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第十七話・幻魔京最終戦

 

西暦1598年(慶長3年)

8月17日

 

妖星降臨まで

あと・・・三刻(6時間)

 

天海

「妖星の瘴気で

 蘇ったか!?」

ロベルト

「外道へ落ちたな

 ローゼンクランツ

 コイツは

 俺が引き受ける」

お初

「ロベルト!」

ロベルト

「行け 蒼鬼

 妖星が降臨するまで

 もう猶予はない」

天海

「頼むぞ ロベルト」

ロベルト

「さらばだ

 親愛なる友よ

 そして

 最愛なる女よ・・・

 俺に力を・・・

 親友よ!!」

 

蒼鬼

「クローディアス!!」

天海

「ヤツもまた しかり・・・

 行くがいい

 時間はない」

お初

「天海さん・・・」

天海

「蒼鬼

 鬼の切り札よ・・・

 人間の未来

 オマエに託すぞ」

「あんたが・・・

 負けるわけないよな」

天海

「ああ

 任せておけ

 最初から最後まで

 まさしく腐れ縁だな

 クローディアス!

 信長より始まる

 幻魔一族との因縁

 ここで終わりにしてくれる!」

 

蒼鬼

「大丈夫か?

 こっちに伏見城への

抜け道があるはずだ」

「アオ兄ィ

 お初姉ェ

 オレ用事

 思い出しちゃった」

お初

「十兵衛ちゃん

 どうしたの?」

「いいから

 先に行ってくれよ

 アオ兄ィ

 オレのことなんて気にすんな」

蒼鬼

「十兵衛 オマエ・・・

 オマエもここで自分の旅に

 決着をつけるんだな」

「そう

 最後は自分の手でね

 いけよ

 アオ兄ィは人間を救う

 たった一人の鬼武者なんだろ?

 こんなトコで

 ぐずぐずしてる時間はないぜ」

蒼鬼

「約束しろ

 必ず俺達に追いつくってな」

「ああ

 約束するよ

 必ず追いつくから

 ・・・お初姉ェ

 アオ兄ィを頼んだ」

蒼鬼

「十兵衛・・・」

「やっぱ

 あの二人の間に

 入るなんて無理だよねぇ

 さて

 邪魔する者は

 いなくなった

 ・・・ケリをつけようぜ」

宗矩

「バレバレかよ」

「アレだけの手傷を負って

 何とも無いか

 幻魔蟲を食ったんだな」

宗矩

「ああ 腹いっぱいな」

「鬼の一族に生まれながら

 幻魔に落ちたか!」

宗矩

「茜ェ

 おれは今な

 とっても気分がいいんだ

 俺の中に流れる鬼の血と

 幻魔の血が共鳴し

 力がみなぎってくる

 なぁ 茜ヨォ

 鬼と幻魔ってのは

 案外近い存在なのかも

 しれないなぁ

 イー気分だ

 いいぜぇ

 幻魔は最高だぜぇ!」

「オマエを追って始めた旅だ

 オマエで終わりに

させてもらうぜ

爺ちゃん

みんな

オレに力を

柳生十兵衛茜

いざ!!」

 

蒼鬼

「お初!

 お初!」

お初

「蒼鬼 行って!」

蒼鬼

「お初・・・」

お初

「オフィーリアは

 私が一人で食い止める

 あなたは

 秀吉を討つのよ!

 蒼鬼!

 この道は

 みんながつないだ道よ

 十兵衛ちゃんが

 天海さんが

 ロベルトが

 命をかけてつないだの

 そして私も

 その道をつなぐ

 ひとりになる

 秀康

 迷ってる

 時間なんてないの

 あなたが行かなければ

 みんなの想いが

 無駄になるわ

 あなたは

 行かなければいけないの

 あなたは・・・

 人間の

 最後の希望だから

 大丈夫だよ・・・

 決めたんだもん

 私はあなたと

 一緒に生きるって

 だから・・・ 勝つわ!」

オフィーリア

「させぬ!!」

お初

「蒼鬼 行って!!

 あの人の

 邪魔はさせないわ」

オフィーリア

「この・・・馬鹿女めが!

お初

「オフィーリア・・・

 あまり

 甘く見ないことね・・・

 今の私は・・・

 強いわよ!!」

オフィーリア

「女ひとりでぇぇっぇ!!」

お初

「私達は勝つわ!」

 

妖星降臨まで

あと・・・四半刻(30分)

 

蒼鬼

「秀吉・・・」

秀吉

「・・・お主はワシの

 邪魔ばかりしおるの

 愚かよ

 まっこと愚か」

蒼鬼

「それが幻魔母樹か・・・

 この城の

 この地獄の元凶

 そいつを焼き払い

 貴様を斬る

 おれはそのために来た!」

秀吉

「魔空石を封印して

 ワシに勝てると踏んだか?

