2002年 演劇・舞台鑑賞記録
突如演劇を観る快楽に目覚め、チケットを買い出歩くようになりました。周囲の人は突然の変貌にいささか唖然としたようですが、突如目覚めてのめり込んでいくのは私のいつものパターンです。今回もやはりのめり込むペースは早く、慢性的にチケット貧乏に陥るはめになりました。でもその分得ているものも大きいから幸せ。これは私が2002年の間に観た演劇・コンサートのリストとその感想メモです。あえてストーリーやあらすじは紹介せず、自分の主観的な感想などを書いています。あまり突っ込んだ感想ではありません。しかも内容は日記に書いていたものと大半が重複しています。特に思い入れの深い作品については、のちにまた別な場を設けて書いてみたいなと思っています。
- 「ブリザードミュージック」 演劇集団キャラメルボックス
- 舞台初体験。友達に舞台にはまった人がいて、話しを聞いていて「私も一度見に行こうかな」と思って出かけた。それがこんな結果になろうとは・・。それはともかく、舞台ははじめてだったのでチケットの手配もお願いして私は後をついていったという感じ。内容としては宮沢賢治をテーマにしたものでした。最初に観たのがキャラメルというのは私に何か間違った舞台の印象を与えたように思います。最初や最後の舞台挨拶とか(突っ走っている方々なので・・)。のちにこの印象は訂正されました。とにかく右も左も判らない状態で観ていましたが、舞台と客席の一体感というか、あの臨場感はすごく面白いものだなと感じました。これからはもっと積極的に舞台に出かけよう、そう思ったのです。ちなみにこれを見に行ったのは2001年の暮れのことでした。
- 「アンフォゲッタブル」 演劇集団キャラメルボックス
- というわけで次もキャラメル。ブリザードミュージックの時にチラシが入っていたので、それを観て行こうと決めました。この時も友達と一緒。チケットの手配もお願いしました。「アンフォゲッタブル」は新作でしたが、内容としてはイマイチだったと思います。薄っぺらいというか、脳の中のタイムトラベルだったかわりとありがちな話しだったうえに深みもなくて。でもまあ、見ている間は結構笑っていましたね。そこがキャラメルの魅力?これを見てしばらくキャラメルはいいかなという気分になりましたが、こうして二回出かけてなんとなく感覚も判ってきたので、これ以後は自分でチケットを買い気ままに出歩くことになります。今までの鑑賞は助走という感じでした。
- 「葵上・卒塔婆小町」 演出・美術・主演美輪明宏
- 美輪明宏様の舞台です。私は美輪明宏の本の愛読者なんですよ。心麗相談の『光をあなたに』とかもう最高。こういう悩みごと相談、いいな〜。笑いながら読んでしまいます。『天声美語』もよいですよ。私はこの方の美意識が好きなんです。だからその美意識と存在感の結晶である舞台を観ておかなければと思ってチケットを買いました。観た印象もひたすら「美意識と存在感」のみで、内容とか他の出演者のこととかは二の次かも。一度この方のオーラに触れることができてよい体験だったと思います。この時チラシに入っていた音楽会「愛」も絶対行こうと思っていたのに、チケットが売り切れてしまったようでがっくり。来年こそは!音楽会のチケットは買えなかったけど、再演の「黒蜥蜴」は買いました。
- 「ノーセンス」 遊◎機械プロデュース
- 演出は白井晃。本当は遊◎機械全自動シアターの公演が観たかったのだけどなかったのでこちらへ。この時期は結構サーカスが私の関心だったのです。楠田枝理子さんの『青いサーカステントの夜』なんかも読みました。客席に入った時はちょっとサーカスっぽい雰囲気で期待したのですが、結局一度もアクロバティックな場面はなかったですね。タイトルの「ノーセンス」通り、意味のない遊びがメインでした。無意味な遊びもよいけれど、華麗な場面がもうちょっと見たかったかなというのが本音。ですがジャグリングのシーンは印象に残っています。難しかったでしょうに、いや緊張感があったからこそあそこが山場になったのでしょうね。あの場面を見ていた時は本当に惹きこまれていました。とはいうものの、全体的に見るとイマイチかな・・というのがこの舞台の感想。
- 「Tokyo Paris London SAKURA」 劇団青い鳥
