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Online Medニュース・バックナンバー 06年10月
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中医協情報・診療報酬情報
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支払基金8月分 金額が1.2%減、4-8月も0.9%減 マイナス基調へ
(2006.10.31)
(支払基金統計データ)
入院外の金額は1.6%減
社会保険診療報酬支払基金の8月分の支払金額は1.2%減となりました。7月に続いて、また4月と合わせて今年度3度目のマイナスです。4-8月も0.9%減となりました。8月の日数は前年と変わりませんが、件数が1.9%増と前月を下回りました。
医科で見ると、入院は件数が0.7%減に対して金額が0.1%増、入院外は件数が0.9%増に対し金額は1.6%減となりました。1件当たり金額としては、入院は5ヵ月連続でプラス、入院外は5ヵ月連続でマイナスとなります。
入院の件数はマイナス基調が続いています。老人保健の入院件数は6.1%減となり、減少幅が少し拡大しました。
資料1:支払基金支払確定状況(06年8月)
資料2:支払基金データのまとめ(Online Med)
国保7月医療費0.5%増、入院時食事療養費は15%減
(2006.10.31)
(医療費・国保医療費統計)
4-7月医療費0.5%増
国保(国民健康保険、老人保健、退職者医療)の06年7月分の医療費は1兆5860億円で対前年同月比0.5%増となりました。件数(患者実数)が2.1%増に対し、日数(患者延数)は0.6%減です。稼働日数は昨年7月と同じです。
4月からの累計医療費の伸び率は0.5%増となりました。稼働日数は平日が1日多く土曜が1日少なくて、差し引き0.5日多くなっています。
7月分について国保医療費の大部分を占める市町村国保で見ると、「入院外・調剤」が1.3%増となったのに対し、「入院・食事療養」は0.0%にとどまっています。「入院・食事療養」の伸びが入院外・調剤」を下回る状況は4月から続いています。
食事療養のみで見ると、4月14.5%減、5月13.9%減、6月14.2%減、7月14.7%減と大幅な減少が続いていて、食事療養のマイナスが要因となっていることがわかります。診療報酬改定で大幅な見直しが行われ、その影響が出ています。
1日当たり医療費は、合計で1.1%増、「入院・食事療養」0.1%増、「入院外・調剤」2.2%増となりました。「入院外・調剤」は4月以降4ヵ月連続でプラス、「入院・食事療養」も5月から3か月続いてプラスです。
資料:国保医療費の動向(06年7月)(国保のひろば→左欄「発表資料」→中央部「医療費・給付」)
血液第8因子製剤によるインヒビター発生、遺伝子組み換え製剤と血漿由来製剤の差はない 厚労省部会
(2006.10.31)
(医療行政・血液製剤使用)
血友病治療に使用される血液第8因子製剤により、一部の患者に第8因子に対する抗体(インヒビター)が産生され、止血管理が困難になるとの報告がある中で、遺伝子組み換え製剤によるインヒビターの発生率が高いとした報告も出されており、厚生労働省は10月31日の薬事食品衛生審議会・血液事業部会(座長=清水勝・医療法人西城病院理事)に、各種の報告の内容を提示、現状では遺伝子組み換え第8因子製剤によりインヒビターの発生が高くなるとの見解は得られていないと説明、審議を求めました。
部会では、参考人として奈良県立医科大学の吉岡氏の意見も聞きました。吉岡氏は、日本血栓止血学会の委員会が一致して「血漿由来製剤と遺伝子組み換え製剤とでインヒビターの発生率に明らかな差があるとは言えない」とする意見をまとめたことを明らかにし、近く公表する予定であるとしました。
部会としても、そうした見解を受け入れることとしました。
資料:運営委員会配布全資料
日赤の血液事業に厳しい注文、社内審議会の公開を 厚労省部会
(2006.10.31)
(医療行政・血液製剤使用)
10月31日の厚労省・薬事食品衛生審議会・血液事業部会で日本赤十字社の血液事業の今後の運営方針が議題とされ、委員からは社長の諮問機関として設置されている血液事業審議会の公開と議事録の公表など運営の透明性を強く求める意見が出されました。
血液事業審議会について、委員からは「外部委員を入れるべきという話をしているが、社長の御前会議であってその状態は2年前から変わっていない。血液事業部長も入っていない。日赤の現場の人も事業がどのような方向に行くのか、十分知らされていないのではないか。審議会に外部の人も入れるべきだ」と、強い批判が出されました。
別の委員も、「審議会は委員も交代していない」とするとともに、外部審査機関を導入して業務やパフォーマンスを評価し、それに基づいて改善すべきと主張。
さらに、清水座長(医療法人西城病院理事)が、自身が審議会に参加していたことがあるとして、「議事録が作られていない。そのため、誰が、いつ、どのような目的で言ったのかがわからない」と批判、議事録の作成を求めました。
日赤の西本・血液事業部長は、伝えて検討したいと応えました。
医療機能評価機構 新規22病院を認定、認定病院2213に
(2006.10.31)
(医療環境・施設数)
財団法人日本医療機能評価機構は、新規22病院、更新9病院、合わせて31病院の認定を発表しました。認定病院数は2213となりました。
新規22病院の内訳は、一般病院10、精神科病院5、療養病院1、複合病院6です。また、付加機能評価での認定はリハビリが1病院ありました。
資料:認定病院一覧
医薬は安倍内閣「イノベーション25」の一丁目一番地 検討会発足で柳沢厚労相
(2006.10.30)
(医薬品 承認審査・治験推進)
承認審査の迅速化が喫緊の課題
厚生労働大臣が開催すると位置づけられた「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会(座長=高久文麿・自治医科大学学長)」の第1回会議が10月30日開催され、柳沢厚労相はあいさつで「安倍首相が所信表明演説の中で経済成長のためのイノベーション25を打ち出したが、その中で医薬が一丁目一番地に取り上げられた」と紹介、イノベイティブで画期的な新薬をいち早く国民に届けるために「承認審査の迅速化が喫緊の課題」との認識を示しました。
ドラッグラグ、米国に912日遅れて新薬上市
検討会で厚労省は医薬品の承認審査の現状を説明、最初に、世界の売上上位100品目についての世界初の上市時点と先進各国での上市時点との比較で、日本は1416.9日の差があり、その差の最も少ない米国の504.9日に対し、912日、2年半の遅れがあるとする製薬協・医薬品産業研究所の解析データを紹介、この遅れを解消して医療上の重要な医薬品を使えるようにすることを目指す考えを示しました。
検討課題にGCPの運用上の課題と改善策
具体的な検討課題も提示しました。制度的な課題として第1に治験を取り上げ、ゲノム創薬などに対応するための「新たな評価指標の導入など医薬品の特性に応じた治験実施方法」、「国際共同治験の推進のための環境整備」、「ICH-GCPと対比したわが国のGCP運用上の課題と改善策」をあげました。
国際共同治験は、世界同時承認も可能となる方法で、究極的には世界初上市と国内上市との差をゼロにするものです。
GCPは治験の実施方法などについての規定で、日米欧で協議して定めた国際的なガイドラインとしてのICH-GCPがありますが、日本ではICH-GCPを基本としながらもアジア人種に適合させるための独自部分を付加したGCPを規定しています。厚労省は、この国内GCPの改善を検討課題として示しました。治験の活性化計画についての検討会でメーカー側から強く改善要望が出ていたものです。
承認審査体制の改善も
承認審査についても「科学的根拠に基づき安全性を確保しつつ、柔軟かつ効率的に承認審査を進める方法」をあげ、また、体制的な課題のなかでも「承認審査の質の向上および効率化を図るための方策」「迅速かつ適切な承認審査を可能とする体制のあり方」をあげました。
審査期間の長さでは、厚労省は審査機関側が要する期間は日本も米国と大きな差はないことも示し、審査機関からの照会などに回答する企業側の期間が日本では長くなっているとしました。その理由について医薬品機構の森審議役は、米国ではすべてのデータをFDA側が解釈できる体制になっていて企業側への質問も少ないが、日本では人員が少ないためデータの解釈などで分析の仕方まで指示するなどして聞かなければならない面があると説明。
また、厚労省の中垣審査管理課長は、日本はヨーロッパと同じで「申請者が有効性と安全性を証明する義務がある」のに対し、米国が独自の道を歩んでいるものだが、審査要員の質の面でまだ改善の余地があるとしました。
厚労省は審査要員数の日米欧の比較も示し、日本の197人は米国2200人の5分の1以下、ヨーロッパで最も少ないスウェーデン400人の半分弱であるとしました。審査人員の問題も議論されることになります。
検討会は、学会、患者団体、業界団体などからのヒアリングも行い、来年夏に報告書をまとめる予定ですが、日本製薬団体連合会会長の森田氏は「スピードが問題」とし、具体策の実施は報告書のまとめを待たずに、ひとつひとつできるものから実施に移すよう求めました。
[解説] 医薬がイノベーション25の一丁目一番地
柳沢厚労相の言った「医薬がイノベーション25の一丁目一番地」は、安倍首相の所信表明演説で次のように言われています。
安倍総理大臣所信表明演説
(9月26日) 成長に貢献するイノベーションの創造に向け、医薬、工学、情報技術などの分野ごとに、2025年までを視野に入れた、長期の戦略指針「イノベーション25」を取りまとめ、実行します。
柳沢厚労相も国会で方針表明
柳沢厚労相もこれを受けて、衆参の厚生労働委員会でのあいさつで「良質な医薬品・医療機器の迅速な提供を通じて、保健衛生水準の向上のために、治験環境の充実を初め、医薬品・医療機器産業のイノベーション促進と国際競争力強化のための取組みを進める」との方針を示しています。
資料1:医薬品の承認審査等の現状(欧米と日本の上市状況P2、検討課題P28)
資料2:検討会名簿
資料3:検討会配布全資料
4−6月の1日当たり医療費 病院1人勝ち2.1%増、診療所0.1%減・歯科2.5%減・薬局0.5%減
(2006.10.29)
(概算医療費・MEDIAS)
概算医療費トータル4−6月0.1%減
厚生労働省がまとめたMEDIAS-6月分によると、今年6月の概算医療費の伸び率は0.9%増、4−6月では0.1%減となりました。 点数改定の結果が直接に反映する1日当たり医療費は、4−6月で0.8%増となりました。医科計0.8%増、歯科計2.5%減、保険薬局0.5%減、訪問看護ステーション1.2%増となります。また、医科の病院は2.1%増、診療所は0.1%減となりました。医科と訪問看護ステーションは結果的にプラス改定であったことになり、また、医科でもプラスになったのは病院で、診療所はマイナスでした。
診療所の1日当たり医療費 小児科も産婦人科もマイナス、内科がプラス
医科診療所の入院外の状況を診療科別に見ると、1日当たり医療費では、平均の0.1%減に対し、内科0.2%増、小児科1.3%減、外科0.9%増、整形外科0.0%、皮膚科2.7%減、産婦人科2.1%減、眼科2.2%減、耳鼻咽喉科1.5%増、その他0.6%減となりました。歯科診療所は2.3%減です。
小児科と産婦人科は特別な対応がされたはずですが、結果的にはマイナスとなりました。一方で、内科、外科、耳鼻咽喉科がプラスです。
医科診療所入院外の1施設あたり医療費は平均が0.9%減、内科0.1%減、小児科4.0%増、外科0.8%減、整形外科1.6%減、皮膚科3.8%減、産婦人科0.4%減、眼科4.7%減、耳鼻咽喉科4.0%減、その他2.3%減となりました。歯科診療所は3.2%減です。
1日当たり医療費とは逆に、小児科が唯一のプラス、産婦人科は小幅なマイナスにとどまりました。出生数の増加が2月から続いており、産婦人科と小児科ではその影響で件数が増加しているものと見られます。
1件当たり日数は減少傾向が続いていますが、平均2.0%減で前年度の2.5%減よりも小幅です。内科2.9%減、小児科0.3%増、外科3.3%減、整形外科3.1%減、皮膚科0.8%減、産婦人科1.4%減、眼科0.7%減、耳鼻咽喉科0.1%増、その他3.5%減となりました、歯科診療所は2.4%減です。
病院の入院外は1日当たり2.3%増、初診料・再診料引上げの効果か
医科病院の入院外と入院の状況を見ると、入院外は1日当たり医療費が平均2.3%増、大学病院4.8%増、公的病院2.8%増、法人病院1.5%増、個人病院2.6%増となりました。診療所が平均でマイナスであるのに比べ、はっきりとしたプラスになっています。初診料と再診料の病診格差是正による病院点数の大幅引上げの効果とみられます。
しかし、1施設当たり医療費は、平均で1.3%減となりました。大学病院3.1%増、公的病院1.5%減、法人病院2.2%減、個人病院0.3%増で、大学病院が突出して伸びています。
