9月12日  くもり

 ぺんぎん隊久々の登山は日光市の鳴虫山(1104m)。宇都宮の家を出た時には青空から陽が射していたのだが、日光の空は雲が低く目指す鳴虫山山頂は雲に隠れている。日光市中央公民館を回りこむように裏手へ進むと志渡淵川を渡り登山道入り口へ。杉林の登山道を小一時間も登ると神ノ主山頂上(842m)に着いた。本来ならば足元には日光市街や大谷川、遠くは日光連山から高原山と最高の展望が望める筈なのだが、今日は濃い靄に隠されて何も見えなかった。
 

 神ノ主山からは稜線歩きとなり大小のピークをいくつか越える。周囲の展望が効かないので登山道脇の草花や蝶、きのこなどを観察しながら歩いた。隊長はササに覆われた登山道や木の根が浮き出した地面に苦労していたが「木の根は滑る。」と教えた事を覚えていて「今日は転ばないよ!」と得意そうに歩いている。
 前方からラジカセで民謡を聴きながら降りて来るお爺さんと出会った。頑張って歩く隊長を見ながら「頂上は天気良いよ。」と声を掛けてくれた。「天気いいんだって、頑張って歩こう!」と頂上の展望を期待しながら先を急いだ。幾度か登り下りを繰り返したが一向に良くならない天気に「頂上はまだだね?」と言う隊長。晴れたら頂上という発想に思わず笑ってしまった。
 神ノ主山から一時間ほど歩いただろうか上部でにぎやかな声がする。急登を勢い良く駆け上がるとはたして山頂だった。なるほどにぎやかな訳で山頂には30人ほどの中年グループと10人ほどの別のグループ、ほか2〜3人のグループがいくつか居て座る所も無い状態だった。


 時刻は12時。何処でお昼にしようかと座る場所を探していたら単独の男性がリュックを担いで身支度を始めた。素早く空いた場所を隊長に陣取らせてリュックを下ろす事が出来た。

 しかしまあ中年から上のオバサンたちというのは見事にうるさい。みんな昼食でモノを食ってる筈なのだが休む間も無くしゃべっている。しかも声がでかい。木製の大きな見晴台一面にレジャーシートを広げ「あはは
ガハハ!」と我が物顔である。10人グループもにぎやかに騒いでいたが直に身支度をして下って行った。しかしまだ大口開けた30人グループが居る。
 頂上でのんびりと考えていたのだが、うるささにいたたまれず昼食も早々に腰を上げる。
 山頂からの下りはかなりの急斜面。木につかまりながらの下降が何度と無く出て来る。そうそう、木と言えばこの鳴虫山の木は面白い。稜線を境に南東が杉・ヒノキ、北西が広葉樹林なのである。北西側は日光東照宮側である。手早く言うと南東側は植林された林である。これが見事に稜線で区分けされているから面白かった。
 
 隊長に注意を促しながら降りていたら先発の10人グループに追い着いてしまった。歩きながらも相変わらずにぎやかである。おまけに全員が全員ダブルストックと来ていてカチカチカチカチと合いの手入りのにぎやかさだ。急斜面の下降に抜けずにいたのだが折り良くあちらさんは休憩に入る様だ。
 「いまだ、抜くぞ!」と隊長に声を掛けて先を急ぐ。おばさんたちを越したところで振り返ると隊長は元の場所に立ちすくんでいる。おばさんたちのにぎやかさに恐れをなして動けない様だ。
「大丈夫、怖くないのよ〜!ガハハ!!」と声を掛けてくるおばさん。隊長にはもうそれが怖いのであった。(笑)

 何とか窮地を脱した我々。次は追い着かれないように逃げるしかない。セッセと歩きピークに駆け上がった。独標(925m)に到着。隊長が標識の下にあるキノコを発見。傘の開いたツキヨタケである。今朝の新聞で”宇都宮市内の男女二人がツキヨタケで食中毒”と言うのを読んで聞かせたばかりでそれを覚えていた隊長。「これを食べてぺんぎん隊食中毒!」と記事の見出しを考え出し満足気に歩き出した。


 独標からは下り坂。崩れた登山道に注意しながら下る。途中、今回登山で唯一下界が眺められたので写真に収める。東照宮上の日光市の町並みが見える。
林道を二度ほど横切り発電所前に出る。発電所排水路沿いに下ると日光八景のひとつ”含満ケ淵”に出る。轟々と流れる大谷川を左に見ながら”並び地蔵”の前を通り日光市内へと歩き登山を終える。