重症急性呼吸器症候群(SARS)とは
2002年11月から2003年2月までに、中国広東省で305名の肺炎患者が発生し、うち5名が死亡した。
2月には香港での感染が急速に拡大し、死亡者もでた。3月15日、WHOは「重症急性呼吸器症候群」(Severe Acute Respiratory
Syndrome、SARS)と命名、2003年7月5日、8カ月弱の経過で終息宣言が出された。この間の累積死者数745人、可能性例を含む感染者数8240人。死亡率9.04%。致死率は、高齢者で50%を超える一方、回復例も多い。(「東京都感染症情報センターHP」より抜粋引用)
問題はこの冬の流行
昨冬のSARS流行は、偶然にも新型インフルエンザへの国際的な備えがあったので、何とか切り抜けられました。さて、とりあえず終息宣言されたSARSですが、この冬の第二ラウンドはもっと大きな波がやってくる可能性が懸念されています。坂口厚労相も「10℃を切ると警戒必要」とSARS対策で宣言しています(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031010-00000092-kyodo-soci)。確かにコロナウイルスは、夏は野生動物などを宿主として潜んでいますが、呼吸器疾患にかかる人が増える冬に活動が活発化するとされています。インフルエンザとの鑑別が非常に困難であるため、冬には大きな混乱が予想されているわけです。
そこで私たち一般庶民としては、単にSARS感染を予防するだけでなく、BSEの際のような無用な混乱を起こさないためにも、正しいSARSの知識と予防法を知ることが必要です。予想される日本政府の対応と日本国民性を併せて考えると、今冬も相当なパニックと、不要な犠牲者の続出が推察できます。
先ずは第一ラウンドで明らかになったSARSの特徴をあげてみましょう:
1.伝播様式:インフルエンザのような空気感染も否定はできないが、それほど伝播力が強くないので、中心は飛沫感染と考えられる。また、コロナウイルスは痰ばかりでなく、便、尿にも排泄されるため患者と濃厚な接触を強いられる医療従事者に感染率が高い点が特徴である。
2.潜伏期間:平均潜伏期間は平均6.4日、長いと10日に及ぶことがある。発熱もなく自覚症状もない状態であちこち移動できるため、多くの人と接触して感染を拡げる可能性が問題である。
3.軽症例も多い:また発症しても単なる風邪の症状で終わる軽症例も多いため、そういう軽症例から高齢者などのハイリスクグループに感染し、その中からsuper spreaderと呼ばれる、周囲への感染リスクの高い人が出てくることになる。それに比べると、エボラのように病気なったらとても旅行などできる状態でなければ、感染がその地域だけに留まる。
4.有効なワクチンが簡単に作れない:コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同様、頻繁に変異を起こすと考えられているため、有効なワクチンの製造が期待できない。
5.早期診断が困難:RT-PCRなどによる診断も精度が期待できないので、現時点で有効な早期診断はできない。
6.まだ有効な治療薬、治療法が見つかっていない。
以上の情報を元に、個人にできる予防法を考えると:
1.中国や台湾では公共の場でのマスク着用が義務付けられたが、飛沫感染するウイルスの感染予防で最も重要なのは手洗いである。
飛沫感染の特徴は、感染者の唾液などが付着した場所に触り、その手で食事をしたり、無意識に手で目をこすったり鼻をほじったりして、粘膜にウイルスを刷り込んでうつる「間接接触感染」の危険性がもっとも高いことである。空気感染と異なり、飛沫感染の場合、マスク着用よりも手洗いが最も予防効果が高い。手洗いは石鹸や消毒薬を使うよりも流水が一番効果的である。それに加えて、やたらと目をこすったり鼻をほじったりしないことが大切。
飛沫感染の場合には、市販のマスクの予防効果は疑問が多い。むしろ口に手をやる動作がかえって増え、感染のリスクを高めることになりかねない。市販マスクの場合、感染予防というよりも、感染者によるウイルスの飛散を防止する効果の方が高そう。
2.もうひとつは、風邪やインフルエンザに罹らないことである。インフルエンザで体力を消耗した状態はSARSに感染しやすく、かつ重症化する可能性も高い。できれば予防接種を受けておくことと、日頃から充分な睡眠と休息をとり、常に体力を蓄えておくこと。無用に人混みの中へ出歩かないこと。といっても東京圏へ通勤している人はどうしようもない...
3.あとは国や医療機関によるSARS対策が正常に機能するよう、一般国民が無用なパニックを起こさないことである。BSEの時のような、無知による馬鹿げた騒動(日本に於けるBSE患者発生はゼロなのに、数名の医療、酪農関係者が自殺した)を繰り返すことのないよう、国は常に正しい知識を国民にプロパガンダし、国民は正しい判断能力を身につけて、状況に応じた適切な対応をしなければならない。
私のような一個人がこのような場で警告を発しなければならない日本の状態は、実はとても悲しむべきことであろう。
いかに経済的、科学的に先進国と自惚れても、政府や国民の言葉の信頼性が失われている民族は、きわめて文明度が低いと言わざるをえないだろう。(-_-;)
呑気呆恬