 残念じゃったのう

 ワシの無限の力は

 そんなことでは

 変わりはせんのよ

 コイツがある限りはのう!!

 刮目して見よ!!

 これこそ

 創造神の胎児じゃ!!」

蒼鬼

「創造神・・・!!」

秀吉

「間もなく

 妖星がこの胎児を

 覚醒させる

 ワシはそのとき

 神として

 生まれ変わるのじゃ!!

 まずは黒き鬼よ

 貴様が

 神の最初の

 生贄となるがいい!

 我こそは

 来るべき

 世界の神である!!」

蒼鬼

「終わらせてやる・・・

 秀吉

 貴様の欲望の連鎖

 ここで断ち切る!!」

 

オフィーリア

「お・・・おのれ

 このようなことに

 なろうとは・・・」

蒼鬼

「オフィーリア!!」

秀吉

「おお オフィーリア・・・

 オフィーリアよ・・・」

オフィーリア

「所詮は欲望に

 浮かされたサルよ!!

 時間稼ぎすら

 できぬとはな!!」

秀吉

「何を申しておるのじゃ・・・

 お主らは

 ワシを世界の王にすると

 申したではないか!」

オフィーリア

「世界の王だと?

 戯言を抜かすでない

 人間なぞ元より

 道具としか思っておらぬわ」

秀吉

「そのような・・・

 淀すら

 贄に差し出したというのに・・・」

オフィーリア

「知ったことか

 そんなことより

 その胸の

 胎児をよこせ!!

 それさえあれば

 我らの宿願は叶う!!

 おお

 神々しやわれらが神よ!

 な・・・なんとぉ

 なんとぉ

 淀め

 まだ意識が

 残っておるのか?」

秀吉

「淀・・・

 おお 淀よ・・・

 すまなんだ・・・

 淀・・・

 ワシは・・・

 ワシは・・・ おぬしを・・・」

蒼鬼

「あれは・・・

 茶々か!」

秀吉

「淀よぉ・・・」

淀君

「ヒトツニ・・・」

蒼鬼

「やめろ! よすんだぁ!

 茶々ぁ!」

「約束通り追いついたぜ

 アオ兄ィ」

蒼鬼

「オマエ・・・

 天海!

 お初!

 ロベルト!」

ロベルト

「いよいよ醍醐の花見も

 フィナーレだ」

天海

「幻魔母樹を焼き払い・・・」

お初

「茶々姉さまを救い出す!」

「そして

 この戦いを終わらせる!」

天海

「できるな?」

蒼鬼

「俺を誰だと思ってんだ?

 俺は最強最悪の

 鬼武者だぜ!!」

 

天海

「浄化だ!! 蒼鬼っ!!」

「終わったのか?」

蒼鬼

「・・・ああ」

お初

「茶々姉さま

 しっかりして・・・

 茶々姉さま・・・」

淀君

「お初・・・?」

お初

「茶々姉さま・・・」

淀君

「秀吉様・・・?

 秀吉様・・・」

秀吉

「信長様が

 亡くなられてから・・・

 長い

 長い夢を

 見ておったようじゃ

 秀康よ

 良くぞ我が過ち

 正してくれた

 ・・・ワシは

 国や・・・

 民や・・・

 人のなんたるか・・・

 結局知らなんだ

 しょせんワシは

 神どころか

 信長様にすら

 遠く及びはしなかった

 幻魔の手の内で踊る

 道具でしかなかったのじゃ・・・

 欲に溺れた

 愚かな男よ・・・

 ・・・露と落ち

 露と消えにし

 我が身かな

 難波のことも

 夢のまた夢

 所詮我が身は

 地面に当たれば

 弾けて消える露

 所詮我が身は

 夢を超えられぬ

 夢想であった・・・」

蒼鬼

「・・・親父」

秀吉

「父と呼んでくれるか・・・

 秀康・・・

 最後にどうか・・・

 秀頼のことを

 弟のことを

 頼む・・・」

天海

「すべては終わったな・・・

 これは・・・!?」

蒼鬼

「行こう!!」

「宗矩!!

 アイツ

 まだ生きてやがったのかよ!」

蒼鬼

「しつこいにも

 程があるぜ」

宗矩

「うるせぇ!

 妖星は降臨した!!

