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Online Medニュース・バックナンバー 06年8月
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病院を選んだ理由、外来はかかりつけ医だから・入院は医者の紹介 厚労省05年調査(2006.8.31)

インフォームドコンセント進むも治療方針は医師が決定
 病院の患者がその病院を選んだ理由の第1は、外来患者では「かかりつけ医だから」(40.9%)、入院患者では「医師に紹介されたから」(39.7%)で、病院の外来患者の4割はかかりつけ医として通院していることが明らかになりました。
 厚生労働省が全国の病院の患者を対象に05年10月中旬に行った受療行動調査の結果です。

 外来で病院を「かかりつけ医」としている患者の割合は、病院の種類別に見ると、特定機能病院(23.2%)や大病院(療養病床のない一般病院で500床以上)(31.0%)では比較的少なく、中病院(同100−499床)(37.5%)と小病院(同100床未満)(45.2%)では高めになり、療養病床のある病院(52.5%)で最も高くなります。
 特定機能病院をかかりつけ医としている患者は2割強ですが、この特定機能病院を含めて病院全体として適切と言えるかは疑問のあるところです。

 ただ、特定機能病院を選んだ理由で最も多いのは「医者に紹介されたから」の50.0%、大病院で最も多いのは「専門性が高い」の38.1%となり、病院の機能による選択が行われている傾向も見られます。

 入院では、特定機能病院、大病院、中病院、小病院、療養病床のある病院のすべてで、「医者に紹介されたから」の割合が外来よりも大幅に高くなっています。

 外来でその病院を選んだ理由の第2は全体では「交通の便がよいから」で33.1%ですが、特定機能病院(19.1%)と大病院(25.6%)は低めです。

 インフォームドコンセントに関しては、病気や症状についての説明は外来で85%、入院では92%の患者が「あった」とし、理解の程度も良好です。
 しかし、治療方針の決定者では、外来が「担当の医師」37%、「患者本人」35%、入院では「担当の医師」45%、「患者本人」23%となり、担当の医師の決定が中心になっています。特定機能病院、大病院ほど担当の医師の決定の割合が高くなります。
資料:平成17年受療行動調査の概況(ここをクリック)


医師不足10県、医学部定員10人増員10年間(2006.8.31)

青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重
 厚生労働、文部科学、総務、財務の4大臣は8月31日、医師不足県では08年度から最大10年間にわたり、大学医学部の定員を10人まで上乗せできるものとする合意をまとめました。自治医大でも10人までの上乗せを容認します。
 医師不足県は、青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重の10県とされました。

 4大臣合意は、厚生労働省の医師の需給に関する検討会がまとめた、医師不足県では医学部定員の調整が必要とする報告書に対応した措置です。

 医師不足と認定した基準は、04年の人口10万対医師数の全国値211.7に対し200未満で、同年の100平方Km当たり医師数60以上の県を除外(東京・大阪を除く全国値59.1)したものです。自治医大の定員増も医師不足県に対するものです。

 10県には、(1)増員後の医学部定員の5割以上の者を対象として、同一県内または医師不足県で特に医師確保が必要な救急医療などの分野での一定期間の従事を条件とする奨学金を設定、(2)奨学金を貸与する医師の卒業後の活用・配置についての計画を策定し厚生労働省と協議、(3)地域に必要な医師の確保の調整も含めた医療計画と医療費適正化計画の厚生労働省との事前協議、が義務づけられます。
 この3点が満たされない場合、定員増の措置が取り消されます。
資料:医師の定員に関する関係大臣合意(ここをクリック)


メタボリック・シンドローム対策、減少の程度で保険者への支援金を増減 厚労省(2006.8.30)

 メタボリックシンドロームの該当者と予備群を2015年度までに25%減少させることを目標として、保険者に義務付けられた健診と保健指導を円滑に推進するため、厚生労働省保険局は、国民健康保険と健康保険組合、また、健診担当者、医師会、病院団体、看護協会、栄養士会などの関係者による検討会を設置、8月30日に第1回目を開催しました。

   保険者に健診と保健指導を義務付けたことについて、厚生労働省は、健診データをレセプトとつき合わせて評価・分析、それに基づいて健診と保健指導の改善を行うことが可能であることを強調しました。

 保険者は社会保険診療報酬支払基金を通じて健診と保健指導のデータを国に提出、国はそれを都道府県ごとに分析・評価して健診・保健指導の内容の見直しを行うこととなります。
 そして、都道府県は、国が公表したデータを活用して、医療計画や都道府県医療費適正化計画の策定、評価、見直しを行います。

 保険者による健診・保健指導は、後期高齢者の医療制度を定めた「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づくもので、健診・保健指導の結果報告に基づいて、支払基金は保険者に対する後期高齢者支援金を加減算することになります。
 評価の指標としては、(1)健診受診率、(2)保健指導の実施率、(3)メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率、を使用します。加算・減算はプラスマイナス10%の範囲内で別に政令で定めることとしています。

 制度は08年度から実施となりますが、後期高齢者支援金の加算・減算はそれから5年後の13年度からのスタートです。
 検討会では、実施に向けた関係者それぞれの個別問題が議論され、データ報告の様式など具体策はワーキンググループで詰めることとされました。
資料:検討会配布資料(ここをクリック)


医療法人の付帯業務に「認定こども園」追加(2006.8.30)

 医療法人が行うことのできる付帯業務に「認定こども園」が加えられることになります。導入に向けて厚生労働省が現在パブリック・コメントを募集しています。

 小学校就学前の子供の教育や保育に対する需要が多様なものとなっていることから、子育て支援の総合的な提供を推進することとして、今年6月に「就学前の子供に関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が成立、「認定こども園」が創設され、10月から実施されます。

 これに対応して厚生労働省は、医療法人制度の付帯業務として「認定こども園」を加える方針です。パブリック・コメントを参考として制度の見直しを進めることとしています。パブリック・コメントの応募締切りは9月27日です。
資料:医療法人の付帯業務の見直しに関する意見の募集(厚生労働省)(ここをクリック)


支払基金6月分 件数増で0.2%増、1件当たり金額はマイナス続く(2006.8.29)

 社会保険診療報酬支払基金の6月分の支払金額は0.2%の微増となりました。5月に続いてのプラスです。日数は前年同月と変わりませんが、件数が3.6%増と大きな伸びを示しました。1件当たり金額では前月に続いてマイナスだったことになります。

 医科で見ると、入院は件数が1.2%減に対して金額が0.5%増、入院外は件数が2.7%増で金額は0.3%増となりました。1件当たり金額としては、入院は3ヵ月連続でプラス、入院外は3ヵ月連続でマイナスとなります。
 入院の件数はマイナス基調に戻った形です。老人保健の入院件数は5.0%減となっています。
資料1:支払基金支払確定状況(06年6月)(ここをクリック)
資料2:支払基金データのまとめ(Online Med)(ここをクリック)


 
国保5月医療費3.2%増、件数と日数が増加(2006.8.29)

 国保(国民健康保険、老人保健、退職者医療)の06年5月分の医療費は1兆5996億円で対前年同月比3.2%増となりました。件数は3.3%増、日数は2.6%増です。昨年5月に比べて平日が1日多く休日が1日少なかったことが影響しています。

 国保医療費の大部分(96%)を占める市町村国保で見ると、「入院外・調剤」の医療費が4.8%増と大きな伸びを示し、「入院・食事療養」の医療費は2.0%増にとどまっています。
 「入院外・調剤」は、件数が3.4%増、日数は3.2%増となり、平日が1日多かったことの影響と見られます。
 「入院・食事療養」は、件数2.8%増、日数0.7%増となり、件数では平日が多かったことの影響が見られますが、日数では平日1日分に見合う増加とはなっていません。

 1日当たり医療費は、合計で0.5%増、「入院・食事療養」1.3%増、「入院外・調剤」1.5%増となりました。「入院外・調剤」は4月に引続きプラスとなりました。
資料:国保医療費の動向(06年5月)(国保のひろば→左欄「発表資料」→中央部「医療費・給付」)(ここをクリック)


小児適応のない医薬品、エビデンスを収集評価 メーカーに一変申請指導へ(2006.8.29)