1件当たり日数は軒並み減少し、平均1.8%減です。1施設当たり医療費でプラスとなった大学病院と個人病院は1日当たり医療費の伸びが大きめだったことによります。1日当たり医療費の伸びは高めだった公的病院が1施設たたり医療費でマイナスとなったのは、件数が減少したものと見られます。法人病院1施設当たり医療費のマイナスも件数のマイナスによると考えられます。
病院・入院の1日当たりは0.8%増、療養病床点数引き下げが影響
医科病院の入院の状況を見ると、1日当たり医療費は平均0.8%増と入院外よりも低い伸びです。療養病床点数の大幅改編による全体としての引き下げが影響したものとみられます。種類別では、大学病院2.1%増、公的病院1.5%増、法人病院0.7%増、個人病院1.1%増となり、大学病院が高い伸びを示しているのも療養病床がほとんどないためと考えられます。
1施設当たり医療費は平均0.5%増で、1日当たり医療費の伸びを下回りました。大学病院0.2%減、公的病院0.5%減、法人病院1.0%増、個人病院0.8%増です。大学病院と公的病院のマイナスは1件当たり日数の減少によるものと考えられます。
1件当たり日数は減少傾向が続き、平均で1.1%減です。DPCの大学病院は3.8%減と前年度の3.0%減を上回る大幅な減少となっています。公的病院も2.3%減で前年度の1.4%減を上回っています。法人病院0.5%減、個人病院0.6%減も前年度を上回る減少幅です。
資料:最近の医療費の動向(06年6月号)
未承認薬、米国承認の3品目を早期承認対象に 厚労省検討会
(2006.10.27)
(未承認薬)
骨髄異形成症候群、成人慢性骨髄性白血病、ムコ多糖症2型
厚生労働省の未承認薬使用問題検討会議(座長=堀田知光・国立病院機構名古屋医療センター院長)は10月27日、骨髄異形成症候群治療薬「デシタビン」、成人慢性骨髄性白血病治療薬「ダサチニブ」、ムコ多糖症2型(ハンター症候群)治療薬「イデュルスルファーゼ」の3品目を早期承認すべき品目と決定しました。米国で今年5月から7月に承認されたもので、厚生労働省はメーカーに対し国内での治験開始や承認申請への働きかけを進めます。
骨髄異形成症候群治療薬デシタビン、MGIファーマ
骨髄異形成症候群治療薬のデシタビンは、MGIファーマが米国で5月2日に承認をうけたものです。国内では開発されていません。作用機序はDNAメチル基転移酵素の阻害で、「best supportive therapy」との第3相無作為化比較試験で奏功率が17%、対象群0%で有意に優れた結果が出ています。
資料1:デシタビン
成人慢性骨髄性白血病治療薬ダサチニブ、BMS
成人慢性骨髄性白血病治療薬ダサチニブは、ブリストルマイヤーズ・スクイブが米国で6月28日に承認を受けました。成人急性リンパ性白血病にも適応があります。すでに使用されているイマチニブ(販売名グリベック、ノバルティス・ファーマ)耐性の慢性骨髄性白血病またはフィラデルフィア陽性急性リンパ性白血病に対して開発されたもので、奏功率はそれぞれ45%、42%となっています。国内ですでに治験を実施中です。
また、同様の効果を期待して米国で治験が進められているノバルティス・ファーマのニロチニブについてもダサチニブに準じた対応をすることとされました。
資料2:ダサチニブ
ムコ多糖症2型治療薬イデュルスルファーゼ、SHGT社
ムコ多糖症2型(ハンター症候群)治療薬イデュルスルファーゼは、患者団体からの要望を受けて検討されたものです。シャイア・ヒューマン・ジェネティック・セラピューティックが米国で7月24日に承認を受けました。酵素補充療法製剤です。これまでは有効な治療法がなく対症療法にとどまっていました。症状を改善し、その進行も抑制する唯一の薬剤とされます。米国で行われた治験ですが、日本人患者4人が渡米して参加しています。
国内でも開発準備中です。
資料3:イデュルスルファーゼ
資料4:検討会配布全資料
国際共同治験の相談30件、参加時の留意事項をまとめる方針 厚労省審査管理課
(2006.10.27)
(治験推進)
国際共同治験に日本が参加するケースが増加しています。厚生労働省医薬食品局の中垣審査管理課長は、10月27日の未承認薬使用問題検討会で、国際共同治験による製品をすでに3品目承認、現在も国内の10施設が参加する治験が進められており、さらに日本を含む国際共同治験についての相談が30件あることを明らかにしました。
また、そうした状況への対応として、国際共同治験への参加時の留意事項をまとめる考えを示しました。
日本人が渡米して治験に参加したイデュルスルファーゼに関する審議の中で、国際共同治験の推進が委員から求められたことに応えたものです。
未承認医療機器の早期導入へ、年内に学会要望を調査 厚労省が検討システム設置
(2006.10.26)
(承認審査)
対象疾患の重篤性と臨床上の有用性で判断
厚生労働省は、主要諸外国で使用されていながら国内では未承認で医療ニーズが高く、優先して導入すべき医療機器・体外診断薬について、早期承認するための検討会(座長=北村惣一郎・国立循環器病センター総長)を設置、10月26日に第1回目を開催しました。
最初に学会の要望を聞き、その中から生命に重大な影響のある疾患や病気の進行が不可逆的で日常生活に著しい影響を及ぼす疾患など適応疾病の重篤性と、既存の治療法や診断法がないもの、また欧米で標準的に普及し既存の治療法や診断法より優れているなど医療上の有用性から、対象とする医療機器・体外診断薬の種類を選定、該当する企業に既存データを活用した申請または治験の勧奨をし、優先審査により早期承認を行うこととします。
厚生労働省は11月中に学会の要望を聞き、検討会の下に設置する「選定ワーキンググループ」の検討を踏まえて、来年1月末から2月ごろに検討会で対象とする医療機器・体外診断薬の種類を決定する予定です。さらに、Web上で開発や資料提供に協力する企業を公募、その結果から「評価ワーキンググループ」による臨床上の必要性や実現可能性などの評価を経て検討会で早期導入すべき製品を検討し、承認申請に向けた個別対応に入っていきます。
資料1:検討会の進め方(学会要望の把握等)
資料2:検討会名簿
資料3:検討会配布全資料
インフルエンザ脳症 アセトアミノフェンとその症状に有意な関連性
(2006.10.26)
(医薬品安全性情報)
タミフルは関連性なし、肺炎を抑制
厚生労働省は10月26日、医薬品・医療機器等安全性情報No.229を発行しましたが、重篤な副作用に関する情報はなく、参考資料として「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」(05年度厚生労働科学研究、主任研究者=横田俊平・横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学教授)を紹介しました。
乳幼児に発症するインフルエンザ脳症に見られる特有の異常行動・言動を経て起こる発熱後けいれん、意識障害に焦点を当て薬剤の影響を含めた統計的解析を行った調査研究です。
随伴症状の発現時期は発熱第1−2病日に92%が集中、薬剤使用もアセトアミノフェンは第1−2病日に95.4%、タミフルは91.8%使用されていました。
薬剤の使用と臨床症状との関連性について検討した結果、アセトアミノフェンについては「使用開始が症状発現と同時期であったと仮定した場合、異常言動、けいれん、熱性けいれんとの関連性が有意にみられ、かつその使用開始が症状発現前であっても後であっても、意識障害については有意な関連性が認められた」としています。
一方、タミフルについては、異常言動との関連性は認められず、肺炎を抑制していたことが明らかにされました。
また、使用頻度は少なかったものの抗生物質についても解析し、「マクロライド系と肺炎、ペニシリン系と中耳炎、セフェム系と異常言動との関連性が認められた」としています。
ただ、薬剤の影響については、いずれも「使用開始が症状発現と同時」との仮定による解析であるため、次のシーズンに随伴症状と薬剤使用との時間的関係を詳細に検討する調査が必要としています。
資料1:インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究
資料2:医薬品・医療機器等安全性情報229号
アルブミン製剤の使用適正化対策、国内自給に向け一層の推進が必要 輸血管理料の普及啓発も
(2006.10.26)
(医療行政・血液製剤使用適正化)
厚労省・ワーキンググループが中間報告
アルブミン製剤と免疫グロブリン製剤の国内自給推進方策について検討していた厚生労働省のワーキンググループ(座長=清水勝・医療法人西城病院理事)は10月26日、アルブミン製剤の適正使用の一層の推進、今年の診療報酬改定で新設された輸血管理料の普及啓発など「医療の場での使用者側の方策」と「製造者側の方策」を中心とした中間報告をまとめました。血漿分画製剤の製造体制のあり方に関する検討会に報告、同検討会はこれを受けてさらに中長期的課題を検討します。
アルブミン製剤と免疫グロブリン製剤については、08年度に国内自給を達成することが目標とされ、ワーキンググループにはそのための具体策の検討が求められていました。
ワーキンググループの中間報告は、国内自給の状況について05年度でアルブミン製剤が原料血漿換算の総供給量165万リットル相当に対し自給率54%、免疫グロブリン製剤は97万リットル相当に対し89%としています。
免疫グロブリン製剤については、外国企業からの技術移転によって今年度から国内生産が開始される製剤があることなどから、国内自給は可能としました。
しかし、アルブミン製剤については、自給を達成するためには適正使用の一層の推進による国内需要の減少を予想しながら、一方で国内献血由来の原料血漿を使用した製品の製造・供給量の増大が必要と、自給には厳しい見方をしています。開発中の遺伝子組み換えアルブミン製剤が実用化されれば国内需要の一部を充足することになるとしました。
適正使用の推進によりアルブミン製剤の使用量は減少しています。03年度の総供給量174万リットル相当が05年度には165万リットル相当になりました。今後も適正使用を推進することにより、さらに減少させることは可能と見ています。
適正使用推進策としては、アルブミン製剤適正使用ガイドラインの全国的な普及啓発、アルブミンの適正使用を含めた輸血管理料の普及啓発、医療関係者への遺伝子組み換え製剤に関する情報提供をあげています。
また、献血由来製剤の意義と国内自給の理念の医療関係者への啓発も課題とし、具体的には、使用量予測と供給可能量の試算、国内献血由来製品使用医療機関の調査、関係学会での国内献血由来製品の理解促進などをあげました。
さらに、患者に国内製品の選択を促すために献血由来の血液製剤についてのわかりやすい情報提供が必要としています。
製造業者に対しては、構内献血由来原料血漿を使用した生産の増大、医療関係者に対する献血由来製剤の情報提供への取組みが必要としました。
資料1:中間報告(案)
資料2:ワーキンググループ配布全資料
薬価頻回改定 来年度実施は見送り、中医協・薬価専門部会が次回まとめへ
(2006.10.25)
(中医協情報・薬価)
価格妥結率 医療機関46.8%・薬局39.2%、厚労省調査
中医協の薬価専門部会(部会長=遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は10月25日、薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準のあり方について議論、議論のスタート時点で想定された来年度の薬価改定は実施せず、引き続き議論を進める方向でほぼ意見の一致を見ました。来年度の薬価改定については次回の専門部会で意見のとりまとめを行います。
薬価の頻回改定については、これまでの議論やヒアリングの中で、メーカー側からは新薬の上市意欲を阻害し「ドラッグラグ」解消への取組みの妨げとなるとの議論、また、卸からは未妥結仮納入の解消が前提になる、などの意見が出されており、厚生労働省はこの日、そうした指摘に対する調査結果を専門部会に提示しました。
新薬加算率実績3倍に、算定方式見直しの結果
新薬については今年度の薬価制度改革で加算要件の緩和と加算率の引上げが行われた結果、制度改革前の2年間では収載された新薬のうち加算が行われたのは13成分、その平均加算率は5.4%であったのに対し、制度改革後は4月から9月までの半年間で7成分に加算が行われ、平均加算率は15.7%に増加しました。磯部薬剤管理官は、平均加算率が増加したことについて加算率の引上げどおりの結果と説明しました。
価格妥結状況調査は武田経済課長が報告、卸連加盟の96社、ジェネリック販社協会加盟の69社を対象に、すべての医療機関と薬局との7月1ヵ月間の取引での妥結状況を調査した結果、妥結率は医療機関が病院30.7%、診療所73.9%で平均46.8%、薬局はチェーン薬局(20店舗以上)8.5%、その他47.4%で平均39.2%となりました。妥結率は、妥結したものの販売額(品目別販売数×薬価)の販売総額(品目別販売数×薬価)に対する割合です。