 時は満ちたのだぁぁぁぁぁ!!」

お初

「創造神の胎児!!」

宗矩

「ついに

 俺が

 天下人となるのだ!!

 もう止められねぇぞーーー!!」

蒼鬼

「くっそがぁっ!!」

 

天海

「フォーティンブラス!!」

蒼鬼

「フォーティンブラス!?

 あれが

 創造神なのか!?」

「どうすんだよ!!

 あんなの

 勝てっこないぞ!!」

天海

「・・・手はある

 かつての

 幻魔王を封印せし

 この鬼の篭手を

 つかうのだ

時間がない!!

すぐにフォーティンブラスは

活動を開始するぞ!!」

蒼鬼

「どうすればいい?」

天海

「みなの力を

 この篭手に・・・

 幻魔王封印せし

 篭手の力が

 黒き鬼に流れ込む・・・

 その力

 まこと計り知れぬ

 ゆえに

 勝てるやもしれん

 蒼鬼よ

 黒き鬼の力・・・

 いや破壊神

 その極限の力

 見事制してみせよ

 その淀みなき

 蒼き心の力で!

 受け取れ

 仲間たちの思いを!」

「頼んだぜ

 アオ兄ィ」

お初

「私はあなたと生きる・・・」

ロベルト

「俺は

 オマエと共にある

 いつでもな」

天海

「立ち塞がるものが

 神ならば

 神をも斬り裂く

 鬼となれ!!

 未来を託すぞ!!

 灰燼の蒼鬼!!」

 

蒼鬼

「・・・終わったぜ」

「オレ達

 勝ったんだな!」

お初

「そう

 私達は勝ったのよ」

ロベルト

「信じられんが

 どうやらそのようだな」

天海

「全て

 終わったのだな」

「なんだ・・・?」

蒼鬼

「どういうことだよ・・・」

宗矩

「天下人は・・・

 この俺だ・・・!!

 死ねぇ!

 フォーティンブラス!!」

白い紳士

「愚劣な」

天海

「貴様が・・・

 フォーティンブラス・・・!?」

白い紳士

「ええ・・・

 私が

 フォーティンブラスです

 私と戦えるなどと・・・

 思わないことです・・・

 鬼の力ごときで!」

天海

「コレが創造神

 神の力か・・・」

ロベルト

「くそったれ・・・

 ケタ違い・・・だ・・・」

「くそ・・・ぉ・・・」

白い紳士

「あなたたちが

 できることはたった一つ・・・

 全てを諦めること

 勝利を

 明日を

 そして命すらも

 しかし

 唯一つ

 生を得る方法があります

 それは

 全能の創造神たる

 我が名を呼び

 ひれ伏すこと・・・

 さあ

 破壊神の寵児

 黒き鬼よ

 いまこそ白き龍の下に

 ひれ伏しなさい!!」

蒼鬼

「オマエの名か?

 ああ いいぜ

 呼んでやる

 オマエの名はな・・・

 ただの・・・

 ただの“悪党”さ!!!!

 神でもなんでもねぇ

 ちぃせぇ小悪党だ!

 そんなヤツに下げる頭

 ここにはねぇな!!」

お初

「秀康」

「ないよなぁ・・・」

天海

「たしかに・・・」

白い紳士

「くだらない意地です・・・

 何の意地ですか?

 鬼か?

 侍か?」

蒼鬼

「・・・人間だからさ!」

白い紳士

「愚劣な・・・

 すでに篭手の力もなく

 振るう刀もなく

 ましてや立ち上がることすら

 ままできない

 そんなあなたが・・・

 いかに私と・・・

 神と戦うというのです?」

蒼鬼

「立ち上がれるさ・・・」

白い紳士

「武器も無いのに・・・

 強がりを・・・」

蒼鬼

「武器もあるぜ・・・」

白い紳士

「ほう・・・」

蒼鬼

「本当の武器がな・・・」

白い紳士

「わかりませんね

 ・・・が

 いいでしょう!

 時は既に満ちている・・・!!」

 

白い紳士

「いったい

 何だというのだ・・・

 その力は・・・

 強さは・・・

 オマエがいう

 本当の武器とは・・・」

蒼鬼

「悪党にはわかるまい・・・

 俺たち人間の・・・

 最後の・・・

 そしてたった一つの武器・・・

 絆ってヤツだっ!!」

白い紳士

「おのれ・・・

 たわごとを!!

 馬鹿な!!

