バリアフリーという言葉を日本語で言い換えると、障壁なしというそうです(国立国語研究所)。ノーマライゼーションという言葉は、日本語で言い換えにくいそうです。それは直訳してしまえば、本来の意味が伝わらないからだと思います。ノーマル(正常・普通)にするという意味でしょうが、何をかというと社会をなのですが、それが説明しにくいところです。ということで、私なりの解釈で書き進めて行きます。お気づきの点はご教示ください。
私がノーマライゼーションということに興味を持ったのは、福祉住環境コーディネーターという検定試験の勉強をした時からでした。福祉住環境コーディネーターというのは、東京商工会議所が実施している簿記と同じような検定試験です。年をとっても障害を持ったとしても、住み慣れた家、住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けたい、それに対応できるような住環境を整備するにはどうしたらよいのか、という課題に取り組むものです。少子高齢化が進むなか介護保険制度が導入されましたが、人間としての尊厳を重視した自立支援の在宅介護ということで、この考え方の中にもノーマライゼーションは生きています。
成年後見制度という言葉を聞いたか見たことがあります?ここにもノーマライゼーションの理念は生きているのです。新しい成年後見制度が2000年4月からスタートしましたが、これまでの民法では禁治産および準禁治産の制度がありましたが、問題点もありました。対象者がある程度重い精神上の障害のある方のみに限定され、保護の内容も画一的・硬直的だと言われていましたし、禁治産・準禁治産の宣告を受けると戸籍に記載されるため、制度の利用には抵抗を感じるものがありました。新しい成年後見制度では、「後見」「保佐」「補助」の法定後見制度と任意後見制度があります。「補助」の制度は、軽度の精神上の障害により、判断能力が不十分な方のために新設された制度で、本人の意思を尊重しながら、柔軟に対応できるように、本人の同意の下で特定の契約などの法律行為について「補助人」の支援を受けられます。また、任意後見制度というのは、判断能力がはっきりしているうちに、自分らしい老後のために本人が自分で、将来判断能力が衰えたときに備えて、予め自分を後見してくれる人(任意後見受任者)を決めておく仕組みです。障害を持ったとしても高齢になっても、その人の人格の尊厳は守られるべきだし、自己決定権を尊重し残存能力を活用し、地域や家庭で通常の生活ができる社会であるべきだというノーマライゼーションの理念によっても支えられています。
未成年者は父母の親権に服しますし(民法818条)、親権者は財産管理権と代理権を持っています(民法824条)。子供が未成年のうちに、親権者である父も母も死亡したときは、後見人が代わって養育にあたるとともに、法定代理人として後見を行います。これが未成年の後見です。成人であっても判断能力の不十分な人を後見する制度が成年後見制度です。今回の新しい成年後見制度は、「妻には行為能力がない」という規定が削除された50数年前の改正に次ぐ大きな見直しです。
ノーマライゼーションの理念は共に生きる社会、競争でなく共生の社会、より人間を尊重しあう強い世の中を築くための考え方だと、私は思っています。 |