戦国一の美女を豪腕で決する戦いが、
賤ヶ岳の地で繰り広げられていた。
世に言う、賤ヶ岳の変である。
このすさまじき修羅の地に
ガラシャと雑賀孫市は足を踏み入れる。
殺気に怖じてしまっているガラシャに対し、
孫市は参戦を主張。
濃姫、お市、阿国、稲姫、千代…
艶美無双の美女たちを前に
孫市は何か企むことがある様子だった…。
「わあ…皆、美しい
その上、すごい殺気なのじゃ
外伝、賤ヶ岳の変乱入
新しき世界への扉、開くのじゃ」
雑賀孫市
「やってんね〜、天下一美女決定戦…別名賤ヶ岳の変」
ガラシャ
「孫、去ろう…さような戦場、わらわには恐れ多い」
雑賀孫市
「何自信ないこと言ってんだ、らしくねえ
よし、自信つけるため、一発天下一になってこい!
じゃ、聞くぜ? 濃姫にあってお前にないモンは何だ?」
ガラシャ
「妖艶さ、露出度、それに落ち着きかの」
雑賀孫市
「じゃ、お市にあってお前にないモンは何だ?」
ガラシャ
「高嶺の花っぽさ、可憐さ、それに落ち着きかの」
雑賀孫市
「不正解だ 確かにお前は落ち着きもないが…
お前に何よりないのは自信だ」
ガラシャ
「自信…」
雑賀孫市
「おう、女の美しさなんて8割がた自信だ!
だから敵倒して自信つけて、天下一になってこい!」
ガラシャ
「わらわは目が覚めた! 分かったぞ、孫!
孫…孫はなぜいっしょに来てくれぬのだ?」
雑賀孫市
「自信持てよ、お前ならひとりでイケる
あと、他にちょいと考えてることもあるんでな」
稲姫
「天下一の父を持つ私が、天下一なのは道理です!」
ガラシャ
「むむ…わらわの父上は天下で何番目なのかのう」
雑賀孫市
「光秀も髪のサラサラさなら天下一だ…自信を持て!」
ガラシャ
「むむ? なぜ、孫が稲姫を連れていくのじゃ?」
稲姫
「これは…罠!?」
雑賀孫市
「罠じゃないさ、これが多分何かの始まりになるんだ
とても甘く、心ときめかす、そんな何かの、ね」
濃姫
「戦いは一時休戦よ…やっかいな奴が現れたわ
雑賀孫市…あの女好きはこの場に放置できない
孫市をこの天下一美女決定戦から排除なさい!」
お市
「天下一を決すなどやはり詮無きこと…私は戻ります」
ガラシャ
「凛々しい…孫、わらわは千代を天下一に推すぞ!
むむ? なぜ、孫が千代を連れていくのじゃ?」
立花千代
「何をする気だ! 離せ! 離して…!」
雑賀孫市
「落ち着いて、お嬢さん、何も怖がることはない
俺たちの未来にあるのは心をとろかすものだけさ」
阿国
「ほな、行きますえ!
かいらしわぁ うちと一緒に出雲においやす」
ガラシャ
「なぜじゃ…おっとりしておるのに怖気を感じるぞ…」
阿国
「大丈夫、そんなん忘れさせたげますよって」
ガラシャ
「むむ? なぜ、孫が阿国を連れていくのじゃ?」
雑賀孫市
「阿国さん、許してくれ…二人になりたかったんだ
だが、本当に悪いのは俺を狂わせた君の美しさだぜ」
阿国
「ややわぁ、てんご言わはって」
雑賀孫市
「おい! 今お前がすべきは、天下一…そうだろよ?」
ガラシャ
「むむ、妖艶さ炸裂で、戦うにも目のやり場に困るぞ」
濃姫
「かわいいのね」
ガラシャ
「むむ? なぜ、孫がお濃様を連れていくのじゃ?」
雑賀孫市
「なんて美しい人なんだ… お怪我は?」
濃姫
「こんな所に閉じこめてどうしようというのかしら?」
雑賀孫市
「秘密さ…あとで大人に二人きりで秘密を愉しもう」
織田信長
「市、なぜ戻った? 天下一にあらずは無、ぞ?」
お市
「また煽る…本当に混乱がお好きなんだから…」
織田信長
「お蘭、任す…我ら兄妹が天下一たること、証明せよ」
森蘭丸
「え、私ですか?」
お市
「蘭丸が我ら兄妹の指揮を執るなら考えてもいいです」
森蘭丸
「え、お市様まで!?