 まさか

 黒き鬼ごときに・・・

 人間ごときにぃ!!」

「終わったんだな

 アオ兄ィ・・・」

蒼鬼

「ああ

 終わったぜ

 だけどまだ・・・

 後始末がさ・・・

 残ってんだ

 ・・・行かなきゃな」

「行くって・・・どこに?

 何する気だよ?

 もう アオ兄ィじゃなくても

 いいじゃないか!

 もう 終わったんだよ・・・

 運命とか 宿命とか・・・

 いつも

 独りで背負い込んで

 独りで苦しんで・・・」

蒼鬼

「いつも・・・

 オマエが・・・

 みんながいたさ」

「なんでだよ

 もう アオ兄ィは戦ったよ

 十分すぎるくらい戦ったよ!

 もう 誰かに任せちまえよ!

 なんで・・・

 なんでいつも

 アオ兄ィなんだよ!」

蒼鬼

「これが・・・俺の

 生き方だから・・・かな?」

「せめて

 お初姉ェに・・・

 お初姉ェ!

 アオ兄ィがいっちゃうよ

 起きてよ

 起きてよ!」

蒼鬼

「ここにも・・・

 春には綺麗な桜がさ・・・

 本物の桜が咲くかなぁ?」

「こんなときに

 何言ってんだよ!

 戻れ 行くな!

 お初姉ェが悲しむから!

 オレだって!

 オレだって!

 オマエがいないと悲しいじゃないか!

 寂しいじゃないか!

 アオ兄ィィィィィ!」

蒼鬼

「そうだ

 茜

 一つだけお願いがあるんだ

 桜をみたら・・・

 俺を思い出してくれないか・・・

 時々でいい・・・

 ただ

 それだけでいい・・・」

「なんだよ

 聞こえないよ!!

 何言ってんだよ

 ばかやろー!!」

お初

「秀康・・・?」

 

『・・・こうして

 オレたちの戦いは

 幕を閉じる

 あれから・・・

 どれだけの月日が

 流れただろう・・・

 お初姉ェ

 最初はずいぶん

 泣いてたけど

 ある日

 思い立ったように

 以前から縁組が

 決まっていた

 京極家へ正式に

 嫁いでいった

 大坂城にあって

 たったひとりで息子をまもる

 茶々姉さんを見て

 お初姉ェなりの

 新しい生き方を

 見つけたんだろう

 でも

 あの人の

 心の中には・・・

 きっと 今も・・・

 お初姉ェの

 結婚がきまると

 次はロベルトが

 祖国イスパニアへと

 旅立っていった

 幻魔に手を

 出した過ちを

 二度と

 繰り返させないためだ

 この事件の発端に

 自分の国が

 絡んでいたことに

 少なからず

 罪悪感を抱いて

 いたんだろう

 ロベルトは次の戦いを

 見つけ旅立った

 アイツなら

 きっと

 間違ったこというヤツは

 王様だってぶん殴っちゃう

 かもしれないな

 最後は天海だった

 比叡山で静かな暮らしに

 戻るのかと思っていたけど

 鬼の篭手を

 封印するとか言って

 旅立っていった

 でも

 こんどは

 阿倫ちゃんも

 絶対一緒に

 付いて行くって

 ずいぶん

 張り切ってたし

 なんか

 楽しそうだったな

 ・・・あと

 不思議なことが

 ひとつあって

 天海が二人きりになると

 阿倫ちゃんのことを

 阿児って

 呼んでんだよね

 阿倫ちゃんも

 天海じゃなくて

 別の名前で

 呼んでたな

 さ・・・さま・・・

 なんだっけ?

 忘れちゃった

 オレは

 柳生の庄には

 帰らずに

 また旅を始めた

 爺ちゃんには

 会いたかったけど

 あの男が

 生きてるって

 噂を聞いたんだ・・・

 あの男・・・

 そう

 柳生宗矩

 アイツはまだ

 どこかで生きている・・・

 でも

 今度の旅は

 ひとりじゃないんだ

 だから

 寂しくなんかない

 あれから

 どれだけの月日が

 流れただろう・・・

 ・・・オレの旅は

 ・・・まだ続いている』

 

エンディングテーマ「rainy day」

 

「よう アオ兄ィ

 あいかわらず

 元気そうじゃねえか・・・

 きれいだなぁ・・・

 なぁ この桜

 オマエが守ったんだぜ・・・

 泣くのはコレで最後だ・・・

 オマエが守ったこの桜

 オレが必ず守って見せるから

 じゃあな・・・ アオ兄ィ

 みのちゃん」

みの吉

「はいな!」

「行くよ」

 

西暦1600年(慶長5年)

3月

 

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