2012年 |
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コンプライアンス 服従の心理 Compliance
監督:クレイグ・ゾベル
不快、不快、ハネケの「ファニーゲーム」を観た時のように不快。 でも本作品は残酷描写が観るに耐えられないとかではなく、え?なんでそんなことするの、それは違うだろ、とイライラさせられ、それがどんどんエスカレートして、徹底的に不快な気分にさせられるのだ。 サンフランシスコの試写で劇場を出て行く観客が多数に上ったという。 私は夫とDVDで観てたんだけど、夫はかなり最初の方でどこかに行ってしまった。 鑑賞した人のほとんどが、登場人物の行動を「信じられない!」とか、「バカだ」との感想だったそうだけど、うちの夫も同じことを言ってた。
あるファストフードの忙しい金曜日の夜、警察から電話がかかってくる。 その店の従業員が客の現金を盗んだと言うのだ。 今忙しくて、そちらに出向くにはちょっと時間がかかるから、代理で取調べをして欲しいと、マネージャーのサンドラは電話口で言われる。 十代でブロンドという描写から、犯人はベッキーだとされる。 ベッキーは店の奥の控え室に呼ばれ取調べを受けるのだが、電話口の警官は容疑者の衣服を脱がせて現金を隠してないか調べろ、下着も取れ、などと命令する。 サンドラは戸惑ったが、この忙しい中、早く事を済ましたいという思いもあり、ベッキーを裸にして調べる。 そしたらその警官はベッキーの服を全部袋に入れて、サンドラの車のシートに置いて、ロックなするな、車種はなんだ? 後で徴収に行く、などと言う。 この時点で電話の向こうは警官なんかじゃなく、ただの変態野郎だって気づいてもいいはずなんだけど、サンドラは言われた通りのことをやっちゃうの。そのあとサンドラは店が忙しくて、自分のフィアンセにベッキーを任せちゃって、どんどん取り調べはエスカレートして行く。
そう、これはただのイタズラ電話。 実際にマクドナルドで起こった事件が基になってます。 アメリカの各地で約60件のマクドナルドがこの被害にあったそうだ。 取調べが高じて、レイプまでされたという被害者も出ている。
人間は権威のある者から、他人を処罰せよと命令されると、たとえそれが人道的でないと解っていても、素直に執行してしまう性質を持つと証明されている。 有名なミルグラム実験です。 監督は、この警察と名乗って変態行為を命令するイタズラ電話事件がミルグラム実験で暴かれた人間の心理を象徴してると強く感じ、本作品を撮ったという。
誰もがサンドラの行為を、浅はかだ、ありえない、と非難するけど、人間はみんな権威者に従ってしまう可能性はあるのよ。 そう考えるととっても怖い。 とってもイヤ〜な気持ちになる映画なんだけど、それだけ気持ちを動揺させられるということは、やっぱり凄い映画です。(2013.1.30)
ペーパーボーイ 真夏の引力 the Paperboy
監督:リー・ダニエルズ
60年代終り頃のフロリダ湿地地帯の田舎町。 ある夜警官が何者かに惨殺される事件が起こった。 犯人に町全体が厄介とするならず者一家の次男ヒラリー(ジョン・キューザック)が上げられ逮捕される。 その田舎町出身で今はマイアミ新聞の記者であるワード(マシュー・マコノヘー)は、真犯人は他にいると見て取材をしに故郷に帰ってくる。
こんな感じで出だしはサスペンスミステリー風なんだけど、実は青年が年上の女に切ない片恋をする物語。 刑務所に入っていながらもヒラリーは、自分に興味を持ち文通を始めた女性シャーロット(ニコール・キッドマン)と婚約する。 そのシャーロットにワードの弟(ザック・エフロン)が淡い恋をする。
ピチピチ弾けそうなザック・エフロンが、初々しくってなんか凄いのよ! いっつもトランクス一丁か白ブリーフ一丁とかでウロウロしてるの。 別に白ブリーフ一丁である必要はないのに、という場面でもなぜか服を着ていない元ハイスクール・ミュージカルのエフロンくんは、同年代の女の子には見向きもせず超熟女のニコールにうっとり。 『あんたはいい子なんだから、私みたいなおばさんに構ってないで、かわいい女の子を見つけなさい。』なんてニコールに言われてしまい子犬みたいな顔をしてすねている。
そんなキュンとする恋物語なのに、同時にニコールのハードコアポルノ演技も見れるのよ、っていうか、そこがハイライトかも。 刑務所でヒラリーに面会に来たニコールは、ヒラリーに命令されて、みんなの前で自慰をするの。 ヒラリーはそれを見ながらズボンに精射しちゃうし、マコノヘーのナニは勃起しちゃうし、もんのすごくエロいよ。
本作品はニコールは体張っての演技が満載で、エフロンの体中に放尿するシーンも凄いです。 あ、これは変態プレイとかじゃなく、海月に刺されたときの応急処置はおしっこをかけるそうです。
そんなこんなで私はけっこう楽しんだ本作品なんだけど、なぜかアメリカでの評判がよろしくないの。 終盤に向かって、ユーモアが減少して残酷になっていくのが受けない理由のひとつらしい。 リー・ダニエルズの全作品は『プレシャス』で、いつもタブーぎりぎりの問題を掲げて、悲惨なことも滑稽に描く。 でも本作品はシャレにならなかったのかな。
私はエフロンの白ブリーフとニコールのハードコアポルノ演技だけでも満足です。 あとメイシー・グレーの家政婦役もいい味出してました。 でもひとつミスったのは、最低男役のジョン・キューザックです。 キューザックはどーみてもホワイトトラッシュじゃないよね。 彼は良いとこのお坊ちゃんのイメージが強過ぎちゃってね。 ニコールがあんなに汚れ役を頑張っているのに、キューザックは今一超えられなかったって感じでした。(2013.4.17)