今までのリサイタル
今までに3回のリサイタルを行いました。ご覧ください。
第2回は2002年「ソロとアンサンブルで探るラモーとバッハの世界」
| 第3回 リサイタルの記録 チェンバロ・デュオの夕べ | |||||
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チェンバロ奏者 岡田龍之介さんの第3回目のリサイタルが、チェンバロの上薗未佳氏をゲストに、2005年7月23日(土) 17時から横浜山手の洋館、山手234番館で開かれた。 第1回、2回のリサイタルは、ヴァイオリンやヴィオラダガンバの名手をゲストに、アンサンブルとチェンバロソロの企画だったが、今回は、CDでも共演しているチェンバロの上薗未佳氏と2人で、初期バロックから、盛期バロック、そして、何と20世紀初頭のスペインの楽曲を、2台のチェンバロで演奏するという意欲的な選曲。 当日は、夕刻に関東地方をおそった地震で、交通が大きく乱れるなか、大勢のお客さまにおいでいただきました。どうも有難うございました。 なお、このリサイタルは、6月になくなられた、チェンバロ・ピアノフォルテ製作家、堀栄蔵氏 と、リコーダー演奏家 篠原理華氏に捧げられた。 プロフィール 岡田龍之介(チェンバロ) 東京生まれ。慶応義塾大学経済学部、東京藝術大学楽理科卒業。1986年同大学院修了。音楽学を角倉一朗、チェンバロを有田千代子両氏に師事。1983年J.J.ルソーのオペラ「村の占い師」(原語による本邦初演)でデビュー 以来、数多くの演奏会に出演。国内外のバロック奏者とのアンサンブルで培った通奏低音には定評があり、近年はソロ、教育活動にも力を入れると共に、各種講演会、執筆活動を通じてバロック音楽の普及にも積極的に取り組む。第13回山梨古楽コンクールではチェンバロ部門の審査員を務める。また4度にわたる韓国公演、ドイツ公演など海外でも演奏を行なう。 2003年ソロCD 「銀色の響き」リリース(レコード芸術誌準特選)。翌年にはアンサンブルのCD「聖歌 Psalms for you/ムジカ・グロリフィカ」をリリース。現在、洗足学園大学、都留音楽祭各講師。 上薗未佳(チェンバロ) 神奈川県生まれ。洗足学園大学音楽学部ピアノ科を優秀賞を得て卒業。同大学専攻科音楽学修了後、フランスのストラスブール国立音楽院チェンバロ科を金メダルを受賞して首席で卒業。ピアノを諸井泰子、石川治子、音楽学を市川信一郎、チェンバロを岡田龍之介、渡邊順生、アリーン・ジルベライシュ、オルガン、通奏低音、16〜18世紀の音楽解釈をマルタン・ジェステル各氏に師事。 在学中よりフランス、ドイツ各地で演奏し、帰国。現在、ソリストおよび通奏低音奏者として日本各地で演奏活動を行う。洗足学園音楽大学、東海大学非常勤講師。 プログラム T.トムキンズ(1572-1656)/
ファンシー N.カールトン(1570?ー1630)/
ヴァース C.シャフラット(1709-1763)/
デュエット 第2番 イ短調 J.S.バッハ(1685-1750) Johann Sebastian
Bach/ 14のカノンより第5〜9番 ゴルドベルク変奏曲よりアリア ******* 休 憩 ******* G.F.ヘンデル(1685-1759)/ Allemande/Courante/Sarabande/Chaconne I.アルベニス(1860 1909) /岡田龍之介編曲/
セヴィーリャ J.トゥリーナ(1882-1949) /岡田龍之介編曲/
ザパテアード J.Ph.ラモー(1683-1764) /岡田龍之介編曲/ Ouveruture/Prologue-Contre.danse/Tambourin/Air pour les Fleurs/Chaconne 使用楽器 チェンバロ:堀栄蔵作、1995年(フレミッシュ・ラヴァルマン・タイプ) チェンバロ:堀栄蔵作、1990年(イタリアン・タイプ)
アンコールは ラモーの合奏曲(コンセール)より、「臆病者」でした・ プログラム解説 (岡田さん自身によるプログラムノート。一部作曲家名、曲名をHP掲載時に追記) プログラムノート 岡田龍之介 本日は「チェンバロ・デュオの夕べ」においで頂き有難うございます。 二台のチェンバロ(あるいは連弾)のためのレパートリーは、古くはルネサンス時代から、新しいところではモーツァルトの時代まで存在しますが、意外に作品の数は多く、ざっと見積もって優に演奏会4〜5回分はあると思われます。地理的にも様々な国で書かれましたが、最もこのジャンルが好まれたのはドイツでした。 大バッハには、2台から4台のチェンバロのための協奏曲をはじめ、複数のチェンバロを用いた作品がいくつかありますが、本日演奏いたします「フーガの技法」中の2曲と、14のカノンからの数曲もまた、2台のチェンバロを前提に作曲された作品と思われます。 