それでは! 僭越ながら、蘭がお二方を先導します
お市様、信長様、いきます…三位一体の攻撃です!」
お市
「詮無きこと」
織田信長
「是非もなし」
森蘭丸
「しっかりついてきてください!」
お市
「光秀の娘ですか…天下一など詮無きことですよ」
ガラシャ
「落ち着き払っておる! わらわにはない落ち着きぞ」
雑賀孫市
「落ち着け、お市も昔は落ち着きがなかったと思え!」
ガラシャ
「むむ? なぜ、孫がお市様を連れていくのじゃ?」
雑賀孫市
「戦場に咲く貴女という花を摘んでしまいたい…
ただそれだけを伝えたくて…俺の恋心、許してくれ」
お市
「それだけではないのでしょう…仕方ありませんね」
ガラシャ
「孫、やったぞ! ついに天下一の美女となったぞ!」
雑賀孫市
「よかったな、俺も嬉しいぜ! えと、ひい、ふう…
5人相手か…体力持つかな? 準備してくっか!」
ガラシャ
「変じゃ…孫は何を企んでおる? まさか…
わらわは利用された? いや、ダチを疑うなど…!
わらわはどうすればよい…どうすればよいのじゃ?」
お市
「誰も答えはくれません…自分の中に答えがあるはず」
ガラシャ
「わらわは…孫のしていることがおかしいと思う!
だから、止める…それがダチとしての義務じゃ!
ここには阿国が囚われておるようじゃな」
阿国
「ここで舞うたら楽しやろな」
ガラシャ
「…囚われても、あまりこたえておらぬようじゃな
孫と阿国とは昔からの、その…知り合いであろ…?
もしや…わらわは二人に邪魔なことをしたかの」
阿国
「考えたら負け 恋も戦も勝ったモン勝ちどす
ほな、行きますえ!」
ガラシャ
「ここには千代が囚われておるようじゃな」
立花千代
「助けてくれて、その…ありがとう…」
ガラシャ
「千代、可愛いのう…!
ここには稲姫が囚われておるようじゃな」
稲姫
「さすが、お強いのですね…」
ガラシャ
「稲姫こそ…その武、わらわに貸してたもれ」
稲姫
「お任せください!」
ガラシャ
「ここにはお濃様が囚われておるようじゃな」
濃姫
「ねえ、ここから出してくださらなくて?
助けてくれて礼を言うわ」
ガラシャ
「お濃様は父の従姉妹…わらわのおば分、当然じゃ!」
濃姫
「おば…? まあいいわ」
ガラシャ
「ここにはお市様が囚われておるようじゃな」
お市
「自分で答えを出し、助けに来たのですね」
ガラシャ
「うむ! わらわは自分で正しいと思う道に従った!
お市様を助け出せたが…孫ががっかりせぬかのう…」
お市
「そんなことはありませんよ
自分の決断に自信をお持ちなさい」
ガラシャ
「はい!
皆、聞いてくれ…わらわは孫と戦おうと思う
無理強いはせぬ、ともに戦う者だけが残ってくれ」
濃姫
「お返しはさせてもらおうかしら…たっぷりとね」
お市
「力を、お貸ししましょう」
立花千代
「立花もともにあるぞ!」
稲姫
「稲、全身全霊で参ります!」
阿国
「うち、いわしますえ〜」
濃姫
「みんなその気みたいよ
さあ、色男さんの帰還を待ちましょう?」
雑賀孫市
「さあて、これだけ体力があれば、イケるだろ
可愛い子ちゃんたち、夢の世界へ飛び立とうぜ」
ガラシャ
「皆、孫に灸を据えるのを手伝ってくれ!
孫、なぜこんなことをしたのじゃ?」
雑賀孫市
「俺に勝ったら教えてやるさ!
ま、俺の目的のためにゃ簡単に負けてはやれんがね」
稲姫
「あなた、ちょっとそこに直りなさい!」
濃姫
「私を閉じこめるだなんて、いい度胸ね?」
立花千代
「討つ!」
阿国
「いわしまくりますえ〜!」
稲姫
「そのような行い、断じて許せません!
稲が全身全霊で成敗いたします!」
濃姫
「ねえ、美女に囲まれて嬉しい?」
稲姫
「討ちます!」
濃姫
「踏みつけてあげる…こうして欲しかったんでしょ」
阿国
「愉しわあ」
雑賀孫市
「俺なしでも十分イケるようだな、嬉しいぜ
自信にあふれたその姿…きれいだぜ、お嬢ちゃん」
ガラシャ
「孫? それではもしや目的というのは…?」
雑賀孫市
「お前に自信を持ってもらうこと…俺なしでな」
ガラシャ
「孫、すまぬ! そうとも知らず、皆で思いっきり…」
雑賀孫市
「大丈夫だ、俺的にはこういうのも…悪くない…」
稲姫
「……」