 小児の治療上不可欠な医薬品でありながら、その医薬品が小児用の適応の承認をとっていないために適切に投与されにくい医薬品について、厚生労働省は検討会を設置して、エビデンスを収集、科学的な評価をした上で、医療従事者に提供する作業を進めています。
 小児科の各学会から多数寄せられた中から当面、8品目を選定して優先的な検討を進めており、厚生労働省ではその報告書を元に各メーカーに承認の一部変更申請を行うよう指導する方針です。

 優先検討品目は、「米英独仏などで承認されている」「適応疾病が重篤」「既存の治療法や予防法がないなど小児科領域の医療上の有用性」の観点から選定されました。

優先検討品目と対象疾病
・酢酸フレカイニド : 頻脈性不整脈(日本小児循環器学会)
・メチルフェニデート : 注意欠陥および多動性障害(日本小児神経学会ほか)
・シプロフロキサシン : β−ラクタム剤無効の重症感染症(日本小児感染症学会)
・メトトレキサート : 若年性特発性関節炎(日本小児リウマチ学会)
・シクロホスファミド : 小児リウマチ性疾患(日本小児リウマチ学会)
・アセトアミノフェン : 小児科領域の解熱(日本外来小児科学会)
・A型ボツリヌス毒素 : 眼瞼痙攣の改善、片側顔面けいれんの改善および痙性斜頚の改善ならびに脳性麻痺における下肢痙縮の改善(日本小児神経学会)
・アシクロビル : 新生児単純疱疹ウイルス感染症(日本未熟児新生児学会)
資料:検討を開始する薬物療法(ここをクリック)


病院の外来患者数、6ヵ月連続で減少 病院報告2月(2006.8.29)

 厚生労働省の06年2月分の病院報告によると、全国の病院の1日平均外来患者数は2月も前年同月比で減少し6ヵ月連続の減少となりました。2月の全国の病院の1日平均外来患者数は1 57万7462人で6万7192人の減少となりました。

 また、平均在院日数は19.8日となって、1月の20.7日から0.9日短縮、20日を割りました。05年2月に比べても0.5日の短縮となっています。平均在院日数は05年12月に18.9日と最短を記録しており、今後も年末に向けて短縮傾向が進むものと見られます。
資料:病院報告06年2月分(ここをクリック)


治験情報は提供されていない6割、知りたい7割 アンケートで判明(2006.8.28)

 患者と一般生活者を対象とした治験についての意識調査の結果、聞いたことがあるを含めて74%が「治験」を知っていましたが、「治験に関する情報提供は行われているか」には60%が「そう思わない」とし、72%が「治験に関する情報」を「知りたい」と答えました。患者や一般生活者は治験情報の提供を望んでいることが明らかにされました。調査は今年の7月から8月にかけて行われました。

 厚生労働省の調査班(班長:小林真一・聖マリアンナ医科大学薬理学主任教授)が実施したアンケート調査で、大学病院と国立病院機構の11病院の治験参加者185人、2市と6府県の医師会の協力による一般患者299人、インターネット利用の一般生活者822人、合計1306人から回答を得たものです。8月28日の次期治験活性化計画策定検討会で中間報告が行われました。

 「治験という言葉の内容を知っていた」は55%に達しました。「言葉は聞いたことがある」は19%で、両者を合わせると74%が知っていたことになります。

 しかし、「わが国では治験の情報提供は行われているか」には、60%が「そう思わない」とし、逆に「治験に関する情報を知りたいと思うか」には、72%が「そう思う」と答え、治験情報を求める声が多いことが明らかにされました。

 「日本国内で治験を行うことが必要か」には、76%が「そう思う」と答えました。
 また、回答者のうち、治験に参加したことがある人は19%、246人で、治験に参加したきっかけとなった情報を知ったのは、191人が「医師や治験コーディネーターなど病院職員」とし、インターネット24人、家族や友人・知人20人、新聞・雑誌・広告18人(複数回答)となりました。
 治験参加者で「次回も治験に参加したい」は、61%が「そう思う」とし、「どちらともいえない」7%、「わからない」26%となりました。


治験活性化へ中核拠点医療機関整備、治験薬名の情報提供も(2006.8.28)

 厚生労働省の次期治験活性化計画策定検討会(座長:楠岡英雄・国立病院機構大阪医療センター副院長)は8月28日の第3回会議で、治験と臨床研究を担う「中核拠点医療機関」の育成を図ることとしました。治験を効率的・効果的に進めて症例の集積性を高めることを目指します。
 また、実施中の治験の情報提供について、現在は認められていない医薬品名と実施医療機関名を含めて、情報提供の充実を検討します。

 中核拠点医療機関は、(1)IRBの設置と開催頻度、治験管理室の設置など、(2)統一契約書式の採用や出来高払いの徹底など効率的な治験契約環境、(3)医師・CRC・一般職員への教育、医師の治験業務時間の確保など、(4)患者への情報提供の一元化、治験に関する患者相談窓口、治験専門外来、などの要件を備えることとする方向です。

 治験情報の提供については、現行では「個別企業の被験者募集の場合、治験薬の名称や治験記号を表示しなければ医薬品の広告には該当しない」「治験薬の名称や治験記号を表示しなければ、治験の対象疾患名と実施医療機関名を広告することは可能」とされ、治験薬の名称について規制がかけられています。

 これに対し、厚生労働省は28日の検討会に「どこ(医療機関)で何の医薬品の治験が行われているかに関する情報提供の充実」を、論点として示しました。医薬品の広告規制を踏まえながら、治験情報の充実を図ろうとするものです。

 また、被験者の参加促進策として、厚生労働省は「治験終了後の医薬品の継続提供の必要性」も論点に上げました。
 中島氏(製薬協医薬品評価委員長)は、治験終了後も安全確認試験を含めて治験の形で対応することは企業にとって負担が大きいとして、ヨーロッパで進んでいるコンパッショネート・ユース(思いやり提供)のような方法の検討を求めました。病院で治験を担当している委員からも同様の意見が出されました。


患者からの未収金、1病院当たり716万円 保険者に請求へ(2006.8.27)

厚労省は「政治的解決が必要」
 患者から回収できていない一部負担金が04年度の1年間で1病院当たり716万円に達していることがわかり、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神病院協会で構成する四病院団体協議会は、健保法と国保法の規定を根拠に保険者にその支払いを求める行動に出る必要があるとし、保険者がそれに応じない場合は集団訴訟など法的対応も検討する姿勢を示した報告書をまとめました。

 四病協はその報告会として8月25日に都内でフォーラムを開催、保険者に支払いを求めるための書式も提示しました。
 健保法と国保法は、「善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることに努めたにもかかわらず、被保険者が一部負担金を支払わないときは、保険者は保険医療機関の請求に基づき、これを処分することができる」としています。さらに、昭和34年の旧厚生省保険局長通知では、医療機関は一部負担金の支払義務が発生した費から2ヵ月以内に請求すること、「再診時に請求しない」ことは「善良な管理者と同一の注意義務をつくしたとは認められない」など、処分の具体的な対応を示しています。

 しかし、フォーラムに参加した厚生労働省の唐澤・国民健康保険課長は個人的見解としながら、「政治的な解決」が必要との考えを示しました。医療機関には医療法による応召義務があり診療を求める患者を拒むことができず、一方、国民健康保険も国民皆保険制度のなかで保険者である市町村は被保険者を選ぶことができないという関係があることをその理由としました。また、解決のための財源は税金か保険料かしかないとしました。

 一方、唐澤課長は、厚生労働省として、高額療養費制度を改め、来年度から高額療養費分について窓口負担を不要とする方式とする方針であることを示しました。70歳以上の高齢者にはすでに実施されていますが、70歳未満にも適用するものです。「未収金ができるだけ発生しない工夫を重ねていく」ということです。すでに、厚生労働大臣が国会でそうした考えを示しています。

 1病院当たり未集金の額は、公的病院が最も多く1917万円に達しましたが、個人病院も718万円あります。医療法人病院は比較的少なく375万円でした。全国の3271病院がアンケートに回答しました。


04年度国民医療費32.1兆円、1.8%増 対国民所得比8.89%(2006.8.25)

 厚生労働省は8月25日、04年度の国民医療費が32兆1111億円となり、前年度に比べ5737億円、1.8%増加したと発表しました。昨年発表のMEDIASによる04年度概算医療費では31.4兆円で2.0%増とされていました。伸び率は概算医療費より低くなっています。また、05年度概算医療費は32.4兆円で3.0%増とより高い伸びとなっています。
 国民1人当たり医療費は25万1500円で前年度に比べ1.8%増加、国民医療費の国民所得に対する割合は、8.89%で前年度より0.09ポイント増加しました。

