五月雨と怠け者




 五月の長雨、梅雨への合間。今日は久方の五月晴れ。
「あ、いい天気。今日のうちにちょっと片づけちゃおうかな」
 窓を開けた普賢はいそいそと準備に取りかかる。と言ってもごく簡単なことだ。何故かこの部屋(普賢の自室だ)でゴロゴロしている同期の少年?にお伺いを立てるだけのこと。
「大分暖かくなってきたよね」
「むー」
 気のない返事が返ってくるが、返事してくれるだけましなので気にせず続ける。
 ちなみに普賢は最初彼が五月病にでもなったのかと思ったが、そういうわけではないらしい。
「雨続きで寒かったから出してたけど、そろそろストーブはもういらないよね」
「むー」
 おでんを煮るのに大活躍だったストーブ。お疲れさま。
「火鉢もしまっちゃおうね」
「むー」
 そんなに部屋は暖まらないんだけど、おもちを焼いたり冬のあったか気分に貢献してくれた火鉢。お疲れさま。
「電気毛布にカーペット…もいいね」
「むー」
 まったりするのには最高な発明。これは今日のうちに干しとかなくっちゃ。
 ……さて。
「ねぇ、望ちゃんそれも」
「むむ。ナニを言っておる!」
 先ほどまで適当にむ〜む〜星人をやっていた太公望、しかし事ここにいたって初めて人の言葉をのたまわった。それというのは、普賢の次のターゲットが
「こんなにポカポカしてたら炬燵なんていらないじゃない」
「今現在わしが使っておるではないかっ」
というわけで彼が潜り込んで頭だけ出している炬燵だったからである。
 この炬燵、前から欲しがっていたところにようやくこの冬手に入れて、すっかりお気に入りになっているシロモノであった。
「そりゃ、暖房器具はみんな望ちゃんの私物だし使ってるのは構わないけど。僕はちょっと暑いかなぁ、なんて」
 冬でも肩出しの彼に本来暖房器具など要らないのである。
「まぁ暑がりのおぬしにはそうであろうが。しかしだな、炬燵を甘く見るでない。むしろ夏にこそ炬燵!」
「えー?」
「電源を切った炬燵は室温より冷えるのだ。暑い外から帰って来たわしをヒンヤリと包む炬燵。うむ、素晴らしい…」
 ↑嘘ではない。嘘ではないがしかし。
「はい、剥がすよー。はい、どいてねー。じゃ、これは望ちゃんの部屋に戻しておくから」
「ぬおぉ、横暴ではないかぁ〜っ!?」
「五月蠅いよ?、もう。そんなコトするくらいだったら仕方ないからクーラー付けてあげる。だからコタツムリになるのはやめよーね?」
 その笑顔になにを感じたのかは知らないが、太公望は無駄な抵抗をやめたのだった。


◆むしろ季節ハズレネタ。私の炬燵への(歪んだ)愛がここに(笑

03/05/27


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