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将来推計
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2025年度医療費52.3兆円、年率2.2%増にとどまる 3%台の伸びを修正 厚労省(2010.10.26 2:55)資料





医療費の将来見通し 国際比較はGDP比で、自然増には技術進歩が含まれる 厚労省検討会(2007.7.11,21:25)
資料:「医療費の将来見通しに関する検討会」議論の整理(厚労省)
改善点を提言、現行方式の大枠は支持
 厚生労働省の医療費の将来見通しに関する検討会(座長:飯野靖四・慶応大学経済学部教授)は7月11日、これまでの検討結果を「議論の整理」としてまとめました。この日の議論を踏まえ、修正を加えて最終報告とします。

 現在行っている「1人あたり医療費の伸び率」による方式は「大枠としては基本となる方式」とし、指摘されている問題点に対する改善点を示しています。
 改善点は、(1)1人あたり医療費の伸び率の算定期間は医療費の分析を深めることでできる限り最近の期間とする、(2)見直しの都度将来見通しの名目額が小さくなることについては、経済規模との対比を示すなどていねいな説明が必要、(3)国際比較の観点から経済規模との対比で示す場合、間接税が考慮されていないNI比ではなく、GDP比で示すべき、(4)医療費の自然増の中には技術進歩などによる部分が含まれていることを示すべき、などとしました。


医療費の将来見通しは経済規模との比較で、医療費が果たした役割を評価すべき 厚労省検討会(2007.5.20,23:30)
資料1:これまでにいただいた主な意見(厚労省)
資料2:第4回検討会配布全資料(厚労省)
GDP比を基本に、手法や前提のていねいな説明が必要
 厚生労働省の医療費の将来見通しに関する検討会(座長:飯野靖四・慶応大学経済学部教授)は5月16日、厚労省がこれまでに行ってきた医療費の将来見通しについて「名目額では乖離があるが、経済規模との比較ではほぼ同じ結果となっている」として、「議論のベースとなり得るもの」との評価で一致しました。さらに、かつては死亡していた人が生き延びているなど医療費が果たした役割の評価、医療費が伸びることの意義を明らかにする必要があるなどの議論があり、それらも含めた整理を次回に示すこととされました。

 この日は、これまでの意見の整理を厚労省が提出、それを基に議論を進めました。医療費の将来見通しは「医療保険制度に必要な財源確保を安定的、公平に行なうための仕組みを議論するためのベース」とし、これまで厚労省が行なってきたものが「議論のベースとなり得るもの」との評価も意見の整理の中に書き込まれました。

 名目額のみが取り上げられて「将来見通しの正確性が議論の対象となってしまっている」ことについては、「名目額では乖離がある」「そのために見通しが恣意的であるかのような誤解もある」ものの、「経済規模との対比でみた場合ほぼ同じ結果」として、議論のベースとなり得るものとしたものです。

 一方、提示方法については、留意すべき点があり、ていねいな説明が必要としました。
 経済規模との対比では、従来のNI(国民所得)比は「今後大きくなる可能性のある間接税が考慮されていない」として、GDP(国内総生産)比で提示すべきとしています。
 また、長期にわたる公費負担、保険料収入、将来の保険料率を提示することも考慮すべきとし、将来見通しの手法や前提、その結果についてもわかりやすく、アクセスしやすい情報の提供方法を工夫すべきとしました。

 将来見通しの方法については、厚労省の方法を「大枠としては基本となる」としましたが、1人当たりの医療費の伸び率の設定方法では検討すべき点があると指摘しています。
 医療費の伸び率の前提については、人口の高齢化と制度改正効果を除いたもので、「自然増と過去の一定期間の診療報酬改定率が含まれたもの」となっているのに対し、「自然増と診療報酬改定分を区分する」「診療報酬改定率は経済との弾性を勘案して設定する」方法を提案しています。

 将来見通しに幅を持たせること、前提をマトリックスで置きそれに対応した複数の将来見通しを提示することも提案。
 さらに、「人口構造の変化のみを織り込んだ推計」を基本とし、それ以外の平均寿命の変化分、技術進歩が年率1%で起こった場合の変化分などを示すことも、推計内容の理解に役立つものとしました。

 医療費の分析については、レセプトの電子化の中で「自然増の分析」が重要とし、診療報酬改定が当初の想定どおりであったのかの分析も執拗としました。
 また、多少正確性を欠いても「医療物価指数」の作成が理想的だとしました。

