6月5日 快晴

 宇都宮市から矢板市方面に車を走らせると羽黒山の後方にひと際高い山容が望まれる。右端にチョンと飛び出たピークから左に目を転じると三つのピークを望む事が出来る。高原山である。右端のピークが剣ケ峰、それから釈迦ケ岳、中岳、鶏頂山と連なる山容は見事である。その高原山の最高峰が釈迦ケ岳である。学校平から釈迦ケ岳を経て鶏頂山を登り塩原へと抜ける縦走も出来るのだが、我がぺんぎん登山隊では力量が伴わないので今回は釈迦ケ岳だけの登頂計画となった。
 
 学校平の道の駅に車を止めて木の階段を歩き始める。本当は2km上の大間々駐車場まで車で上がれるのだが、この時期は車が多く駐車スペースを確保する時間が無意味な気がして30分の歩きを選択した。階段を登りつめると雑木の中を遊歩道が続く。車道を走る車の騒音を聞きながら20分ほどのんびり歩くと視界が開けレンゲツツジの鮮やかなオレンジ色が目に飛び込んで来る。見渡す限りレンゲツツジの八方ケ原。案内表示に従いレンゲツツジの中を歩いて大間々駐車場に到着。予想通りの混雑で駐車出来ない車が渋滞している。八方ケ原を散策する家族連れやグループがレンゲツツジを背景にシャッターを切っている。大間々駐車場には水場とトイレがあるので利用出来る。我々も展望台でパノラマを楽しむ。多少霞がかった風景だが雄大な眺めだ。

 大間々駐車場を後に剣ケ峰への登山道へと入る。林間の登山道を進むと次第に勾配も緩やかになり祠のあるガレ場に飛び出す。八海山神社だ。大間々より一段と標高を上げた展望は矢板市から宇都宮方面、日光連山と眺められる。薄く霞がかかり遠望が利かないのが残念だが、晴れていれば今まで登った山々が一望出来る筈である。折りしも青空に白い尾を引く飛行機が飛んで行く。ひんやりとした涼しい風に誘われて腰を下ろして大休止。隊長はおにぎりを頬張り始めたが疲れていたのか半分残してしまった。

 八海山神社から表示に従い釈迦ケ岳方面に進む。膝くらいの陽当りの良いササ原の道を登りつめると1590mの剣ケ峰だ。矢板市最高地点と案内表示があるのですぐに判る。しかしのんびり楽だったのも此処まで・・・。
 剣ケ峰を越えると登山道はダラダラと長い下りとなる。折角稼いで来た標高も一気に50mほど下がってしまう。下り切ると大入道と釈迦ケ岳との分岐に出る。分岐を左に取り釈迦ケ岳方面に進む。ここでもう一度ダラダラと下る。帰りが思いやられる下り坂の連続である。尾根道を忠実に歩く。樹間から望むいつまでも近づかない釈迦ケ岳の姿に時間ばかりが気になる。時計は既に午後1時半を指している。登り始めの学校平が10時30分だから時間としては順調なのだが、まだ山頂に到達していない午後1時半というのは結構焦る時間でもある。帰りを考えればギリギリの時間だ。冬ならば山頂を目指さず帰らなければならないだろう。
 
 いくつかの急登でロープを頼りに登る。山頂から下山してくるグループが隊長を見て励ましてくれる。「もう少しだよ、頑張ってね!」優しく声を掛けてくれたご婦人3人グループに照れた様に首を傾げながら「こんにちは」と小さい声で答えている。すれ違う登山者に小さいながらもやっと挨拶が出来る様になった隊長である。
 鶏頂山への分岐を越え、いつしか登山道も緩やかになり前方が明るく開けて来た。釈迦ケ岳山頂だ。一等三角点がある1795mの高原山最高峰である。釈迦如来像が見守る山頂から360°の雄大なパノラマを眺める。登り切った達成感を十分に感じる事が出来る眺めだ。三角点でおにぎりを食べながら一休みしていると中年グループが到着した。「あら、お釈迦さま!大仏じゃなくてお釈迦さまなのね、何ででしょう?」などと仲間内で話している。私は言わなくてもいい事ではあるけれど「釈迦ケ岳ですから・・」と答えてしまった。「あら、そうだったわ!」と納得してくれた様子に一安心だ。学校平1150m附近から標高差650m程を歩いて来たご褒美に笑顔で写真に納まるぺんぎん隊だった。