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「もしもあの時」灰原がコナンを撃っていたら・・・
2004年5月16日

シーンは、コミック26巻の病院内。
灰原がコナンに「おもちゃの拳銃」を向けて、自分が黒の組織に見つかったと嘘をついて撃ったところ。
実際はバレてなく、灰原がついた嘘だった。だから銃口からは花が飛び出たのだ。

これがもし、嘘ではなく真実で、本当に灰原がコナンを撃っていたら・・・・
ちょっとブラックな小説ですが、お楽しみ下さい^^;



パシュッ・・・


拳銃の乾いた音が、静かな病室内に響きまわった。
深夜ということもあってその音以外には何も聞こえなかった。
自分の顔に彼の鮮血が飛んできた。
その血は、ゆっくりと頬をつたい、やがて地面に静かに落下した。

ものの一分、銃を構えた状態でその場に立ち尽くしていた。

・・・・ゴメンなさいね・・・・工藤君・・・・

まだ熱い銃を自分の懐にしまい、横たわった目の前の男の子を見つめた。
無心のまま、彼の身体をととのえ、彼の服の乱れを直し、布団をかぶせ、まるでただ寝ているだけのようにした。
別にこうする必要はなかった。
ただ自分がこうしたかっただけなのだ。

彼女は、彼の頬をなでた後、静かに、ゆっくりと病室を後にした。


当てもなく、遠くのビルの光が道しるべになるような暗い道を歩いていた。
彼が死んだ事により、一体どれほどの人が悲しむのだろう。
彼が死んだ事により、一体どれほどの人が泣くのだろう。
彼が殺された事により、一体どれほどの人が怒るだろう・・・。

そんなことを考えながら、ただ静かに歩き続けていた・・・。

・・・・今頃博士はどうなっているのだろう・・・・

今博士は組織に人質にとられてるのだ。
どうせ今阿笠邸に戻っても、あるのは博士の死体と、組織が彼女に書いた手紙だけ・・・。
今更阿笠邸に戻る気はない。
皆を裏切り、彼を殺してしまったのだ。

もうどこにも、自分の居場所をないのだ・・・・。


ポツッ・・・

・・・・・・?
・・・・・・・・雨・・・?

ふと上を見上げると、自分の顔に水が降りかかった。

今日は雨なんて降らないってテレビで言ってたのに・・・。

・・・・。
ちょうど良いわ・・・。
今の私には、雨が一番あってる・・・。

雨に濡れながら、またゆっくりと歩き始めた。

この時、彼女の頬を、雨とは違う温かい水がつたった。



空が薄明るくなってきた。

結局彼女は一睡もせずに歩いていた。
当てもなく歩いていたから、今ここが一体どこなのかさっぱり分からない。
テレビが沢山並ぶ電気屋の前を通った時、気になるニュースが耳に入った。

「今日の午前4時頃、米花町の某病院内で死亡している小学一年生の少年が発見されました。
死亡推定時刻は、今日の午前1時ごろということが判明。凶器は拳銃とのことです。
警察は殺人事件と見て調査を開始しました。」

・・・・もう発見されたのね・・・・。
当然よね、病院なんだし・・・。

そんなことを思いながら、ニュースを聞き続けた。

「米花町内での殺人事件は、今日だけでもう何件でしょうねぇ。」
「そうですね、同町でこんな短時間にこれだけの殺人事件が起きてるわけですので、警察もかなり焦っているようです。」
「ちなみにその殺害された人達は、小学生が3人、女子高校生と40歳前後男性の親子、独り暮らしの50歳台男性、他にも3、4人いました。」
「いや〜、怖いですネェ。」
「そうですねぇ。」

そう、小学生3人とはあの少年探偵団のこと。
女子高校生と40歳前後の親子とは、工藤君の最愛の人とそのお父さん。
50歳台男性とは博士のこと・・・。

・・・やっぱり皆殺されてしまったのね・・・。


また歩き出した。
まるで、人の賑わいのある場所から逃げるように・・・。

暫く歩いていると、段々人気がなくなってきた。

私にはきっと、こういう静かな場所が似合ってるのよね・・・・。

そう思いながら、歩いていると、曲がり角があったので何となく曲がった。


ガバッ!

急に身体が宙に浮いたのが分かった。
あまりにも急だったので声をあげる事ができない。
その瞬間、口と鼻をハンカチのようなものでふさがれた。
宙に浮いた衝撃で息が荒くなっていたせいで、そのハンカチに何か薬がついてるのはわかったが、息を止める事ができなかった。

一瞬心地良くなった・・・。








(・・・・灰原・・・・・。)

・・・・え?

(灰原・・・。大丈夫か・・・?)

