お勧めの「CD」というタイトルですが、CDになっていない演奏でどうしても挙げておきたいものは掲載することにしました。1つの曲が何種類もCDになっているというケースはヴィラ=ロボスの場合あまりないので、いやおうなく掲載されているCDもあります。
ブラジル風バッハ第4番
第1楽章の弦楽合奏は、バーバーのアダージョを凌ぐ傑作だと個人的には思います(バーバーのアダージョもかなり好きなのですが)。第2楽章の少しけだるい感じのするコラールや第3楽章のソロは、きついですがホルンが効果的に使われています。「ホルンの使用法」の中で書いたように、「ホルン冥利につきる」曲だと思います。(もともとピアノ独奏曲だったようです)
ショーロス第4番
3本のホルンと1本のトロンボーンのアンサンブルです。前半はゆっくりとしたテンポで4人が好き勝手に吹いているような印象を受けます。後半テンポが上がったかと思うとノリノリのブラジル音楽で、そのまま曲の最後まで一気に突っ走ります。なぜか2ndホルンだけがおいしいので、これから演奏しようとお考えのホルンの方は要注意です。
ショーロス第8番
マラカスの軽快なリズムが流れるなか、コントラファゴット、アルトサックス、トロンボーンと次々に怪しげな動機が現れ、曲は一気に盛り上がります。時代劇風になったり、ロシアっぽくなったりと曲想は多様な変化を見せ、最後にはティンパニーが腕もちぎれんばかりに2拍3連符を打ち鳴らし、それまでの不協和音がうそのようなC#mollの和音でフィナーレを迎えます。まさに「怪作」といえましょう。
ショーロス第10番
管弦楽と合唱の曲です。私が最も「おすすめ」する曲です。ヴィラ=ロボスの音楽の野性的部分、叙情的な部分が曲のなかで見事に絡まり、聴いているものを最後まで飽きさせない魅力に満ち溢れています。曲の後半部分では原住民の合唱が入り、アニメ「ジャングル大帝レオ」のはじめ曲のような雰囲気が、忘れていた何かを思い出させてくれます。初めて聴いた方でも、不思議ななつかしさに浸ることができます。
アマゾナス
1917年に作曲されたこのバレエ音楽は、後にヴィラ=ロボスの手によりピアノ曲に編曲されています。出だしはホルンソロでしっとりとはじまりますが、曲が進むにつれ怪しさを増していきます。18パートに分かれていますが11分程度の短い曲です。「アマゾナス後は豪胆な曲を臆面もなく書けるようになった」とヴィラ=ロボス自身が語っているように、ヴィラ=ロボスの作風の転機となった重要な曲です。
ショーロスの形式による木管五重奏曲
フルート、オーボエ、クラリネット、イングリッシュホルン(またはフレンチホルン)、ファゴットの五重奏です。もともとイングリッシュホルンの楽譜をフレンチホルン用に直しているせいか、フレンチホルンで吹くにはかなりの技巧が要求されます。数分間に及ぶオーボエとホルンの二重奏は超絶です。イングリッシュホルンで演奏した場合、この二重奏はアヒルの親子の合唱のようになってしまうため、思わず笑ってしまいます。
ちなみにアンサンブルウィーンベルリンのCDでは、この二重奏部分のホルンパートを、クラリネットのカール・ライスターが猛烈なスピードで吹ききってしまいます。個人的にはヘグナーがウィンナホルンで果敢に挑戦する演奏を聞いてみたかったと思います。
ブラジル風バッハ第1番
国立ホルニステンが第7回演奏会で取り上げたこの曲は、チェロ8重奏のためのアンサンブル曲です。第1楽章は、高音域の激しいリズムに乗って、北島三郎の「函館の女」にも似た旋律で始まります。第2楽章のプレリュードは、どことなくブラジルの夕暮れといった雰囲気がただよう曲で、序奏のあとの主題のバックには、思わずギターのアルペジオが聞こえてきそうです。
どこかで1度は耳にしたことがある気がするこの曲は、確か随分前に「ベルリン・フィルの12人のチェリスト」が話題になった時に、テレビコマーシャルで流れていたように記憶しています(間違っていたらすいません)。彼らは、98年の来日公演でもこの曲を演奏しています。ブラジル風バッハ第6番
フルートとファゴットのための2重奏です。フルート、ファゴットとも超絶技巧で、かつ息の長いパッセージが多く、一部の隙もありません。曲の最後には、フルートの「これでもか」というほど長く切れ目のない(手元のCDでは20秒)アルペジオがあり、聴いている方も息苦しくなる曲です。
シランダス
ピアノ曲です。「シランダ」は「わらべうた」のことで、この曲は童謡を題材にした16の小品で構成されています。それぞれの小品についているタイトルが、「サンシャの奥様」や「目の見えぬ哀れな女」など、「わらべうた」というタイトルとは違和感があるものもありますが、シューマンに引けを取らない叙情的な曲想のものもあれば、ショパンのエチュードにも匹敵する技巧と情緒を兼ね備えたものもあり、最後まで飽きることなく聴くことができます。
楽譜は現在絶版とのことです。
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