MS編 第三部 最終回スペシャル
- 773 名前:1
[会社なんで続きは多分夜] 投稿日:2005/03/05 (土)
15:04:11
- 第26話(最終回スペシャル)
俺が市川と死闘を繰り広げている頃、コロニーの外では連邦軍も敵の物量に苦戦していた。
「なんかきな臭ぇな」
畠敷の艦長は眉をひそめた。というのも、当初の予想では敵軍のMS配備数はせいぜい300機。
ところが実際はその倍をゆうに上回っている。友岡公国の経済力ではここまでの物量を調達す
るなど到底無理な話だ。
「どこかに資金提供している者がいるってことじゃないですか?案外連邦内部だったりしてw」
と赤川さん。ブリッジ内は一気に音を無くした。それが意外と核心を突いている発言だったからだ。
「…んなわけないですよね。ァハハ、ごめんなさい……あ!通信です」
赤川さんを気まずい空気から救うかのように、入電を示すLEDが赤く明滅した。
「艦長、我が軍の副司令を乗せたランチ(小型機動艇)が畠敷へのコンタクトを要請していますが」
「副指令が?またこんな時にどういう了見だ。まぁいいか。入れてやれ」
「了解」
ランチは畠敷の後部ハッチから艦に収容される。艦長は皮肉ともとれる大仰な動作で、いつもはだ
けている制服の襟元を直す。ブリッジの自動ドアが開く。連邦軍副指令(ゲイリー・オールドマン)
だ。そして、その背後には機銃を構えた兵士達が彼を守る。否、守ると言うには語弊がある。彼らは
明らかに攻撃目的で武装していた。兵士達の銃口がブリッジのクルー達に向けられる。ブリッジが俄
かにざわめき立つ。副指令は艦長に小銃を突きつけて、冷徹そうな表情を一切緩めることなく口を開
いた。
- 775 名前:1
[会社なんで続きは多分夜] 投稿日:2005/03/05 (土)
15:06:43
- 「今を持ってこの艦の指揮権は私に移った。艦長以下クルーは速やかに自室に移動しろ」
「副指令殿。わざわざこんな前線まで来てジョークですかwまだ4月1日にはちと早いようですが」
「士官学校時代と変わらないな。その人を食った態度には、いつもながら腹立たされる」
副指令は引き金を弾いた。艦長の右肩から血が飛び散り、彼は床に膝をつく。座席を立ち、それに
赤川さんはそれに駆け寄ろうとする。
「艦長!」
「動くな!」
副指令の銃口が今度は赤川さんに向けられる。生まれて初めて自分に向けられた銃に、彼女は立ちすくむ。
艦長は左手を上げて、副指令の発砲を制止する。
「…待ってくれ。副指令。指示に従う。だからクルーには手を出さないでくれ……」
「最初から素直にしていれば、余計な傷を負わずにすんだものを。よし、オペレーター、コロニー内
の第三世代俺専用MSに回線をつなげ」
「え?」
「作戦中止を指示しろ。戦闘を止めさせるんだ。拒むようならリミッター(遠隔動作停止装置)を作動
させろ」
ここでCM。
- 780 名前:1
[] 投稿日:2005/03/05 (土) 17:44:39
- >>779
スマソ。訳わからんこと書いてた。
リミッターを遠隔操作で起動。で、メインエンジンを強制的に止めるってこと。
- 785 名前:1
[] 投稿日:2005/03/05 (土) 23:32:13
- 第26話(第二幕)
一方で、俺と浜崎は市川率いる最終防衛隊を相手に禿しい戦いを繰り広げていた。如何に俺達が類まれ
なエースパイロットとはいえ、市川機を含む19機を2機で相手するのは厳しい。俺は市川の攻撃を受け
流しながら3機、浜崎は5機を落とすが、やはり2機とも満身創痍。
「ここまでか…」
俺は観念して自爆装置の防護ガラスを割ることを決心する。敵を薙ぎ払いながら突進すれば、王の邸を
吹き飛ばすぐらいはわけない。浜崎も道連れにしてしまうが、ここまで来たらまぁ仕方あるまい。
「あんたまさかとは思うけど、自爆装置作動させる気じゃないでしょうね」
浜崎が本能で危険を察知して牽制を入れてくる。
「乗り掛かった船と思って堪忍してくれ」
「ちょっ、待った!!」
