法月綸太郎について
このホームページはタイトルからもわかるとおり作家法月綸太郎氏に関することを基本としたページである。それにも関わらず法月氏に関する文章がないということに最近、気づいた。これでは法月氏を知らずに初めて来た方には何がなんだかさっぱりわからないだろう。
ただ僕のほうにも言い分はある。もともと本気でホームページを作る気がなかった。加えて法月氏の情報なら非常にすばらしいホームページがあり、そこともリンクを貼っている。だから詳しく知りたい人はそちらに行ってください、と言う思惑があったのだ。
しかしそれにしても不親切すぎる。そこで作家法月綸太郎の仕事と魅力、その他について、ごくごく簡単にではあるが、書いておこうと思う。
なお詳しいことが知りたい方はリンクから根子さんの『エヌ氏調査報告書〜法月綸太郎に関するエトセトラ〜』もしくは、みけさんの『またたび横町』に行かれることをお薦めします。どちらのページもものすごい情報量です。このお二人がいるかぎり、僕が法月氏の仕事関係をまとめることはありません(笑)。それほどすごいです。
法月綸太郎って誰?
法月氏は1964年、島根県松江市生まれ。京都大学法学部卒。在学中は京大推理小説研究会に所属。1988年、23歳の時に『密閉教室』でデビュー。
現在までの著作リスト
『密閉教室』(講談社ノベルス、講談社文庫)
『雪密室』(講談社ノベルズ、講談社文庫)
『誰彼』(講談社ノベルス、講談社文庫)
『頼子のために』(講談社ノベルス、講談社文庫)
『一の悲劇』(祥伝社ノン・ノベル、祥伝社ノン・ポシェット)
『ふたたび赤い悪夢』(講談社ノベルス、講談社文庫)
『法月綸太郎の冒険』(短編集、講談社ノベルス、講談社文庫)
『二の悲劇』(祥伝社ノン・ノベル、祥伝社ノン・ポシェット)
『パズル崩壊』(短編集、集英社、講談社ノベルス、集英社文庫)
『謎解きが終わったら』(評論集、講談社)
『法月綸太郎の新冒険』(短編集、講談社ノベルス)
というごく普通の紹介はここまでにしておこう。これで法月綸太郎氏を知らなかった人でも基本的なことはわかったと思う。
法月綸太郎攻略法!
では次に「法月さんの本を読もうと思うが何から読めばいい?」という疑問に独断と偏見で答えてみよう。
なんと言ってもデビュー作『密閉教室』から読み始めるのが一番。ただこの『密閉教室』法月氏の作品の中でも異色である。どのあたりが異色かというと、2作目以降は(『パズル崩壊』を除いて)シリーズ探偵法月綸太郎が活躍する。しかし『密閉教室』には彼は登場しない。かわりに探偵役は工藤順也という高校生である。ただ個人的には『密閉教室』が最高傑作だと思っている。異色作ではあるが、正統とでも言うべきか。とにかく評価しにくい作品である。とにかく読んでみてください。損はさせません。
ただ『雪密室』から読んでも問題はない。すでに書いたが、この作品からシリーズ探偵法月綸太郎が登場する。ただしこれ以降の作品は『パズル崩壊』以外にすべて探偵法月綸太郎が登場し、またそれぞれの話も密接に関係してくるので順番に読まれることをお勧めする。ただ僕は講談社のシリーズを先に読み、それから祥伝社のシリーズを読んだ。これは特に問題はない。しかし『頼子のために』『一の悲劇』『ふたたび赤い悪夢』は悲劇三部作とも言われている。現在、法月作品の再読をしているのだが、今回はこの順番に読んでみようと思う。いずれにせよ刊行順に読むのが一番望ましい。なお『パズル崩壊』はノンものを集めた短編集なので、いつ読んでも問題はない。また『謎解きが終わったら』は法月氏の評論を集めたものなのでこれもいつ読んでも問題はない。
法月綸太郎の魅力
さてここまで読んできて、「法月を読んでもいいけど、どんな感じ?」と思われた方がいるだろうか(いなくても話は進むのだが)。そこで次に作家法月綸太郎の魅力を書いてみよう。
職業作家は書くことが仕事だ。加えて「エンターテイメントは売れてこそだ」とある大御所推理作家がおっしゃっていた。
そこで法月氏だが、氏は自他共に認める寡作作家である。最新作『法月綸太郎の新冒険』が出たのは1999年5月。それ以来、約2年出ていない。「2年ぐらい、普通だ」という人がいるかもしれない。しかしこれはあくまでも『新作』の話。最後の長編『二の悲劇』が出たのが、祥伝社ノン・ノベルで1994年。祥伝社ノン・ポシェットで1997年。実に4年(ノベルスでいうなら7年!)は『新作長編』が出ていないことになる。しかもファンはただ四年の間、待たされているわけではない。僕の知る範囲でここ3年間、『生首に聞いてみろ』と言う新作長編をだすだすと言い続けている(この『生首』はやっと『カドカワミステリ』で連載される、らしい)。この言葉を信じて本屋に行くたびに『生首』を探した法月ファンは少なくないだろう。
それで法月氏の魅力だが、これがなかなか見あたらない。もちろん作品はおもしろい。ミステリ作家としての実力もすごいと思う。しかしそれはプロならあって当たり前のこと。ここで言う魅力とは「この人でしか読めない」というものである。全くないとは言わない。ただそれが作品に反映されていないというか何というか。ただしそこが法月氏の魅力というべきかもしれないが。
ただこれだけは確実に言える。それは法月氏はけっして本格ミステリというものから逃げない、ということだ。デビュー作は本格ミステリだったが、作品が売れるにつれてその作風が変わっていき、気がつけば「ミステリ?」てな作品を書く人もいる中、法月氏は愚直に本格だけを書き続けている(と僕は思う)。すでに書いたが「売れてこそのエンターテイメント」である。しかし「売れればなんでもいい」と言うことではない。念のために書いておくが、前記のような作家(売れると作風が変わる)が悪いといっているのではない。ただ僕個人としては好きではないと言うだけの話だ。
これから法月綸太郎という作家の作品を読もうと思う方、氏のファンとしてこれだけは言わせてください。
「惚れた相手が悪かったとあきらめるしかないです」と(笑)。
最後にひとつ。加虐的な方、つまりサディスティックな性格の方や待つことが嫌いな方は法月作品を読まれないほうがいいです。