タバコの害


●一酸化炭素

タバコの害と言うとニコチンとタールが有名である。あまりタバコに興味がなかったころでも漠然とあんなもの体に吸い込んで、害になるに決まっているとは思っていた。子供のころ見た、家庭の医学の本にもウサギの耳にタールを塗って、癌が発生した写真があっておそろしくなったこともよく覚えている。またニコチンは麻薬である。これも今回調べてよくわかったことだ。

しかし、なぜ一酸化炭素が体に悪いか? よく考えてみると、はっきりとはわかっていなかった。しかし調べていくと、まさに自分の学生時代の体験が(タバコとは関係ないが)よみがえってきた。

一酸化炭素はモノを燃やして不完全燃焼すれば必ず発生するもので、どれだけ一酸化炭素が発生するか、どれだけ体内に入ってくるかは、タバコがキツイか軽いかには関係せず、ストレートに吸った量・本数に比例することがわかっているそうだ。 体に入ると、一酸化炭素が血管中のヘモグロビンと結合してしまい、一度結合してしまうと、約3日間、72時間ぐらい離れず、その結果、本来ヘモグロビンと結びつく酸素が結びつくことができなくて、酸素運搬を妨げるため、酸素欠乏を起こしてしまうということだった。

ここまで調べて、私はあっと思った。息子はサッカーをしている。一時かなり吸っていたらしい息子がタバコをやめたいと思った一番の原因が、サッカーを続けるのが苦しいという体験だったらしい。私はそれを聞いたとき、タバコのタールが肺を汚して苦しくなっているのだろうと思っていた。そうではなく、苦しくなる原因は一酸化炭素だったのだ。A君のアパートは、窓が壊れていてわずかしか開かないので、換気がほとんどできない。狭い部屋で数人がタバコを吸っていれば、一酸化炭素の濃度はかなり高くなっていただろう。

そして私自身の遠い記憶も鮮やかによみがえってきた。

私は中学生のころから、ひどい貧血だったようだ。(これは中学時代の偏食が原因だったのではないか)中学のころは気がつかなかったが、 高校生になり学校の健康診断で貧血を指摘され、検査を受けたところ、ヘモグロビンが 基準よりかなり下回っていた。その後半年間、鉄剤を内服して治療したところ、正常値まで回復することができた。

そのときの、印象的に忘れられない体験が、持久走である。中学のころ、持久走はいつもびりだったのだ。恥ずかしいし、苦しいしで、持久走は地獄の苦しみだった。高校生になってもはじめは地獄の状態はまったく同じであった。ところが、貧血を治療したとたん、練習をしたわけでもないのに、持久走が急に得意になったのだ。周りの友人も私の変身ぶりに驚いていた。

でも考えてみれば、それが普通の状態だったのだ。普通の状態のすばらしさに気がついたとき、それまでの自分の状態がいかに異常な状態だったのか、身をもって体験した。このことは忘れられないうれしい体験であったので、今回も鮮やかに思い出した。

タバコを吸っている人は、必ずこの逆を体験しているはずだ。私は異常(苦しい)が普通に変わったが、喫煙者は普通が異常(苦しい)に変わっていくのだ。ゆっくり変わっていくので、それがタバコのせいだとは気がつかないかもしれない。私も自分が苦しい状態にあっても、それが普通だと思おうとしていた。治療を勧められたときも、どこも悪くないのに、なぜ治療などしなくてはいけないのかと、治療に行く気もなかった。その1ヵ月後、保健の先生に呼ばれて怒られて、仕方なしに治療に行ったのだ。このときの保健の先生には感謝の気持ちでいっぱいである。

今、タバコを吸っている人でタバコを吸っても害はないと信じている人は、よく考えてほしい。タバコを吸い出してからはどんなに苦しい状態なのかということを。体はSOSを出しているはずだ。息子の場合は、(ある意味ラッキーにも)急激に変わったので、自分でもタバコのせいで苦しいことだけは実感していた。それで、止めたいとは思ったのだ。それでもタバコに未練があるのは、いったいなぜなのか?ニコチンの依存性のためなのだろうか?


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