 この日の議論では、財政の観点からは「医療費が伸びるのは不健全」とされ、外国でも抑制されており、そうした議論のために長期見通しが示されることに対し、飯野座長が医療費の果たした役割の評価、医療費が伸びることの意義を明らかにする必要があるとし、「どれだけ伸びていいのかの議論がない中で、伸びると大変とされる」ことへの問題意識を示しました。
 慶応大学商学部教授の権丈氏は、「医療費が増えるのは悪いという議論がわからない」と応じ、「雇用はここ数年、医療と福祉で随分増えた」「パブリック(公費)が増えるのは悪くて、個人が増えるのはいいのか。個人が増えることは格差の拡大になる。パブリックが増えるのは悪くない」と発言、雇用の拡大効果への評価、また給付費の抑制と保険外療養費など個人負担拡大に対する懸念を表明しました。

 
老人は86%が月1回受診・医科通院が81%、はしご受診はない 厚労省が将来見通し検討会に提示(2007.3.26)
資料1:高齢者の受診行動等について(pdf5ページに入院外の受診頻度)(厚労省)
資料2:第3回検討会配布全資料(厚労省)
毎月7%の老人が入院、歯科は11%
 厚生労働省は3月22日の医療費の将来見通しに関する検討会(座長:飯野靖四・慶応大学経済学部教授)に、高齢者の受診状況のデータを提示、高齢者の約86%が月に一度は医療機関を受診、受診率が非常に高いことを明らかにしました。一方、約81%が医科の入院外での通院ですが、患者1人当たりの受診医療機関数は1件が49.6%、2件が22.4%、3件以上は8.9%で、「はしご受診という状況は見られない」としました。

 データは、厚生労働省が行っている老人医療に関する患者個人単位の集計に基づくものです。
 1ヵ月の受診者数は、月別に見ても1月と2月が84%程度に下がる以外、ほぼ86%前後で推移しています。
 そのうち、医科の入院外が81%程度、入院が7%程度、歯科が11%程度です。1月と2月は、医科入院外が79%程度、歯科が10%程度となります。

 医科入院外の受診医療機関数は、2件までで72%を占め、3件6.8%、4件1.6%、5件以上0.5%と3件以上は少なくなります。
 1ヵ月間の受診日数は、5日以内が67.9%と大部分を占め、6−10日8.2%、11−15日2.9%、16−20日1.1%、20日以上0.9%です。

 患者1人当たり医療費も示しました。入院で約48万円、入院外で4万円弱、歯科は1万8千円弱です。


診療報酬改定率は4−5年前の経済成長率と相関する、厚労省が将来見通し検討会に提示(2007.3.23)
資料1:医療費の伸びと経済成長率について(厚労省)
資料2:第3回検討会配布全資料(厚労省)
2025年度に1.7倍の医療費見通しは医師給与の倍率とも一致
 診療報酬改定率は4年から5年前の経済成長率と高い相関関係がある。厚生労働省は3月22日、医療費の将来見通しに関する検討会(座長:飯野靖四・慶応大学経済学部教授)に、こんな試算を示しました。つまり、診療報酬改定率は、過去の経済成長の実績が4年から5年のタイムラグを経て実行されているということです。

 経済成長率と診療報酬改定率の相関係数は、タイムラグ0年では0.513と低いのですが、1年、2年、3年と重ねるに従って高くなり、4年では0,885、5年で0.882と約0.9という高さに達します。

 これに対し、慶応大学商学部教授の権丈氏は、経済に合わせた政策がとられていることの結果だとの見方を示しました。経済が高い成長をしている時は医療費も伸びていいような制度を作り、経済が悪い時には5−6年かけて抑えようとしている、ということです。
 権丈氏は、そうした意味でも医療費はコントロール可能だとし、氏が主張するように医療費をGDP比でヨーロッパ並の水準に引き上げてもそこでコントロールすることは可能であり、そうした政策的な判断をするかどうかだとしました。

 西村周三氏(京都大学大学院経済学研究科教授)は、診療報酬改定率と医療費と経済成長との関係をさらに正確に検討すべきだとしました。診療報酬改定率の背景には「公費負担の圧力がかなりある」とも指摘。一方で、労働分配率の低下により賃金が伸びていないこともあり、社会保険料収入と医療費との関係も見る必要があるとしました。
 また、前回の検討会で主張した医療物価指数の導入が是非必要だとしました。