・・・・貴方は・・・・。

(良かった・・・。目を覚ましたか・・・。まったくよぉ、心配させやがって。)


聞いた事のある声だった。
澄んだ声。
私の身体を抱きかかえている温かい手。

彼は、優しい声で話し掛けてきた。


(どうしたんだ?目が半開きになってるぜ?)

・・・ねぇ、貴方は誰なの・・・?

(ほら、元気出せよ。博士も心配してるぜ?)

・・・教えて・・・・。貴方は一体・・・。

(今日は皆と一緒にキャンプに行く予定だろ?)

・・・・・・。

(ほら立てよ。それとも今日は止めにするか?)

・・・・何で・・・・・。

(よし、待ってろ。今から俺が栄養のバランスを考えたすぐに元気になるシチューでも作ってやっからよ!)

・・・・何で・・・・そんなに・・・・・。

(博士!俺ちょっとシチュー作るから、少し灰原を診てやってくれ。)


・・・・・何で・・・そんなに・・・・・。

(全くのぉ、無理なんかしなくてもよいのにの。)


ピンポーン

(あ、来たようじゃの。ほら哀君。皆が見舞いに来てくれたぞ。)

(哀ちゃん?大丈夫?心配したのよ?)

(具合が悪いのなら、我慢せずに言えばいいですよ。)

(腹いっぱい飯食えば治るぞ、きっと!)

・・・・みんな・・・・。


(皆危ねぇぞ。シチューは熱いんだから!・・・ほら灰原、シチューできたぞ。まだ熱いから気をつけろよ。)

(うおっ、うまそーだなぁ!)

(駄目ですよ元太君。これは灰原さんのための料理なんですから!)

(分かってるよ!んなこと。)


・・・・何で・・・そんなに・・・・みんな・・・・。

(・・・?灰原・・・?)

・・・・・・・・そんなに・・・・・。

(・・・・・泣いてるのか?)

(きっとコナン君がシチューを作ってくれた事が嬉しいんだよ!)

(おい灰原、お前らしくねーな。別にこんなのいくらでも作れるぞ?さっさと食えよ。)


・・・・・・・。

・・・・・・何でみんな・・・そんなに・・・・・

・・・・・・・優しいのよ・・・・・・・・。







パチ・・・


・・・・・・夢・・・?

どうやら嗅がされた薬は、睡眠薬だったようだ。

「よぅ・・・シェリー・・・・。」

・・・・!

「・・・ジン・・・・。」

「なぜ指示通りに阿笠邸の手紙を読まなかった。」

「・・・・・・ここは・・・どこなの・・・?」

「お前の新しい研究室だ。また逃げられたらかなわんからな。」

確かに・・・、よく見てみるとコンピュータやビーカーなど、様々のものが置いてある。

「悪いけど・・・・、私はもう組織に戻るつもりはないわ・・・。」

「何?・・・何故だ・・・。」

・・・・それが彼への償い・・・・・。

「・・・・答えるつもりがないのか・・・・。」

「・・・・・。」

「なら何故あのガキを殺った。」

ドクン・・・・

「・・・・・フッ・・・・。」

「・・・?」

「私が殺さなかったら貴方達が殺していたでしょう?どうせ殺されるのなら、私の手で・・・。」

「フン・・・。どっちにしろ、お前を恨みながら死んでいった事は確かだろうがな。」


・・・・暫く沈黙が続いた。



チャキッ・・・・


ジンが銃を取り出した。

「最後に・・・もう一度訊く・・・・。組織に復帰する気はないんだな・・・。」

・・・・・。

「私の答えは・・・・。」

自分の懐から、彼を殺害した拳銃を取り出した。
そしてその銃口を、自分の頭に向けた。


チャキッ・・・・


「私の答えは・・・、これよ・・・。」

「死ぬ気か・・・・。」

「貴方達のところに戻っても、この虚しさは消えない。」

「・・・・・そうか。なら勝手に死ぬんだな・・・。」

「止めないの?」

「まだ有能な研究者はいくらでもいるからな・・・。組織に反対する奴を入れても、組織が不利になるだけだ。」


別に良かった。
組織に戻りたくない気持ちは同じだった。
だが、誰にも必要とされない、その現実が、とても辛かった。








パシュッ・・・



・・・・みんな・・・・そして工藤君・・・・。

・・・・・生まれ変わったら・・・・


・・・・・・・・・・・また友達になろうね・・・・・・・・・・・。



Fin.


アトガキ

いやぁ、「COMIC STREET」では初めて書いた小説だけど・・・、どうかな〜・・・^^;
何か微妙な出来になっちゃってさ。
ま、私の人生の中では、約2年ぶりの小説ですので、まぁ少しは勘弁してやってくださいw