友情の証 −出会い−





 暑い、暑いぞ福岡〜。

 まだ四月なのに、夏並みに暑かった。

 中国の上海へ行くために家族5人+おばあちゃんと福岡空港に来ていた。

 個人留学ではなく留学斡旋会社を通しての団体留学。

 不安と期待でいっぱいだった。




 集合時間が近づいてきたので二階へ。

 すると、集合場所には既に他の人達も集まっていた。

 友達が見送りに来てる人、

 彼女と一緒に来てる人、

 ラガーシャツを着てる人、

 ギターを持ってる人、

 など色々いた。




 しかし、その中に明らかに場違いの奴を発見。



 濃ゆい顔



 パーマ頭に



 白いだぼだぼのスーツ上、下



 それに加え、手にはアタッシュケースを持っていた。






 こいつは危険だ。






 そう俺の脳は判断した。

 あの顔、あのだぼだぼに履いたズボン、それにアタッシュケース

 危なすぎる。

 こいつとは関わらない事にしておこう。











 斡旋会社の人に上海行きのチケットをもらい、

 さっさとスーツケースを預けにカウンターへ。

 人が多いせいか、長い列ができていた。



 待つこと数十分、ようやく荷物を預けることができた。



 次は空港の奥へ。


 そろそろ行こうと思うと、

 目の前にあいつがいた。

 あの要注意人物が。




 やばい、離れよう・・・




 と思った瞬間目が合ってしまった。


 「ういっす。」


 とっさに変なあいさつをする俺、


 すると奴も、


 「ういっす。」




 うわっ、返してきた〜。




 しかも、

 それと同時に手がすっと伸びてきた。





 やばい、なんか俺まずい事言った?




 後ろへ避けようと思ったら、

 奴の口が開いた。






 「よろしくばい」






 へ?






 ばい?






 いったいどこの人?







 気がつけばその場で握手をする2人。




 ここから2人の友情?が始まる。










 握手により仲良くなった俺達。

 外見とは裏腹にいい奴っぽい。

 でもアタッシュケースがどうしても気になってしまう。



 あやしい



 そう思っていると、奴の両親がこっちへやってきた。



 「こんにちは。」



 「こんにちは。」
 「こんにちは。」



 奴の両親はとても優しそうだった。



 というか奴に全然似てない。

 母親にも父親にも、どっちにも似てない。



 捨て子?



 とか思っていると、手が伸びてきた。







 「息子をよろしくお願いします。」








 やっぱり親子だ。










 握手により息子を託された俺。




 さぁ、

 いよいよ空港の奥へ。




 家族とお別れして奥へ行こうとしたら・・・








 奴の家族と俺の家族、






 みんなで握手し合ってるよ〜








 うちのおばあちゃんも握手しなくていいから・・・。





 恥ずかしいからやめてくれ〜。













 握手しあう家族達と別れ、

 ようやく空港の奥へ。










友情の証 −旅立ち−





 搭乗ゲートについた俺達2人。

 まだ時間があったので、ゲートの前の席に座って待っていた。

 お互い自己紹介を始める。

 奴はどうやら福岡の久留米出身らしい。



 というか久留米ってどこ?



 「松田聖子の出身地。」


 「へ〜。」




 ・・・




 話すねたが尽きてきた頃、

 彼はあのアタッシュケースを手に取った。



 しまった、アタッシュケースの存在を忘れてた。



 アタッシュケースには鍵がかけられていた。

 よっぽど大事な物が入っているのだろうか?

 彼は慎重に鍵をあける。

 ゆっくりと開け、がさがさと中身をあさる彼。



 「これあげる。」



 そう言い、彼が取り出したのは・・・




 かきピー と せんべい。




 え? かきピー と せんべい?



 予想外の物が出てきた。




 「ごめん、今はいいや。」




 いらなかったので断ると、

 奴は一人でぱりぱりむしゃむしゃと食べだした。






 かきピーにせんべい。


 一体奴のアタッシュケースには他に何が入っているのだろうか。


 気になったので中身を見せてもらった。



 奴が鍵をあけ、アタッシュケースを広げると

 そこには黄色い袋が 1、2、たくさん・・・












 うまかっちゃん、こんなにどうするんだよ!!











 アタッシュケースの中身は かきピー せんべい うまかっちゃん

 こいつ何しに中国行くんだ?

 どうやら俺はとんでもない奴と仲良くなったみたい。











 んで、更に


 親指に輝く指サック


 それについて奴はこう言った。







 「これ無いと落ち着かんとばい」












 実は、奴には指サックをはずせない事情があった。



 どうしてもはずせない事情

 それは・・・











 指サック




 はずせねぇ〜










 やっぱりこいつはすごい。

 すごすぎる。

 こいつの真似はできねぇ。





 と思ってたら





 奴はポケットから徐に

 予備の指サックを取り出した。








 「これあげる。友情の証ばい。」











 いらねぇ〜









 その後すぐに飛行機に乗り、俺の中国留学が始まった・・・。







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