北条氏康
「成田のせがれか
デカくなったな」
甲斐姫
「娘です!
もう! 相変わらずですねお館様は
ま…
あたしより頼れる男がいないっていうのも事実ですけど
あたしだって!
はーっ
何かいいことないかなーっ」
北条氏康
「まだまだだな」
甲斐姫
「え?」
北条氏康
「小せえんだよ」
甲斐姫
「な…!」
北条氏康
「ま、せいぜいいい女になれ」
甲斐姫
「ひどっ!
負けない!」
北条氏康の家臣・成田氏長には、
美しい姫君がいた。
名を甲斐姫という。
甲斐姫は、
普通の暮らしを願いつつも
並みの男など相手にならぬ
武勇を誇り、
戦となれば、
自ら戦陣に立って兵を率いた。
ある時、
関東制覇を狙う上杉謙信が
北条領に侵入、
氏康は武田信玄と手を結び、
謙信を迎え撃つべく
出陣を下知した。
甲斐姫も、
家族や家臣を守るために出陣。
一方、信玄より派遣された真田幸村、
そして幸村に仕えるくのいちも、
北条軍に加勢すべく
出陣の準備をしていた。
「ったく! なんなのあの子! 燃えてきたーっ!
第一話 利根川の戦い
ゼ〜ッタイ負けない!」
真田幸村
「そなたの働き、見事だった
甲斐殿も、素晴らしいご活躍でした」
くのいち
「ほーんと、スゴすぎる活躍だったよねー
同じ女とは思えない〜」
甲斐姫
「へー
あたしが幸村様に褒められたのがそんなに悔しいわけ?」
くのいち
「きゃーカンちがい〜!
自分がいっつも誰にも褒めてもらえないからって」
甲斐姫
「はあ!? 褒められてます〜!
いっつもあたしの実力で勝ててんのようちは!」
くのいち
「あーいるんだよね〜」
くのいち・甲斐姫
「ひどっ!」
北条氏康
「小せえんだよ、ド阿呆」
くのいち・甲斐姫
「だってこの娘が」
北条氏康
「今日で全部終わりか?
終わってねえだろう
先は長い、死ぬほどな
何度戦に勝ったところで、馬鹿騒ぎは続かねえ
この乱世の終わりまで
今からどこまで
お前らがそうやって阿呆みてえに
きゃーきゃー騒いでられっか
あの世に行っても見ててやる」