 制度別に見ると、45.9%を占めた医療保険等給付分が4.6%増加したのに対し、老人保健給付分は0.9%減少して構成割合は32.9%となり、患者負担も0.6%減少して構成割合は15.3%となりました。

 診療種類別では、医科の医療費である一般診療医療費が1.1%増にとどまって構成割合は75.9%となり0.5ポイント低下、一方、薬局調剤医療費は7.8%の大幅増で構成割合も0.8ポイントアップの13.1%となりました。
 一般診療医療費75.9%のうち病院は51.3%で0.7ポイント低下したのに対し、診療所は24.6%で0.2ポイント増加しました。

 一般診療医療費を傷病分類別に見ると、
(1)循環器系の疾患   5兆4603億円(構成比22.4%)
(2)新生物       2兆7676億円(11.4%)
(3)尿路性器系の疾患  1兆9956億円(8.2%)
(4)呼吸器系の疾患   1兆9801億円(8.1%)
(5)精神及び行動の障害 1兆9506億円(8.0%)
の順となりました。

 上位5位以内で伸びたのは、循環器系の疾患と尿路性器系の疾患で、尿路性器系の疾患は前年度の5位から3位へと大きな伸びを示しました。呼吸器系の疾患と精神及び行動の障害は1ランク順位を落としました。
資料:平成16年度国民医療費の概況(ここをクリック)


療養病棟入院基本料、患者分類導入の新点数に批判噴出 調査専門組織分科会(2006.8.24)

点数設定の根拠データ、厚労省が次回提出
 患者の医療の必要性の程度による評価に改められた療養病棟入院基本料について、その結果の検証と次回改定に向けた調査を進めるために、8月24日に今年度初めて開催された中医協の下部機関である診療報酬調査専門組織の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長:池上直己・慶応大学医学部教授(医療政策・管理学))で、新たな点数評価は同分科会が報告した患者分類に基づくものの、医療区分1の764点と医療区分3の1740点では2.3倍の開きがあるなど「調査に携わった立場、現場を担当する者の実感から大きく乖離している」などとして、委員から改定点数に対する批判の声が相次ぎました。

 同分科会では、昨年11月11日に療養病床の患者分類案をまとめました。その後、中医協に報告され、中医協はそれに基づいて点数改定を行ったものです。

 青梅慶友病院理事長の大塚宣夫氏は、「医療区分1と3では2.3倍の開きがあり、1は3の4割程度しか手がかからないという評価」だとし、患者分類のために行った調査の結果で「手のかけられ方にそんなに大きな乖離があったのか。そのデータを示して欲しい」と主張しました。

 これに対し厚生労働省は、調査の中でレセプトデータも得て「その平均値をある程度参考にした」などとし、次回にデータを提出することとしました。

 日本療養病床協会会長で光風園病院院長の木下毅氏も「医療区分1・2・3の比率について分科会で議論しなかったがすべきだった」と発言、天翁会天本病院院長の天本宏氏は「われわれが想定した9区分が5区分になったが、その前提条件にどのような変化があったのか」と批判、寿康会病院理事長の猪口雄二氏は「われわれもびっくりする結末になった。検証はわれわれの区分でするのか、点数の区分でするのか」と質しました。

 こうした意見に対し、厚生労働省は考え方を整理した上で次回に改めて説明するものとしました。池上分科会長は、「重たい課題を抱えて、分科会の宿題が課せられた」とこの議論を総括しました。
資料:06年度第1回分科会 配布資料(ここをクリック)


療養病棟入院基本料で医療区分の妥当性など検証、国保全レセ対象に調査 専門組織分科会(2006.8.24)

 診療報酬調査専門組織・慢性期入院包括評価調査分科会は8月24日の今年度初の会議で、療養病棟入院基本料に新たに導入された患者分類の手法について、検証のための調査を行うことの議論を行いました。
 厚生労働省は、国保被保険者の今年10月分以降の療養病棟入院基本料算定レセプトすべてを対象に、療養病棟入院料AからEまでの算定状況、医療区分の該当状況、各医療区分の主な算定根拠、ADL得点、認知症が医科さんの算定状況などを調査する方針を示しました。

 また、同分科会が04年と05年に行った調査で対象となった療養病床を有する89医療機関を含む医療機関を対象に、患者分類に基づく包括評価に伴う職員配置の変動、患者構成の変動、患者特性調査、医師・看護師などの業務のタイムスタディ調査、医療機関の人件費・減価償却費・医薬品費などのコスト調査も実施する方針です。

 しかし、この調査の方針に対しても委員からは次の改定に向けて警戒する発言が多く出されました。大塚氏(青梅慶友病院)は、調査の観点の1つとされた「医療区分の妥当性」について「医療区分1は入院の必要性がないとされたがそうだとするとその視点で区分を見直す必要がある」とし、「どのような視点での妥当性か」と質しました。

 池上分科会長は、「点数との関係ではなく前回調査結果との妥当性と考えている」としましたが、厚生労働省は妥当性についての考え方をさらに整理して次回に説明することとしました。  次回は9月13日に開催します。
資料:06年度調査の実施について(ここをクリック)


ジェムザールで肝機能障害、破傷風ワクチンでショック、ラキソベロン液で腸閉塞(2006.8.24)

 厚生労働省は8月24日、医薬品・医療機器等安全性情報No.227で、抗がん剤「ジェムザール注射用」(日本イーライリリー)に「肝機能障害、黄疸」、破傷風ワクチン「沈降破傷風トキソイド」(5社)に「ショック、アナフィラキシー様症状」をそれぞれ「重大な副作用」に追記、また大腸検査前処置の効能を有するピコスルファートナトリウム(ラキソベロン液=帝人ファーマ、ほか10社10製品)には「腸管に閉塞のある患者又はその疑いのある患者」などを「禁忌」として追記、添付文書の改訂を行ったと発表しました。

 ジェムザール注射用の「肝機能障害、黄疸」は直近3年間に6例の報告があり、うち3例が死亡例でした。05年度の年間使用者数は約5万7000人です。

 沈降破傷風トキソイドの「ショック、アナフィラキシー様症状」は直近3年間に3例の報告がありましたが死亡例はありません。メーカーは化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研、北里研究所、武田薬品の5社です。05年度の年間使用者数は約70万人です。

 大腸検査前処置の効能を有するピコスルファートナトリウムでは「腸閉塞,腸管穿孔」が直近3年間に6例(死亡例なし)あり、禁忌、慎重投与、重要な基本的注意、重大な副作用の各項目で追記、改訂が行われました。ラキソベロン液のはかは後発品です。05年度の年間使用者数は約500万人、うち大腸検査前処置での使用は約70万人とされています。
資料:医薬品・医療機器等安全性情報227号(ここをクリック)


入院外投薬最多はロキソニン、薬剤比率1位はメバロチン 03年首都圏総合健保(2006.8.23)

 首都圏を中心とした総合健保組合の03年の入院外レセプトを対象とした健保連の分析調査の結果、入院外の患者に最も多く処方された医薬品は消炎鎮痛薬のロキソニン(三共)であることがわかりました。記載されているレセプトの割合は4.86%となりました。
 一方、薬剤点数に占める薬剤比率が最も高いのは高脂血症用薬のメバロチン(三共)で2.40%でした。

上位に抗潰瘍薬が2剤 使用割合が高いのは(1)ロキソニン(消炎鎮痛薬、三共)4.86%、(2)セルベックス(抗潰瘍・胃炎薬、エーザイ)4.01%、(3)ノルバスク(降圧薬、ファイザー)3.23%、(4)ムコスタ(抗潰瘍・胃炎薬、大塚製薬)2.99%、(5)ムコダイン(鎮咳去痰薬、杏林製薬)2.52%、などでした。薬剤比率でトップだったメバロチンは8位で2.14%でした。
 10月と11月のレセプトを対象としているため、季節的な面があることを考慮する必要があります。