 厚生労働省は、批判を浴びた医療費の将来見通しで医療制度改革後は06年度の33兆円が25年度には56兆円で1.7倍になるとした試算に対し、「医師数では厚労省の将来見通しで25年度には1.2倍となり、賃金上昇は年率2.4%程度で25年度には1.6倍となる」とし、この医師数1.2倍と賃金1.6倍を掛け合わせると1.9倍となることをあげ「医療費の1.7倍という推計は過大ではない」との見方も示しました。

 しかし、井原座長は、医師数と医療費について「ほとんど公務員の医師が行っているヨーロッパでは医師当たりの患者数が決まっているために医師数が医療費に影響するが、日本では多数の患者がくれば医師がそれをこなしてしまうため、医師数はあまり意味がない」と一蹴しました。


医療費の将来見通し検討会 医療物価指数を導入すべき、経済との関係はGDP比で(2007.2.7)
資料1:諸外国の医療費の将来見通し(アメリカ)(厚労省)
資料2:医療費の動向(厚労省)
資料3:医療費の構造(厚労省)
資料4:医療費の要素分解(厚労省)
資料5:医療費の動向・その他(厚労省)
資料6:第2回検討会配布全資料(厚労省)
アメリカは政府が国民医療費10年推計を毎年作成
 厚生労働省の医療費の将来見通しに関する検討会(座長:飯野靖四・慶応大学経済学部教授)は2月6日、2回目の検討会を開催し、最近の医療費の動向とその要素分解、またアメリカの医療費の将来見通しについて資料説明を受けて議論、委員からは、アメリカの将来見通しを踏まえて医療費をGDP比で捉えること、また医療物価指数の視点を導入することなどの意見が出されました。

 アメリカでは、保健省・メディケアメディケイドサービスセンターが民間医療保険、メディケア(65歳以上を対象とした公的医療保険)、メディケイド(低所得者を対象とした医療扶助制度)などを合計した「国民医療費」の10年予測を毎年作成しています。また、メディケアについては、連邦信託理事会が10年見通しと75年見通しを毎年作成しています。

 アメリカの国民医療費の10年予測では、05年の2.0兆ドル、対GDP比16.2%、伸び率7.4%に対し、2015年は4.0兆ドル、対GDP比20.0%、伸び率6.8%となっています。2000年から05年までの伸び率は7−9%で、将来が7%前後としています。
 これを日本の04年の国民医療費32兆円、制度改正がない場合の伸び率が3−4%であるのと比べると、規模も増加傾向もほぼ2倍程度と説明しました。

 アメリカの予測手法では、医療価格インフレ率、民間医療支出増加率(実質1人当たり)、可処分所得増加率、公的医療支出増加率(実質1人当たり)などのデータを使用しています。

 メディケアの長期見通しは、GDP比で行われています。05年のGDP比が2.7%であるのに対し、75年後の2080年には11.0%になるとの予測です。ベビーブーム世代の引退に伴い2010年から30年にかけて急上昇、さらにその後も伸び続けると見ています。

 こうしたアメリカの推計方法に対し、日本では経済情勢との比較はGDP(国内総生産)ではなくNI(国民所得)で行っており、また医療価格インフレ率という指標は使用していません。

 経済との関係ではGDP比で見るべきと主張しているのは慶応大学商学部教授の権丈(けんじょう)善一氏です。GDP比で見るのが国際的であり、NI比で見ているのは日本だけだということです。
 権丈氏は、医療費の政策目標として「GDP比でヨーロッパのG7構成国の平均を目指すべき」との考えも示しました。日本の現状はそれに対しかなり低くなっています。そうして経済規模との関係で捉えれば、医療費推計そのものにはあまり意味はないとしています。

 西村周三氏(京都大学大学院経済学研究科教授)は、医療価格指数、医療の物価指数を作るべきとの考えを示しました。 また、医療費の予測とともに社会保険料収入の予測も行うべきとしました。さらに、GDP比で考えるなら、所得が増加していくことになり、その中でどう負担するのかという議論になるとしています。
 医療の価格指数については、権丈氏も賛同、病院のコストを見ることができるとしました。

