ヴィラ=ロボス おすすめのCD

 

 お勧めの「CD」というタイトルですが、CDになっていない演奏でどうしても挙げておきたいものは掲載することにしました。1つの曲が何種類もCDになっているというケースはヴィラ=ロボスの場合あまりないので、いやおうなく掲載されているCDもあります。

 

  ホルンあり

 ブラジル風バッハ第4番

 第1楽章の弦楽合奏は、バーバーのアダージョを凌ぐ傑作だと個人的には思います(バーバーのアダージョもかなり好きなのですが)。第2楽章の少しけだるい感じのするコラールや第3楽章のソロは、きついですがホルンが効果的に使われています。「ホルンの使用法」の中で書いたように、「ホルン冥利につきる」曲だと思います。(もともとピアノ独奏曲だったようです)


ニューワールド交響楽団の演奏(BMG, BVCC-728)
 ジャケットは、腕にオウムを乗せたティルソントーマスが、映画俳優ばりに気取っているので、見た目で買わせようというレコード会社の作戦かとも思ったのですが、聴いてみるとこのCD全体的にかなりよい出来です。ヴィラ=ロボスの自作自演集やマルコポーロレーベルなどはドロドロした演奏が多く、それはそれでかなり面白いのですが、このCDは爽やかななかにも泥臭い輝き(?)を失っておらず、冷静さとノリをあわせ持った演奏で大変好感が持てます。
 

 ショーロス第4番

 3本のホルンと1本のトロンボーンのアンサンブルです。前半はゆっくりとしたテンポで4人が好き勝手に吹いているような印象を受けます。後半テンポが上がったかと思うとノリノリのブラジル音楽で、そのまま曲の最後まで一気に突っ走ります。なぜか2ndホルンだけがおいしいので、これから演奏しようとお考えのホルンの方は要注意です。


レニングラードフィル金管アンサンブルの演奏(Horn Blower PRS0052)
 ついにCD復刻。ブヤノフスキーの遺産シリーズのVol.4に入ってます。
 パワフルかつ繊細な演奏です。やはりレニングラードフィル(現サンクトペテルブルグフィル)の金管パートの音は魂を揺さぶる響きがあります。また、かのブヤノフスキー御大がンリノリのブラジル音楽を演奏している姿を想像すると、ちょっと微笑ましい気分になります。
 

 ショーロス第8番

 マラカスの軽快なリズムが流れるなか、コントラファゴット、アルトサックス、トロンボーンと次々に怪しげな動機が現れ、曲は一気に盛り上がります。時代劇風になったり、ロシアっぽくなったりと曲想は多様な変化を見せ、最後にはティンパニーが腕もちぎれんばかりに2拍3連符を打ち鳴らし、それまでの不協和音がうそのようなC#mollの和音でフィナーレを迎えます。まさに「怪作」といえましょう。


香港フィルハーモニーの演奏(MARCO POLO, 8.220322)
 パライバ交響楽団のCD(1988年のブラジル祭での演奏, DELOS DE1017)は、お国のオケなのにパーカッションが今ひとつ。対する香港フィルの方は、肝心のホルンが寂れた音がしてますが(録音のせい?)、全体的によくまとまっています。ただ、パーカッションのノリがいい分、ほかの楽器が負けてしまっている印象を受けます。
 

 ショーロス第10番

 管弦楽と合唱の曲です。私が最も「おすすめ」する曲です。ヴィラ=ロボスの音楽の野性的部分、叙情的な部分が曲のなかで見事に絡まり、聴いているものを最後まで飽きさせない魅力に満ち溢れています。曲の後半部分では原住民の合唱が入り、アニメ「ジャングル大帝レオ」のはじめ曲のような雰囲気が、忘れていた何かを思い出させてくれます。初めて聴いた方でも、不思議ななつかしさに浸ることができます。


ヴィラ=ロボス自作自演集(EMI, CZS7272292)
 前奏はかなり重苦しく、後で紹介するニューワールド交響楽団の演奏とはまるで別の曲を聴いているような感じです。後半部分は軽快なテンポ感で小気味良く、また、合唱が目の前で歌っているような臨場感あふれる録音です。ニューワールド交響楽団の演奏では、他の楽器の音に潜ってしまって聞こえない音もあるのですが、この演奏はスコアのすべての音が全部聞き取れ、かなり面白いです。ただ雑然としていて整理されていないという感想を持たれる方もいるかも知れません。

ニューワールド交響楽団の演奏(BMG, BVCC-728)
 ホルンが3人とも身の詰まったいい音をしています。トランペットの超絶ソロは爽やかに吹ききっていてブラボーものです。個人的な趣味からすると、合唱がもう少し音量があるとなお良いと思います。
 

 アマゾナス

 1917年に作曲されたこのバレエ音楽は、後にヴィラ=ロボスの手によりピアノ曲に編曲されています。出だしはホルンソロでしっとりとはじまりますが、曲が進むにつれ怪しさを増していきます。18パートに分かれていますが11分程度の短い曲です。「アマゾナス後は豪胆な曲を臆面もなく書けるようになった」とヴィラ=ロボス自身が語っているように、ヴィラ=ロボスの作風の転機となった重要な曲です。

<おすすめの演奏>
シモンボリバル交響楽団の演奏(DORIAN RECORDINGS, DOR-90228)
 これしか持っていないので...でも聴いていて爽快な演奏です。
 