 前年の02年には(1)ムコダイン7.31%、(2)ロキソニン5.93%、(3)PL顆粒(総合感冒薬、塩野義製薬)5.37%、(4)フロモックス(抗菌薬、塩野義製薬)、(5)セルベックス4.15%、となっていました。
 総合感冒薬と抗菌薬が入っているのは、02年には急性上気道炎を主病名とするレセプトが5.7%を占め、03年の2.6%の2倍以上であったことを反映するものとしています。

薬剤比率2位にリピトール 薬剤点数に占める薬剤比率の上位は、(1)メバロチン(高脂血症用薬、三共)2.40%、(2)リピトール(高脂血症用薬、アステラス製薬)2.12%、(3)ノルバスク(降圧薬、ファイザー)2.08%、(4)ラミシール(抗真菌薬、ノバルティスファーマ)1.45%、(5)アレグラ(抗アレルギー薬、サノフィ・アベンティス)1.38%、となりました。
 高脂血症用薬が1位と2位を占めました。メバロチンは前年も1位、リピトールは前年の4位からのアップとなりました。ラミシールは前年には15位以内にも入っていません。ノルバスクは前年の2位から順位を落としましたが、薬剤比率は0.21ポイント増えています。

資料:健保連ホームページ(http://www.kenporen.com/)→「調査研究事業」→「平成17年度 適正な薬剤使用に関する研究」


院外処方の薬剤点数が院内処方より低い、分業の効果か 健保連調査(2006.8.22)

 03年の入院外のレセプト1件当たり平均薬剤点数は、診療所では院内投薬313.8点、院外投薬342.0点と院外投薬の方が高く、病院では院内投薬723.3点、院外投薬629.6点と院内投薬の方が高いという調査結果が明らかになりました。
 医薬分業をすると薬剤使用の効率化・適正化が進み薬剤費が減ることになると考えられ、さまざまな分業促進策がとられてきましたが、病院では実際にそうした結果が出たことになります。

 健保連が首都圏を中心とした総合健保組合の03年10月と11月の医科入院外全レセプトを対象に分析調査したものです。

 調査は02年との比較も行っており、02年に比べると、診療所、病院とも院内投薬では増加したのに対し、院外投薬ではわずかながら減少しました。これも、分業による薬剤使用の効率化・適正化を示すものと言えそうです。

 生活習慣病を中心とした疾患別の分析も行っています。疾患別では、薬剤点数の前年との増減にばらつきがあります。
 院外投薬では、診療所と病院のうつ病、病院の高脂血症、診療所と病院の急性上気道炎で減少しました。しかし、高血圧症と骨粗しょう症では診療所も病院も増加しました。糖尿病は診療所、病院とも横ばいです。
 院内投薬は、病院の急性上気道炎を除いて、うつ病、高血圧症、高脂血症、骨粗しょう症、糖尿病で、診療所、病院のいずれも増加しました。
 院内投薬はほぼ全体的に増加、院外投薬では減少したものがあるということからは、やはり、分業による薬剤使用の効率化・適正化がみられるということになりそうです。

 調査対象となった医科入院外のレセプト10万360件に対し、院外処方のあるレセプトは49.7%でした。
 また、投薬のないレセプトを除いた7万3531件に対する院外処方のあるレセプトの割合は67.9%になりました。これを病院と診療所の別に見ると、診療所66.0%、病院70.1%となります。医薬分業がかなり進んだ段階での調査結果であるといえます。

資料:健保連ホームページ(http://www.kenporen.com/)→「調査研究事業」→「平成17年度 適正な薬剤使用に関する研究」


2ヵ月連続で人口増加、出生数増加は5ヵ月連続 6月の人口動態速報(2006.8.21)

 厚生労働省の人口動態統計速報06年6月分によると、出生数の増加が6月も続き、そのため人口の自然増も5月に続いて2ヵ月連続しての増加となりました。出生数の増加は2月から5ヵ月連続となりました。

 速報値は、国内の日本人のほか、国内の外国人、海外の日本人の動向を含むもので、国内の日本人の動向として後に公表される人口動態統計月報(概数)とは数値が異なります。ただ、基本的な傾向は速報でつかむことができます。

 6月の出生は9万2047人で前年同月に比べ2632人増加しました。死亡も3046人増加しましたが8万2223人で、その差9824人が自然増となりました。

 人口の自然増は、昨年5月から10月までプラスで推移した後、11月から減少が続いていましたが、今年5月に再び増加に転じました。今年の増加は、出生数の増加が背景にあり、そこが昨年と大きく異なっています。
資料:人口動態統計速報06年6月分(ここをクリック)


医療訴訟件数 05年に初めて減少、全国で999件(2006.8.20)
平均審理期間26.8ヵ月、10年で10ヵ月短縮
 医療訴訟の05年中の新規件数は999件となり、前年に比べて111件減少、年々増加を続けていた医療訴訟がこの10年間で初めて減少しました。一方、既済件数は鑑定人の選任方法の改善や審理の効率化などにより05年も43件増加して1047件となりました。最高裁判所がまとめました。

 05年の既済1047件の審理期間は平均26.8ヵ月となり、前年より0.5ヵ月短縮しました。裁判の効率化により平均審理期間は10年前に比べて10.2ヵ月短縮されています。

 既済1047件の内訳は、和解が523件で50.0%を占め、判決は392件で37.2%となりました。取り下げも46件、4.4%ありました。この10年では01年と02年に和解が判決をわずかに上回りましたが、それ以外は和解が判決を上回っています。

 判決のうち、訴えの内容が一部でも認められた認容の件数割合は、05年は37.8%で前年を1.7ポイント下回りました。この10年では1997年の37.3%に次いで低い割合ですが、認容率はおおむね40%前後で推移しています。

 新規訴訟999件を診療科別にみると、(1)内科265件、(2)外科257件、(3)産婦人科118件、(4)整形外科97件、(5)形成外科43件、が多くなっています。また、歯科が69件ありました。
 減少は、産婦人科の33件減が最も多く、内科も15件減少しました。
資料1:医事関係訴訟事件の処理状況及び平均審理期間(ここをクリック)
資料2:医事関係訴訟事件の終局区分別既済件数及びその割合(ここをクリック)
資料3:地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率(ここをクリック)
資料4:医事関係訴訟事件の診療科目別新受件数(ここをクリック)


医療機能評価機構 新規38病院を認定、認定病院2135に(2006.8.18)

 財団法人日本医療機能評価機構は、新規38病院、更新5病院、合わせて43病院の認定を発表しました。これにより認定病院数は2135となりました。
 新規38病院の内訳は、一般病院15、精神科病院4、療養病院5、複合病院14です。また、リハビリ付加機能評価での認定が2病院ありました。
資料:認定病院一覧(ここをクリック)


転倒し骨盤骨折の救急患者、頭部障害発見遅れで死亡に慰謝料1500万円 東京地裁判決(2006.8.17)

 階段で転倒し救急車で搬送された男性(74歳)について、左大腿骨頚部骨折および骨盤骨折の疑いとの診断で入院させたものの、頭蓋骨骨折、硬膜下血腫、脳室内出血があったにも係らず、当初に頭部のレントゲン検査およびCT検査を行わなかったためにそのことの確認が遅れ、結果として男性は死亡したとして、男性の妻と2人の子による1500万円の慰謝料請求訴訟に対し、病院を経営する医療法人とその理事長に請求全額の支払いを命ずる判決が、7月に東京地裁でありました。

 不動産賃貸の管理業務を行っていた男性は02年9月20日、午前11時前後に自宅のコンクリート製の外階段で転倒し踊り場で座り込んでいたところを帰宅した妻に発見され、午後0時23分ころ救急車を呼び、午後0時51分に被告病院に搬送されました。

   男性は、救急隊員、病院で診察した整形外科医に対し、外階段で転倒したこと、左大腿部痛があることなどを訴えました。
 股関節・手指・胸部のレントゲン検査および骨盤のCT検査等により、左大腿骨頚部骨折および骨盤骨折の疑いと診断され、安静と経過観察を目的として入院となりました。  整形外科医は、男性に対し頭や首、背中を打っていないか、意識がなくなったことはないか、麻痺・しびれ等の症状はないかなどと複数回にわたって確認したとし、これに対して男性は、頭や首、背中は打っておらず痛くもない、痛いのは左足の付け根である、意識もなくなったことはないなどと明確に答えたということです。また、外科医が外表検査として頭部に傷がないことを確認しました。
 このため、診察当初には「頭部のレントゲン検査およびCT検査の適応はなかった」というのが病院側の主張です。同病院には脳神経外科はありません。