俺が浜崎の制止をものともせず、ガラスを割るべく拳を振り上げた瞬間、
「各機とも攻撃を中止してください。攻撃を中止してください」
どこかで聞き覚えのある声。っていうか赤川さん。俺は勢い余って自爆スイッチ脇の突起物に拳を打ち
つけて悶絶した。
「赤川さん、どういうことだ?」
「……」
赤川さんは何も言わない。副指令が赤川さんのインカムを奪い取り俺に語りかける。
「連邦軍副指令の私が直々に説明しよう。それと私は自分が話している最中に茶々を入れられるのが嫌いな
性質なので、注意してくれたまえ」
畠敷のみんなが人質に捕られていると気づいた俺はサーベルを収める。浜崎もライフルを下ろした。
「私は今日この日の為に友岡公国に尽くしてきた。私や父が味わった連邦の腐った連中による迫害は、今こ
の場で語りつくせるものではない。そして、そんな中で素性を隠して連邦の副指令にまで上り詰めるまでの
苦労は、貴様達に到底理解できるものではない。だが今日こそ…今日こそ我々の念願が成就されるだろう」
「ここまできて…」
浜崎が苦悶の表情を浮かべる。そして静まり返る戦場。
- 786 名前:1
[] 投稿日:2005/03/05 (土) 23:33:01
- 「おい!そりゃないぜ、俺はこいつとやりたくてたまらないってのによぉ!!」
静寂を突き破って、市川が耳障りな声を上げる。
「そんなことは後だ。我々の目的はその若造を倒すことではない。お前達の足止めは見事なものだった」
「ったく、親父とはいえ厄介な野郎だ…」
再び訪れる沈黙。俺は混乱(メダパニかけられたくらい)した。今、確かにやつは親父と言った。王の屋敷
の警護をしている市川達が足止めとはどういうことだ?…頭の中で線がつながった。友岡王は既に館には居
ない。というより最初から居なかった。つまり副指令=友岡。友岡=副指令。俺達は友岡→副指令←友岡
(しつこい)にまんまと踊らされたわけだ。
戦場は静まりかえっている。それはそう長い時間ではなかったが、(お客さんが来ない平日の勤務時間以上
に)ひどく長く感じられた。
「そいつらみんなやっつけて!!」
沈黙を断ち切って赤川さんの怒号が響いた。副指令が赤川さんの側頭部に銃口を突きつける。
「貴様、何を!」
「こいつらの目的は、サイクロプス計画の本当の目的は…!!」
銃声が響いた。
何かが倒れる音。
赤川さんの声が途絶えた。
「地球への恵みの雨だ」
副指令は声色一つ変えず語り始める。サイクロプス計画の真意は地球にMSを降下させることではない。衛星
軌道上に複数設置された超巨大ビーム砲からの一斉射撃。それにより宇宙から連邦の全基地を同時壊滅する
こと。
- 787 名前:1
[] 投稿日:2005/03/05 (土) 23:33:24
- しかし、俺はそれどころではない。銃声は確かに赤川さんの声を掻き消した。決して自分のこの手に抱くこ
とはできない存在。しかしそれでも俺は彼女が愛しかった。俺が最初に本気で好きになった女性。生まれて
これまでの悲しみを合わせたより大きい、吐気をもよおすほどの悲嘆が我が身を襲った。だが不思議と涙は
出ない。次いで俺を襲ったのは憎悪。生まれてこれまでの憎しみを合わせたより大きい、おぞましいまでの
憎悪だった。
「…そこで待ってろよ。殺してやるから」
「待てよw!お前の相手は俺…」
俺は間髪入れずオメガのメインカメラを、ライフルの一撃で破壊する。崩れ落ちるオメガ。
「坊やは黙ってろ」
俺はバーニアを最大出力で吹かすとコロニーを離脱すべく、第三世代俺専用MSを飛翔させた。浜崎も事態が
把握できず、サイクロプスの追撃を振り切りながら俺の後を追った。
- 788 名前:1
[] 投稿日:2005/03/05 (土) 23:34:39
- ここで2回目のCM。あと「ここまでの放送のスポンサーは…」ってのが入る。
- 805 名前:1
[] 投稿日:2005/03/07 (月) 00:32:28
- 第26話(第三幕)
俺と浜崎はコロニーの隔壁を抜け、再度宇宙空間に戻る。連邦軍と公国軍、ともに戦力の消耗は激しい。あ