- 劇団青い鳥については80年代の川本三郎さんの著作を通じて興味を持っていました。女性のみから構成されている劇団です。川本さんの本を読んで「見に行きたいな」と思っていましたが、最近は活動されていないようで残念に思っていました。そんな時に知ったこの公演。今回は「ゆでたまご」以来、8年ぶりの公演だそう。はじめて見た青い鳥の舞台は期待を裏切らないものでした。笑いありしんみりあり、舞台の上の彼女たちはとても楽しそうに見えました。「まだ精彩がない、過去に留まっている」という意見もWeb上で見かけたけど、過去の公演を見ていない私にはよくわからなかった。今後も機会があれば青い鳥の舞台は見に出かけようと思っていますし、この公演も充分堪能できて、非常に心に残りました。
- 「新居昭乃 LIVE2002「RGB」」
- 最近また音楽が好きになり、CDを買ったり聴いたりするようになりました。そのきっかけが新居昭乃さん。彼女の声、そしてアレンジ、何よりその音楽を包む世界観が好き。私にとって彼女の世界はCDの中で完結していて、正直ライブは行こうかどうか迷いました。だけど結局行って、生の昭乃さんを見ることができてよかったなと思いました。音楽のクオリティとしてはやっぱりCDの方が好きなのですけど、でも生で歌っているのを聴くのはまた違ったうれしさがありますね、当たり前ですけど。また次のCDの発売を心待ちにしていて、そしてライブも行こうと思っています。
- 「村治佳織・ロドリーゴ室内管弦楽団コンサート」
- なぜかクラシックギターにはまってしまったので、コンサートはいろいろ行ってみようとチケットを買いました。私は村治さんのギター目当てで行ったのですが、2時間に及ぶコンサートのうち彼女が出演していたのは30分程度。ロドリーゴ管弦楽団の演奏も悪くはなかったと思うけど、何しろギターが目当てだったので「まだなの、まだなの?」と焦れてしまってイマイチ楽しめませんでした。待ちくたびれてしまって、結局ギターの「貴紳のための幻想曲」の内容もあまり覚えていないほど消耗(笑)。席は3階のかなり後ろの方でステージからは遥かに離れていたうえに両端を追っかけファンに挟まれてしまい、かなり居心地の悪い思いをしました。
- 「福田進一&デュオ・プリマ」
- これはギターの福田進一さん目当て。この前にあったミニコンサートにも行っていましたので、生演奏を聞くのは2度目でした。司会は作家の逢坂剛さん。この方はギター好きとして有名。江東区文化会館のホールで行われたコンサートで空席もそれなりにはありましたが、コンサートというよりはトークショーのようで、すごく楽しんで聴くことができました。福田進一さんと逢坂剛さんの掛け合いがよかったですね。お二人は普段から友達だそうです。曲を聴くよりトークを楽しみにした感じはありましたが、ちょっと異色のコンサートということで個人的には行ってよかったなと思った一日でした。
- 「ピッチフォーク・ディズニー」 白井晃演出
- 白井晃演出というのと、フィリップ・リドリーの戯曲というのが購入の決め手。フィリップ・リドリーの映画『柔らかい殻』は昔見たことがあっててっきり映画の人だと思っていたのですが、戯曲も書くのですね。登場人物は4人だけで、最後の吉田メタルは場面もセリフも少なく、宝生舞も途中で眠ってしまうので、実質的には萩原聖人と山本耕史で構成されているようなもの。萩原聖人のセリフ量がハンパじゃなかったですね。最後の方に一人で10分近く喋り続けるシーンがありました。内容的には・・、閉鎖感の強い物語なので、見ていて息苦しい感じはありました。見終わった後、膨大な閉鎖感が手元に残った、そんな感想でした。山本耕史さんが上手かったです。この後リドリーの戯曲のドラマリーディング「宇宙でいちばん速い時計」のチケットも買ったのですが、疲労で力尽きて行けませんでした。でもやっぱり、無理してでもいけばよかったなと後悔しています。
- 「オイディプス」
- 蜷川幸雄演出、野村万斎主演ということで結構話題だったのではないでしょうか。気合い入ったようなポスターは随分あちこちで見かけた気がします。蜷川作品は一度見ておきたかったし、せっかくの機会だからと思いチケットを購入。これは友達と一緒に行きました。私はギリシャ悲劇ははじめてでした。鏡張りの空間に、赤い衣装をまとったコロスたち。オイディプスとイオカステは純白。野村万斎は狂言役者で、一人だけもう発声法が違うという感じがしました。セリフもどうしても狂言っぽく聴こえてしまって、なじむまで少し時間がかかりました。あと結構細身なので、王の風格はそんなになかったかも。イオカステ役の麻実レイさんと並ぶと背の高さが変わらなかった。麻実レイさんはきれいだったし、大人の包容力が出ているなと思いました。それに比べてオイディプスがだだっ子、かなり子どもに見えてしまったものです(笑)。初ギリシャ悲劇だったし、初蜷川作品だったので、大した感想が書けないです。2003年にもまた蜷川作品を見てみたいなと思っています。