価格妥結状況調査は、昨年12月に同専門部会がまとめた薬価制度改革の骨子を受けた今年3月の経済課長通知で、実施することとしていました。今後も継続して実施する予定です。
妥結率については、支払側の対馬氏(健保連専務理事)が「かなり低い」とし、未妥結の改善をもとめた課長通知の効果があったのかを質しました。
経済課長は、初めての調査であり比較はできないが卸に状況を聞いた中では従来に比べて改善は見られないとしていることを明らかにしました。
対馬氏は、200床以上の病院など規模別の状況についての調査も行うよう求め、遠藤専門部会長もこれを支持しました。
新薬については、専門委員の長野氏(第一三共常務執行役員)が、制度の見直しには感謝しながらも、7成分のうち外国でも上市されている5成分について外国価格と比較すると、1成分は外国価格の40%程度の価格であり、他の4成分もそれよりは高いが外国価格には到底およばないとの見方を示しました。
こうした議論の後、遠藤部会長が頻回改定については次回に意見のとりまとめを行い薬価制度全体についての議論はさらに続けていくことを提案、了承されました。
資料1:平成18年度薬価制度改革前後の加算率の変化
資料2:価格妥結状況調査結果概況
資料3:薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準のあり方(論点)
薬価頻回改定見送りの筋書きに唐突感、会長発言で軌道に戻す
(2006.10.25)
(中医協情報・薬価)
薬価の頻回改定についての薬価専門部会の議論で、筋書きを踏まえた遠藤部会長と、一方で筋書きを知らされずに議論する各委員との間で、思惑の行き違う場面があり、筋書きを踏まえながら一委員として参加している土田氏(中医協会長)がその筋書きをあからさまにすることで、ようやく皆が納得といったことがありました。
部会では、厚労省の調査結果の報告を受け、妥結率の低さや新薬の加算についての議論のほか、薬価制度全体に関する論点として追加すべき項目などの意見が交わされました。
そうした中で、支払側の丸山氏(日本経団連社会保障委員会医療改革部会部会長代理)が今後の議論のスケジュールを質しました。
これを受けて遠藤部会長は、「薬価制度のあり方については継続して議論するが、頻回改定については年度末に出てきた話で集中的に議論し、ヒアリングも行った。意見も出尽くしたようなので次回をめどに意見の集約を図りたい」と発言。このとりまとめの方針が、各委員には唐突と受け止められたのです。
対馬氏(健保連専務理事)は、「頻回改定は単味で議論すると、われわれとメーカー側とで議論はこう着状態になる。全体の中で議論した方がいいのではないか。当初は来年からという話もあって早急に議論することとなったが、時間があるということだから、来年の春か夏ごろにまとめればいいのではないか」として、部会長の方針に異議を唱えました。
診療側の山本氏(日薬副会長)も「議論は出ているが、双方の意見は必ずしも収束していない。薬価制度全体との絡みもある。来年やりたいということであったのが伸びたようで、時間をかけて議論すればいいのではないか」と、やはりとりまとめに反論しました。
そこに登場したのが筋書きを心得ている土田氏です。「頻回改定は20年度改定の前にやるかどうかということでヒアリングもした。少なくとも19年度はしないということだが、20年度以降の21年度にやるかどうかの議論は続けるにしても、ここでけりをつけるというのはその意味と思う」と発言したのです。
ここで遠藤部会長も「さすがに会長」と、それを受け入れたのですが、「19年度にしないかどうかはまだ決まったわけではなく、次回に議論することです」と火消しに努めました。ところが、もう火消しにはならなかったという一幕でした。
ただ、来年度の薬価改定がなくなったというのは土田会長が明かしたのではなく、その前に対馬氏も山本氏も発言していたことです。会長発言はダメ押しではありましたが。
おまけも付きました。診療側の鈴木氏(日医常任理事)が、「この妥結率で薬価改定をしてもどうなるのか。今年、これだけひずみがある改定で、さらに薬価改定をするなど考えられない」と。
これだけのひずみというのは、この日、日医が総会で提出した療養病床の点数改定の問題などを指したものです。
リハビリ検証で患者調査を実施、患者の不満の声に対応 中医協部会
(2006.10.25)
(中医協情報・診療報酬改定結果検証部会)
中医協・診療報酬改定結果検証部会は10月25日、リハビリテーション、後発医薬品の使用状況、明細書の発行状況、歯科診療の文書提供に対する患者意識の4項目についての特別調査実施計画を決定、今月中に調査を開始することとしました。
リハビリテーションでは、算定日数上限に対して患者側からの不満の声が高まっていることに対応して、当初の予定にはなかった患者を対象とした調査も加えることとしました。
4月1日以降に算定を開始して11月中または12月中に算定を終了する患者に医師から調査票を手渡しする方法で実施します。1疾患10票とします。
調査項目は、
(1)患者の回答時点の活動レベル
(2)リハビリを実施した施設で受けた説明・指導とその時期
(3)受けた訓練と日常生活における効果
(4)回答時点のリハビリ実施の有無、実施の場合はサービスの内容(入院、通院、訪問リハ等)
(5)介護保健サービスの利用の有無、有りの場合は介護保険の被保険者番号・市町村番号
などです。
資料:平成18年度診療報酬改定の結果の検証について
療養病床10%減収、日医が全国調査 中医協に点数見直しを要請
(2006.10.25)
(中医協情報・08−06改定)
日本医師会は療養病床の点数改定後の状況について全国調査を行った結果、療養病床の1医療機関当たり点数は10%減少したなどとする報告書をまとめ、10月25日の中医協総会に提出、「このまま患者を抱え続けることは不可能」として、療養病床点数の見直しを求めました。
調査は、今年7月時点で医療療養病床の届出のある全国6186施設(病院4139、診療所2047)を対象とし、2870施設(病院1884、診療所986)から回答を得ました。回答率46.4%。
調査の結果、医療の必要度が低いとして大幅な点数引き下げとなった医療区分1の適用患者は42.1%で2万9392人いました。そのうち、病状が安定し退院可能な人が63.4%ですが、在宅での受け入れが困難なため退院不可能な人が全体の3割、また介護施設への入居待ちが全体の1割で、合わせて4割が介護難民として入院しているものとしました。
一方、医療区分1の患者でも看護師としての対応が必要で実際に行われている患者も2割に達するとし、これらの患者は医療区分2に分類されるべきと主張しました。
こうした状況の中で療養病床の1医療機関当たり点数は、前年同月に比べて「おおむね10%以上のマイナス(有床診療所▲12.7%、20−49床▲3.5%、50−99床▲9.5%、100−199床▲10.7%、200床以上▲14.1%)」になったとして、「診療の継続性を確保するための措置」を求めました。
これに対し支払側からは、報告書に書き込まれ、説明の中でも言われた「医療難民」「介護難民」との表現に強い違和感が表明されました。特に、医療担当者としての発言としてどうか、という批判です。
竹嶋氏(日医副会長)は、「言葉の指摘は十分受け止めたい」としましたが、療養病床の問題については国会の付帯決議で念入りな記述が行われていること、厚労省の交換が「事情があって昨年末に急いで出した」と語っていることもあり十分な議論もなく急いで結論を出したのではないか、さらに政治の場でも問題になりつつある、などとして中医協としての議論を強く求めました。
土田会長は、「療養病床の問題が生じていることは認識している」として、今後対応していく姿勢を示しました。
資料1:日医、療養病床再編に関する緊急調査報告(概要)
資料2:日医、療養病床再編に関する緊急調査報告(本文)
資料3:日医、療養病床再編に関する緊急調査報告(集計表)
後期高齢者医療特別部会 高齢者医療の専門家・プライマリケアの専門家からヒアリング
(2006.10.25)
(中医協情報・後期高齢者医療の診療報酬)
後期高齢者医療制度の診療報酬体系のあり方を議論する医療保険審議会の特別部会(座長:糠谷真平・独立行政法人国民生活センター理事長)が10月25日、2回目の部会を開催、関係者からのヒアリングに入りました。
東京都老人総合研究所の本間昭・医学研究部長は、後期高齢者医療と認知症について説明、認知症の7割は早期発見により治療可能であるにもかかわらず、適切に診断され、治療を受けている患者は少ない状況と、その課題を示しました。
国立長寿医療センターの太田壽城・病院長は、同センターで行っている高齢者に対する医療とその医療費の状況を説明しました。
旧国立療養所から高齢者に対する総合診療機能を有する急性期病院への転換を進め、平均在院日数が2000年度の47.2日から05年度には21.8日へと減少し、最近では19日を切っているとしました。
一方、1人1日当たり診療点数は、00年度の2348.2点から05年度には3417.6点に増大しています。同病院は出来高算定を行っています。
伴 信太郎・名古屋大学医学部総合診療部教授は、地域医療の専門医としてのプライマリケア医による高齢者医療への対応の必要性を訴えました。「高齢者医療は総合医療」であるとし、すべての疾患・病変を治すのではなく、身体・精神心理・社会経済・価値観を勘案して「QOLを保つための介入を積極的に行う」ことが必要だとしました。
資料1:都老人総研・本間氏資料
資料2:長寿医療センター・太田氏資料
資料3:名大医学部・伴氏資料
資料4:特別部会配布全資料
日医標準レセプトソフトORCA、3000施設超える 2011年1万施設も十分可能に
(2006.10.24)
(医療経営)
オープンソース方式で急速な伸び
日本医師会が会員向けの公開ソフトとして普及を進めているレセプト電算ソフトのORCAが、10月現在で3330施設に導入され、2011年に1万施設達成という目標は十分に可能な状況となってきました。特に最近数ヵ月の導入の進み方は診療報酬改定直前の2月、3月を上回る状況となっています。日医総研でORCAプロジェクトのマネージャーを務める上野智明氏が10月24日、医療関連サービス振興会のセミナーで明らかにしました。
ORCAは、日医総研のプロジェクトとして2000年4月にスタートしました。日医が開発したレセプトソフトである「日医標準レセプトソフト」をオープンソース(公開ソフトウェア)として提供する事業を中心としています。
ソフトは無料ですが、これを導入するためにはコンピューター機器を入れるとともにメンテナンスが必要になるため、プロジェクトでは民間業者を認定事業所として指定、そうした業者の利用を進めています。導入費用としては、レセプトソフトのコストが不要になり、認定業者ではORCAを使用することにより10年で420万円の差が出るとしているところもあります。
大手コンピュータメーカーを中心としたレセコンは、ソフトの更新が有料で、機器も5年余りで更新する必要がありますが、ORCAは日医総研が更新したソフトを無料で提供するため、医療機関側は機器の更新だけですむという仕組みです。
想定マーケットは2万7000施設
レセプト処理のためのコンピュータとしてのレセコンはすでに導入が進んでいて、診療所でも8万7300施設のうち導入されていないのが1万9600施設に過ぎず、その中でもレセコン導入の対象となるのは月間レセプトが200枚以上の7260施設ですが、導入済みの施設の買い替えを1万3500施設見込み、新規開設も4500施設を見込んで、合計2万5300施設が対象になると想定しています。
また、病院でもレセコン未導入で月間レセプト200枚以上の200施設、導入済み施設の買い替え需要が1250施設、新規開設170施設の合計1620施設が対象になるとしています。 診療所と病院の合計は2万7000施設となります。
6ヵ月前倒しで達成した3000施設
当初は導入の進み方が遅かったのですが、04年以降は急速な伸びを示しています。毎年25%増で2011年には1万施設を達成できるという予想ですが、その中で07年4月の予想としている3038施設を6ヵ月前倒しでクリアしている状況となっています。
10月から内容のわかる領収証の発行が義務付けられるための需要もあったとみていますが、10月以降も動きは続いているとしています。
電子カルテ導入にもメリット
電子カルテの導入はこれからで、メーカー間のデータの互換性への対応などが進められていますが、特定メーカーのレセコンを導入した場合、電子カルテを導入する場合もそのメーカーのものに限定されることになります。しかし、レセプトソフトにORCAを使用しておけば、電子カルテは開発が十分に進んだ段階で適切なメーカーのものを選ぶことができ、それがORCAのメリットだとしています。ORCAとして電子カルテを手がける予定はないとしています。
医療費動向・受療動向のデータ解析も
日医総研では、ORCAの普及に伴い、レセプトデータを月次でしかも定点で収集して、医療費動向や受療動向を解析する手法を確立する計画で、この10月からパイロットスタディを開始しました。データ収集は参加希望医療機関が対象です。厚生労働省の社会医療診療行為別調査と同等以上のものを目指しています。
