世界の中心で愛を叫ぶの喫煙シーン


7月の新番組で「世界の中心で愛を叫ぶ」が始まった。これは高校生のカップルが主人公の純愛小説 で、ヒロインが白血病でなくなるという内容である。あまりにもロマンチックすぎて、簡単には読めたが、若くも純粋でもない私にはそれほど感動することもできなかった。

ところがこれが若者に人気があるらしくて、5月には映画化され、7月か らTBSでTV番組が始まった。息子がこれが好きなようなので、私も1回目から息子研究のため見ていた。

今日は3回目、7月16日の放送である。今日はこのTVのことはすっかり忘れてしまって報道ステーションを見ていた。10時半近くになり、自分の部屋でTVを見ていたらしい息子が居間にきて、いきなりTVチャンネルを変えた。息子はチャンネルだけ変えて夜食を食べ、すぐに自分の部屋に行ってしまったが、私は続きを見始めた。

今日は、祖父が亡くなったらしい。あれ?おじいさんってなくなるんだっけ?原作の本は、ずいぶん前に読んだので、忘れていることが多い。しばらく、見続けていると、あっと驚くことがあった。

それは主人公 の少年の両親の喫煙シーンである。なぜここでこのシーンが必要なのか?はじめから見ていたわけでもないので、かえってこのシーンが唐突に見えた。はじめから感情移入してみていれば、自然に思えてしまったかもしれない。原作も手元にないので、原作にあったのかどうかまでは確認もできない。

その地点で、私がわかるストーリーの範囲はこうだった。少年の大好きな祖父が亡くなり、父親(亡くなった祖父の息子)が海岸べりのベンチで物思いにふけって、タバコを吸っている。海をバックにすがすがしい景色である。タバコの煙はまったく似合わなかったので、この父親の喫煙シーンだけでも、「え?」とわが目を疑った。しかし、そのあとがまだあった。そこに、心配して夫を探しているように自転車で現れた母親はだまって父親の隣に座る。そして、彼のポケットに手をいれ、タバコを取り出し、そこから1本を抜いて、なんと自分も吸ったのだ。

そこで「タバコは1週間に1箱にしなさいね。」と言うセリフが…。これは、夫とはいえ人のタバコを奪っておいていうセリフなのか?ただのタバコのCMではないか。一番効果的なCMである。しかも自転車というのは、今回のストーリーのキーになっているようだ。視聴者からの掲示板を読むと、自転車で主人公の少年と祖父とのふれあいに感動したという意見が多かった。物思いにふける父親の元に、母親が自転車で現れる。タバコ嫌いの人でもドラマに感情移入していたら、ここでのタバコの不自然さに気がつかないかもしれない。私もはじめから感情移入してみていたら、気がつかなかったかもしれない。なんと計画的なCMだろう。

純愛にあこがれる青少年に人気のある番組にこういうシーンを入れて、タバコへのイメージをよくする。タバコが悲しみを癒してくれると暗にほのめかしているのだ。信じられない。そこまでして青少年にタバコを吸わせたいのか。TBSのこの番組の掲示板をのぞいたところ、ビデオやDVDにとって、何回も見るファンも多いらしい。確実にタバコのよいイメージは刷り込まれていく。本人が刷り込まれていると気がつかないだけに、恐ろしいと思う。未成年者がなぜタバコがいけないのか、理解できなくても不思議はない。

その後の追記

原作はもうずいぶん前に友達から借りて読んだので、すっかり忘れていたので、外出したついでに、本屋で立ち読みしてみた。原作は私が記憶いていたよりずっと文学的だった。 そして、祖父は原作では亡くなってはいなかった。当然、タバコの部分はもちろん、第3話のほとんどが、TBSの創作らしい。TBSの掲示板では、ファンから感動したとの投稿の嵐だったが、原作の持つ文学的な雰囲気はまったく伝わってこない。


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