 ショーロスの形式による木管五重奏曲

 フルート、オーボエ、クラリネット、イングリッシュホルン(またはフレンチホルン)、ファゴットの五重奏です。もともとイングリッシュホルンの楽譜をフレンチホルン用に直しているせいか、フレンチホルンで吹くにはかなりの技巧が要求されます。数分間に及ぶオーボエとホルンの二重奏は超絶です。イングリッシュホルンで演奏した場合、この二重奏はアヒルの親子の合唱のようになってしまうため、思わず笑ってしまいます。
 ちなみにアンサンブルウィーンベルリンのCDでは、この二重奏部分のホルンパートを、クラリネットのカール・ライスターが猛烈なスピードで吹ききってしまいます。個人的にはヘグナーがウィンナホルンで果敢に挑戦する演奏を聞いてみたかったと思います。


レニングラードフィル木管アンサンブルの演奏(Horn Blower PRS0052)
 こちらも、ショーロスの4番とともに、ついにCD復刻。ブヤノフスキーの遺産シリーズのVol.4に入ってます。かのヴィルトーゾ、ブヤノフスキー氏の本領発揮といったところでしょうか、たっぷりヴィブラートをかけてソロを歌いまくったあげく、超絶技巧のアルページョもいとも簡単に吹きこなしてしまいます。ホルン以外の木管楽器奏者の気合の入り方も尋常ではなく、フルートに至っては息が入りすぎてオーバーフローしており、尺八のような「めり・かり」の世界を楽しめます。
 これ以外にも、モラゲス木管五重奏団のCDが出ています。これは比較的入手しやすいものと思われます。
 

 

 ホルンなし

 ブラジル風バッハ第1番

 国立ホルニステンが第7回演奏会で取り上げたこの曲は、チェロ8重奏のためのアンサンブル曲です。第1楽章は、高音域の激しいリズムに乗って、北島三郎の「函館の女」にも似た旋律で始まります。第2楽章のプレリュードは、どことなくブラジルの夕暮れといった雰囲気がただよう曲で、序奏のあとの主題のバックには、思わずギターのアルペジオが聞こえてきそうです。
 どこかで1度は耳にしたことがある気がするこの曲は、確か随分前に「ベルリン・フィルの12人のチェリスト」が話題になった時に、テレビコマーシャルで流れていたように記憶しています(間違っていたらすいません)。彼らは、98年の来日公演でもこの曲を演奏しています。


リオ・チェロアンサンブルの演奏(LE CHANT DU MONDE, LCD 278 1087)
 テンポはわりあいゆっくりした感じで、後述のベルリン・フィルの演奏に比べるとおとなしめです。音程などやや難がありますが、場末のカフェといった雰囲気が何とも言えずたまりません。

ベルリン・フィルの12人のチェリストの演奏(TELDEC, 2292-42986-2)
 EMIのデジタル録音ではなく、ずいぶん前の録音です。8重奏を12人用にアレンジして演奏しています。第1楽章はじめのリズム打ちは、カミソリのように切れ味鋭く、またテンポも速めでとてもノリがいいです。技術的なレベルの高さがこの早いテンポを支えていると言えます。しかしリオ・チェロアンサンブルの演奏と比較すると、官能的な雰囲気に若干欠けているように思われます。
 

 ブラジル風バッハ第6番

 フルートとファゴットのための2重奏です。フルート、ファゴットとも超絶技巧で、かつ息の長いパッセージが多く、一部の隙もありません。曲の最後には、フルートの「これでもか」というほど長く切れ目のない(手元のCDでは20秒)アルペジオがあり、聴いている方も息苦しくなる曲です。


「ヴィラ=ロボスの木管音楽」(ARTS, 47200-2)
 フルートとファゴット奏者の意気込みがとてもよく伝わる演奏です。少々のミスは気合でカバーしています。前述のフルートの長いアルペジオも一息(ヴィラ=ロボス自作自演集では2回も息継ぎしています)です。

エマニュエル・パユの演奏(MARCO POLO, 8.223527)
 パユは皆さんおなじみベルリン・フィルの首席フルート奏者です。最近ソロのCDも数多く出されており、その圧倒的な技術と楽器全体を鳴らしきる男性的な音色で幅広くファンを獲得しています。このCDも、技術・音色とも一部の隙もない演奏です。ちょっと多い息継ぎもあまりに早く、息継ぎの早さに逆に感動させられます。カップリングのジェットホイッスルというフルートとチェロの曲も名演です。
 

 シランダス

 ピアノ曲です。「シランダ」は「わらべうた」のことで、この曲は童謡を題材にした16の小品で構成されています。それぞれの小品についているタイトルが、「サンシャの奥様」や「目の見えぬ哀れな女」など、「わらべうた」というタイトルとは違和感があるものもありますが、シューマンに引けを取らない叙情的な曲想のものもあれば、ショパンのエチュードにも匹敵する技巧と情緒を兼ね備えたものもあり、最後まで飽きることなく聴くことができます。
 楽譜は現在絶版とのことです。


デボラ・ハラス(?)の演奏(BIS, CD-812)
 奏者の日本語読みはこれで合っているのでしょうか。ご存知の方がいれば教えてください。
 微妙にテンポを揺らしているのが少しもイヤミっぽくなく、ノリもキレもよく技巧的にも優れており素晴らしい演奏です。
 

 

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