子どものニコチン依存


毎日新聞のウェブの教育関連の記事からこんなページをみつけた。6年生を担任していた教師の回想録である。

喫煙してない…なぜ、うそを?

 6年生を担任していた数年前のことだ。私のクラスにM君がいた。彼は遊びでも授業でも中心的存在で、クラスを超えて友人が多かった。だが、夏休み明けから活発さを潜め、「彼は最近少し様子が変わったな」と私は思い始めていた。
 そんな時に喫煙事件が起きた。休日に、竹やぶで6年生の男子3人がたばこを吸っているのを地域の人が見かけ、翌日、学校に電話してきた。私たち6年生の担任は驚いた。名前が判明していたK君に尋ねたところ、泣きながら「M君とD君に誘われてたばこを吸った」と話した。
 2人にも話を聞いた。D君は素直に認めたが、M君は「たばことライターが一緒に落ちていたのを、みんなで拾っただけだ。たばこもくわえただけで、火をつけて吸ったわけじゃない」と一貫して否定した。
 だが、M君の話は矛盾が多くて信用できなかった。保護者に事情を説明した。M君の親は「申し訳ありません」と涙ながらに頭を下げたが、本人は「あの時は吸っていなかった」とあくまで否定した。
 その後の調査で、約10人の6年生が喫煙していたことがわかった。そのすべてにM君が関係していた。喫煙が発覚する数か月前に、M君は「おれはたばこを吸ったことがあるよ」と吹聴していたという話まで出てきた。ここまで自分が気づかなかったことに、私は大きなショックを受けた。
 6年生の担任は力を合わせ、それぞれの親と連携を取り、喫煙した子どもたちを育て直そうと努力した。私も、M君やその親と何度も話をした。
 ほかの子が反省の意思を示すなか、M君は親や私に反抗的な態度をとり続けた。でも卒業間近になって、ようやく落ち着きを見せるようになった。「昨日、父親と一緒に公園を散歩した」などと家のことをぽつりぽつりと話すようになったのだ。
 それでも、なぜすぐばれるようなうそをつき続けたのか、最後までわからなかった。今はどうしているのだろうか。毎年、卒業シーズンを迎えると、当時の苦い経験とともにM君のことを思い出す。

出典 子どもの心 小学校で http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/hagukumu/kodomo/20050117us21.htm

まさにM君はニコチン依存の症状を示しているのではないか。ニコチン依存に陥り、タバコなしですごせなくなってしまったM君は仲間が欲しかったのだ。だからひたすら友達にタバコを勧めた。ニコチン依存に陥らずただM君の勧めでタバコを吸っていたほかの生徒は反省もできただろう。しかしニコチン依存に陥ってしまったM君は周りの友達が反省すればするほど、孤立していったのだろう。

先生はまさか子どもがニコチン依存なんてするわけがないと、思い込んでいるだろう。だからM君の行動が奇妙なものに思えるのもよくわかる。私も子どもがこんなに簡単にニコチン依存になるということを身をもって知らなければ、思いもよらなかったと思う。

しかし、こどもは毎月1本以上吸うようになる(月喫煙者)と、女子ではその21日後、男子では183日後に「吸わずにいられない」状態に移行するという研究結果も出されているのだ。(Development of symptoms of tobacco dependence in youths: 30 month follow up data from the DANDY study より)


ニコチン依存を理解したとき、喫煙者の奇妙な行動の理由が手に取るようにわかるはずだ。


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