 しかし、男性は同日午後5時ころ、意識レベルが低下して声かけに反応がない状態に陥いり、直ちに頭部のレントゲン検査およびCT検査を受け、そこで頭蓋骨骨折、硬膜下血腫、脳室内出血が確認され、午後6時ころ、脳神経外科のある病院に転送、緊急手術として開頭血腫除去術が行われましたが、意識が回復しないまま12月9日に死亡しました。

 男性の妻と2人の子は、当初搬送された病院で、必要な頭部のレントゲン検査などが行われなかったために頭部の障害の発見が遅れ死亡したものとして提訴したものです。

医師の注意義務違反を認定 判決は、
(1)高齢者が大腿骨頚部および骨盤骨折を生ずるような強さや態様で外階段で転倒したという事実関係の下では、転倒の際に頭部をも打った可能性があるといえる、
(2)外傷性頭蓋内血腫については、受傷時には意識が明瞭でありながら数時間経ってから次第に意識障害が現れ進行性に増悪することがあり、特に高齢者の場合、脳の萎縮のために血腫や脳浮腫が高度になるまで意識障害等の症状が現れないことがある、
(3)頭部外傷の場合、意識障害がなさそうに見えても、外傷性健忘を来していて受傷時の記憶がないことがあり、意識障害がないと思われる場合でも頭部打撲がないということには必ずしもならず、したがって一定の頭部外傷の可能性を示唆する受傷状況が想定できる限り、受傷の瞬間の様子を尋ねてみることも重要といえる、
として、診察した整形外科医は男性の入院時点でこうした事実関係を把握していたものと認定。

 さらに判決は、男性が転倒事故で頭部を頭蓋骨骨折が生じたほどの強さで打っていたことが明らかであるにもかかわらず、整形外科医の問診時に頭は打っていないなどと明確に答えているのでその時点で外傷性健忘を来していたことが優に認められ、同医師が事故態様等についての詳細な問診を実施していれば、男性が外傷性健忘に陥っていて頭部外傷の疑いが残ることを容易に認識することができ、頭部のレントゲン検査ないしCT検査が実施されることになったであろうことが認められるとし、それを行わなかったことは「診療上の注意義務の違反があるといわなければならない」と断定しました。

 また、入院時点での頭部レントゲン検査などにより男性が脳神経外科のある病院に転送されていれば、意識障害が生じないうちに開頭血腫除去術が行われることにより救命された蓋然性が高いということも認定しました。
 その結果、原告請求の慰謝料を全額支払うよう命ずる判決となりました。
資料:損害賠償請求事件(裁判所HP)(ここをクリック)


仮死状態の出産から7ヵ月後の死亡に慰謝料440万円、大阪地裁判決(2006.8.16)

 産婦人科医院で男児を分娩したが、同医院での不必要な分娩誘発措置や不適切な分娩監視などの過失のため、男児は出生後7ヵ月あまりで死亡するに至ったとして、不法行為に基づき3710万円の損害賠償を求めたのに対し、産婦人科医院の一部の過失を認め、原告夫婦に440万円を支払うよう命ずる判決が7月に大阪地裁でありました。

 原告である母親は01年11月に被告医師が経営する産婦人科医院(医師は被告医師のみ)を受診して妊娠が確認され、以後継続して受診していました。02年7月、母親は陣痛開始前に自宅で破水、被告医師の指示を受けて被告医院に入院しました。翌日の午前3時32分ころ、男児を出産しましたが、仮死状態でした。同日午前10時40分ころ、男児は大阪府立病院に転送、「重症新生児仮死、低酸素性虚血性脳障害」と診断され、治療を受けていましたが、03年年3月1日に低酸素性虚血性脳症のため死亡しました。

 母親が産婦人科医院に入院した後、被告医師は母親に分娩誘発のためネオメトロを挿入、また准看護師が分娩監視装置を装着、一人で当直する准看護師に異常が認められた場合はすぐに医師に連絡するよう指示して午後8時ころ、道路を挟んで向かい側の自宅に帰りました。

 原告は分娩誘発措置に過失があったと主張しましたが、判決では医師の裁量の範囲内とされました。

准看護師に注意義務違反 一方、分娩監視では、准看護師は出産直前の午前3時ころの時点で胎児ジストレスと思われる所見あるいは遷延一過性徐脈と思われる所見が認められるとの連絡を医師にすべきであったとし、その連絡をしなかった准看護師の対応は「注意義務違反」に当たると認定しました。

   准看護師は午前3時ころ、母親のコールを受けて病室を訪れ、ネオメトロが外れていたため分娩が進行しているものと考え助産師を呼んでいました。午前3時15分ころ、分娩台に上がった母親を見て、助産師と准看護師は臍帯脱出に気づき、医師に連絡、医師は午前3時21分ころ医院に到着し、臍帯還納を試みたものの奏功せず、吸引分娩を開始して午前3時32分ころ分娩となりました。

 男児は全身チアノーゼで重度の仮死状態でしたが、医師は人口換気や心臓マッサージを施したものの高次医療機関に搬送しようとはしませんでした。午前5時35分ころに自発呼吸をするようになり午前7時10分ころに保育器に収容、酸素飽和度90%前後でしたが、この時点でも高次医療機関へ搬送しようとはせず、午前9時40分ころにはチアノーゼが再び悪化、午前10時過ぎに酸素飽和度が80%未満となり、ようやく新生児診療相互援助システムを利用して大阪府立病院に搬送しました。

医師は高次医療機関への即時搬送義務違反 これに対し、判決は、男児が出生した時点で、被告医師は蘇生措置を行うのと並行して、新生児診療相互援助システムを利用するなど高次医療機関に搬送するよう手配すべき義務があったものとし、その義務に著しく違反したものと認定しました。

 損害賠償については、判決は被告医師と准看護師による過失と男児の死亡との相当因果関係は認められないとして、男児死亡に対する損害賠償は認めませんでした。
 しかし、准看護師による過失がなければ男児の低酸素性虚血性脳症の程度が軽減されていた可能性があるばかりでなく、同症の発生自体防止し得た可能性もあったとし、慰謝料400万円、弁護士費用40万円の支払いを被告医師に命じたものです。
資料:損害賠償請求事件(裁判所HP)(ここをクリック)


大学病院眼科に手術ミスで2千万円の損害賠償、東京地裁(2006.8.15)

 大学病院の眼科で左目の黄斑部網膜上膜形成症に対する黄斑上膜手術と白内障手術を受けた際に、担当医師が誤って薬剤を眼内に混入させるなどの過失があり、そのために視力低下などの症状を発生させたとして、9000万円余りの損害賠償が請求された民事裁判で、病院側の過失が認定され、1970万円余りの支払いを命ずる判決が7月末に東京地裁でありました。

 手術は被告大学病院のD医師によって02年11月に行われ、入院2週間で退院しましたが、術前に1.2あった左目の視力は0.04に低下し、角膜に浮腫がみられました。
 D医師はその後、視力回復のため角膜移植を受けるよう原告にすすめてF総合病院を紹介、原告は翌03年1月にF総合病院を受診し3月に同病院で角膜移植手術を受けました。
 さらに03年6月、被告である大学病院を再度受診、左目の増殖した網膜の除去手術が必要との診断により、D医師による手術を受けました。その結果は、左眼の薄暗さは改善されたものの、物が薄ぼんやりとしか見えず、字はまったく読めないという状態でした。

 04年1月、原告はD医師の診察を受けた際に、D医師から「左眼の視力の回復は望めない。原因としては、最初の手術時の薬の間違い、膜外しの失敗および強烈な光を眼に当てすぎたことが考えられるが、消去法で考えると、薬の間違いだと思う」と説明されました。
 D医師は、F病院への紹介状の中でも「角膜全体に浮腫、混濁があります。原因としては、術中の機械的刺激や薬剤etcの迷入などが考えられますが、確証はありません」と書いていました。
 原告は、その後H病院を受診、左眼は黄斑部機能障害で視力0.09、それ以上の矯正は不能との診断を受けました。

 判決は、被告である大学病院側が過失の有無については積極的に争わず、眼内に局所麻酔薬などを誤って混入させた可能性があると認めていたため、D医師が原告に説明した内容から、被告には過失があると認定したものです。