ORCAプロジェクトのホームページ(日医総研)
治験活性化計画 柱に治験中核病院と拠点病院、質とスピードを改善
(2006.10.23)
(医薬品・治験推進)
治験・臨床試験の実績で学位取得も
厚生労働省は次期治験活性化5ヵ年計画の骨子として、治験拠点病院とそれをリードする中核病院による実施体制の整備を基本とし、その体制の下で治験関連の人材育成、治験の普及啓発と医療関係者の参加、治験実施の効率化と企業負担軽減に取り組む考え方を、10月23日の検討会(座長=楠岡英雄・国立病院機構大阪医療センター副院長)に示しました。次回11月21日に中間のとりまとめを行う予定です。
治験拠点病院については、厚労省は07年度に40病院を整備する方針です。また中核病院としては、臨床研究基盤整備事業の対象となっている国立がんセンター中央病院、国立循環器病センター、国立成育医療センター、独立行政法人国立病院機構本部、慶応大学医学部の5機関を予定しています。
中核病院は高度な治験の実施体制を整備
中核病院は、「高度な治験、臨床試験を実施できる基盤」との位置づけで、その計画と実施ができる専門医療スタッフを配置します。また、生物統計、データマネジメント、中央IRBなどの機能を強化、協働する拠点病院のスタッフに各種養成プログラムを提供します。
拠点病院は中核病院と協働して
拠点病院は、「中核病院と協働して治験・臨床試験を実施する」ものとし、全国的に配置します。
これまで進めてきた医療機関のネットワーク作りを一歩進めて、共通の教育プログラムの採用、共通の治験手続き(契約様式など)、治験データのIT化の導入などにより、質とスピードの改善を図ります。
さらに、拠点病院間のネットワークを核として、地域の病診連携を通じた治験、臨床試験の症例の効率化(集積性の向上)を図ります。また、治験スタッフとしては常勤のCRC,データマネージャーの配置と実働数を確保。中核と拠点に係る中央IRBの稼動と実施に関する制度・規制なども整理します。
人材育成、中核病院には生物統計家を配置
こうした治験と臨床試験の実施体制の下で、人材育成としては、中核病院では治験・臨床試験に関する教育・養成体制があり、拠点病院も含めた職員向けのプログラムを提供するものとし、生物統計家を配置してプロトコール立案・統計解析などのコンサルティングが行えるようにします。
拠点病院では、拠点ネット関連医療機関の治験責任医師・協力医師に対して教育・養成を実施し、CRC、治験事務職員、データマネージャー、IRB委員に対しても治験制度を含む研修を行うものとします。
最新の治験で医学的な成果に
普及啓発と医療関係者の参加の面では、医学的な成果となるような最新の治験・臨床試験に参加できる中核・拠点病院の実施体制の整備します。
その中核・拠点病院の活用により、教育機関は治験・臨床試験の実績が学位の取得に役立つようなプログラムを整備、公的研究費の公募の採択や学会の各種認定の面では治験・臨床試験の実績を評価、治験などの研究費の配分は治験実施者の労働に見合う研究費の利用が可能になるような工夫を進めることとします。
患者には十分な情報提供体制
患者の参加へのインセンティブとしては、治験・臨床試験のデータベースのポータルサイトの整備、中核・拠点病院に患者情報室の整備、治験参加後に本人の治験結果や上市情報などの情報がフィードバックされる体制の整備と治験終了後の治験薬の継続投与の実施をあげています。
治験の実施の効率化と企業負担の軽減については、治験契約の窓口機能の強化と効率化、医療機関と企業の業務の明確化、症例の集積性を高めるなどモニタリングの効率化をあげました。
検討会での議論では、治験だけではなく臨床試験の充実が重要であることについて記述することが多くの委員から指摘され、また、中島氏(日本製薬工業協会医薬品評価委員会委員長)はこれまでの議論で指摘された重要な問題として「治験外来の設置」や「ICH-GCPへの対応」については記述すべきだと発言しました。
拠点病院については、病院に限らず、診療所まで含めた対応を考えるべきとの意見が多く出されました。
資料1:中間取りまとめ案
資料2:検討会配布全資料
06年の人口が増加に転ずる、出生数は7ヵ月連続増加 8月の人口動態速報
(2006.10.22)
(医療環境・人口動態)
厚生労働省の人口動態統計速報06年8月分によると、出生数の対前年同月比増加が7ヵ月連続となりました。人口の自然増も5月から4ヵ月連続しての増加となり、今年1月から累計した自然増がプラスに転じて、1万3357人の増加となりました。
8月の出生は9万8276人で前年同月比3001人増、死亡は8万4519人で1222人増、差し引き1万3757人の自然増となりました。1月からの累計自然増も増加に転じ、今年初めての増加となりました。
各月ごとの過去1年間の自然増は、昨年12月にマイナスに転じて今年2月までの3ヵ月間連続のマイナスを記録しましたが、3月からはプラスとなっていました。
資料:人口動態統計速報06年8月分
精神障害者の医療保護入院 05年度16万3370件、1.1%増
(2006.10.22)
(医療経営・患者数)
精神保健・精神障害者福祉法により指定医が精神障害者と診断、入院の必要があると認めた者で本人の同意がなくても保護者の同意を得て精神病院に入院させる「医療保護入院」が、05年度は16万3370件となり、前年度に比べ1783件(1.1%)増加しました。増加傾向が続いています。厚生労働省がまとめました。
一方、2人以上の指定医が一致して、精神障害者であり入院させなければ自身を傷つけまたは他人に害を及ぼすおそれ(自傷他害のおそれ)があると診察して入院させる「措置入院」は2000人で、前年度に比べ222人(10.0%)減少しました。対象者数は年々減少しています。
また、同法により、一般の人や警察官から精神障害者またはその疑いがあるとして通報があったのは1万3687件で、前年度に比べ3件(0.0%)減少しました。その通報により診察を受けた者は6985人で、前年度に比べ228人(3.2%)減少しました。
資料:平成17年度保健・衛生行政業務報告(精神保健福祉関係)
在宅療養支援診療所、高点数で患者負担増加がネックに 保団連アンケート
(2006.10.19)
(中医協情報・在宅療養支援診療所)
在総診から移行が8割、労働時間もネック
全国保険医団体連合会(保団連)は会員を対象とした在宅療養支援診療所についてのアンケート調査の中間結果をまとめました。321件の回答があり、届け出た医療機関の7割が無床診療所で、9割は連携医療機関がありました。
届出医療機関のうち8割が寝たきり老人在宅総合診療料を届け出ていたもので、その9割弱が24時間連携体制加算を届け出ていました。
ネックについての質問では、高点数のため患者負担が高くなること5割、また「24時間365日体制」の「労働時間」5割、「体制確保・人件費」4割などとなりました。
届け出後に訪問診療料の算定回数が増えたのは、2割にとどまり、6割強は「変わらない」としました。1施設当たり平均患者数は17人となりました。
往診料加算などでとれる高い点数の算定は、「在宅患者の8割以上で算定」は3割と少なく、「在宅患者の5割未満で算定」が4割強となっています。 ターミナルケア加算の算定は111医療機関ありましたが、1000点の算定は79でした。
「届出をしてよかった」は3割台にとどまり、「どちらともいえない」が6割弱を占めました。今後については、「このままやっていけそう」は3割弱、「しばらく様子を見る」が7割弱となりました。すでに届出を取り下げたケースが1件ありました。
資料:在宅療養支援診療所アンケート結果(保団連)
研修医マッチング結果 第1希望マッチ率上がる、参加者数・登録者数減少で
(2006.10.19)
(医療行政・医師臨床研修)
医師臨床研修マッチング協議会は10月19日、今年度の研修医マッチングの最終結果を発表しました。参加者8604人、希望順位登録者は8402人で、いずれも昨年をしたまわりました。希望順位未登録者は202人でこちらは昨年を上回っています。
一方、参加病院は1050病院で昨年を上回り、研修プログラム数、募集定員数も昨年を上回りました。
希望順位登録者8402人のうちマッチ者は8094人でマッチ率96.3%となっています。マッチ者は昨年を6人下回りましたが、マッチ率は0.7ポイント上回りました。
希望順位別マッチ率は、第1希望が75.2%で昨年を2.7ポイント上回りました。第2希望以下は昨年を下回り、第2希望14.3%、第3希望5.9%、第4希望以下4.6%となっています。
資料:医師臨床研修マッチングの結果
重篤な副作用の予防・早期対応に45疾患のマニュアル策定、厚労省がHPで公開へ
(2006.10.19)
(医薬品・安全性情報)
厚生労働省は、医薬品などの副作用による重篤な疾患について疾患別対応マニュアルの作成を進めています。患者向け情報と医療関係者向け情報をともに盛り込み、患者と医療機関の双方に副作用の早期発見と早期の対応、また副作用発生の予防をも目指すもので、これまでの事後対応から「予測・予防的な安全対策への転換」を図るものとしています。10月19日の重篤副作用総合対策検討会(座長=松本和則・国際医療福祉大学教授)に、スティーブンス・ジョンソン症候群、間質性肺炎、薬剤性パーキンソニズム、横紋筋融解症など9疾患のマニュアル案を諮りました。
マニュアル案は関係学会がまとめたものですが、特に患者向け情報の表現についてさまざまな意見が出されました。厚労省は、修正を加えた上でホームページ上で公開する予定です。
この日提案された9疾患のほか、22疾患のマニュアルが作成中であり、さらに甲状腺機能亢進症、高血糖(糖尿病)、緑内障眼圧上昇など14疾患の追加を決定しました。
資料:検討会配布全資料
イレッサの間質性肺炎リスク、他の化学療法との調整オッズ比は3.23 投与4週以内で高い
(2006.10.19)
(医薬品・安全性情報)
厚労省調査会は適正に使用されていると評価
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(座長=松本和則・国際医療福祉大学教授)は10月19日、アストラゼネカの抗がん剤イレッサ錠(一般名=ゲフィチニブ、効能=手術または再発非小細胞肺がん)について、副作用としての間質性肺炎の相対リスクと危険因子に関するコホート内ケースコントロールスタディの結果、イレッサによる間質性肺炎の発症が他の化学療法剤に比べ調整オッズ比が3.23と高くなったとの報告を受けましたが、医療現場で適切に使用されているものと評価しました。
スタディは安全性に焦点を当てたイレッサと他の化学療法剤との比較調査で、アストラゼネカが行ったものです。
間質性肺炎の発症率は、イレッサ4.0%、他の化学療法2.1%で、調整オッズ比は3.23となりました。また、投与開始後4週間までのオッズ比は3.80でより高く、イレッサの間質性肺炎のリスクは主に治療開始後4週間に起きているとされました。
喫煙歴がある患者や間質性肺炎の既往歴のある患者は間質性肺炎発症のリスクが高く、そうした患者への使用は避けられていることも報告されました。
報告に対する議論では、現在では危険因子に対する概念が浸透しているため間質性肺炎はこの程度の発症率で納まっているとの認識が確認されました。
一方、他の化学療法剤に比べて発症リスクが高いこと、またイレッサの投与4週以内の発症率が高いことが確認された点については、改めて医療関係者に徹底する必要があるとされました。
「納得して医療を選ぶ会」の倉田雅子参考人は、イレッサの使用を進めるために捻じ曲げられた情報が医療関係者に伝えられることはないかと発言。これに対し、国立がんセンター中央病院長の土屋了介参考人が、「発売当初は前宣伝もあって同病院がパンクしかねないと心配したがそうしたことが起こらなかったのは抗がん剤を用心しないで使用するところでもかなり使用されたためだと想像した。しかし、現在ではそれはかなり払拭された」と応えました。
倉田参考人はまた、アストラゼネカに対し、こうしたデータをホームページ上で紹介する場合に一般の人にも探しやすい形にするよう要望しました。
委員の池田康夫氏(慶応大学医学部長)は、各学会が研究発表に努めるだけでなく、こうした情報を学会員に積極的に知らせるような活動をすべきであると発言しました。
4−6月のイレッサ使用状況、1754施設で新規処方2450人、継続投与6832人
アストラゼネカの報告によると、イレッサの今年6月末時点の全納入施設は1762となりました。また、今年4−6月の新規処方患者数は2450人(1754施設)、継続投与患者数は6832人(1754施設)です。
新規処方患者は、がん専門病院(がんセンター、特定機能病院、がん診療拠点病院)が958人(204施設)、専門病院以外で学会会員医師(肺がん学会、がん治療学会)1424人(1203施設)、その他68人(347施設)。
継続投与患者は、がん専門病院2707人(205施設)、専門病院以外で学会会員医師3873人(1202施設)、その他252人(347施設)です。
資料1:ケースコントロールスタディ
資料2:イレッサの使用状況
資料3:調査会配布全資料
DPC病院の再入院率、高い病院・早期再入院の多い病院からヒアリング
