
2月15日 朝方は雨のち晴れ(低気圧接近)

栃木県鹿沼市大芦川沿いの古峰ケ原街道古関バス停近くに長安寺というお寺がある。参道の大谷石の階段が岩ヒバに覆われている珍しいお寺がひっそりと佇む。この長安寺手前右側に黄色い送電線巡視路標識がある。これが羽賀場山(774.5m)への登山口となる。上の写真に送電線鉄塔が二本見える。この鉄塔を巡るのが巡視路で二本目(上)の奥に見えるのが羽賀場山山頂だ。
アスファルトは朝方の雨で黒く染まり、時折動くフロントガラスのワイパー越しに北の空を見上げる。灰色の雲がせわしなく流れる。東の空では雲の切れ目から太陽が顔を出し始めている。
隊長を連れた登山は晴れているのが絶対条件である。「車を置く予定の古関バス停に到着するまでに雨が止まない場合は中止。」と決めて車を走らせている。目指す羽賀場山は山頂を灰色の雲が覆い、中腹から上部の山肌は夜半の雨が凍ったのか、はたまた雨ではなく雪だったのか、見える限り真っ白である。天気もさることながら登山道に雪があるかも・・・。
ちなみに写真は帰り際に撮った青空の下の羽賀場山である。
さて、車を駐車する頃には運良くか生憎かは知らないが雨は上がり青空になっていた。予定通りに登山決行である。黄色い標識を目印に登山道を進む。植林された杉林の中をジグザグに登っていく。結構急な登りに息も切れ切れになるがどうにか順調に標高を稼いでいる。隊長は至って元気。近頃は私より歩くのが早い、若さには勝てない。
ところが入山した時から予想外の出来事が二人を襲って来た。天気も回復して見上げる木の間から青空が見えているのだが、雨に濡れた杉の葉から雫がボタボタ落ちて来て登山道は雨降り状態。陽の当たる尾根筋に出るまでの15分間で二人ともびっしょりに濡れてしまった。
黄色い標識に従って尾根まで登りつめる。快適な尾根歩き始めると数分で鉄塔下に出る。登山口からおよそ20分位だ。杉・ヒノキの登山道はお世辞にも展望が良いとは言えないが、鉄塔下は周辺が切り開かれて東と西に展望が望める。
更に尾根を歩く。杉葉から落ちる雫に雪が混ざり始め登山道にも薄っすらと白いジュータンが敷かれる。暗い樹林帯から急に明るい陽だまりに飛び出して二番目の鉄塔下。ここまでは一つ目の鉄塔から約30分。
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二つ目の鉄塔を越えて更に尾根を進む。杭と板で土止メした作業道があるけれど尾根から外れる前に尾根へ登り返し忠実に尾根を進む。一見作業道の方が正規ルートに見えるがだんだん尾根から外れて下ってしまうので要注意。尾根を忠実に進むと右から大きな尾根がぶつかるところに出合う。ここを左に折れて山頂に向かう尾根筋へと入る。下山時にこの分岐を間違えない様に記憶しておくと良いだろう。今回は某歩こう会の案内木札が杉の幹に縛り付けられていた。
左に折れた尾根筋を歩いて行くと鞍部を越えて木の根に掴まるような急登が二箇所ほど出て来る。登りは木の根に掴まりながら登れるが帰路の下りには注意が必要だろう。ちなみにぺんぎん隊長は例の如くカラビナとお助けひもにて犬のお散歩作戦だった。
さて、山頂はもう少し。新雪に刻まれた足跡は鹿かウサギか?山の獣人以外では今日私達が一番乗りの様子だ。一つ二つと小ピークを越えるとひっそりとした山頂へ到着。小広い山頂の中央に三角点、周囲の展望は木の間越しと言う感じであまり良く無い。分岐から約20分。
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山頂で暖かいラーメンといなり寿司の昼食。予想はしていたが山頂付近は完全な銀世界。携帯コンロの火力も幾分弱い様だ。なかなか沸騰しないお湯に痺れを切らして即席ラーメンを打ち込む。漸く出来上がったラーメンを奪い合うようにすすり込む二人。休憩した身体はラーメンでも温め切れず、寒さに耐えかねて昼食もそこそこに帰り仕度となる。
往路を忠実に辿り下山。終始隊長を前に歩かせる。踏み跡を拾うのにも慣れルートファインディングも様になって来た。判らない時は周囲を見る様にアドバイス。木の枝、木の幹に赤いテープを探すのだと教える。登山道には雪で濡れた木の根が縦横に這っている。隊長が目の前で濡れた根に乗りツルっと滑ってコケた。「濡れた根に乗ると滑る。」と教えてやる。しかしその後も注意散漫で終には両足揃えて木の根に乗りズドンと転げて大泣きをした。泣いているところに可哀想ではあるが私は大声で怒鳴った。「お父さんの話を聞いていないからだ!木の根に乗って転んだのだから自分が悪いんだぞ!!(怒)」半べそを掻きながらも無言で歩き出す隊長。多分身を持って覚えたことだろう。
低気圧の通過に伴い強い風が吹き出した。登山道の杉林が揺れる。木と木がぶつかり合いカツ〜ンと乾いた音がする。キュキュキュと幹が苦しそうな鳴き声を上げる。隊長とふたり「木がおしゃべりしてるのかな?」などと言いながら下山して来た。
途中、長安寺の岩ヒバを見る為に立ち寄る。階段を埋め尽くす岩ヒバの光景は必見である。話の種に訪れてみることをお薦めする。
さて、今回の羽賀場山。低山ハイカーの中では「一等三角点を持ちながら地形図に名の無い山」として有名である。ガイドブックを見ると読図術とコンパス術必須とも書いてありベテランの引率を要するとも書いてある。事前では子供同伴の登山は手強い印象だった。
実際に入山してみると最近の低山ハイキングブームのお陰だろうか、以外と踏み跡もしっかりしているし各ハイキング団体の案内表示も要所で見られる。踏み跡が不明瞭な所もあるがテープ等を見ながら進めば次の踏み跡に出られるだろう。尾根まで登れば後は忠実に尾根筋を進めば迷う事はない。例えしっかりした道があっても基本は「尾根を忠実に!」をお忘れなく。