 原告は手術当時は年商530億円の会社社長(05年7月から会長)で、治療費自己負担分、入院雑費、通院交通費、後遺障害による逸失利益(年収2700万円)、慰謝料、弁護士費用を合わせて9018万円余りの損害賠償を請求しました。
 これに対し、判決は1970万円余りを認容しました。すべての項目で損害額が認められています。治療費自己負担分には、手術後の頭痛の治療のための鍼灸、カイロプラクティック、指圧の費用も含まれています。
資料:損害賠償請求事件(裁判所HP)(ここをクリック)


国内出生数が2月・3月と増加、3月の死亡は1万2千人減少(2006.8.14)

 厚生労働省の人口動態統計月報(概数)06年3月分によると、国内の日本人は、出生数が90371人で前年同月比1963人増加となり、2月に続いて増加を記録しました。国内の外国人や国外の日本人の状況も含めた速報値では公表されている5月分まで出生数の増加が続いています。国内の日本人の出生数も同様に推移しているものとみられます。
 しかし、3月時点では出生数よりも死亡数の方が多い状況が続いており、人口としては5088人の減少となっています。

 3月の死亡数は10万7529人で、前年同月に比べ1万2070人減少しました。昨年3月はインフルエンザが大流行して肺炎による死亡数が3829人(43%)増加したのをはじめ死亡数全体で1万5762人増加したのに対し、今年はインフルエンザの流行がほとんどない状態となったため、肺炎による死亡が3311人減少、その他の死因でも死亡数は減少しました。

 死因別死亡数は、(1)悪性新生物2万7257人、(2)心疾患1万6240人、(3)脳血管疾患1万1490人、(4)不慮の事故3465人、(5)自殺2780人、(6)老衰2487人、などです。
資料:人口動態統計月報(概数)06年3月分(ここをクリック)


療養病床の減少続く、一般病床は増加の流れに(2006.8.10)

療養病床のない一般病院が増加傾向
 療養病床の減少と療養病床を有する病院の減少は確実な流れになっています。一方で、療養病床のない一般病院は増加、一般病床数も増加の流れになっています。
 厚生労働省の医療施設動態調査5月分で、療養病床は1288床減少、療養病床を有する病院も12施設減少、3ヵ月連続の減少となりました。逆に療養病床のない一般病院は2施設増加して4ヵ月連側の増加となり、一般病床は1521床増加しました。

 06年5月の一般病床は90万7260床、療養病床は35万6548床です。療養病床を有する一般病院は4342施設、療養病床のない一般病院は3580施設です。一般病院総数は7922施設で、10施設減少しました。
 一般診療所は、無床が131施設増の8万5034施設、有床が28施設減の1万3605施設、合計では100施設増の9万8639施設となりました。
資料:医療施設動態調査(平成18年5月末概数)(ここをクリック)


療養病床の食費・居住費患者負担で入院基本料引き下げ、中医協が答申(2006.8.9)

医療機関には収入項目の付け替え、患者負担が増加
 中医協は8月9日の総会で、療養病床と回復期リハビリテーション病棟などの入院患者に対し、従来の入院時食事療養費に加えて新たに居住費部分の負担を課す「入院時生活療養費」の額と、それに伴う療養病棟入院基本料の引き下げについて、厚生労働大臣の諮問を受け、諮問案どおりに答申しました。
 先に成立した医療保険制度改正案に盛り込まれていたもので、介護保険の入所者と同様の負担を患者に求めるものです。10月から実施されます。

 入院時食事療養費は、1日(3食)当たりで(1)1920円、(2)1518円となっていますが、療養病床などに適用されることになる「入院時生活療養費」では、1日(3食)当たり(1)2060円、(2)1658円となり、それぞれ140円高くなります。  一方、この140円分はこれまでの療養病棟入院基本料などに含まれていたものであり、そのため、入院時生活療養費の設定に合わせて、療養病棟入院基本料などは現行点数から14点引き下げを行うこととしたものです。

 この措置では、医療機関側の収入にトータルでは変化はありません。療養病棟入院基本料のうち14点分が「入院時生活療養費」に付け替えとなるだけです。

 これに対し、患者負担は入院時食事療養費では日額780円ですんでいましたが、10月からの入院時生活療養費では日額1700円と2倍以上の大幅な負担増となります。1ヵ月では2.4万円の負担から5.4万円となります。

 点数引き下げとなるのは、療養病棟入院基本料2のAからEまでの5種類、有床診療所療養病床入院基本料2のAからEの5種類、回復期リハビリテーション病棟入院料、診療所老人医療管理料、短期滞在手術基本料です。
資料:第90回中医協総会 配布資料(ここをクリック)



診療報酬改定結果検証、リハ・明細書・後発薬など実態調査(2006.8.9)

今年度中に結果報告
 中医協・診療報酬改定結果検証部会は8月9日、06年改定結果の検証のための特別調査として、(1)明細書の発行状況、(2)ニコチン依存症管理料算定医療機関の禁煙成功率、(3)リハビリテーション実施医療機関の患者状況、(4)後発医薬品の使用状況、(5)歯科診療の文書提供に対する患者意識、の5項目を今年度の調査とし、10月から12月にかけて調査を実施、12月から来年3月にかけて結果をまとめることとしました。

明細書未発行機関には理由と今後の方針を 明細書の発行状況については、病院、診療所、歯科診療所、薬局を対象とし、(1)領収証、明細書の発行開始時期、(2)領収証、明細書の1ヵ月当たり発行件数、(3)明細書発行時の費用徴収の有無(徴収額)、(4)明細書未発行の医療機関はその理由と今後の方針、について聞きます。
 9月に調査設計をし、10月に調査、11月に回収して12月に結果報告をします。

ニコチン依存症管理料は3ヵ月後・6ヵ月後の成功率 ニコチン依存症管理料では、算定している病院と診療所を対象に、指導終了後一定期間が経過した患者の禁煙継続状況を調べます。
 調査項目は、(1)6月の1ヵ月間の算定回数、(2)その算定患者の指導終了3ヵ月後の禁煙成功率、(3)その算定患者の指導終了後6ヵ月後の禁煙成功率、の3点です。長期の効果を見るため07年度も継続して調査を実施することとしています。
 9月に調査設計、12月に1回目の調査実施、1月に回収して中間報告を行い、3月には2回目の調査と全体の結果報告を行います。

リハビリ、実施患者数と上限到達患者数・その後の状況も リハビリテーションは、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料のいずれかを算定している病院、診療所を対象に、(1)実施患者数、(2)算定日数上限に達した患者数、(3)算定上限患者のうち除外疾患該当でリハビリテーションを継続した患者数、(4)算定上限患者でリハビリテーションを終了した患者のその後の治療内容(介護保険で対応、リハビリ終了等)、について調べます。  9月に調査設計、10月に実施して来年2月に結果報告を行います。

後発医薬品、変更可処方せんの受付回数と後発医薬品調剤回数 後発医薬品の使用状況調査は、薬局を対象として、(1)処方せん受付回数のうち後発医薬品への変更可とされているものの受付回数、(2)後発医薬品への変更可とされている処方せん受付回数のうち実際に後発医薬品を調剤した回数、(3)後発医薬品に変更された事例の薬剤料、(4)後発医薬品情報提供料等の算定回数、を聞きます。  9月に調査設計、10月に実施して12月に結果報告です。
資料:第7回検証部会 配布資料(ここをクリック)



薬価毎年改定なら妥結率30%での調査に、卸連が主張(2006.8.9)

後出しじゃんけんがなければ毎年でも
 中医協・薬価専門部会は8月9日、薬価改定の頻度を中心とした課題について医薬品卸業連合会と日本ジェネリック医薬品販社協会から意見を聞きました。卸連の松谷高顕会長は未妥結・仮納入問題が解決されない中で改定の頻度を上げることは薬価調査の信頼性を損なうことになるとして強く反対すると主張、販社協の江口博明会長も現状で改定頻度をあげることは反対だとしました。

 卸連の松谷氏は、200床以上の病院での毎年9月時点の価格妥結率の推移を示して、薬価算定方式が調整幅2%方式となった2000年に38.3%と大きな落ち込みを見せ、その後も薬価改定年の02年44.7%、04年45.7%という状況にあることを明らかにし、この中で毎年改定が行われれば、30%から40%という妥結率の中で調査することになると警告しました。