(2006.10.18)
(中医協情報・DPC)
国立がんセンター、日鋼記念病院、埼玉医大病院、赤穂中央病院など7病院
中医協・診療報酬基本問題小委員会の下部組織である診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が10月18日、今年度では4月以来の2回目の分科会を開催、再入院について前回まとめた平成17年度調査結果で指摘された「DPC導入後の急激な増加」「退院後3−4日以内の事例」「退院後4−7日以内の事例」「検査入院後手術のため」「計画的手術・処置のため」というケースについての個別事例の検討のため、該当する7病院の出席を求めてヒアリングを行いました。
再入院率が問題とされるのは、DPCは入院初期の点数を高く設定しているため十分に回復しない段階での早期退院に病院側が動き、その結果再入院率が高くなるとの懸念によるものです。
ヒアリングの対象となったのは、再入院率が23%前後と高い国立がんセンター、再入院率が急激に増加し1週間以内の再入院が増加している日鋼記念病院(北海道)、1週間以内の再入院が多い南風病院(鹿児島県)、3日以内の再入院が多い埼玉医大病院(埼玉県)、再入院率が増加し3日以内の再入院が増えている埼玉協同病院(埼玉県)、3日以内の再入院が多い市立旭川病院(北海道)、再入院率が増加し4−7日以内の再入院が増加している赤穂中央病院です。
国立がんセンターは、抗がん剤治療で2−4週のインターバル管理を行っているために再入院が多いと説明しました。そのため7日以内の再入院はごくわずかです。DPC導入による変化については、国立がんセンターとして経営よりも治療の観点を重視しているため変化はないとしました。ただ、抗がん剤治療には最初の1−2回に大きなエネルギーを投入するがそこは評価されていないため経営面では厳しいと説明。そうした面から、DPC導入には反対した医師が多かったことを明らかにしました。
日鋼記念病院も、がんの化学療法による再入院が増加しているとし、再入院率の増加は結果的なものとしました。また、室蘭市は高齢化が進んでいるため高齢者の入院が多く再入院はさまざまな疾患で起きているとしました。
南風病院は、がんをはじめ重症患者の受け入れ病院になっているとし、入院の半数近くががん患者でそのために再入院が多いと説明。DPC導入後も治療方針や経営方針は変えていないとしましたが、欠損が出ている分野もあるため今後は後発医薬品の導入などを考えざるを得ないとしました。データでは平成16年と17年とで大きな違いがありますが、16年は1ヵ月分のデータであるため比較できないとしています。
埼玉医大病院は、埼玉県の西部と北部をカバー、他に大規模病院がなく一手に引き受けている状況です。再入院率はDPC導入以前から高く、地域的な特徴であるとしました。3日以内の再入院が多いのは、家族が車で送り迎えをするために金曜日に退院して月曜日に再入院するケースが多いことがあるとしました。3日以内の再入院が減少しているのは、以前は特定機能病院の条件として平均在院日数の短縮、また外泊よりも退院して再入院の方が患者負担が軽かったこともあるがDPCでそうした問題はなくなったためと説明。電子カルテによる発生時管理の徹底で医師の指示が明確化されたことも影響しているとしました。
埼玉協同病院は、351床という中規模病院です。手術の多くは白内障で、3日以内の再入院が多いのも白内障によるものと説明しました。1泊2日の入院パスにより、間に1−2日を入れて片目ずつ2回の入院で行っているためです。連続して入院するより医療費は安くなるとしています。
市立旭川病院は、循環器疾患が多い病院です。3日以内の再入院が多いのはがんの化学療法によるものとしました。以前は急性期特定入院加算をとるために在院日数を短縮する必要があり退院して再入院の形をとっていましたが、今年の4月からは同加算が廃止され、またDPCを導入したことから再入院では患者負担が高くなるため外泊扱いとしており、3日以内の再入院は大きく減少するものとしました。
赤穂中央病院は、療養病床もあるケアミックスの病院です。そのためデータのばらつきが大きいとしました。最近では白内障が増え、再入院率の増加は白内障の2度の手術の影響があるとしました。また、内科での治療から外科治療に移行する場合に一度退院するケースもあるとしました。
全体を通した議論で、池上委員(慶応大学医学部教授)は、今回の再入院調査では対象としていなかった療養病棟からDPC病棟に移行する場合も、新規入院扱いとなるため、今後は調査対象にすべきとしました。また、抗がん剤治療によるものなどは区分した精緻な調査をすべきだとしました。
次回は今年度調査の結果についての中間報告が行われる予定です。
資料1:平成18年度DPCに関する調査について
資料2:17年度再入院に関わる調査結果ー1
資料3:17年度再入院に関わる調査結果ー2
資料4:17年度再入院に関わる調査結果ー3(ヒアリング病院の状況)
資料5:分科会配布全資料
健康日本21中間評価 健康改善目標の達成度低調、男性肥満が増加・日常生活中の歩数減少
(2006.10.17)
(医療行政・メタボリックシンドローム政策)
メタボリックシンドローム健診のさきがけとして厚生労働省は「健康日本21」を進めており、最終年度とする平成22年度の目標値を設定していますが、10月17日に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(部会長=久道茂・宮城県病院事業管理者)が行った中間評価では、目標値に向けた動きは全体に低調で、中には後退している項目があることも明らかになりました。
健康日本21は、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・心の健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がん、の9分野を設定、それぞれに10項目程度の改善すべき項目とその目標値を設定しています。
健康日本21は2000年に策定したもので、栄養・食生活の中ではまず「適正体重を維持している人の増加」が設定されています。しかし、20−60歳代男性の肥満者が24.3%からスタートし15%以下の目標であるのに対し、中間実績値は29.0%とかなり増加しました。同年代の女性や児童・生徒では横ばいです。
また、野菜の摂取量の増加、カルシウムに富む食品の摂取量の増加についても、中間実績値では減少しました。
身体活動・運動では、「日常生活での歩数の増加」が、成人の男女とも逆に減少しました。糖尿病では、「糖尿病合併症の減少」があるのですが、糖尿病性腎症によって新規に透析導入となった患者数が1万729人でスタートし目標は1万1700人(生活習慣の改善がない場合の推計は1万8300人)であるのに対し、中間実績値は1万3920人と大幅に増加しました。
循環器病でも、「高脂血症の減少」の項目で高脂血症の人の割合が男性で10.5%から12.1%に(目標5.2%以下)、女性で17.4%から17.8%に(目標8.7%以下)、わずかながら増加しています。
がんでは、「がん検診受診者の増加」の項目で、子宮がんと乳がんの受診者数が減少しましたが、これは検診が1年に1回から2年に1回に変更されたことがあるとされました。
歯の健康の分野は、唯一、目標を順調に達成しつつあります。
こうした低調な結果について、委員からは目標値の位置づけが明確でなく集団としての目標に受け取られている面があるのではないかとの意見が出され、今後は個人が達成すべき目標であることを明確にすべきとされました。
また、健康日本21の達成に向け、02年に健康増進法が制定され、健康増進計画の策定が都道府県の義務とされ、市町村には努力義務との位置づけが行われています。しかし、都道府県はすべて02年度中に策定したのに対し、市町村での策定は今年7月1日時点で54%にとどまっています。
市町村にとっては努力義務であること、またこの間に市町村合併が行われていたことが影響しているとみられています。ただ、08年度中にはすべての市町村が策定する予定です。
資料1:健康日本21中間実績値(P10以降)(厚労省)
資料2:健康日本21中間実績値(P28まで)(厚労省)
資料3:健康日本21中間評価報告書案(全体版)(厚労省)
資料4:健康増進栄養部会配布全資料(厚労省)
医療機能評価機構 新規35病院を認定、認定病院2194に
(2006.10.17)
(医療施設数・機能評価認定病院数)
財団法人日本医療機能評価機構は、新規35病院、更新12病院、合わせて47病院の認定を発表しました。これにより認定病院数は2194となりました。
新規35病院の内訳は、一般病院16、精神科病院5、療養病院3、複合病院11です。また、付加機能評価での認定は緩和ケアが1病院、救急が1病院ありました。
資料:認定病院一覧
後期高齢者の診療報酬体系 日医も慢性期は包括払いを提案、ただし条件付き
(2006.10.16)
(後期高齢者医療の診療報酬体系)
後期高齢者医療の診療報酬体系について、厚生労働省は社会保障審議会に特別部会を設置して議論を開始しました。今月5日の第1回検討会で厚労省は包括払いを意識させるような資料を提示しましたが、当日は説明も議論もされなかった参考資料が出されており、そこでは日本医師会が後期高齢者医療の診療報酬について急性期は出来高払いを維持するものの「慢性期は独自の包括支払方式の開発」を提案、また在宅医療の分野で訪問看護を担う日本看護協会は後期高齢者医療全体について包括評価の検討を提案しています。
このため、検討会での議論も包括払いを軸にしたものになっていくものと見られます。
日本医師会の提案は、2000年8月に当時の坪井執行部がまとめた「2015年 医療のグランドデザイン」に盛り込まれたもので、その中の高齢者医療に関する提案部分が参考資料として示されました。
診療報酬体系については、公立病院や大学病院を対象とした「特定系統」には「1日当たり包括支払方式」を提案。それ以外の「一般系統」は、「技術報酬系」「薬・材料報酬系」「在院報酬系」の3系に区分してそれぞれのコスト構造に応じた診療報酬体系とし「出来高払い」を原則とするものとしています。
また、高齢者医療制度については、「高齢者に係る医療費の出血を最小限に食い止めるため」として、「慢性期」に「包括支払方式」の導入を提案しています。
ただ、その場合でも、技術報酬系、薬・材料報酬系、在院報酬系の系をまたぐ包括化については「回避しなければならない」と指摘しています。さらに、「個々の病態を考慮しない画一的な支払方式の採用は必要な医療さえも提供不能にする恐れがある」ことも指摘、合理的な支払方式の開発を求めています。
しかし、こうした日医の考え方に対し、現在の包括払い方式は、外来医療やDPCでは日医の言う「薬・材料報酬系」と「在院報酬系」をあわせた包括であり、療養病床では「技術報酬系」も含めた包括払いとなっています。
また、特別部会には支払側の委員が入っていませんが、中医協での議論が始まれば、支払側は包括払いを強く求めることになります。
日医は現在の唐澤執行部が改めて会内に「高齢者の診療報酬体系検討委員会」を立ち上げて、亜急性期、急性期、慢性期のそれぞれにふさわしい診療報酬体系の検討を進めることとしています。
日医がどこまでの対抗軸を出せるのか、まだ不明ですが、後期高齢者医療の診療報酬体系としては、包括払い中心の議論が展開されるのは必然の流れであると言えます。
資料:後期高齢者医療のあり方に関する特別部会の参考資料
新薬・医療機器の早期導入のため承認審査を見直し、厚労大臣の検討会を設置
(2006.10.16)
(医薬品・治験推進・承認審査)
厚生労働省は新薬の迅速な医療現場への導入を図るため、承認審査のあり方や実施体制などの見直しを進めることとし、検討会を立ち上げます。また、医療機器についても同様の趣旨の検討会を別途立ち上げて早期導入を図ることとします。
新薬の検討会については、厚生労働大臣が開催するものという重要な位置づけをしています。
検討項目としては、
(1)承認審査の方針や基準の明確化と市販後安全対策への取組みについて
(2)治験相談・承認審査の体制の充実について
(3)その他医薬品の安全かつ迅速な提供に資する事項
をあげています。
検討会のメンバーは、医学、薬学の有識者のほか、患者団体や医薬品産業の関係者も含めて構成。10月30日に第1回を開催します。
また、医療機器の検討会は10月26日にスタートします。
資料:有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会について
後期高齢者医療制度のメタボリックシンドローム健診、受診率で目標管理し支援金分配か
(2006.10.15)
(医療行政・後期高齢者医療制度)
腹囲、LDL−コレステロール、尿酸を新規項目に
後期高齢者医療制度(高齢者医療法)で医療費の伸びの抑制のポイントとなるのは、メタボリックシンドロームをターゲットとした健診と医療費適正化計画の策定です。健診と医療費適正化計画とは連動していますが、ここでは高齢者医療のために各保険者から徴収される「後期高齢者支援金」の配分割合を左右する健診に絞って見て行きます。