フーガの技法が、バッハ最晩年の作品で、彼の対位法技術の総決算とも言える作品であることはよく知られています(バッハ自身が特定した訳ではなく、別の楽器編成の可能性もあり得ますが、恐らくこの形による演奏が最も相応しいと考えられます)。殆どの曲がチェンバロ1台で演奏可能ですが、第18番の2つの曲は2台用に構想されたと思われます(どちらも、先行する第13コントラプンクトゥスという曲に基づく改訂稿と考えられています)。 14のカノンはゴルトベルク変奏曲アリアの低音主題に基づく短いカノン集で、若干の解説を交えつつその中の5〜9曲目をお聴き頂こうと思います。 バッハには他に2台のチェンバロのための協奏曲ハ長調 BWV1061aという素敵な作品がありますが、この作品が息子や弟子にとって、ひとつの理想的かつ魅力的な模範となったのか、彼らもチェンバロ2台のための作品を割合多く残しています。他楽器との合奏よりもお互いの反応がより直接的に伝わり、密なコミュニケーションが楽しめる、そんなところにこの編成の面白さ、醍醐味といったものが隠されているのでしょうか? シャフラットはバッハの次男C.P.E.バッハの後任としてベルリンのフリードリッヒ大王の宮廷音楽家になった作曲家ですが、とりわけ彼の鍵盤作品はよく知られ、人気がありました。デュエット(二重奏曲)と記されていますが、実際には協奏曲の形式で書かれています。 バッハと並んで18世紀のドイツを代表する音楽家ヘンデルもまた、鍵盤楽器の名演奏家でチェンバロの作品も多く残していますが、2台用の作品(2台のチェンバロのための組曲)は大変珍しく、様式的にみて青年期の作品と考えられます。恐らく友人であった作曲家マテゾンの同様の作品に影響を受けたものと推察され、組曲の形式で書かれています。協奏曲に比べると、コンパクトで軽妙な味わいが特色と言えるでしょうか? 解説の記載順序がプログラム順でなく申し訳ありませんが、1〜2曲目の二人の作曲家(トムキンズ、カールトン)はともにエリザベス朝下の英国で活躍しました。恐らく彼らの作品(ファンシー およびヴァース)は鍵盤音楽史上最古の連弾作品ではないかと思われます。曲の作り方も定旋律作法と呼ばれる古い技法に基づいており、本日のプログラム中でも異彩を放っていますが、素朴な曲想の中にも力強さや気品が感じられ、なかなか味わい深い音楽ではないかと思います。 プログラム後半のアルベニスとトゥリーナはともに20世紀初頭のスペインを代表する作曲家です。原曲はピアノ曲ですが、なぜそのような曲をチェンバロで?と訝る方も多いかと思います。スペインの作品はどこかギターの響きを彷彿とさせるところがあり、実際「セヴィーリャ」などはギター曲としてもよく演奏されます。ところでチェンバロとギターは発音原理が同じで、ともに撥弦楽器に属するいわば兄弟のような楽器です。そこでギター曲(あるいはそのイメージを喚起する曲)をチェンバロで弾いても合うのでは、と思ったのが編曲の動機です。トゥリーナはアルベニスほど知られていませんが、本日取り上げる「ザパテアード」における和声や響きの洗練、リズムの多彩さ、イメージを音に具現する非凡な手腕、どれをとってもこの作曲家が第一級の才能の持ち主であったことを窺わせます。(個人的な見解で恐縮ですが、同時代のフランスの作曲家、セヴラックとともに、トゥリーナはもっと評価されて然るべき作曲家の一人ではないかと思います) プログラムの最後を飾るのは、フランス・バロックの巨匠ラモーのオペラ、「優雅なインド」からの抜粋。フランスのオペラは、歴代の国王が大のバレー好きであったことを反映して、オペラ・バレと呼ばれる独自のジャンルを形成しましたが、この作品もそのひとつです。原曲中のバレー音楽を私自身が2台のクラヴサン(チェンバロ)用に編曲したものをお聴き頂こうと思います。ドイツやイギリスの音楽とはまた異なる、カラフルで典雅な味わいをお楽しみください。 *** 本日の演奏会を、先月初旬に相次いで亡くなられた私の知人、おひとりは本日使用しております素敵な音色の2台の楽器の製作者にして、我が国の古楽隆盛に大きな足跡を残された堀栄蔵さん、そして他のおひとりは私の生徒でもあった、若く有能なリコーダー奏者、篠原理華さんのお二人の霊に捧げたいと思います。この場をお借りしてお二人の御冥福を心よりお祈りいたします。
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第3回リサイタル案内
上薗未佳さん
チェンバロ・ピアノフォルテ製作家、
♪リハーサル風景♪ トムキンスの連弾
2台のチェンバロ
♪コンサート風景♪
アルベニスを弾く上薗さん
バッハ フーガの技法
バッハ カノンについて説明中の
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