「先に逝っては駄目よ!」    (中島 節) 
                         -2016. 6. 1-


 私達夫婦は健脚、健康保持のため散歩は二、三十年来続けている。しかしここ一年ほど、妻は体調不良で足腰が痛いとか、 目まいがするとか訴えるようになり、私の右腕にしがみつくようにして歩くようになった。あるとき、アベックに異常な ほど興味を持ち始める小学一,二年生の男児が私達の散歩姿を見て、何かささやきあいながら大笑いしているのに遭遇した ことがあった。

 最近、行きはバス、帰りは徒歩(800メートル足らず)で近くの整骨医院に通院することにした。である日のこと、 治療後、例により歩いて帰る途中、見しらぬ老婆から、「良いご夫婦ですね。でも奥さん、先に逝っては駄目よ!」と 優しく辞をかけてくれた。「有り難う。そうですよね。さあ、元気を出しましょう」と私は答えた。私達よりは若そうな 婦人の励ましは、彼女の貴重な体験から素直にほとばしり出たのでしょう。相手に好感の持たれる挨拶、心添えの できる老人、実に素晴らしいと思う。散歩中に行き会う未知の人には、せいぜい「こんにちは」と挨拶するのが関の山。 こちらからの挨拶を無視していく男子もたまにいる。この中には、どこの誰さんか知っている人もいる。でも近隣での 散歩中は、最低の挨拶ぐらいは気軽に交わしましょう。


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