●先輩U君のこと

5月中旬に修学旅行があった。親や教師が心配していた問題も起こらず、楽しんできたようだ。そして中間テストも無事終わった。息子は、夫との約束(テストで結果を出す)を守り、テスト期間中は、中1のときのように、勉強をしていた。ただサッカーができないというストレスはたまっていたようなので、テストが終わった今日は危ないのではと気になっていた。洗濯機に入っていた息子のYシャツとジャージは明らかにタバコのにおいがした。いつもよりもかなりにおうので問い詰めた。

「服がかなりにおうけどどういうわけ?」「A君のアパートに行ったら先輩のU君がいて吸っていた。でもAも俺も吸っていない。」という。さらに尋ねた。「U君はどのくらいの時間、アパートにいたの」「俺が行った時にはもういたからわからないけど、俺がいたのは2時間ぐらい。」「その間に、U君は何本くらい吸っていたの。」「奥の部屋で俺の見えないところで吸っていたから、わからない」「でも煙がでるからだいたいはわかるでしょう。4本くらい?」「もっとだと思う。」

「病院の先生からも聞いたと思うけど、若いうちから吸うと体に悪いんだよ。」

「別に俺の体だからどうでもよくない?」

絶句した。この考え方。これが単なる私への反抗でなければ、まさにニコチン依存の考え方ではないか。喫煙者の夫がよくいう「どうせ長生きしたいとは思わない。」これこそ、ニコチンに侵された考え方だと私は思う。そう思わなければ吸っていられないのだろう。息子は今やめていたとしても、精神的なニコチン依存は直っていない。

しばらくしてからまた息子に言った。言わずにはいられなかった。

「タバコってどこが管理しているか知ってる?」「興味ないね。」「財務省なんだよ。タバコ会社と財務省はほんとは未成年にタバコを吸わせたいんだよ。未成年のうちからタバコがやめられなくなってくれれば、将来安定のお客様になるからね。未成年から吸ったら一生で数百万円以上タバコにかかるんだよ。やめるんなら今だよ。」 これには、息子も黙って聞いていた。何も言わなかった。

夫が帰ってきてから、この件を報告した。夫は喫煙者だが、さすがに未成年の喫煙は悪いとは思っているようだ。ところが、私が「若いうちに吸い始めると癌になる確率も30倍も多くなるんだし…。」というと「勉強はしてるようだから、どうでもいいじゃないか。あいつの人生なんだし。」という。思わず、「それがニコチン依存症に侵された人の考え方だよ。そう考えないと吸えないものね。」と言ってしまうと、むっとしたようだが、珍しく言い返してこなかった。

その数日後、U君は入学するとすぐ高校をやめてしまったらしいといううわさが耳に入ってきた。たかだか2時間で数回もタバコを吸うようなニコチン依存になってしまったら、学校に行くことは苦痛だろうと想像はできる。しかもU君はスポーツ推薦で入学したらしいから、それでタバコなんて、自分で自分の首を絞めているようなものだと思う。でも何がそうさせるのか。せっかく合格して好きなスポーツも思い切りできるような環境を手に入れたのに、なぜ?他人のこととはいえ、高校へ行きたくないといっている息子の将来とダブって見えてしまう。


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