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第1回 リサイタルの記録 |
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チェンバロ奏者 岡田龍之介さんの初リサイタルが、11月23日(祝、木) 14時から秋葉原の聖公会神田キリスト教会で開かれた。 古楽界においてアンサンブルの名手で、いろいろな音楽祭などで活躍中の岡田龍之介氏が、準備万端で初リサイタルを行った。「バロックのやすらぎと畏敬」と題して、前半は、比較的プログラムに乗りにくい各国趣味の選曲(バード、ブル、ストラーチェのチェンバロ独奏曲)、後半は、バッハのイギリス組曲第5番とヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番という、ちょっと渋い選曲。 特に、イギリス組曲について岡田氏は「この曲は、敬愛するグスタフ・レオンハルトの生演奏にインスパイアされ、プロとしての歩みを決心した曲で、自分の中で特別な曲として長い間、暖めてきたものです。この機会に私の感動を皆様と共有できれば思います。」と意気込みを語っていました。ゲストはバッハ・コレギウム・ジャパンなどで活躍中のバロック・ヴァイオリンの小野萬里氏。リサイタルではアンサンブルの名手としての岡田龍之介の世界も堪能できた。 「岡田龍之介氏のリサイタルに期待」 岡田さんを知ったのは、僕が大学のバロックアンサンブルに入った時。演奏は勿論、質問にも実に丁寧に答えてくれる頼もしい先輩だった。 あれから20年以上が経ったけれど、温厚にして誠実な人柄は変わらず、何より作品に真摯に向き合い我々に本当の魅力を披露してくれるチェンバリストとして、今や古楽界に無くてはならない存在である。 今回のプログラムには、岡田さんにとってとりわけ思い入れの深い曲が並んでいる。イギリスやフランスの佳品から大バッハに至るまで、それぞれの作品が岡田さんの手で、どんな輝きを見せ香りを放つのか…。それは間違いなく上質で豊かな時の流れとなるはずだ。 是非、私もその空間を共有できればと、今から楽しみにしている。 (リサイタル案内文より)
プロフィール 岡田龍之介(チェンバロ) 東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業、東京芸術大学卒業、同大学院修了。音楽学を角倉一朗氏、チェンバロを有田千代子氏に師事。また渡邊順生、W.クイケン、J.V.イマゼール、T.コープマンの各氏の指導を受ける。全国各地の演奏会に出演し、国内外のバロック音楽演奏家との共演を通じてアンサンブル経験を深める一方、ソロ、教育活動にも力を注いでいる。NHKーFM出演をはじめ、第13回山梨古楽コンクールでは審査員を務める。昨年は初の韓国公演を行なう。洗足学園大学講師、都留音楽祭講師。 小野萬里(バロック・ヴァイオリン)
東京芸術大学ヴァイオリン科卒業。1973年ベルギーに渡り、S.クイケンに師事。1981〜85年 プログラム
プログラム解説(岡田さん自身による) 本日は「バロックのやすらぎと畏敬」と題する当演奏会にご足労下さり有難うございます。
次はイタリアの作品を2つ。最初はB. ストラーチェのルッジェーロによるカプリッチォ。1664年に、この作品を含む彼の唯一の鍵盤曲集〈様々な曲の森〉が出版されましたが、作曲者ストラーチェに関して詳しいことはほとんどわかっていません。作品の多くは変奏曲で、「ルッジェーロ」というのは当時大変人気のあった低音旋律(これが変奏曲の主題となります)の一つです。この旋律は合計8回反復されますが、変奏の都度、用いられる音符の長さは短くなり、少しずつ緊張感が高まっていくように作られています。イタリアの作品らしい、シンプルな大らかさが魅力です。 続いてヴァイオリンの小野さんとのアンサンブルで、ウッチェリーニのソナタ第3番をお楽しみください。イタリア語で「小鳥」を意味する素敵な名前のこの作曲家には、まとまった器楽曲集が7巻ありますが、本日演奏するソナタは1649年に出版された作品5のソナタ集に含まれています。このソナタは、変奏形式の第1部分、それを3拍子に変えた第2部分、そしてゆったりとした動きの第3部分と、3つの部分で出来ています。最初の2つの部分はストラーチェの曲の作り方と大変よく似ていますが、次第にスピードを増していくヴァイオリンの絶妙な弓さばきにご注目ください。 前半最後の曲目には、フランス・バロック中期の代表的な作曲家、L. クープランのクラヴサン(チェンバロのフランス名)曲集から、組曲イ短調を選びました。クープラン一族には有名なフランソワがいますが、ルイはその叔父にあたります。享年35歳と短命ではありましたが、ルイのクラヴサン曲(ほとんどが組曲で、生前は出版されませんでした)は、独創性においても、音楽的水準の点でも比類のないものでした。とりわけ、全音符ばかりで記譜された小節線のないプレリュードは非常にユニークで即興性に富み、ルイの真骨頂を示すものといえるでしょう。複雑な音の綾から紡ぎ出される精妙にして豊かな響きが、独特の雰囲気を醸し出します。 後半は今年没後250年を迎えるJ.S. バッハの作品を2曲、まずヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番イ長調。バッハはオルガンとチェンバロの名手として有名でしたが、ヴァイオリンやヴィオラの演奏にも長じていたといわれています。事実、ワイマールやケーテンの宮廷ではヴァイオリニストとしても活躍していましたし、有名な〈無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ〉は、この楽器にバッハが通暁していたことを窺わせます。この第2番のソナタを含む6曲の〈ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ〉は、いずれも上記〈無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ〉と同じ時期に作曲されたと考えられています。この編成は、従来のトリオ・ソナタの変形と考えられますが、当時としては大変斬新な試みであったに違いありません。この第2番のソナタでは、第2楽章にヴァイオリンの技巧的で華やかなアルペジオが登場する点、第3楽章のヴァイオリンとチェンバロの右手が完全なカノン(複数の旋律の厳格な模倣)をなしている点などが注目されます。 プログラムの最後は、イギリス組曲第5番ホ短調です。バッハにはチェンバロのためのまとまった組曲集が3つ(他の2つは〈フランス組曲〉と〈パルティータ〉)ありますが、その中では〈イギリス組曲〉が最も早い時期に完成したと考えられています。「イギリス組曲」という呼び方はバッハ自身の命名によるものではなく、いつ頃、誰によって名付けられたかよくわかっていません。いずれも比較的長いプレリュードで開始されますが、このプレリュードにはフーガ的な要素や協奏曲風な要素も加味されて、バッハ独自の堂々たる内容の音楽になっています。そのあとにはいくつかの舞曲が続きますが、イギリス組曲ではその配列に一定のパターンがあり、アルマンド、クーラント、サラバンドという3つの基本舞曲のあとに若干の任意の舞曲(ギャランテリ、第5番ではパスピエI・II)が続き、最後はジーグで締め括られる、という形をとります(あまり厳密ではありませんが、第5番の場合、プレリュードと各舞曲の主題にある種の統一性が見られるのも興味深いところです)。なお、この曲集の各組曲の調性を第1番から順に並べると、イ長調、イ短調、ト短調、ヘ長調、ホ短調、ニ短調となりますが、これはイ→ニ(ラソファミレ)と音階上の音を順に下降する形で調が選ばれており、バッハの周到な計画性の片鱗がこんなところにも窺えます。.
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第一回リサイタル案内
朝岡聡
岡田龍之介
小野萬里
♪リハーサル風景♪
アンサンブルのリハーサル・・・
♪本番の風景♪
バッハ ソナタを弾き終えて・・・
盛大な拍手に応えて
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