●私とタバコ

私は昭和30年代の生まれである。当時は、成人男子の喫煙率は80%を超えていたそうである。タバコを吸わない人のほうがずっと少数派だったわけだ。そして、それを裏付けるように、幼いころ、私の父もタバコを吸っていた。小学校のころ、好きだった先生も、タバコをよく吸っていた。体育が専門だったその教師も、今振り返ってみれば考えられないことであるが、陸上やポートボールを教えながら、タバコを吸っていたことを覚えている。そのタバコが、緑色の若葉だったこともよく覚えている。

そして、私は小学生のころ、タバコのにおいが好きだった。あのタバコは吸うとどんな味がするのだろう。興味津々だった。

ある日、私は家で灰皿におかれたままの吸いかけのタバコをみつけた。小学校4,5年のころだったと思う。私はそのタバコを一気にすいこんだ。煙を口に入れただけですぐに出してしまったので、むせもしなかったが、まずかった。 なんだ。こんなものか、期待はみごとに裏切られた。好きだったはずのにおいは、口にいれるとまずい。私はその日を最後にタバコへの興味を失った。

しばらくして、父はタバコをやめた。そして私はふたたびタバコに興味がわくこともなく成長した。今振り返ってみれば、ラッキーだったと思う。

夫はタバコを吸う。それにたいしてもどちらかと言うと無関心だった。子供が生まれると、そばで吸われるといやだなーと思うこともあったけど、それほど神経質にはならなかった。ただ、夫は何年か前まではお正月になると禁煙の誓いを立てていたことをよく覚えている。それがほとんど3日坊主だったことも。

それがニコチン依存の恐ろしさのためだったとやっと気がついたのは最近である。私がそれに気がついたのは、もしかしたら息子がニコチン依存かもしれないと疑いをもち、タバコについて真剣に調べだしてからだ。


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