○「わたし達異世界人は、魔王を倒す為だけに”この世界そのもの”に呼ばれるのだと。
魔王を倒すことなく異世界人が死ねば、その段階でまた次の異世界人が送り込まれるそうです」

×「そんな理不尽な……待てよ、君がフィカブーを倒す為に呼ばれたってことは……俺も別の魔王を倒す為に召喚されたってこと!?」
○「そんな理不尽な……待てよ、君とフィカブーがどちらも存在する時点で呼ばれたってことは……俺と対になる魔王がいるってこと!?」

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