ちらこちらにMSの残骸が漂っている。
「あんた、様子がおかしいわよ」
浜崎がおずおずと俺に尋ねた。今回は意識を保ってはいるが、どうやら俺はサンフランシスコ戦と同様の状
態に陥っているらしい。自分でも驚くほど平坦な口調で返す。
「ああ、自分でもわかっている」
「大丈夫なの?」
「俺はどうなろうとかまわない。だが、奴の存在だけは必ず俺の手で消す」
途中、第三世代俺専用MSの機影を見て功を焦った敵MS(品川、盛岡、堂祖園。中学生時代)が襲撃して
くるが、俺は一切歩を止めることなく撃破する。そうしているうちに畠敷が視界に入った。衛星軌道上に小
惑星にカムフラージュして機配置された50機に及ぶサイクロプス砲の中央コントロールユニット船にドッキ
ングしている。これこそがオールドマン(ゲイリー)副指令が守ってきたもの。彼は万が一サイクロプス計
画の真意が漏れた時、俺がこのユニットを破壊する唯一の障害となりえると考えた。そこで、万全を期すた
めにコロニー内へおびきよせて、市川に時間稼ぎをさせた(強引)。
オールドマン副指令を抹殺するべくユニットに近づく俺。その時、視界に大気圏外仕様用次世俺専用MSが
立ちはだかる。そして腕に装備した大口径ランチャーの銃口が第三世代俺専用MSに照準を合わせる。無言
の通信が入る。聴こえるのは息遣いだけ。
- 806 名前:1
[] 投稿日:2005/03/07 (月) 00:33:21
- 「甜歌!?」
俺の中に渦巻いていた憎悪が掻き消すように影を潜めた。
「……お兄ちゃん、ごめんなさい。甜歌がこうしないと畠敷のみんなが…」
甜歌の声は今にも立ち消えそうで、込められた悲痛を感じさせずにはいられない。そこにオールドマン(ゲ
イリー)が割って入る。
「少々卑劣なようだが勘弁してくれたまえ。第三世代俺専用MSのリミッターに細工しようとしたんだが、
どうやらこの赤川とかいう娘がパスワードを掛けたらしい。最後まで君を信じてな。訊き出そうにも意識
がない。可哀そうに」
意識がない。ということは…
「あ、赤川さんは…生きているのか!?」
「”まだ”生きているよ。極めて危険な状態だがね。そこで天才少女にご出演願ったというわけだ」
俺はすがることのできる僅かな希望を手に入れた。しかし同時に最大の危機を迎えている。甜歌はクルーの
命と引き換えに、オールドマンに脅迫されている。
「私は次のステージに進ませてもらうよ」
オールドマンはコントロールユニット船に乗り移ったらしい。彼が網膜認証で船内のユニットを作動させれ
ば、幾筋もの閃光が地球を射ることになる。だが激しい葛藤の末、俺は結局ライフルを下ろした。
「甜歌を傷つけることはできない」
「お兄ちゃん、ごめんね…本当にごめんね…甜歌、お兄ちゃんのこと…」
次世俺専用MSの指が、ランチャーの引き金に触れた。
ここで最後のCM。
- 818 名前:1
[] 投稿日:2005/03/08 (火) 00:52:56
- 第26話(第四幕)
「甜歌…やっぱりできないよ…」
甜歌は泣きじゃくりながら、操縦桿から掌を浮かせた。そして嗚咽を漏らす。嗚咽は次第に慟哭へと姿を変え
ていった。俺の命とクルーの命、さらに地球上の多くの人々の命。空前絶後の極大プレッシャーを一気に背負
ったのだから無理もない。
俺はハッチを開け機外に出ると、次世代俺専用MSのハッチに寄り、彼女に優しく言葉をかける。
「甜歌、大丈夫だよ。君は何も心配しなくていい。俺がついているから」
「おにぃちゃん…」
俺達のやり取りを聴いたコントロール船のオールドマンは渋面を作った。
「ふん、とんだ茶番だな。いいだろう、クルーを一人ずつ殺せ」
しかし、畠敷艦内を占拠しているオールドマンの従卒から反応はない。
「どうした!」
「副指令。どうやら人質にとられたのはあなたのようです」
中村中尉(下の名前が俺と同じ。小学校〜高校)がおずおずと答えた。オールドマンは驚愕する。慌てて
モニタに視線をやると、いつの間にかコントロール船の船首に、ビームサーベルの切っ先が突きつけられ
ている。
