元亀三年
甲斐の武田信玄は
上洛を決意。
徳川領に軍をすすめた
徳川軍は
一言坂で迎え撃つも、
戦国最強を誇る
武田騎馬隊の前に
一蹴された
徳川家臣
「かくなる上は…
死して三河武士の誇り、守るまで!」
本多忠勝
「愚問!
生きよ
生きて殿を守れ
仲間を守れ
民を守れ
誇りは、その中でのみ守られる」
稲姫
「そのためには
傷つくことすら許されぬのですね、父上」
本多忠勝
「戦果てし後を見据えれば自明の理
戦に荒れた大地をよみがえらせねばならぬ」
稲姫
「はい、父上!」
本多忠勝
「稲、戦場を広く見よ
さすれば何人も傷つけること、あたわず!」
島左近
「やってくれますねえ」
稲姫
「武士の情け、かたじけなく存じます!」
島左近
「家康に過ぎたるものが、ふたつあり…か」
戦国最強の騎馬軍団を率いる
武田信玄は、
満を持して上洛を開始した。
その通り道である
三河の大名・徳川家康は、
信玄の軍略を警戒し、
籠城策を取る。
だが、信玄は家康を無視し、
三方ヶ原へと抜けた。
怒った家康は家臣の諫めも聞かずに
武田軍を追いかける。
その行軍の中に、
若き姫武者の姿があった。
猛将・本多忠勝の娘・稲姫である。
この戦は、
父と同じく戦場に生きると決めた
彼女の初の大戦であった。
「父の背中を追って、もののふとして、戦場に立つ!
第一話 三方ヶ原の戦い
稲、参ります!」