 薬価改定のない年の妥結率は、01年63.9%、03年62.8%、05年66.1%と60%を超えています。また、00年以前は薬価算定方式がR幅方式でR幅は15%から段階的に5%まで縮小されましたが、その間は改定年でもほぼ60%を超え、改定のない年には90%という妥結率も記録していました。

 また、薬価が銘柄別収載方式となっている中で総価取引が大きな比重を占め、個々の価格交渉での合意を困難にしていることも未妥結状況を長期化する原因だとして、総価取引の解消が必要と訴えました。

 調整幅2%方式になってからの妥結率の低下について松谷氏は、医療機関との価格交渉の中で、R幅方式の下では総価取引も含めて卸として吸収できた面もあったが、調整幅2%ではそれが極めて困難になっているためだと説明しました。

 一方、松谷氏は、薬価改定ルールの見直しが薬価調査の実施後に行われてきたことを「後出しじゃんけん」と批判、「それが毎年行われるとすれば強く反対する」としました。薬価調査の結果を見て算定ルールを恣意的に変えてきたという主張です。「後出しがなければ、実勢価主義を徹底させることに反対することはない」とも発言しました。

 ジェネリック薬販社協の江口氏は、会員62社で中小病院、診療所、調剤薬局を対象にジェネリック薬の約半分を取扱っているとし、ジェネリック薬の安定供給のためには最低薬価の底上げが必要と訴えました。現状では薬価の高い先発品の方が薬価差を出しやすい状況にあり、ジェネリック薬の使用促進にマイナスに働いているとの主張です。
資料:「中医協・薬価専門部会(第33回)」日本医薬品卸業連合会の意見(ここをクリック)


在宅療養支援診療所、届出2万件が目安に?(2006.8.9)

往診する診療所は対応を、点数比較一覧を作成
 06年診療報酬改定の目玉の1つであった在宅療養支援診療所は、5月1日時点での届出が8595件となっていますが、点数評価の高さへの魅力から、届出医療機関数は前身であった在総診(寝たきり在宅老人総合診療料)の2万1445件(02年7月1日)が目安になりそうです。在総診の24時間連携体制加算は3類型合計で1万133件の届出がありましたが、その水準を達成するのにそう時間はかからないものと見られます。

 在宅療養支援診療所の点数は、中心となるのが「在宅時医学総合管理料」の月1回4200点(処方せん交付)で、他の診療所・200床未満病院とは2000点の差があります。また、在宅患者訪問診療料のターミナルケア加算1万点(その他の医療機関1200点)も衝撃的な新点数となり、在宅末期医療総合診療料は在宅療養支援診療所のみの点数とされました。

 ほかにも、在宅患者入院共同指導料、往診料の加算、在宅患者訪問看護・指導料の加算などで、在宅療養支援診療所とそうでない医療機関との点数には大きな格差がつけられました。
 さらに、連携する病院や訪問看護ステーションの点数(料金)にも、連携相手が在宅療養支援診療所である場合とそうでない場合とでは大きな格差がつけられています。

 Online Medは、在宅療養支援診療所とそうでない場合の点数比較一覧をまとめました。診療所にとって、自らの収益のアップを図るだけでなく、連携先にもメリットをもたらす在宅療養支援診療所となることは今後の重要な経営戦略であるといえます。
 特に、在宅の寝たきり患者の存在が多くはなくても、往診を行う医療機関では在宅療養支援診療所となることを考えるべきです。緊急加算、夜間加算、深夜加算は2倍の評価となるのです。在宅時医学総合管理料を算定するような患者が当面はいないとしても、往診をしているのであれば、在宅療養支援診療所の体制をとるべきであることがわかります。
 そこを考えたときに、在総診の2万件あまりあった届出数が当面の目安になってきます。(下段に在宅療養支援診療所の要件)
資料:在宅療養支援診療所の点数比較(ここをクリック)

[在宅療養支援診療所の要件]
○ 保険医療機関たる診療所であること
○ 当該診療所において、24時間連絡を受ける医師又は看護職員を配置し、その連絡先を文書で患家に提供していること
○ 当該診療所において、又は他の保険医療機関の保険医との連携により、当該診療所を中心として、患家の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保し、往診担当医の氏名、担当日等を文書で患家に提供していること
○ 当該診療所において、又は他の保険医療機関、訪問看護ステーション等の看護職員との連携により、患家の求めに応じて、当該診療所の医師の指示に基づき、24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保し、訪問看護の担当看護職員の氏名、担当日等を文書で患家に提供していること
○ 当該診療所において、又は他の保険医療機関との連携により他の保険医療機関内において、在宅療養患者の緊急入院を受け入れる体制を確保していること
○ 医療サービスと介護サービスとの連携を担当する介護支援専門員(ケアマネジャー)等と連携していること
○ 当該診療所における在宅看取り数を報告すること 等


医療機関からのレセプト再審査請求、支払基金05年度21万件(2006.8.8)

32%が見直し、11万点プラスに
 社会保険診療報酬支払基金は05年度の審査状況の概況で、再審査について初めて保険者の申し出によるものと医療機関からの申し出によるものとを分けた結果を明らかにしました。医科の医療機関からの申し出による再審査は、05年度の全レセプト件数4億9516万5929件に対する原審査の査定501万件の4.2%、21万件余りでした。その32%の6万8千件弱で見直しが行われ、10万7590点が付加されました。

 05年度の全レセプト件数は、前年度に比べ3.0%増加、総点数は1.9%増加しました。そのうち、原審査で査定されたのは1.012%の501万件で前年度比5.6%減、その点数は232万2千点で前年度比0.9%減、総レセプト点数に対する割合は0.225%でした。

 この原審査に対する再審査の申し出は、医療機関からの21万件に対し、保険者からのものは587万件と28倍もの数になっています。医療機関からの申し出は原審査査定分が母体となりますが、保険者からの申し出は5億枚弱に達する全レセプトが母体となるためです。

 保険者からの再審査申し出に対する結果として改めて査定されたのは175万件で30%、減点は70万2142点でした。
 再審査による1件当たりの効果は、医療機関側の方が大きい結果となっています。

 支払基金の審査では、各支部間での考え方や判断の違いが問題とされてきましたが、その改善を目指して、支払基金では昨年から、個別の請求事例に対して「認められる」または「認められない」の判断を示した「審査情報提供事例」をホームページで公表しています。
 医療機関側からは、「認められる」ものを発見できることもありそうです。また査定を繰り返さないためにも確認しておくことが必要です。
資料1:平成17年度審査状況の概況・医科(ここをクリック)
資料2:再審査情報提供事例(ここをクリック)


医療法人の駆け込み申請あるか、改正医療法で持分否認へ(2006.8.7)

日本医師会が比較情報を提供
 先の国会で成立した改正医療法で医療法人制度の改正が行われ、法人の解散時に出資割合に応じて残余財産の分配ができる「持分のある社団医療法人」は、来年4月以降は認められなくなります。ただし、既存の「持分のある社団医療法人」は経過措置として「当分の間」存続できることとされました。
 このため、来年3月末までの「持分のある社団医療法人」の駆け込み申請の動きがでることが予想されます。日本医師会は、この改正医療法を踏まえて、個人経営から医療法人化する場合のメリット・デメリットを慎重に検討するよう促しています。

 医療法人制度は「非営利」の原則で制定されていますが、これまで認められてきた法人の解散時に出資割合に応じて残余財産の分配ができる「持分のある社団医療法人」に対しては、株式会社などの営利法人と変わらないとの批判があり、また規制改革民間開放推進会議は病院経営への株式会社の参入を進める論拠としていました。

 これに対し厚生労働省は、医業経営の非営利性等に関する検討会を設置し、医療法人の非営利性の徹底を図ることで株式会社の参入を否定する報告書の提出を受け、それを医療法改正に盛り込みました。
改正医療法が施行される来年4月以降に新設される医療法人は従来の特別医療法人から公共性をより強くした「社会医療法人」、または「持分のない医療法人」のみとなります。

 しかし、現在ある医療法人4万1720のうち98%が「持分のある社団医療法人」となっており、05年度中に新設された医療法人1690のうち1657が「持分のある社団医療法人」でした。
また、新設医療法人のうち1545は1人医師医療法人、つまり診療所です。病院の医療法人化は進んでおり、個人病院として残っているのは760(04年10月)に過ぎません。

