9月23日 晴れ

 宇都宮市から今市方面へ西進すると大谷石で有名な大谷を過ぎた辺りから稜線を凸凹させた山が見える。東北道を浦和から北上して来ると遠く霞む日光連山の前景にクッキリと浮かぶ山容を見ることが出来る。そして大谷PA辺りですぐ真近に見える奴が古賀志山(583m)である。
 登山口は幾通りあるのか知らないが今回はジャパンカップサイクルロードレースの舞台で有名な宇都宮森林公園赤川ダムに車を止め北登山口から登る事にした。北登山口からの登山は谷間コースとも呼ばれ、沢沿いの登山道だと言う。渓流師がヨチヨチぺんぎん登山隊として登るルートとして選んだのは妥当なところだろう。まずは我が棲む街、宇都宮市が眺められる近郊の古賀志山からスタートだ。

 森林公園駐車場から歩いて5分、芝山橋から沢筋の登山道に入る。入り口には古賀志山北登山口の看板と地図があった。細野ダム堰堤手前で木橋を渡り道は登山道らしくなって来た。砂利が撒かれて少し歩きずらい気がする。沢音を聞きながらの登山は疲れなくて良い。息子(ぺんぎん隊長)は相も変わらず「待ってぇ〜、疲れた!」の連発だ。歩き出して15分も経たないのに「疲れた!」は8回聞いた。
 余りにもうるさいので途中、沢が登山道を横切る地点でおにぎりを喰わせジュースを飲ませる。息子を座らせ私はカメラを構える。ファインダーの中の息子が何かに気を取られている。カメラを外しその方向に目を向けると一人のオジさんが登って来る。ああ、”登る”と言ってもまだこの地点は平坦な感じだんですけどね。道を空けるように脇に寄った我々に「こんにちは!」と声を掛けてくる。

 おお、これだ!思い出したぞ。登山者はすれ違いや追い越す際に必ず「こんにちは!」と言うのだった。見ず知らずの他人であっても必ず「こんにちは!」と言う。やけに友好的な世界だったことを思い出した。これは釣り師には無い世界だ。「おめぇ、何しに来た!」「釣れたんか?」みたいに露骨な視線。如何にも「逢いたくなかった!!」と言っている引きつった笑い顔。登山にはそれが無い。みんな仲間みたいな感覚が面白い。

 さて、話はおにぎり喰ってる息子の時間に戻そう。「こんにちは!」と挨拶された後の行動が面白い。恥ずかしがって挨拶も出来ない息子が行ってしまったオジさんを追うように歩き出した。私を置いてスタスタとと言った感じなのである。「佑〜!どした?待てよ〜!」と声を掛けるが振り向くだけで行ってしまう。まあ小学一年生がスタスタ行っても高が知れている。追い着いて並んで歩きながら「どした?」と聞いてみる。笑って私の顔を見ながら「二人きりじゃ怖い!」と言う。大爆笑だ。「よし、オジちゃんが見えるように頑張って歩け!」


 足音は聞こえるがオジちゃんは見えない。私からは木の間隠れに姿を追えるが息子には見えないらしい。精一杯のスピードで後を追う。水場に到着したがオジちゃんは通過した模様。息子は喉の渇きに負けて休憩。「早くしないとまた二人きりになっちゃうぞ!」と脅かすが「もういい!」とのんびり歩く方を選んだ様子。登山道も傾斜を増し富士見峠に到着。休憩しているオジちゃんに追い着き思わずニコリ。休憩している間に登山者が続々と到着してくる。何やら大グループの登山者らしい。いつまで座っているのも悪いので歩き出す事にする。道を逸れて富士見峠展望台らしき高台に回り道をしてみたが展望ゼロ。「どおりでみんな素通りで行く訳だ。」と判った時には既に遅かった。しばらく進むと鎖とロープの手すりが付いた階段状の急斜面。ほど良い汗をかいたところで展望岩へと向かう分岐に上がる。先程の失敗はしない様に丁度通りがかった登山者に展望が良いか尋ねる。「眺めは良いですよ、今日は筑波も見えますよ。」と教えてくれた。「じゃ、行こうぜ!」と息子の肩を叩き展望岩に向かう。到着した展望岩には7〜8人の登山者が眺めを楽しんでいた。
 

 私達も涼しい風を身体に受け止めながら周囲を眺める。北に日光男体山から鶏頂山、東に宇都宮市、南に筑波山、手前には車を駐車して来た赤川ダムが見下ろせる。息子に説明しながらカメラに収める。息子はゴルフ場に興味があるらしい。確かに山の上から眺めるゴルフ場は各コースが不思議な緑の楕円形をして綺麗に並んでいる。
 「疲れたから帰ろうよ。」と言う息子に「頂上は行かないのか?」と聞く。「もう歩くのいやだなぁ。」と答えが帰ってくる。古賀志山の山頂は展望がなく無骨な茶色のアンテナが立っているだけと聞く。「無理して行くことも無いか、じゃ、帰るか!」と頂上に未練の無いぺんぎん登山隊。登山道脇に咲く花を眺めながら下山。頂上で食べるつもりで買い込んだおにぎりも車に戻ってから食べた。だって9時に登って11時半には車に居たんだもん。(笑)