健診は、厚生労働省の「標準的な健診・保健指導のあり方に関する検討会」で決められた必須項目18項目と選択的実施項目7項目の合わせて25項目とされ、高齢者医療法ではこれを「特定健康診査」と呼びます。
メタボリックシンドロームに関連するものとして、従来の老人保健法による老人保健事業の健康診査、労働安全衛生法による事業主の努力義務である定期健康診断の項目には入っていなかった3項目を必須項目として追加しました。腹囲、LDL−コレステロール、尿酸です。
腹囲は、メタボリックシンドロームの判定基準項目(男性85cm以上、女性90cm以上)です。LDL−コレステロールは、独立した心血管危険因子の判定指標として有用であるためとされました。保健指導判定値が120mg/dl、受診勧奨判定値が140mg/dlとされています。尿酸は、メタボリックシンドローム判定時の参考指標として有用であるためとされました。保健指導判定値が7.0mg/dl、受診勧奨判定値が8.0mg/dlです。保健指導判定値、受診勧奨判定値は各項目ごとに示されています。
こうした特定健康診査の結果によって必要とされる保健指導を「特定保健指導」と呼び、その両者を適切、有効に実施するための「特定健康診査等基本指針」を国が定めます。基本指針では、実施方法とその成果についての目標を設定するものとしています。
この特定健康診査等を実施するのは、各健保組合、市町村国保、政管健保などの保険者で、各保険者は、国が定めた特定健康診査等基本指針に即して、5年ごとの「特定健康診査等実施計画」を策定しなければなりません。ここでは、実施方法とその成果についての「具体的な目標」を定めることが必要とされます。特定健診の対象となるのは、すべての被保険者ではなく、家族も含めて40歳以上の者です。
特定健診の成果についての目標としては、健診対象者の受診率、また特定保健指導対象者に対する保健指導の実施率と実施内容が大きなポイントになると予想されます。 後期高齢者医療制度を運営するのは、都道府県ごとに全市町村で構成する広域連合ですから、各保険者からの「後期高齢者支援金」は最終的には市町村に分配されることになるのですが、その分配にあたっては、特定健診と特定保健指導の成果次第によって、100分の90から100分の10までの調整率が適用されるという仕組みです。
各市町村は、目標を達成するために必死の努力が迫られることになります。
資料:標準的な保健指導プログラム(暫定版)(健診項目・P19、判定基準・P21)
支払基金審査 今年度第1四半期査定件数8.1%増、点数改定の影響
(2006.10.13)
(医療経営・レセプト審査)
査定点数は1.2%減
社会保険診療報酬支払基金がまとめた今年4月審査分から6月審査分の審査状況によると、レセプト件数は4.5%減となった中で、審査による査定件数は8.1%増と大きく増加、請求件数に対する査定件数の割合は13.2%増となりました。診療報酬改定の影響によるものとみられます。しかし、査定点数は1.2%減となり、請求点数に対する査定点数の割合も1.8%増にとどまりました。査定1件当たりの点数は低下したことになります。
医療機関からの再審査請求と復活点数も大幅増
調査対象レセプトは、3月診療分から5月診療分までとなります。再審査については、保険者からの再審査請求は8.9%減となりましたが、その査定件数は1.4%減にとどまり、査定点数は0.9%とわずかながら増加しました。
一方、医療機関からの再審査請求は6.9%増と大幅に増えました。査定件数は0.1%減とほぼ横ばいでしたが、査定により医療機関側に戻された点数は17.2%増と大幅な増加を示しました。
医科レセプトと調剤レセプトを突合し1500点以上である場合の保険者からの審査請求も、8.9%増と大幅な増加となりました。その査定件数も18.9%増、査定された点数も18.9%増となっています。
資料:審査状況の概況(平成18年度第1四半期分)
医師偏在で日本医学会と日医がシンポ、女性医師を当直なしで常勤になど具体案
(2006.10.12)
(医師不足問題)
現場からは「偏在でなく不足」の声、厚労省は過剰分野の存在指摘
産婦人科、小児科、救急医療の現場で問題となっている医師の偏在をテーマに、日本医学会と日本医師会が合同でシンポジウムを開催、筑波大学の吉川氏(産婦人科)は、現実に医師を確保するためには子育て中などの女性医師を当直なしでも常勤として認め、一方で当直する医師に対しては手当てを高くすることが必要だと指摘しました。厚生労働省からは宮嵜・医師臨床研修推進室室長が参加、医師不足問題の要因ともなった新医師臨床研修制度について、実施5年後の見直しのためこの秋から検討会をスタートさせる方針を明らかにしました。
筑波大学の吉川氏は、女性医師を当直なしで常勤と認めたうえで将来の教授や部長へのキャリアパスも示す必要があるとしました。産婦人科の女性教授は名古屋市大で初めて誕生したが欧米に比べて遅れていると指摘しました。一方で、当直する医師の手当てを高くすることは、当直しない女性医師と当直する医師との共存を図るために必要なことだと指摘しました。
吉川氏は、単に医師数の問題ではなく、そうした具体的な対策が必要であることを強調。一方、医師の集約化、重点化については、現実には病院数を減らさないと進まないとし、現状ではうたい文句に過ぎないと指摘しました。
小児科については、小児科学会の1次2次救急を担う小児科センター病院と3次救急を担う中核病院とのネットワークを形成する構想が紹介されました。国立国際医療センター名誉総長の鴨下氏は、この小児科センターを母子医療センターとして国立大学医学部のキャンパスに設置すればセンターとして母子医療の中核を担うとともに医師の供給源ともなると訴えました。
救急医療については、救急専門医が2人以下の救急病院が34%に達するとして専門医不足が指摘され、診療科としての標榜がないため、医師不足問題が見えにくくなっているとされました。また、その専門性に対する評価も十分行われていないことが訴えられました。
討論の司会を務めた国立精神・神経センター総長の金澤氏は、当初は医師が減っていると思ったが偏在ではないかということになり、シンポジウムのテーマを偏在としたと説明しました。
一方、会場からは「勤務医が仕事量が増える中で医師の絶対数は増えないため疲弊していなくなっているのが実態であり、これを偏在としていいのか」とする実感を踏まえた意見が多く上がりました。
これに対し、厚労省の宮嵜室長は医師需給検討会の将来的には医師の需給は均衡するとの報告書を踏まえた姿勢を貫き、学会によっては医師数が多いため専門医となるための症例をこなすための年数が長くかかるという実態もあるとして、医師数が過剰になっている分野もあると指摘しました。
日医 女性医師バンクは早急に立ち上げ、各県に医師バンクも
日医の木下常任理事は、女性医師バンクについて、厚労省の資金援助を受けて準備中であり早急に立ち上げたいとしました。合わせて、各県医師会で女性に限定しない医師バンクを設置することも検討していることを明らかにしました。
内保連、08診療報酬改定に向けた評価希望書提出スケジュールを決定
(2006.10.12)
(08−06改定・通知・疑義解釈)
内保連(内科系学会社会保険連合=斉藤寿一代表)は10月11日の例会で、次回の08年診療報酬改定に向け、医療技術評価希望書を来年6月25日に厚生労働省に提出するスケジュールを決定しました。
内保連加盟各学会から内保連への提出締め切りは来年4月10日、それを受けて重複する技術の調整などを臓器別の委員会で5月20日までに行い、6月25日に内保連の要望書として厚生労働省に提出します。
希望書は厚生労働省から出されるもので、前回の06年改定時には05年1月25日付けとなっていました。斉藤代表は、厚生労働省は前回の様式をほぼ踏襲する方針として、前回の様式に基づいて準備を進めるよう要請しました。
希望書の記載内容として厚生労働省が重視しているのは、(1)テーマ、(2)エビデンス、(3)医療費に及ぼす影響、の3点だとしました。「エビデンス」としては公表されてる論文がある場合にはその趣旨を記載すること、「医療費への影響」では患者数と受診頻度がポイントであるとしました。
また、委員会活動として「国民の信頼に応える医師と医療」(マスコミ対応を含む)、「内科系医療技術の評価」「生活習慣病の予防:健診と生活指導」の3委員会を設置し、1年後に報告書をまとめることとしました。
08診療報酬改定 DPCの検証が必要、後期高齢者は若人とは違う体系に 原医療課長
(2006.10.11)
(08−06改定・通知・疑義解釈)
スケジュールは前倒しで対応
厚生労働省保険局の原徳壽(はら のりひさ)医療課長は、次回の08年4月診療報酬改定で焦点となる後期高齢者医療の診療報酬については、「ターミナルケアをどう考えるかだ。若人と同じではない」として、出来高払いを柱とする若人の体系とは違うものになるとしました。
また、DPCが適正に運用されているかの検証が必要との考えを明らかにしました。後期高齢者以外の診療報酬については06年改定の作業よりも前倒しで進める方針です。内保連(内科系学会社会保険連合)の10月11日の例会での講演で明らかにしました。
原課長は、DPCの検証について、「適用されている360病院での運用が適正に行われているのか、しっかりと立ち止まって検証する必要がある」との考えを示しました。ただ、準備病院375病院への拡大を止めるものではないとしています。
また、改定作業の前倒しについては、点数設定の議論は年末の改定率の決定後となりますが、評価すべき項目などの議論を前倒ししないと間に合わなくなるとしました。
06改定は療養病床・リハ・看護配置で革命に近い
06年改定については、療養病床、リハビリテーション、看護師配置の3点で非常に大きな改正が行われたとし、「革命に近い」と表現しました。その反響が大きく、「説明に回っている」として、そのために次期改定に向けた作業にもある程度の影響があることを示唆しました。
また、改定幅のマイナス3.16%については、技術料はマイナス1.36%だが医科はマイナス1.5%であり、平均の1.36%を上回っていること、さらに、「小児医療、産科医療、麻酔・病理診断、救急医療、急性期入院医療の実態に即した看護配置、医療のIT化、在宅医療」への重点評価で0.44%分(改定率ベース)のプラス評価を行ったため、適正化項目とされた「慢性期入院医療、入院時の食事、コンタクトレンズ診療、検査、初再診料、歯科・調剤」では1.80%分(改定率ベース)のマイナスとなったことを明らかにし、適正化については「平均で1.8%だから2%のところもある」と解説しました。
重点評価と適正化については「麦谷マジック」と表現し、麦谷・前医療課長の采配によるものであることを示しました。
資料:今後の保険医療政策について(原課長)(内保連)
メタボリックシンドローム健診対象者5619万人、08年スタート時 厚労省が検討会に報告
(2006.10.11)
(メタボリックシンドローム政策)
40−74歳、被用者保険本人は事業主健診で
高齢者医療法(高齢者の医療の確保に関する法律)で定められたメタボリックシンドロームをターゲットとした保険者による健診と保健指導の対象者は、制度がスタートする08年度で5619万人となることが明らかとなりました。このうち国保が2750万人、被用者保険の被保険者本人が1990万人、その被扶養者が879万人となっています。厚生労働省が10月11日の保険者による健診・保健指導の実施方策に関する検討会(座長:辻一郎・東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野教授)に報告しました。
各保険制度に加入する40歳から74歳までの被保険者と被扶養者が対象となります。対象者のうち被用者保険本人は、事業主の努力義務としての社内定期健診をすでに受けており、それ自体が新たな健診制度の健診となるため、新たな健診の対象者としては、被用者保険の被扶養者879万人と従来の受診率の低い市町村の健診対象者であった国保被保険者の2750万人、合計3629万人となります。
被用者保険本人が現在受けている労働安全衛生法による健診は、高齢者医療法による新たな健診で必要な項目と一致しないものがありますが、厚生労働省は対象者が2度の健診を受ける必要のないよう健診項目を一致させる方向で労働安全衛生の担当部局と調整中と、検討会に報告しました。
議論のなかで、日医常任理事の内田氏は、保険者による健診データの管理に対し「患者自身が管理することがなければ効果は上がらない。それをバックアップするのはかかりつけ医の役割だ。健診データとレセプトの突合は本当に必要なのか」と発言、保険者にデータ管理を行わせることへの懸念を表明しました。
資料1:平成20年度に特定健診の対象となる人数
資料2:検討会配布全資料(厚労省)
先進医療承認、先天性銅代謝異常症の遺伝子診断・超音波骨折治療法 専門家会議
(2006.10.10)
(新薬・医療機器・先進医療)
厚生労働省の先進医療専門家会議(座長:猿田亨男・慶応大学医学部名誉教授)は10月10日、8月受付分の先進医療の届出4件のうち、「ウイルソン病、メンケス病、Occipital horn症候群」を適応症とした「先天性銅代謝異常症の遺伝子診断」、「四肢の骨折(手術を施行した場合に限る)」を適応症とした「超音波骨折治療法」の2技術を承認することとしました。
