
要約技法
事柄への応答
意義
悩み相談者の話の内容を、キーポイントをおさえて正確かつ簡潔に伝え返すことである。そうすることによって、悩み相談者の発言を聴き手が注目して聴き、その内容を理解していることを伝えるとともに、聴き手自身の理解をチェックしたり確認できたりする。聴き手のこの応答により、悩み相談者の考えを整理し具体化するのを助け、信頼関係の構築を助ける。
方法
話し手の趣旨や経験、行動、考え、価値観などを聴き手が受け取り、それをそのまま言葉で伝え返すこと。
留意事項
- 悩み相談者の話す内容の意味を聴き手が勝手に変えたり付け加えたりしな い。
- 悩み相談者の行動、考え方などを、聴き手が評価、否定などの含みがある 応答をするのではなく、全て悩み相談者の話すままを受容する。
- 機械的におうむ返しを繰り返すとしらけてしまうので、悩み相談者自身が本当に話したいことは何かという事に注意する。
例
悩み相談者1. ええ、、私、、この頃、仕事に全然集中出来ないのです、、それで、、会社のことなどを考えていると夜もなかなか寝付かれず、朝がまだ暗いうちに早く眼が覚めてしまうのです。
聴き手1. 会社のことなどを考えると夜が寝付かれず、朝も早くから眼が覚めてしまうのですね。
感情への応答
意義
感情への応答は、悩み相談者の感情的な表現(言語化されていたり、言語化されていなかったりする)を注意深く聴き取り、それを伝え返すことにより、話し手が経験している内的世界を聴き手が理解しているということを示す。感情への応答によって、悩み相談者は「聴き手に自分の気持ちがわかってもらえた」という安心感をもつことができるのと同時に、悩み相談者が自分自身の感情に気付くのを助けることができる。
方法
- 悩み相談者が言葉で表現している感情を注意して聴く。そして話し手が明確には表現していない感情をも感じとるようにする。
- 悩み相談者の姿勢や表情、および話の伝え方(姿勢、声の調子、話す速度、その他の癖)などで表現していることも注意深く感じとる。
- 自分が悩み相談者の立場にいたら、どのように感じるであろうかということに気付いてみる。
- 悩み相談者が体験していると感じとった感情を、明確に簡潔に伝え返す。
留意事項
- 自分の気分や価値観から悩み相談者の感情を評価、否定することなく、話し手の感情をそのまま悩み相談者の感情として受容する。
- 悩み相談者の感情の質がどのようなものであろうと(肯定、否定、矛盾)悩み相談者の今、ここでの感情として素直に受け取る。
- 悩み相談者の複雑な、あるいは矛盾した感情もすべて受け取り、それらの間の結びつきをとらえて伝え返す。
- 悩み相談者の言葉を機械的に繰り返すことはしない。
例
悩み相談者1. そう、パートさんは長く働いているから、仕事ができるし、職場での影響力も大きくて、やりたい放題なのです。仕事の手順を勝手に変えて、勝手に処理してしまうし、それを、上司は見てみぬふり。信じられない!
聴き手1. 信じられないという思いから、かなり頭にきているのですね。
意味への応答
意義
意味への応答とは、悩み相談者の話の中の事柄と感情の結びつきを聴き手が理解し、それを話し手に伝え返すこと。悩み相談者が述べる事柄は、多くの場合、悩み相談者の感情が関係しており、お互いを結びつけることによって、悩み相談者の話の意味を明らかにすることができる。これを伝え返すことによって、深いところまで悩み相談者を理解することができる。
方法
- 事柄への応答をする場合に、必要な時には感情への応答と結びつける。
- 感情への応答をする際に、ただ感情の言葉を表現するだけではなく、その感情と関係する経験、状況、理由など事柄と関連づけて応答する。
- 悩み相談者の立場になってみて、その感情や話の内容を理解する。
留意事項
応答の言葉は長くなりすぎないように簡潔にまとめる。
例
悩み相談者1. キャリア開発のためには、単なる知識の吸収だけでなく当然のことながら物事の考え方や組織における振る舞い方の勉強も必要なのです。でも、そのことを何回言っても分かってくれないのでイライラします。
聴き手1. よかれと思ってアドバイスをしているのに受け止めてくれないので、イライラして腹が立っているのですね。
(日本産業カウンセラー養成講座テキストより)
気持ちを汲む
A)「話させる」「聞き出す」技術ではない
話したい事が自由に話せるラポールの形成B)指導、助言、論説、訓戒などを与えることではない
人生の選択は本人自身C)回答を与える事ではない
回答は本人が掘り出すものD)原因を探る事ではない
原因を克服できる自己成長の回復E)「ただ聞いてやる」事ではない
共感的に理解して聴く事は積極的な行動F)指示や支持を与える事ではない
自己支持、自己指示の能力への信頼