「あんたら、あたしの存在をキレイさっぱり忘れてんじゃないわよ!」
浜崎だ。
「なんだと!?」
「でかしたぞ、浜崎!」
俺は歓喜の声を上げた。彼女は得意満面。
「やっぱ主役がいいとこもってかなきゃねぇw」
「若造どもが!!断じて貴様らに邪魔はさせんんん!!!」
血管も裂けんばかりの怒号を上げて、オールドマンは発射スイッチに瞳を当てる。スキャンが開始されて、
進捗率を表すプログレスバーが表示される。
- 819 名前:1
[] 投稿日:2005/03/08 (火) 00:54:07
- -----バイオメトリクス認証進行状況10%-----
「浜崎、畠敷、避けろ!」
-----バイオメトリクス認証進行状況40%-----
「え!?」
「艦を後退させろ!」
状況を把握できないまま浜崎機が脊髄反射そこのけの勢いでMSを後退させる。艦長はさすが長年の勘で、
状況を掴み艦を急速後退させた。俺は甜歌の操縦桿をとる手を上から握り、レティクルで標的との距離を
計る。感覚を極限まで研ぎ澄まし、照準をコントロール船のエンジン部に合わせた。
「これがラストシューティングだ、甜歌」
「うん!」
-----バイオメトリクス認証進行状況80%-----
俺と甜歌はトリガーを引いた。
次世代俺専用MSのランチャーから閃光が迸り、コントロール船のエンジン部を貫く。
-----バイオメトリクス認証進行状況98%………プログレスバーは停止。次いで連鎖的に起こった爆発は、
オールドマンの身体を吹き飛ばした。今際の際にオールドマンは思った。憎しみに彩られた自らの人生が
ようやく終わるのだと。それは意外にも安堵の情だった。
爆発四散するコントロール船。
そこに居合わせた誰もが息をのんだ。しばらくの沈黙。どうやら地球への攻撃は阻止されたようだ。
湧き起こる歓声。畠敷のクルー達は勿論のこと、オールドマンの部下達(内心はオールドマンに反目し
ていたので)までもが計画の阻止に諸手を上げて喜んだ。
「我々にはもうあなた方を拘束する理由はありません」
中村が銃を下ろし詫びる。畠敷クルー開放。艦長は赤川さんに駆け寄って、名前を呼びかける。すると、
赤川さんは微かな声だが、それに応答した。大量に出血をしているものの、命に別状はなさそうだ。救
護班が駆けつけ、赤川さんは担架に乗せられた。医務室に運ばれる彼女に艦長は伝える。
「あいつはやってくれたぞ」
「……当然です…あの人は伝説のエースですから……」
微笑む赤川さんの頬を涙が伝った。
- 821 名前:1
[] 投稿日:2005/03/08 (火) 00:55:10
- 「お前達、見事だったぞ帰艦しろ。帰って祝杯を上げようや」
「了解」
俺はバーニアを吹かせた。
その時である。
「ひゃはははは!親父が死んだのかよ!!」
安心が油断を呼んだ。次世代俺専用MSの脇腹を、白いMSのサーベルが貫いた。市川がメインカメラを
破壊されてなお、サブカメラだけのオメガで俺をし止めに来た。
「くっ!」
俺は後退してサーベルを抜き、ランチャーをゼロ距離状態で発射する。直撃を受けたオメガは吹き飛ば
されて第三世代俺専用MSを巻き込んで大爆発する。
「おやじぃい、今から俺も逝くぜぇええwwwwwww!!」
市川(ルパン)死亡。しかし次世代俺専用MSのダメージも大きい。俺はハッチを開け、甜歌を機外に
放り出す。そしてバーニアをフルに吹かせて、甜歌にダメージが及ばない場所まで機体を運ぶ。安全な
場所に逃げ切ると同時に機体は爆発を起こし上半身が吹き飛ぶ。
「お兄ちゃん!!!」
「ここまできて冗談でしょ!?」
全てが終わった戦場に、甜歌と浜崎の声が虚しくこだました…
こうして連邦軍と友岡公国の最終決戦は幕を閉じた。友岡公国は地球連邦に吸収されはしたものの、友岡王
の遺志も考慮し、自治権は彼の甥(石川。理知的なナイスガイ。小学校)に委譲された。
- 828 名前:1
[] 投稿日:2005/03/08 (火) 01:13:37
- スマソ。忘れてた。ここでCM+天気予報。
今日はここまで。
エピローグへ→
←目次