中医協の了解を得て、今月末に告示となります。
先天性銅代謝異常症の遺伝子診断は、90%の患者の診断が可能とされ、10数%の患者で診断がつかないとされる現行の保険適用されている検査に比べ確実であり、また少量の血液で分析可能なため低侵襲である点で、先進性があるとされました。
速やかに確定診断ができるため、早期に治療を開始することができ、患者の予後を大きく改善することになります。
ウイルソン病の発症頻度は3.5万人に1人で高いとされ、こうした罹患率からある程度普及している技術とみられています。
医療機関の要件としては、小児科または内科があり、それぞれ専門医あるいは認定医であること、経験年数は5年以上、この技術の経験は1年以上などとされました。遺伝子診断であるため倫理委員会による審査体制が必要とされました。
患者が負担する先進医療費用は9万8千円(1回)、保険給付となる特定療養費は2千円(通院2日)です。
超音波骨折治療法は、すでに「四肢の骨折の治癒促進」の効能・効果で承認されている超音波骨折治療器を使用するものですが、保険適用の「難治性骨折超音波治療法」に対し、難治性以外の「四肢の骨折(手術を施行した場合に限る)」を適応症とするものです。
従来の観血的手術とギプスという「整復」と「固定」の治療に対し、そうした治療のあとの「骨癒合過程を促進する技術」として先進性があるとされました。治癒期間を40%短縮でき、再手術率の減少、入院期間の短縮が期待できるとされます。
罹患率や有病率から「かなり普及している」技術とされます。医療機関の要件は、整形外科があり、専門医であって経験5年以上、この技術の経験は1年以上、術者としての経験症例数は1例以上、病床は必要ですが、緊急手術などの体制は不要などとされました。
患者が負担する先進医療費用は12万4千円(1回=開始から治癒まで)、特定療養費は179万9千円(入院82日、通院5日)とされています。
このほか、脳動脈破裂によるくも膜下出血発症の患者を対象とした「大槽内マイクロカテーテル留置法による破裂脳動脈瘤の塞栓術後のくも膜下出血溶解療法」は、ウロキナーゼを使用するものですが適応外使用にあたる(静注で承認)とされました。
また、脳神経領域腫瘍性病変、前立腺がん、整形外科領域の腫瘍性病変を対象とした代謝物質情報によるMRS(生体磁気共鳴スペクトロスコピー)診断は、MRIの適応に含まれているものとされました。
9月の受付分として2件報告されました。「WT1ペプチドを用いたがんの免疫療法」と「膵疾患に対する腹腔鏡下尾側膵切除術」です。膵疾患に関する技術は高度先進医療で承認されているものと同じとの指摘がありましたが、厚労省もその点を確認中であるとしています。
資料:専門家会議配布全資料(WAMNET)
未承認・適応外使用薬含む高度先進医療の経過措置、「臨床的な使用確認試験」を経て承認申請へ
(2006.10.10)
(新薬・医療機器・先進医療)
先進医療専門家会議は、未承認や適応外の医薬品・医療機器を使用した高度先進医療の経過措置として、承認申請または治験の開始を行うことに加えて、第三の方法として設定することとなった「臨床的な使用確認試験」について、その具体的な基準を検討することとなりました。
10日の会議では、適応外使用への対策としての承認手続きを定めた「2課長通知(適応外使用に基づく承認)」を参考にするのか、との質問が出され、厚労省は「承認審査に持っていくための方法」を検討するものと応えました。
また、「臨床的な使用確認試験」は既存技術だけでなく、新規に申請されるものも対象とすることも含めて、現在、厚労省内部での検討を進めているものとしました。
関連して、未承認医薬品への対応策として検討会による検討を経た手続きを進めているのに対し、医療機器についても同様の対応を求める意見があり、厚労省はそうした意見を踏まえて担当課が検討しているものとしました。
[解説]
厚労省の2課長通知「適応外使用に基づく承認」は、治験をせずに承認申請できるケースを示したもので、以下の3点をあげています。
(1)外国で承認されて相当の使用実績があるもので、その承認申請資料が入手できる場合
(2)外国で承認されて相当の使用実績があるもので、国際的に信頼できる学術雑誌に掲載された科学的根拠となり得る論文または国際機関で評価された総説等がある場合
(3)公的な研究事業により実施されるなど倫理性、科学性、信頼性が確認し得る臨床試験の成績がある場合
資料:適応外使用に基づく承認(厚労省2課長通知)
療養病床の減少5ヵ月連続、一般病床は増加が続く 7月の医療施設動態
(2006.10.10)
(医療施設数)
療養病床のない一般病院が6ヵ月連続増加
療養病床の減少、療養病床のある一般病院の減少が7月も続き、3月から5ヵ月連続となりました。介護療養型医療施設の廃止方針、療養病床の再編に呼応した動きとして、この流れは続くことになると見られます。
7月の療養病床は前月より2600床減少して35万3679床、療養病床のある一般病院は32減少して4296となりました。減少数はほぼ前月並みです。
一方、療養病床のない一般病院は、10増加して3599となりました。こちらは2月から6ヵ月連続です。一般病床数も2月からの増加傾向が続いています(4月を除く)。7月は1901床増加して90万8789床となりました。療養病床を一般病床に転換しているものと見られます。ただ、一般病床には医療計画による厳しい規制があり、一般病床数の増加がこのまま続くとは限りません。
一般病院全体の数は減少傾向に変わりはなく、8減の7895病院となりました。精神病院数は変わらず、病院全体では8減の8968病院となっています。病院の総病床数は897床減の162万8214床です。
一般診療所数は、無床が169増の8万5345、有床が106減の1万2968、合計では63増の9万8313となりました。無床診療所の増加が続いています。
資料:医療施設動態調査(平成18年7月末概数)
後期高齢者医療制度、メタボリックシンドローム対策の成否で保険財源の分配に格差
(2006.10.9)
(医療行政・後期高齢者医療制度)
[訂正、11.5](解説。下線部分が訂正後)
高齢者自身には新たに保険料負担
75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の診療報酬体系についての審議がスタートしました。08年4月に実施されますが、医療費に直接影響する患者一部負担は、現行の老人保健制度と同じ1割定率負担(現役並み所得者は3割負担)で変わりません。
一方、財政面で、75歳以上の対象者すべてから、医療費のうち患者負担分を除いた給付費の1割程度の保険料を徴収することになるため、対象者にとっては負担増となります。
医療費に影響が出てくるのは、メタボリックシンドロームに焦点を当てた健診と医療費適正化計画が実施されることです。
健診も医療費適正化もすでに長年にわたって実施されてきたことではあるのですが、後期高齢者医療制度がこれまでと違うのは、健診と医療費適正化計画による目標管理が行われ、その結果によって、各保険者に対する保険財源の分配に差がつけられる仕組みとなっていることです。給付費の4割を健保組合や政管健保、国保などからの支援金でまかなうのですが、その分配は、健診と医療費適正化計画で策定した目標達成の程度によって、100分の90から100分の110までの割合で行うという方式です。
分配金が減額査定された保険者は保険料の引上げを迫られることになります。運営は都道府県ごとに全市町村で組織する広域連合が行いますから、都道府県単位となります。つまり、都道府県ごとに保険料の水準に差が出てくることになるのです。
また、健診と医療費適正化計画の結果についても、都道府県ごとの状況が公表されることとなっています。 後期高齢者医療制度は、こうした形で、メタボリックシンドロームをターゲットとした医療費適正化を進め、また都道府県間の競争を促し、医療費の伸びの抑制を図ろうとしているのです。
[解説]
現行の老人保健制度は、原則70歳以上を対象とし、一部負担は1割定率ですが、02年10月改正で、後期高齢者への重点化として対象者を毎年1年ずつ繰り上げ
ることとされ
、07年10月からは75歳以上となります。
08年4月の後期高齢者医療制度スタート時点で
70歳以上
75歳未満の人は、それまで
は各健康保険制度に属したまま
でいくのですが、
一部負担は70歳未満の3割とは違い1割とされています。しかし、
後期高齢者医療制度のスタートと同時に70歳以上75歳未満の人は2割負担
に引上げ
となります。
資料:高齢者に関する医療保険制度の歴史(一部負担など)
一般病床の在院患者数が9ヵ月連続で減少、病院報告3月分
(2006.10.6)
(医療経営の状況・患者数)
病床利用率は80%を割り込む
厚生労働省の病院報告06年3月分によると、全国の病院の入院の1日平均在院患者数は、一般病床が72万1906人で前年同月比2万9657人の減少となりました。3月にはインフルエンザの流行がほぼ終息していたことによると見られます。昨年6月から9ヵ月連続の減少です。
3月の月末病床利用率は76.6%となり、80%を割り込みました。平均在院日数は前月より0.3日短縮し19.3日となりました。
療養病床の1日平均在院患者数は33万9241人で前年同月比3709人増です。医療施設調査によると、3月から療養病床の減少が始まりましたが、平均在院患者数はまだ増加が続いています。月末病床利用率は92.6%です。
外来患者数は7ヵ月連続減少
また、1日平均外来患者数は158万7504人で前年同月比10万3775人の大幅な減少となりました。インフルエンザの流行がほぼ終息していたためです。減少は昨年9月から7ヵ月連続となっています。
資料:病院報告06年3月分
国内人口が7ヵ月ぶりの自然増に、5月の人口動態概数
(2006.10.6)
(医療環境の動向・人口動態)
国内出生は4ヵ月連続増加
厚生労働省の人口動態統計月報(概数)06年5月分によると、国内日本人の出生数が9万3358人で前年同月に比べて5506人の増加となり、4ヵ月連続で増加を記録しました。
死亡数も増加しましたが、出生数が死亡数を上回って、人口の自然増は4488人の増加となり、昨年10月以来7ヵ月ぶりの増加を記録しました。
国内の外国人や国外の日本人の状況も含めた速報値では7月分まで出生数の増加と自然増が続いています。
5月の死亡数は8万8870人で、前年同月に比べ2 174人増加しました。増加率が大きかったのは肺炎で、7.2%(608人)増、死亡数9087人となりました。増加数の大きかったのは、死亡数2万7335人とトップの悪性新生物で744人の増加です。
資料:人口動態統計月報(概数)06年5月分
後期高齢者の診療報酬体系で審議、薬剤多用の入院外・入院は療養病床に多いと厚労省説明
(2006.10.5)
(中医協情報・診療報酬情報)
包括払いを意識させる資料構成
08年度から実施される75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度の診療報酬体系の構築に向け社会保障審議会に設置された後期高齢者医療のあり方に関する特別部会(座長:糠谷真平・独立行政法人国民生活センター理事長)の審議が、10月5日スタートしました。
厚生労働省は、検討課題や論点整理など議論の方向性を示すものを提示せず、後期高齢者医療の状況や診療報酬制度の現状説明にとどめましたが、包括払いへの流れを意識させるような資料構成となりました。
説明資料では、後期高齢者医療の特徴として、「入院外では循環器疾患と筋骨格系疾患の受療率が高く、投薬種類数が多くなって薬剤費は高い」、「入院では循環器疾患の受療率が特に高く、療養病床への入院が多い」ことを示しました。
一方、診療報酬体系として、「入院では慢性期医療のほとんどが包括払いで、急性期医療でもDPCなど包括払いが進んでいる」、「入院外は出来高払いを基本とするが外来診療料や生活習慣病管理など一部で包括払いが導入されている」ことを示し、出来高払いを生かしながらも包括払いへの流れになっていることを示しました。
人口の9%で医療費は28%、入院は4割
また、後期高齢者は1192万人(06年5月)で日本の総人口の9%だが、その医療費は9兆214億円(04年度)で総医療費の28.1%を占めること、国民1人当たり医療費は年齢が上がるほど高くなり特に入院医療費で後期高齢者の占める割合は40%(04年6月審査分)と高くなると説明しました。
水田保険局長は、厚労省が定額制の導入を決めたとする報道があることに対し、今後検討を進めるものとの姿勢を示しましたが、野中氏(野中医院院長)は定額制への流れ、特に高齢者で薬剤種類数が多くなることについて「高齢者医療の現象として当然の結果であり、やみくもに抑制することは問題」と発言し、定額制、包括払いをけん制しました。
野中氏はまた、後期高齢者医療の診療報酬体系構築の前提として「終末期医療のあり方についての合意形成を得て」とされていることに対し、どのような形で合意形成を得ていくのかが重要な課題となるとの問題を提起。複数の委員がこれに賛同し、糠谷座長も同様の認識を示しました。
