豆まきと鬼
「で、今日はなんなんだ?」
それが客人に向かってかけられた本日の第一声。
ただし、前触れもなく窓から入ってきた人物を客といって良いなら、だが。
「そりゃまた ご挨拶だのう。わしゃ そんなに迷惑か?」
見慣れない装束をした客人は、しかし悪びれることもなく部屋の主の執務机に腰掛けるとニヤリと笑う。主は彼に向けていた目をすっと反らした。
「別に、迷惑じゃねーよ。けどよ……」
「けど、なんだ?」
一瞬漂いかけたシリアスな雰囲気は、次の瞬間霧散した。
「こないだの豆、片付けるのエラい面倒だったんだぜ。みんな気持ち悪がるしよ、当たり前ェだがな〜!」
2月3日、節分。
お祭り好きの周に豆まきの風習をどこからだか持ち込んだのはまあいい。
上手いこと丸め込んで周公旦を鬼に仕立てたのは実にイイ。
しかし、まいた豆がほいほい育って踊りまくるのはいかがなものか。
「あぁ、アレな。だが、旨かったろう?」
まいた当人もその日 自分で収穫してポリポリ食べていたから実際問題ないのだろう。彼が何粒食べたのかは知らないが。
ただ、一般人はそういう得体の知れないものは普通、食べたくない。
「てーめーえー、マジで言ってんのかー、おら〜(怒)」
「わっはっはっは、苦しいぞ姫発」
「やっぱ てめーは迷惑だ〜っ!」
がっくんがっくんがっくん
ついでに言うとこの日客人がやってきたのは、部屋の主のもらったであろうバレンタインチョコをご相伴するためだったらしい。迷惑と言えばまあ、迷惑な。
◆鬼っていうか、疫病神? 悪気は(あんまり)無いらしい。豆の品種改良をしたのが誰かは不明とのこと。
04/02/15