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仲間たちの声

 
 ノーマライゼーションの父・バンク-ミケルセン、ノーマライゼーション育ての父・二ィリエを紹介してきましたが、思想の提唱者、原理の体系化にとどまらず、成文化していったことが、凄いことですね。デンマークにおいては、1959年に「知的障害者及びその他の発達障害者の福祉に関する法律」としてノーマライゼーションの言葉・理念が成文化されました。スウェーデンにおいては、1967年に「知的障害者援護法」が制定され、ノーマライゼーションの理念が組み込まれました。運動の中から制定されていった、と言うのが権利としての法律としてすばらしいですね。援護法の歴史的意義は、『全員就学を制度的に確立した点(「場の統合」を中心とした教育の場における統合もあわせて検討されるようになった)であり、居住環境の質的改善(グループホームの試行・小グループ制・個人処遇プログラムなど入所施設中心の処遇の見直し)、「保護」から「援護」へという知的障害者福祉の新しい概念を提示した』点にあると言われています。ノーマライゼーションと言う理念は脱施設化というだけでなく、人権思想として発展していきました。

 国際連合においては、1948年に世界人権宣言が採択され、1959年に児童権利宣言が採択されました。児童権利宣言では、児童の社会保障享受の原則、障害児が必要とする治療、教育、保護提供の原則を明らかにしました。

 1971年には、「知的障害者の権利宣言」が採択されました。人権思想の系譜と言うより、この中にはノーマライゼーションの思想が反映されています。

「可能な場合はいつでも、知的障害者はその家族又は里親と同居し、各種の社会生活に参加すべきである。知的障害者が同居する家族は扶助を受けるべきである。施設における処遇が必要とされる場合は、できるだけ通常の生活に近い環境においてこれを行なうべきである。」「知的障害者は、適当な医学的管理及び物理療法並びにその能力と最大限の可能性を発揮せしめ得るような教育、訓練、リハビリテーション及び指導を受ける権利を有する。」「知的障害者は経済的保障および相当な生活水準を享有する権利を有する。また、生産的仕事を遂行し、又は自己の能力が許す最大限の範囲においてその他の有意義な職業に就く権利を有する。」

「自己の個人的福祉及び利益を保護するために必要とされる場合は、知的障害者は資格を有する後見人を与えられる権利を有する。」

「知的障害者は、搾取、乱用及び虐待から保護される権利を有する。犯罪行為のため訴追される場合は、知的障害者は正当な司法手続に対する権利を有する。ただし、その心神上の責任能力は十分認識されなければならない。」

「重障害のため、知的障害者がそのすべての権利を有意義に行使し得ない場合、又はこれらの権利の若干又は全部を制限又は排除することが必要とされる場合は、その権利の制限又は排除のために援助された手続はあらゆる形態の乱用防止のための適当な法的保障措置を含まなければならない。この手続は資格を有する専門家による知的障害者の社会的能力についての評価に基づくものであり、かつ、定期的な再検討及び上級機関に対する不服申立の権利に従うべきものでなければならない。」

 自己決定と社会参加といっても、社会も変わらなければならないでしょうし、参加するにも援護・支援も必要となるでしょうね。

 1975年には、「障害者の権利宣言」が議決されました。

「障害者は、その人間としての尊厳が尊重される生まれながらの権利を有している。障害者は、その障害の原因、特質及び程度にかかわらず、同年齢の市民と同等の基本的権利を有する。このことは、まず第一に、可能な限り通常のかつ十分満たされた相当の生活を送ることができる権利を意味する。」

「障害者は、他の人々と同等の市民権及び政治的権利を有する。知的障害者の権利宣言の第7条は、知的障害者のこのような諸権利のいかなる制限又は排除にも適用される。」

「障害者は、可能な限り自立させるよう構成された施策を受ける資格がある。」

「障害者は、補装具を含む医学的、心理学的及び機能的治療、並びに医学的・社会的リハビリテーション、教育、職業教育、訓練リハビリテーション、介助、カウンセリング、職業あっ旋及びその他障害者の能力と技能を最大限に開発でき、社会統合又は再統合する過程を促進するようなサービスを受ける権利を有する。」