一方、検討課題や論点が示されなかったため議論の方向性が定まらず、糠谷座長は「具体的なテーマ」の提示を厚労省に求めました。
厚労省保険局の原医療課長は、次回以降医療現場からのヒアリングを予定しているとし、そのなかで問題点が出てくるものとの考えを示しました。外来医療、入院医療、在宅医療、医療と介護の連携、終末期医療について、それぞれヒアリングしていきます。次回は10月25日に開催します。
[思わず聞き耳]
鴨下・座長代理
(国立国際医療センター名誉総長):私は小児科が専門で、その私がなぜ後期高齢者医療の部会に呼ばれたのかよくわからないが、高齢者に必要以上に手厚くするのは問題と常々考えているところです。
糠谷・座長
:委員はそれぞれの専門家だが、私は一番の素人。今日の説明は何の話だかよくわからなかった。次回からは、何を問題にしているのか、何を議論するのかがわかるように出していただきたい。
資料1:後期高齢者医療制度の概要
資料2:現行の診療報酬体系
資料3:介護報酬の仕組み
資料4:特別部会配布全資料
治験コストの医療経済研究、高単価是正に第三者機関設立し「参考対価」設定を
(2006.10.4)
(医薬品・治験推進)
「高い・遅い・悪い」の見直しへの提言
「高い(費用)、遅い(スピード)、悪い(質)」と揶揄される国内の治験の状況に対し、治験を実施する医療機関側と依頼者であるメーカー側のコスト調査に基づく医療経済学的分析の結果が明らかにされました。次期治験活性化計画策定検討会の座長である楠岡英雄(国立病院機構大阪医療センター副院長)氏らが厚生労働科学研究費で行ったもので、この種の研究は国内では初めてです。
報告書は、高い治験コストの是正のために
(1)効率的な治験実施費用を基に、固定費と変動費を区別した上で「参考対価」を設定(治験内容の違いを考慮)
(2)治験実施機関の認定・監査・指導・教育(未実施症例分の返金ガイドラインの整備)
(3)患者の治験参加支援
(4)治験手続きの標準化
(5)医学的見地から見た治験審査・内容のチェックと簡素化
(6)人材の育成
を提言しました。
(1)から(5)までの項目については、「第三者機関」の活用が考えられるとして、治験効率化の体制整備のための「第三者機関」設立の提言ともなっています。
医療機関コストは事務費など固定部分が3分の2
また、医療機関とメーカーに対する調査の結果、治験の実態の一端が明らかにされるとともに、改善すべき課題も指摘しています。
医療機関側では治験コストの3分の2を占める治験事務局・IRB事務局の事務作業など固定部分の効率化と、実施症例数に比例する変動部分では症例数の増加、がコストの低減化・効率化につながるとの見方を示しました。
また、人件費率は37.5%と4割以下で、人件費全体の42.5%をCRCが占めていることが明らかにされました。
今後、労務費以外のコストである委託費、燃料費、光熱水費、賃借料、減価償却費などについても調査を進める必要があるとしています。
メーカー、治験コストの2分の1占める企業内消費解明が課題
治験依頼者側のメーカーについては、症例単価は、プロトコールの内容、治療領域、治験実施施設の設立母体、CRC・SMOの有無により大きく変動している実態が示されました。このなかでは、CRCとSMOの費用が症例単価を引上げる原因の1つと指摘しています。
一方、企業としてのコストのうち医療機関への支払いは4分の1でしかなく、約2分の1は企業内で消費されているという実態が明らかにされました。企業内で消費されているコストの解明が必要だとしています。
資料:治験コストに係る医療経済学的研究
病医院の乳児連れ去り・盗難防止 設備改善とマニュアル作成を、来院者への声かけなど厚労省が項目整理
(2006.10.3)
(医療安全対策)
病医院で発生する乳児連れ去りや盗難、暴力などを防ぐため、来院した患者や家族に声かけを行うこと、新生児室に入るには必ずナースステーションの前を通るようにしドアに施錠すること、病院全体で話し合った上で「安全対策マニュアル」を作成すること、など病医院の安全管理のために必要な事項を、厚生労働省が10月3日に「医療機関における安全管理体制について」として整理し公表しました。
対策の第1は安全管理体制に関する病院の方針の明確化が必要だとしています。院内で発生した被害の実態調査を行い、その防止策を病院全体で話し合い、方針を決定することとしています。
暴力事件や乳幼児連れ去りを防止するための具体策としては、職員の安全管理に対する意識を高めるとともに、来院した患者や家族に「こんにちは、どちらにいかれますか」などの声かけを行うことが有効だとします。
また、訪問者には紐で首にかけるカードを渡し、関係のない第三者との区別を図ること、その紐は不定期に色を変え、訪問者を装う不審者を識別するようにしたことで、窃盗被害の減少につながったという事例も紹介しています。
産科や小児科では、新生児室へ行くにはナースステーションの前を必ず通るような構造とし、新生児室や母児同室エリアの出入り口は限定して常に施錠、家族が通る時には必ず職員に声をかけるようにするなどの対策を示しています。
さらに、新生児が許容された範囲外に出ようとする時には警報が鳴り、それと同時に連動して産科病棟のすべてのドアがロックされるシステムの導入もあげました。
そうした対策をとるとともに、「安全管理対策マニュアル」の策定が必要だとしています。
(1)出入り口、時間外出入り口の管理と運用方法(開閉時間など)
(2)駐車場、病棟、新生児室、共用施設、個人執務室などの保安警備・管理方法
(3)患者・家族と、院外の第三者の識別方法(名簿記入、面会証携帯など)
(4)事件発生時の対処方法、役割分担、報告連絡先(警察、近隣病院、行政など)
など8項目をあげ、病院全体のマニュアル、また病棟や部署ごとにも必要に応じて作成すべきとしています。
資料:医療機関における安全管理体制について
06改定の実施上の留意事項・領収証など、一部改正と訂正 厚労省が3種の通知
(2006.10.3)
(06改定・通知・疑義解釈)
13本の通知を訂正、91ページの大部に
厚生労働省は、06年診療報酬改定に関する「留意事項」などの一部改正と訂正の通知を9月27日付けで出しました。
診療所については10月から適用された「医療費の内容のわかる領収証の交付」については保険局長通知で一部改正をしています。領収証の様式については、医科、歯科、調剤、訪問看護の別に示しています。
医療課長通知では、「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」の一部改正を行っています。診療所老人医療管理料、外来栄養食事指導料、小児科外来診療料、など多数の点数の取扱いについて一部改正が行われています。
訂正は医療課長通知で行っています。診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項、基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱い、特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱い、など合わせて13本の通知の訂正となっています。3月から4月にかけて出されたものです。訂正の内容は、細部のものから全面的な書き換えまでさまざまで、91ページにも及ぶものとなっています。
資料1:保険局長通知(保団連HP)
資料2:一部改正医療課長通知(保団連HP)
資料3:訂正医療課長通知(保団連HP)
後発医薬品にエーザイ敗訴、セルベックスで外観のコピー性主張も知財控訴審棄却
(2006.10.2)
(医薬品・後発医薬品使用)
後発医薬品の出現に対して、先発品メーカーはそれまでに築き上げた市場での地位を維持しようと必死の努力を続けています。最も効果的な結果が出るはずのものとして行われているのが、さまざまな理由をつけての後発医薬品の製造販売差し止め請求訴訟です。しかし、先発メーカーの主張が認められるケースは少なく、抗潰瘍剤「セルベックスカプセル」で後発品の製造販売差し止め請求をしたエーザイも、東京地裁での敗訴に続いて第二審の知的財産高等裁判所でも控訴棄却の判決を9月下旬に受けました。
セルベックスカプセルの後発医薬品は1997年から複数の後発品メーカーが販売していましたが、エーザイが製造販売差し止めを求めたのは、そのうちの1社である大正薬品の製品でした。セルベックスカプセルのPTPシートとカプセルの外観に極めて類似しており、コピー商品の販売を規制する不正競争防止法違反に当たるとして提訴したものです。
セルベックスカプセルは「灰青緑色」と「淡橙色」という特徴的な2色の組み合わせで、PTPシートの銀色地に青色の文字などを配した外観とともに、不正競争防止法に位置づけられた「商品等表示」に該当するものであるとし、エーザイは、大正薬品の製品はこれをコピーしたものであり、同法違反であると主張しました。
しかし判決は、セルベックスカプセルの2色の配色自体が「商品等表示」にあたるような「特徴的なものではない」とし、また薬剤としての効能効果を離れてカプセルの色彩やPTPシートの外観によってこの製品を識別するほどに医療関係者に浸透したと認められる証拠もない、PTPシートに表示された後発医薬品の製品名はセルベックスとは明らかに異なっている、など、エーザイの主張をことごとく退けました。
資料:不正競争行為差止等請求控訴事件(裁判所HP)
医療機関は医薬品を共同購入またはメーカー直接交渉すべき、公取委が提言
(2006.10.1)
(医薬品流通問題)
後発医薬品の使用促進、先発品メーカーは妨害情報を出してはならない
医療機関は医薬品をできるだけ安く購入するために共同購入を促進すべきであり、卸を通じた共同購入で安くすることが期待できなければ、メーカーと直接交渉を行うことも検討すべきである。
消費者が望んでいる後発医薬品の使用については、医療機関には安全性、安定供給、情報量などの不安があるが厚生労働省の取組みの促進と共に後発医薬品メーカーがそうした懸念の払拭と理解の促進に努めるべきであり、先発品メーカーは後発品の販売妨害となる情報提供活動を行ってはならない。
公正取引委員会が医療用医薬品の取引について、こうした提言を盛り込んだ調査報告書をまとめました。
公正取引委員会は、後発医薬品の使用や医療機関による医薬品の共同購入が進んでいないのは、「医療用医薬品の流通に非競争的な取引形態や取引慣行が存在するのではないか」との懸念があるとして、取引の実態を調査し、競争政策上の観点から改善すべき点を提言するために調査を行ったとしています。
共同購入については、医療機関に対するアンケート調査の結果、実施しているのは18%に過ぎず、実施していない医療機関の理由は「仕切価格制度により卸の利幅は極めて薄いとされ、大幅に安く調達できる見込みがない」、一方、卸に対するアンケート調査では「共同購入により発注数量が多くなってもメーカーからのリベートはそれほど増えないため販売価格を安くすることはできない」との結果であったこと、また、医療機関へのヒアリングでは医師が大学医局から派遣されているために品目の絞込みができないことが共同購入が進まない理由とされたことをあげました。
これに対し報告書は、医療機関は品目の絞込みによる購入量の増大で共同購入に取り組むよう促すとともに、それでも値引きが期待できなければ、メーカーからの直接購入も検討すべきと提言しました。
この場合、医療機関とメーカーが直接価格交渉をして製品の取次ぎは卸が行ったとしても、卸が単なる取次ぎとしての機能である場合は独禁法違反にはならないとの解釈も示しています。
一方、卸業者に対しては、共同購入などでは取扱い数量によるリベートの拡大をメーカーに交渉するなどの営業努力を求めました。
JD-NET情報、廉価販売の卸に不利な対応すれば独禁法違反
さらに、JD-NETなどによりメーカーが卸から販売価格などの情報を入手し、それに基づいて仕切価格やリベート、アローアンスを決定しているとの実態も把握、一定の価格を下回って販売した卸に不利な取り扱いをした場合は独禁法違反になるとして、公取委として注視していく姿勢を明らかにしました。
後発医薬品、先発品メーカーの問題事例を列挙
後発医薬品については、医療機関へのアンケート調査の中で、不適切な比較方法や誤った試験結果によって後発医薬品の品質が自社先発医薬品よりも劣るとする情報を医療機関に流布して、後発医薬品メーカーの販売活動を妨害する行為が指摘されたことをあげ、独禁法上問題になるケースとして「特定後発品の欠陥情報を後発医薬品一般の情報であるかのように説明する」「同じ被験者で比較すべき先発品と後発品との品質検査データについて、異なる被験者で比較したものを説明する」などを例示、先発品メーカーに対してこうした情報提供を行ってはならないと指摘しました。
資料1:医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書
資料2:医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書(概要)
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