水遊びと道士




 崑崙山の梅雨は短い。しかし、それなりの量は降る。
 だから、もともと水量の豊富な場所では不都合なことになったりもする。

「で、あとはこのバルブを開ければよいのだな?」
「そうじゃ。……済まないな、客人にこのようなことをさせてしまって」
「こんなの仕事のうちにも入らないよ。ね?」
「むー。もらう物もらった以上、仕方ないしのう」

 例のごとくお使いに出された道士コンビは出先でちょっとした作業をすることになった。
「このままでは文殊に迷惑をかけてしまうのじゃ。礼はもちろん出すゆえ、手伝ってはくれまいか」
 手伝わなかった場合……崑崙ではまず有り得ない自然現象が観察できたのだが、彼らの意見は割れたため ( うぉぉ、見てみたいぞワシは! / そりゃ僕も見てみたいけど、立場上そういうわけにもいかないでしょ ) 、力関係の上位者によって決定はなされたのであった。

「んじゃ開けるぞー」
「せーのっ」

ぎごぎごぎごぎごぎご…………カラン

「「 あ。」」

 カラン、というその音。二人が回していたでかいハンドルのはずれた音である。
 何のハンドルかというと水路のバルブのもので、その水路は崑崙で唯一 湖と呼べる場所から引かれているもので、その湖はこの梅雨で増水していて、ついでに言うと水路はちょっと老朽化が激しかった。

 結果。

どがぁ〜〜〜〜〜〜〜っしゃぁぁぁあん

「わぁ〜〜っ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!!」
「ゴボガボ…すごいねぇ、崑崙でこんな目に遭うなんてむしろ自慢できるよぉ〜」
「いらんっ! わしは、ガボ、見たかったが、ブシャ、巻き込まれたかったワケではないーっ!」

 巻き込まれたくなんかないさ。洪水になんてー!
 流された彼らはすぐに救出されたが、結局湖の下にあった洞府は洪水まではいかなかったものの集中豪雨状態に見舞われてびしょぬれ。後かたづけの手伝いにかり出される羽目になったのだった。



◆これ、季節ネタかなぁ…?
修行と言ったらやっぱり滝でしょう、という安易な考えから出発。どういう経路をたどったか洪水に。どっちにしろ水遊びの範疇ではないぞ。

03/07/18


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