 社会的リハビリテーションと言うように、リハビリテーションの言葉が出ていますが、1972年の第12回世界リハビリテーション会議で、医学的リハビリテーションに加えて教育的・社会的・心理的・職業的分野とも総合的に体系化することが明示されました。「総合リハビリテーション」として、単なる機能回復に限らず障害者の全人的復権と考えられています。個人の身体機能の維持回復や人間的発達を阻む要素が社会の側にあれば、そのような社会自体をも変革することも広く社会的リハビリテーションとして考えられてきています。変わらなければならないのは社会なんですね。

 また、国際連合は、国際障害者年(1981年)のテーマである「完全参加と平等」の趣旨をより具体的化するため、1982年「障害者に関する世界行動計画」を採択するとともに、この計画の実施を推進するため、1983年から1992年までの10年間を「国際・障害者の十年」と宣言し、各国において行動計画を策定し、障害者の福祉を増進するよう提唱しました。そして「アジア太平洋障害者の10年・二次」に引き継がれました。「障害者の権利及び尊厳を促進・保護するための包括的・総合的な国際条約」制定への動きもあります。

「国際障害者年行動計画」には、「ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである。障害者は、その社会の他の異なったニーズを持つ特別な集団と考えられるべきではなく、その通常の人間的なニーズを満たすのに特別の困難を持つ普通の市民と考えられるべきなのである。」とあります。1970年代以降のアメリカでの自立生活運動ともあいまって、地域での生活、社会参加が言われますが、自己決定・社会参加であるなら、政策形成過程にも参加し、意見が反映されるシステムを持った社会でなければならないのではないでしょうか。自由な行動・アクセス、コミュニケーションの手段も確保されなければならないでしょう。

 1991年、第46回国連総会において採択された「高齢者のための国連原則」を促進し、これを政策及び実際の計画・活動において具体化するため、1999年を国際高齢者年とする決議が採択されました。この原則は、高齢者の「自立」、「参加」、「ケア」、「自己実現」、「尊厳」を実現することを目指しています。テーマは「すべての世代のための社会をめざして」です。高齢の障害者もおられるわけですから、福祉の思想としてのノーマライゼーションと言うのは、等生化、共生のための社会の原理なのですね。

 1993年に国連総会で採択された「障害者の機会均等化に関する標準規則」には、障害児の教育は原則として 統合教育であると宣言しています。「社会のあらゆる側面における障害を持つ人々の積極的かつ完全なインクルージョンと、国連の主導的役割」という決議もされました。1994年6月に、スペインのサラマンカでユネスコによる「スペシャルニーズ教育に関する世界会議」が開催されました。「サラマンカ宣言」には、「インクルーシヴな志向をもつ通常の学校こそが、差別的な態度と闘い、全ての人を喜んで受け入れる地域社会を創り、インクルーシヴな社会を建設し、万人のための教育を達成するもっとも効果的な手段である」と明言されています。統合教育(インテグレーション)は、二元論的発想で子どもを障害のある子どもとない子どもというグループに分け、障害のある子を、ない子のメインストリームに合流させようとする考え方であり、インクルージョンは、子どもは一人一人皆個性を持ったユニークな存在であり、各自異なっていることが当たり前であり、すばらしいことなのだという基本理念に立って、すべての子どもを包みこむ(inclusive)教育システム(一元論)の中で、特別な教育的ニーズに対応していこうとするものです。インクルージョンの概念では、障害児(者)だけでなく、学習障害児(LD)、不登校児、学習の遅れがある子、また逆に英才児なども含まれる事が、これまでの考え方と大きく異なる点です。特別・個別のニーズに対応する教育、差異・個性を包み込む教育があるだけで、障害児教育というのもふさわしくないかもしれませんね。特殊というのも特別のニーズに見合ったということですよね。インクルーシヴな地域社会、包み込む社会、排除しない社会、共に地域で生きる、共生社会での自立。等生化ですね。