干した蒲団と眠り猫




 このところの長雨にどことなく気分を沈まされていた僕は、ようやくの晴天が嬉しくて朝起きてすぐに蒲団を干した。隣の部屋の片隅に丸められていた蒲団も一緒に干しながら、ここのところ見ていないその中身がどこに行ったのかを思う。確か、何か課題を出されていたと言っていたはずだ。
 午後になり、蒲団を取り込み。明日の修行に使うはずの資料を探しに書庫に出かけた短い間に、蒲団の中身は部屋に戻ってきていた。中身、じゃなくて上に乗っかっていたけれど、ね。

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「少しくらい寝ておってもよかろう…?」

 君はそう言うけれど、折角の晴れ間に干したばかりの蒲団の上でウトウトされるとちょっとなんだかなぁ、って気分になるのは仕方がないと思う。
 もっともその蒲団は望ちゃんの物だから、構わないと言えば構わないのだけれど。
「課題は…出来はともかく終わったのだし。いい加減わしも眠いのだ。こいつは借り物だからとっとと読んだ方が良いのだが、これがまた眠気を誘うモンでなぁ」
「なんて本?」
「宝貝原理学序章。つーか、太乙のメカ礼賛本?」
 ああ……なるほど。望ちゃんとしては興味がない事もないんだろうけれど、それはきっと眠くなるよね。
「まぁ、明日までには読み終わろうよ。しかし今は……。せっかくおぬしが蒲団を干しておいてくれたのだから、このフカフカを味わっておかねば、な」
 そう言って大きくあくびをして、手に持っていた本をパタンと閉じた。横に置いて、ちょっとのびをして、蒲団の上で丸くなる。
 猫みたいだな、と思った。思わずその幸せそうな寝顔を撫でたくなって、実際に手も伸ばしかけて、慌ててやめる。何してるんだろう、僕。
 眠る望ちゃんの横にはもう一組のフカフカの蒲団。望ちゃんの真似をしてその上で丸くなってみる。あったかい。気持ちいい。ほんの少しほこりっぽいような太陽の匂い。目を閉じれば望ちゃんの寝息。

 こういうのが幸せって言うのかな。
 ゆっくりと意識を攫ってゆく睡魔に身をゆだねながら、そう思った。





◆久方ぶりの普&太。修業時代中盤かな、と思います。これまた元は日記?のこの絵です。

06/5/27 (Sat.) 23:07:33


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