鏡開きと呪術師




「ししょー、お昼できやしたぜ〜」
「あ……うん、ありがとう木タク」
 崑崙の昼下がり。太公望が地上に下りて数年経つが、封神計画は今のところ表だった動きを 見せていないため、仙人界はのんびりしたものだ。
「はい、師匠のぶん。それと箸。さ、いただきやしょーぜ」
「うん、そうだねぇ……」
 のんびりしている、というより気が抜けているような者も約1名いたりするが。

「もー、しっかりしてくだせぇよ。なんすか、こないだからメシのたんびにため息ばっかり ついちまって。辛気くさい」
 弟子である木タクにそこまで言われて普賢は少し赤くなった。
「え、僕そんなに鬱陶しかった?」
「鬱陶しいとまでは言いやせんがね。……腹が減ってるとますます暗くなっちまうっしょ? 今日のはウチの実家風ですぜ。さーさー」
 とっとと食え、とばかりに押しつけられる椀の中身は雑煮である。味噌仕立てのそれは実に おいしそうな香りで、出来たてアツアツ。普賢はにっこり笑って受け取ったが、彼が“辛気く さい”理由はその中にあったりする。
 つい先日、鏡開きで割った餅。

『師匠、この鏡餅割るんすね』
『うん。今年は大きいの作っちゃったから、当分お雑煮とかお汁粉作んなきゃね(笑)』
『俺は餅好きだから何でもOKっすよ!』
『そう? ……あ、そうだ木タク。その右のヤツなんだけど』
『あっはっは! コレ師叔そっくりっすね、“もにゅ〜ん”ってしてるあたり。ま、味は変わ んないっすね。えい!』
『ああっ』
 ばがしゃっ
《よくできたから、割らないでって言おうと思ったのに………はあぁぁ。》

 ところでその簡略師叔な鏡餅が欠片の集合体になったころ。
「う゛〜っ、いたい……頭が割れるよーに痛い」
「御主人、熱はないっスよ。てゆーか、ホントに痛いのは頭ッスか? お腹だったら昨日の拾い 食いのせいだと思うんっスけど」
 原因不明の頭痛におそわれる太公望に、四不象が心配しつつも心なし冷たい言葉を吐いていた りしたのだが、関連があるんだかないんだか。


◆似姿は呪術に通じるんだそーですよ。元ネタは コレです。

04/01/22


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