唐沢山

9月23日 晴れ


 今日は実家の墓参りに行こうと思い立って車に乗った。空を見上げると青空が広がっている。天気予報ではあまり良くない事を言っていたが、爽やかな秋の風も吹いている。こんな日は山登りをしたら気持ちがいいだろうなぁ・・と思ったら急に山に行きたくなった。実家は埼玉。宇都宮から実家に向かう途中に手頃な山は無いものかと地図を開いて眺めた。県南の山は佐野・足利周辺に固まっている。
 思い付きで決まる登山では我がぺんぎん隊の隊長は300m以上の山には絶対首を縦には振らない。どうしたものかと宇都宮から足利方面に地図を辿って行くと田沼市郊外に手頃な山を見つけた。唐沢山(249m)だ。

 早速ガイドブックに目を通すと唐沢山は歴史のある山だと書いてある。関東七堅城の一つである唐沢山城が在った所らしい。藤原秀郷が築いたと言われるこの城跡が唐沢山神社として山頂に残されているらしい。
それほど歴史に興味がある訳でも無いが、それじゃひとつ行ってみんべぇ!

 国道293を足利方面に進む。田沼市内で道標に従い左折。東武佐野線田沼駅南側の踏切を渡り唐沢山の麓へと進む。
 多くのガイドブックに紹介されている登山道入り口、露垂根神社(つゆしねじんじゃ)の駐車場を目指す。ところが道路はどんどん山を登って行く。あれよあれよと言う間に「唐沢山山頂」なんていう看板が出て来てしまった。唐沢山は山頂付近まで車で上がれてしまうのだ。目指す駐車場へ行くには山頂経由なのだった。



見晴小屋前の展望岩から大小山を望む


 いくらぺんぎん隊でも車での山頂制覇ではプライドが許さない。とは言え一度山頂に来てしまったからには登山口から徒歩で登るにはモチベーションが保てない。「どんなとこだろう?」なんてまだ見ぬ山頂に思いを馳せながら歩くのが登山の楽しみなのである。

 仕方が無いのでガイドブックにある見晴小屋まで歩いて下ることにした。山頂駐車場からだと15分程の行程らしい。
 
 駐車場からハイキングコースを下ると程無く車道を横切る。ここに名所「鏡岩」がある。「鏡岩」は「上杉謙信の関東攻めでこの唐沢山城を攻めた折に何やら青白く光る岩が云々・・・」と書いてあったが忘れた。兎に角、唐沢山城を上杉勢から守った岩らしい。

 「鏡岩」の前を通り過ぎハイキングコースを下る。涸れ沢に架かる橋を渡って少し進むと小高いピークがある。ここでコースは二手に分かれる。ピークに登らずに巻く道に「初心者コース」、ピークに直登するコースに「見晴小屋」と標示がある。当然目的の「見晴小屋」へと急坂を登る。

 ピークに上り詰めると傾き壊れかけた東屋がある、「見晴小屋」だ。危ないので立ち入り禁止のロープが張り巡らされていた。まあ、「見晴小屋」とは言っても小屋付近は全く見晴らしが利かないので危険を冒して入り込む事も無い。展望を楽しむならば小屋南側の岩の上が丁度良い。目の前に秋山川が流れ佐野市と足利市が一望出来る。少し目を上げれば大小山の「大小」の看板が肉眼で読めるほど近くに見える。多分空気が澄んだ天気の良い日ならば富士山も見えるのかも知れない。



天狗岩の上から上でポーズ

 しばらく眺望を楽しんだ後、登って来たのとは反対の斜面から下った。これから先はもう戻るだけなのだが、多少でも距離を稼ぐために無理矢理の選択である。尾根道を引き返す途中も展望の良さそうな脇道に入り込んで距離を稼ぐ。それでも「鏡岩」まであっと言う間に帰って来てしまった。

 ここまで来るとレストハウスがすぐそこ見える。全然汗も出ないし疲れもしない。「何だよ終わりかよ・・。」と物足りなさそうに転じた目の先に木杭に鎖が飛び込んで来た。

「ん?」

よくよく見ると急斜面の上まで続いていて登山道っぽい。「隊長、あっち!」と指差すと隊長が「え〜っ!!」と驚く程に急な登りである。それでも見つけてしまったものは行かない訳にもゆかず(別に行かなくてもいいと隊長は言ったが・・・)急な登山道を登り始める。

 隊長がブーブー文句を言っている間に展望の良い場所に飛び出す。「天狗岩」という場所である。唐沢山城時代には物見櫓が在った場所と言うだけに眺望は素晴らしい。今登山最高の場所である。
 ここも例に漏れず登って来た道とは正反対の道を選んで下る。ものの数十歩で山頂駐車場に飛び出した。

 ところで山頂は何処だろう?

 地図も案内も何処にも無い。一応どんな登山であっても山頂は踏みたいぺんぎん隊である。山頂駐車場ではあってもそれより唐沢山神社の方が高い位置にある。ならば神社で一番高い所が山頂だろうと予測をつけて境内参道を登って行く。神社内にも色々な名所旧跡が点在している。
 
 歴史的に重要な建物や石垣が並ぶ中で私が一番気に入ったのは「水琴窟」である。地面に突き刺さった竹に耳を当てて目を瞑る。地下深くで水の雫が奏でる涼やかな琴の音色にも似た音が、心地良く耳に響き伝わって聞こえる。う〜ん、ジャパニーズテイストである。

 まあ、そんなこんなで本丸跡に立つ神社本殿までやって来た。一応、ここより高い場所は周囲に見当たらないのできっと此処が山頂である。らしい標示は何処にも無く二の丸跡に「標高八百尺」という石碑があったので一応の押さえに記念撮影をして来た。

 こんな具合で思いも寄らない山頂スタートの登山記になってしまったが、正規ハイキングコースとしては露垂根神社から山頂まで見晴小屋経由で30分くらいらしいので登山口から見晴小屋までの15分の割愛くらいの行程で済んだ模様である。