- 「屏風」 ジャン・ジュネ原作 脚本・演出フレデリック・フィスバック
- 何かの舞台の折り込みチラシにこの「屏風」が入っていたのですが、これを見た瞬間「行かなきゃ!」とピンとセンサーが働き、チケット発売当日にぴあに走りました。その甲斐あってほぼ最前列というよい席が取れたのですが、結果的にこれがすごくよかったと思います。この舞台は人間と結城座の糸操り人形の共演だったのですが、これがすごく刺激的でした。それは不思議な空間であり、また可笑しさやグロテスクさがあった。人形は小さく、前で見ていた私には何も問題はなかったけど、後ろの方の人たちの中には充分舞台を鑑賞できなかった方もいた様子。人間が演じているのはサイード、その母、レイラのみで、あとは人形。だが舞台の上には人形遣いもいてさらに人形のセリフを担当する西洋版義太夫ともいうべき男女二人がいて、重層的な世界になっていました。義太夫役の二人がすごかったですね。ずっと喋りっぱなし。ものすごいパワー。決して傍役の声ではなく、ときどき舞台に乱入もする。ジュネの原作は16場面もあり、今回上演されたのはそのうちの8場面だけだそう(それでも4時間という長さ)。フランスの政治色の強い部分は全部カットされたそうです。この「屏風」もすごく面白くて夢中になったけど、いつか屏風の全体像も見てみたいなと思いました。
- 「幻想図書館2・不思議の国のアリス」 谷山浩子
- 谷山浩子さんは好きなので、一度コンサートに行きたいなと思っていました。そんな時に幻想図書館の告知があって「本当はコンサートに行きたいのだけど」と思いつつもチケットを買ってしまいました。朗読+歌という構成で、他にも男性の役者さんが二人ほど参加していました。谷山浩子はもともとアリスをモチーフにした曲も作られていますし、やはり相性はよかったですね。浩子さん演じるアリスはかわいかったです。幻想図書館、これはこれでわりと楽しかったけど、やっぱり歌がたくさん聴けるコンサートに行きたいなと思い、11月の猫森集会へ出かけたのでありました。
- 「スープ」 水と油
- たまたま雑誌にこの公演の広告が載っていて、それはかなり小さいものでしたがその写真を見て「これは行くべし、買うべし」と思ってぴあへ走ったのでした。こういう私のカンはだいたい当たる。今年とびきり印象に残っている舞台は、全部この予感に基づいて買ったものばかりだった。水と油は男性3人、女性一人から構成されているグループです。マイムをベースに、身体と空間の概念を揺さぶるような作品を作り続けています。セリフはなく体の動きと間だけで展開されていくのですが、これが絶妙で面白いのです。見ていて楽しく、随所で笑ってしまいました。動きもスピーディーでたるみがなく、一時間があっという間でしたね。衣装はモノトーンで、舞台もわりとシンプルな構成でした。でもそれが雰囲気に合っていてよかったです。今後も水と油の公演に出かけよう、そう思いました。
- 「畳屋の女たち」 ポかリン記憶舎
- こまばアゴラ劇場にて。ポかリン記憶舎の名前を最初に気に留めたのは私がまだ舞台鑑賞にはまる前のこと。リブロの中でポかリン記憶舎のパフォーマンスのチラシを見つけ、その雰囲気がとても好きで一枚もらって帰ってきました。その時は結局行く勇気がなくて出かけなかったのだけど、不思議な名前は記憶に残っていました。そして今回そのポかリン記憶舎の公演があるということで、さっそくチケットを買いに行きました。美人4人姉妹とそこに集まる人々。心が落ち着く涼しげで和風な空間。風鈴、ちゃぶ台、金魚鉢、麦茶、うちわ。気持ちがすーっと静まる不思議な憩いの空間。和服を着た女性たちの身のこなしがきれい。全体的に静かな雰囲気の中で、とても素敵な空間を見ることができて満足でした。今年の夏の、最後の風鈴の音色のような余韻。ポかリン記憶舎の公演にはまた出かけたいです。
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