4月9日 晴れ

 ここ数日の好天から気温も上がり桜の開花に拍車がかかった春の一日。今春から花粉症に悩む身と成り果てて、青空の下に出るのも億劫な日々を送っていた。当然の結果、身体中に栄養が行渡り、ブクブクと音を立てて成長して行く腹周りに見て見ぬ振り、溜め息をつきながら悶々とした毎日だった。
 しかし、青空が「これでもか!」と呼んでいるのに何もしないでいられるほど我慢強く無い私なのである。思いっ切り気合を込めて鼻をかみ「行くぞ〜!」と動き出したぺんぎん隊である。

 今回の行き先は高鳥屋山(320m)である。確か先月あたりに新聞で「ハイキングコースが整備されて登りやすくなった。」と紹介されていたのを思い出して怠惰に暮らしたぺんぎん隊には丁度良い足慣らしだと思った次第である。

 高鳥屋山は鹿沼市の南西、大芦川と荒井川の出合右岸に位置する小高い山である。周辺にはNPO法人が管理する「出合いの森総合公園」などのキャンプ場があり、春の一日をオートキャンプで過ごす家族の姿も見られる。

 大芦川沿いに遊歩道があり川面を覗きながら歩く。釣り好きの私はついつい魚影を探す癖が出てしまい、度々足を止めるので隊長に怒られてしまう。それでもウグイやヤマメの姿を追うのは楽しいものである。

 荒井川との出合附近で大芦川を対岸に渡り、続けて荒井川を渡る愛宕橋を歩く。整備された登山道とそれを示すコース案内図があり登山道入り口とすぐに判る。

 コースは5コース設定されていて、それぞれに「愛宕コース」「ふれあいコース」「大沢コース」「滝の沢コース」「山頂コース」とある。
 どれも登山口から尾根までの往復コースの事らしく、組み合わせることによって周遊コースなる仕組みらしい。
 欲張りなぺんぎん隊としては外周を攻める「愛宕コース」から尾根に上がりそのまま尾根伝いに山頂経由で「滝の沢コース」で下ることにしたのである。

 キャンプ場管理棟で戴いたハイキングコース案内図を開くとかなりの数で「急な坂道」という文字が記入されている。登山道を愛宕神社方向に登る道もいきなりの急階段から始まった。隊長の嘆きの声を背に聞きながら一歩一歩上がって行く。大谷石の石段が木止め階段に代わると愛宕神社に辿り着く。大岩に納められた祠に手を合わせて尾根へと足を進める。
 杉・ヒノキ林の登山道を登っていくと山ツツジが赤い花びらを開いて風に揺れていた。急坂を登り切り起伏の少ない尾根道で息を整えながらのんびりと歩く。

 しばらく尾根道を進むとコース上から外れるように男体神社の標識が出る。神社まで30m。ちょこっと足を伸ばして石造りの祠にお参りを済ませて戻って来る。男体神社からコース上に戻り尾根道を更に進む。日当りの良い場所で樹林間からの展望を楽しみ「さあ、行こう!」と足を踏み出した先に細長い棒が横たわっている。よくよく見ると日向ぼっこのヘビさんである。野生のと言ったら変な感じだが自然の中にいるヘビを真近で見るのは初めての隊長は感慨深げに何時までも眺めていた。

 ヘビに手を振り歩き出すと「ふれあいコース」との合流点に出た。そのまま尾根道を山頂方面に歩く。急な坂道を木の枝に掴まりながら登る。踏み跡が不明瞭な所もあり目印は幹や枝に巻かれたオレンジのテープのみとなる。老若男女が楽しめるような話だったハイキングコースだが階段以外の急坂はかなり高齢者には辛いものがあり、また案内表示が無い場所はテープのみが頼りで、低山だけに何処でも歩けそうな雰囲気で、見落とすとかなり違う方向に歩く危険性もある気がした。
 急坂を登り切り小ピークに出る。コース右に見慣れた石柱が頭を出していた。三角点である。近づいて文字を読むが石柱側面上部の三等の文字だけが地面から出ている状態。家に帰ってから調べたら「南摩」の三等三角点だった。三角点標高は327.5m。


 小ピークから下り「大沢コース」との合流を過ぎ「御陵岩」の表示に従って歩く。この辺で気が付いたのだがコース案内表示に「山頂」というものはない。木柵の階段を下りまた登り返す。平坦な尾根道の途中に「高鳥屋山320m」と幹に打ち付けられた表示板がある。多分ここが山頂である。展望は無い。

 高鳥屋山山頂は「御陵岩」へ行く途中の通過地点のような場所で案内表示に「山頂」の文字が出て来ないのも変に納得してしまったが、コースガイドを持たない登山者は「御陵岩」へ向かわない限り山頂を知らずに下山する事になるだろう。

 欲張りぺんぎん隊は山頂を後に「御陵岩」へと下る。山頂から350mの表示なのだが全部下りである。そのまま下山出来ないのでまた登り返して来ることを考えると結構辛いものがある。しかし「御陵岩」からの展望は一見の価値はある。

 キャンプ場を見下ろす大岩の上で休憩。春霞がかかり遠くの山は展望が利かなかったが古賀志山、岩山、羽賀場山、二股山などぺんぎん隊お馴染みの山々が見える。足下には大芦川の流れが蛇行している。

 「御陵岩」にも山ツツジが咲いていた。麓の桜も山のツツジも春の陽射しを精一杯に浴びている。花粉症も山に入ると治るものなのか今日はすごぶる調子が良い。

「御陵岩」から山頂に登り返して「滝の沢コース」を下る。階段あり、つま先下がりの急な下りありで雨の翌日などは苦労しそうだ。沢を木橋で渡り目の前に大芦川の流れを確認したところでもう一度ある登り返しが最後のお仕事だ。息も切れ切れに登山口に到着。締めて2時間半の行程だった。