 医療法人化する場合、ほとんどが「持分のある社団医療法人」を望んでいるのが現状です。そのため、医療法人化を目指す個人診療所および個人病院では来年3月までの申請を進める駆け込み申請の動きが出てくるものと予想されます。
 日本医師会では、現状での個人経営と医療法人化した場合との詳細な比較を行った資料をホームページで公開しています。
資料:医療法人制度改革について(日本医師会)(ここをクリック)


C型肝炎感染者1万4千人(*153万人)、B型肝炎1万7千人 05年度(2006.8.4)

40歳から70歳を対象とした検診で         (訂正:2006.8.19)(*は訂正前)
 C型肝炎に感染している可能性が極めて高い人は05年度で1万3976人(*152万7813人)となり、前年度に比べ約17%(*6%)、2855人(*9万1千人)減少しました。感染者率は0.9%です。老人保健法により02年度から実施している肝炎ウイルス検診の結果です。
 また、HBs抗原検査で「陽性」と判定された人(B型肝炎感染者)は1万7130人で、前年度に比べ約9%、1600人余り減少しました。感染者率は1.1%です。

 肝炎ウイルス検診は、40歳から70歳までの5歳ごとの年齢層を対象とする節目検診と節目検診の対象外で過去に肝機能異常を指摘されたことのある人など感染リスクの高い人を対象とした節目外検診を毎年実施しています。

 感染者率は、年々減少しています。C型肝炎は02年度の1.6%が05年度には0.9%となり、B型肝炎は02年度の1.3%が05年度には1.1%となりました。
 節目検診よりも節目外検診の方が感染者率は高めに出ています。05年度は、C型肝炎ウイルス検診では節目検診0.7%、節目外検診1.5%、B型肝炎ウイルス検診では節目検診1.1%、節目外検診1.3%となりました。
 検診の受診率は節目検診で24.7%(05年度)にとどまっています。
資料:平成17年度肝炎ウイルス検診等の実績について(ここをクリック)


先進医療 慢性副鼻腔炎に画像支援ナビで内視鏡手術(2006.8.3)

耳鼻咽喉科専門医で経験10年以上・症例20例以上
 厚生労働省の先進医療専門家会議(座長:猿田亨男・慶応大学医学部名誉教授)は8月3日、先進医療の届出が出ていた2件のうち「慢性副鼻腔炎、副鼻腔のう胞、鼻副鼻腔腫瘍」を適応症とした「画像支援ナビゲーションシステムによる内視鏡下副鼻腔手術」について、適応症のうち「鼻副鼻腔腫瘍」を「鼻副鼻腔良性腫瘍」に限定して先進医療として承認することとしました。

 中医協の了解を経て、先進医療部分は患者負担としそれ以外は保険給付である特定療養費として扱われることになります。

 画像支援ナビゲーション手術と内視鏡下手術はそれぞれに確立された手術ですが、その2つを組み合わせたものです。手術時間が大幅に短縮されるメリットがあるとされ、また、手術記録の面でもビデオと一体化できるため優れているとされました。
 適応症の制限は、内視鏡下副鼻腔手術は一塊とした摘出が不可能なため悪性腫瘍には適応とならないと判断されたためです。

 この技術は、学会報告などから国内ですでに10施設程度が実施しているということです。
 医療機関の要件は、耳鼻咽喉科学会専門医であり耳鼻咽喉科の経験10年以上、当該技術の経験3年以上で経験症例数20例以上など、厳しく設定されました。
 費用は、患者自己負担となる先進医療部分が11万2千円、保険給付となる特定療養費が46万3千円(入院10日)とされています。

 「食道、胃腫瘍」を適応症とした「Double fiber methodによる上部消化管病変の管腔内手術」は、事務的対応として書類不備のため返礼とされました。

 また、次回審議の対象として、(1)「肺がん、気管支前がん病変」を適応症とした「カラー蛍光観察システムを使用した肺がんの早期診断」、(2)「消化管間葉系腫瘍」を適応症とした「消化管間葉系腫瘍の遺伝子解析」、(3)う蝕症の高いリスクが疑われる者」を適応症とした「カリエスリスクコントロール療法」、の3技術の届出が出ていることが紹介されました。


支払基金5月分2.2%増、平日が多く件数増加で(2006.8.2)

1件当たり金額はマイナス
 社会保険診療報酬支払基金の5月分の支払金額は2.2%の増加となりました。4月のマイナスから一転しての増加ですが、平日が1日多かったためレセプト件数が4.8%増と大きな伸びを示したことが要因です。件数の伸びに対して金額の伸びが小さいため、1件当たり金額ではマイナスだったことになります。

  医科で見ると、入院は件数が0.6%増、金額が1.6%増、入院外は件数が3.6%増、金額は2.8%増となりました。1件当たり金額としては、入院は前月に続いてプラス、入院外は引続きマイナスとなります。
 入院の件数は、月ベースでは05年度を通じてマイナスを続け、06年度も4月はマイナスでしたが、5月はわずかながらプラスとなりました。平日が1日多かったことが影響しているとみられます。

 老人保健の入院件数は、3月、4月と大幅なマイナスが続きましたが、5月は4.2%減にとどまりました。ただ、平日が1日多かった中でのこのマイナスですから、実質的なマイナス幅はもう少し大きなものと言えます。
資料:支払基金統計情報(ここをクリック) 
資料:支払基金データのまとめ(ここをクリック) 


4月の基金+国保医療費3.7%減、件数減少が影響(2006.8.1)

 3.16%の医療費マイナス改定後の状況として、06年4月の支払基金と国保の医療費統計が出揃いました。基金5.5%減、国保2.7%減といずれもマイナスのスタートとなりました。Online Medの試算では両者合計で3.7%減です。

 マイナスとなったのは、基金、国保ともにレセプト件数の減少が影響しています。その背景には、4月の日数の面で土曜日が1日少なかったことがあり、また、今年の春は花粉の飛散が少なく花粉症患者の発生が少なかったとみられることもあります。特に、基金データでは入院外の件数が大きな落ち込みを見せました。

 国保では、医療費改定の影響を見ることのできる1日当たり医療費のデータが示されていますが、3.16%という過去最大のマイナス改定があったにもかかわらず、入院外の1日当たり医療費は2%余りの増加となりました。入院でもわずかなマイナスにとどまっています。

 厚生労働省によるMEDIASのデータで1日当たり医療費がどうなるかが当面の注目点です。また、改定の影響を見るには3ヵ月程度の動向を見極める必要があるとされています。
資料:医療費3指標の動向(ここをクリック) 


国保4月医療費2.7%減、件数と日数が減少(2006.8.1)

1日当たり医療費は入院外で増加
 国保(国民健康保険、老人保健、退職者医療)の06年4月分の医療費は1兆5407億円で対前年同月比2.7%減となりました。件数が1.3%減、日数が4.5%減となったことが大きく影響しています。前年4月に比べて0.5日少なかった(土曜日が1日少ない)こと、また、花粉症が少なかったことによるとみられます。

 国保医療費の96%を占める市町村国保で見ると、「入院外・調剤」で件数が1.7%減、日数は6.0%減となっています。一方、「入院・食事療養」は件数0.6%減、日数0.4%減にとどまっています。

 医療費改定の影響が現れる1日当たり医療費で見ると、「入院・食事療養」は0.3%減、「入院外・調剤」は2.2%増となりました。
「入院・食事療養」は医療費マイナス改定の影響と見られますが、「入院外・調剤」は花粉症という比較的軽症の患者数の減少により相対的に1日当たり医療費が高くなってマイナス改定分が見えにくくなったものと考えられます。

 また、1日当たり医療費を国保一般、退職者医療、老人医療の別で見ると、「入院・食事療養」は、一般と退職者がともに0.6%増とプラスであるのに対し、老人だけは1.4%減とマイナスとなりました。療養病床で7月からの評価体系の組み換えに先立って4月から実施された大幅なマイナス改定の影響と見られます。

 「入院外・調剤」では、一般1.8%増、退職者1.9%増、老人2.9%増と老人が高い伸びとなりました。
資料:国保医療費の動向(06年4月)(左をクリック→左欄の「発表資料・統計情報」→右側中央「医療費・給付」をクリック)