私の愛器、メルヒオールの紹介です。
私が現在保有し使用しているホルンはすべてメルヒオールです。大学1年の秋にセミダブルを、社会人4年目にフルダブル(赤)を手に入れ、1997年4月には3台目となるB♭シングルを購入しました。 そして社会人10人年目となる1999年8月には、4台目となる黄色のフルダブルを購入しました。
一部の人はよく知っているメルヒオールは、あのゲルト・ザイフェルトがかつて使用していたメーカー(というか個人)です。メルヒオールが82年に亡くなってしまい、1984年以降ザイフェルト氏はそれまで30年使用していたメルヒオールからヤマハに乗換えています。 日本で活躍しているホルン奏者にはザイフェルトの弟子が多く、弟子の中では「1度はあのメルヒオールの音色が出したい」という気持ちが強いらしいです。そのため表には出ないもののメルヒオールを保有している人は結構いるのではないかと思われます。しかし今まで聞いた限りでは、日本のメルヒオールユーザーとしては数人の名前しか挙がってきていません。
メルヒオールの知名度は低く、なかには楽器屋でも知らないとことがあります。以前私は、金管楽器の修理では結構有名な都内の某楽器屋にセミダブルのメルヒオールを修理に出したのですが、そのときに「機種はメルヒオールです」といくら言ってもお店の人に分かってもらえず、結局預かり証にははっきりと「アレキサンダー」と書かれてしまいました(ヲイヲイ)。見た目全然違うと思うのですが...
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セミダブル
1台目に手に入れたメルヒオールは、セミダブル(ストップキー付き)です。この楽器は、私の知り合いでもある東京フィルの古野さんから購入したものです。この楽器は、3台持っているホルンの中でも、弱音がもっとも美しい楽器だと思っています。色は赤でノーラッカーです。
かなり肉厚で、ベルを叩くと「ガーン」と太い音がします。とても吹きやすいのは見せかけだけで、2時間吹くと突然バテてしまいます。古野さんもオペラの本番で使用して痛い目にあったそうです。
フルダブル(赤)
2台目に手に入れたメルヒオールは、フルダブルです。色は赤でノーラッカーです。B♭管の1番の抜差管がなぜかイエローなのが気になります。
この楽器が、皆さんが知っているいわゆる「メルヒオールの音」がします。しかし、暴れ馬を乗りこなすような覚悟で吹かないと音は当たりません。私はいつも、「やるかやられるか」という気分でこの楽器に立ち向かいます。完璧に吹けた時は、スポーツのあとのような爽快感が味わえます。
B♭シングル
3台目に手に入れたメルヒオールはB♭シングルで、黄色のノーラッカーです。
ロータリーは4つ、4番ロータリーは、ストップ、A管、Fナチュラルの3つの切り替えができるようになっています。(こんな無茶なことせずに5ロータリーにすりゃいいのにと思いますが・・・)
この楽器は、2台目のフルダブルのメルヒオールを購入した新大久保の山野楽器WIND CREWからの情報で入手しました(1997年4月13日)。
吹いてみて驚いたのが、B♭シングルらしからぬ音の厚みです。B♭シングルというと、どうしてもぺラッとした音色が思い浮かぶのですが、この楽器は全く遜色がありません。難点といえばチューニングが高いことです。チューニング管をぎりぎりまで抜いて、やっと445Hzくらい。これでは使い物にならないので、長めの主管を製作してもらいました。
主管完成までの苦難の記録 〜 ついにB♭シングルを入手!!(1997/9/23)
フルダブル(黄)
4台目に手に入れたメルヒオールは、黄色のフルダブルでノーラッカーです。
赤のメルヒオールは、F管の1番管を抜かないとB♭のチューニング管が抜けないなど、かなりアバウトな作りをしていましたが、この楽器はその辺の問題はありません(普通は当たり前ですが)。
ベルの厚みもこれまでの3台とは違い普通の楽器並みの厚さで、叩いても「カーン」と澄んだ響きがします。
この楽器は、このホームページを見た日本のプロオケのホルン奏者の方からの情報で入手しました。前の持ち主は、ドイツの超有名な某オーケストラのホルン奏者です。上述の3台のメルヒオールとは違って以前にかなり使用されていたらしく、非常に吹きやすくなっています。
本丸に一歩近づいた? 〜 これぞ正統派!黄色のフルダブル入手!!(1999/8/9)
メルヒオールの特徴としては、次の点が挙げられます。
重い
本当に重い。きちんと測った訳ではないけれど、B♭シングルのメルヒオールでもヤマハのフルダブルぐらいの重さがあるように思います。
重心の位置が変
ほかの楽器と比べると、左手の方(ロータリーがある方)がとても重くなっています。そのため、自然とベル(右手側)が普通の人より高い位置に来るため、かっこいい姿勢で大きい音で吹けます。
頑丈
トロンボーンのハードケースが倒れ掛かってきても、全然へこまないくらい頑丈。ただ、ソフトケースに入れて電車の網棚から落としてしまったときは、ベルの端が少し曲がってしまいました。
作りは結構いいかげん
F管の1番管を抜かないとB管の抜差管がぶつかって抜けなかったり、抜差管の長さが全然合ってなくてうまくはまらなかったりします。ただ手作りの味わいを好む人にはお勧め。
きつい
吹いているととてもきつい。セミダブルのホルンを以前使用していた新星日響の古野さんは、突然きつくなって演奏会中大変な目にあったとのこと。そういえば、自分が購入したときは、購入後2ヵ月くらいでかなりダメージがあった気がするし、以前後輩のE原君に貸していたときは、E原君はつぶされそうになっていました。毎日吹く場合は、1日に2時間が限界。
音色は素晴らしい
誰が吹いてもメルヒオール独特の音色がするため、自分がザイフェルトになったような錯覚におちいることができます(ただし調子にのって長時間吹くと、つぶれてしまうので注意)。
ただし、これらの特徴は一般的なもので、私の4台のメルヒオールのなかでも、随分違いがあります。 ためしに、次のような比較表を作ってみました。
私の持っているメルヒオールの「メルヒオール度」
項目
フルダブル
セミダブル
B♭シングル
赤
黄
重い 5
3
5
4
重心の位置が変 5
1
5
3
頑丈 5
2
5
3
作りがいいかげん 5
2
4
5
きつい 5
2
4
3
音色が素晴らしい 5
5
5
5
メルヒオール度(30点満点)
30
15
28
23
5 -- その通り、4 -- 言えてる、3 --普通 、2 -- そんなでもない、1 -- 全くちがう
一般的に言われているメルヒオールの基準からすると、赤のフルダブルが最も「それっぽい」と言えるようです。しかし、音色はどれも「メルヒオールの音」がして、それでいてそれぞれ個性的であるため、どれが一番いいかは決められません。今は、T.P.O.に合わせて4台を使い分けています。最近は練習不足で耐久力が落ちているため、B♭シングルや黄色のフルダブルを主に使ってますが・・・
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