 GDP比で医療費を見ることに対して、厚労省保険局の石原調査課長は「GDPがこうだから医療費はこの程度に、というのは厚労省としては出しにくい」としましたが、権丈氏は「年金ではやっている」とするとともに、「予測はそうしたマトリックスでやるしかない」と主張しました。

 東京大学大学院医学系研究科客員教授の橋本英樹氏は、やはり予測はマトリックスでやるしかないとし、同時に、「1日当たり医療費や1人当たり医療費というマクロの指標だけの現状はあまりにさびしい」とし、医療物価指数を出すべきとしました。

 鎌形健三氏(みずほ総合研究所)は、元厚労省保険局調査課長という経験を踏まえて、医療費の自然増の解明が必要だとしました。今後、レセプトのオンライン請求が本格化すれば可能ではないかとしています。かつて、昭和50年代に診療報酬改定が4年間程度なかった時に試みた結果、伸びたのは薬剤と検査であり、薬剤は高価格品にシフトし、検査は量が増大していたことを紹介しました。

 厚労省の石原調査課長は、この日説明した医療費の動向の中で診療報酬改定のない年の1日あたり医療費は平均が3%台の伸びであるのに比べて調剤が6−7%の高い伸びを示しているとし、これが自然増だとしました。現在でも薬剤が自然増の重要な要素ということを示したものです。
 次回3月22日は、スウェーデンの状況を元に議論を進めます。


診療側と支払側の交渉で決めていた医療費改定幅、高いときは他を削った厚労省(2006.12.28)

将来見通し検討会の飯野座長、当時の説明責任十分でなかった
 医療費の将来推計についての検討会で座長となった飯野靖四・慶応大学経済学部教授は、12月27日の第1回検討会を締めくくる発言で、2年前までは中医協の公益側委員であったとして、当時の中医協による医療費改定幅の決め方の一端を紹介、一定の枠の中ではあるものの診療側と支払側との交渉により決められていたことを示しました。検討会で、医療費改定は政治的に決まる、などの発言があったことに応じたものです。
 ただ、その後、中医協のあり方の見直しが行われ、改定幅は政府が決定し、中医協はその改定幅を前提として個別の点数改定を行うものとされて、06年改定はそのように行われています。

[飯野氏の発言要旨]
 医療費改定については、厚労省が財務省と予算編成の交渉をして厚労省全体の減額幅が決まると、医療費をどうするかについては中医協で決めていた。
 中医協は診療側と支払側とで交渉しており、必ずしも厚労省の予算の中で決めるのではなく、決まったものが厚労省予算の中でできるかということになる。高いところで決まると、厚労省はほかのところを削っていた。その意味で、医療費改定は完全に政治的に決まるというものではない。

 DPCの導入も医療費削減のためのように言われるが、医療費削減のためではなく、医療費の無駄を省くために導入したもの。それによって効率化されれば、医療費が多少増えたとしても目標は達成されたと考えていい。

 それでも医療費の決め方がよくわからない、ということであれば、情報公開、説明責任が十分にできていなかったことになる。


医療費の将来推計で厚労省が検討会設置、統計上の技術面を整理(2006.12.27)
資料1:近年の医療費の動向(厚労省)
資料2:厚生労働省が提示している医療費の将来見通しとその手法(厚労省)
資料3:過去に行った医療費の将来見通しについて(厚労省)
資料4:各方面が行った推計や意見(厚労省)
資料5:第1回検討会配布全資料(厚労省)
委員からはさまざまな問題点の指摘
 厚生労働省は医療費の将来推計のあり方について統計上の技術的な整理をするための検討会を設置、12月27日に初会合を開催しました。保険局の石原調査課長は、国民医療費が32兆円、国民所得比で9%弱にまで増大しているなかで「将来推計に対する注目が高まっている。国会で推計手法まで議論された」と、検討会設置の背景を説明しました。

 国民医療費の将来推計は、厚生労働省が医療構造改革法の提案に合わせて今年1月に公表、06年度の33兆円が2025年度には56兆円に拡大するとしました。1人当たり医療費の伸びを70歳未満2.1%、70歳以上3.2%と前提した推計です。医療費に大きな影響を与える制度改正のなかった1995年から99年までの伸びの実績に基づくものとしました。

 これに対し、日本医師会は日医総研による直近の伸び率(01−05年度、02年度を除く)に基づく70歳未満1.4%、70歳以上1.3%を前提とした推計を示し、2025年でも49兆円にとどまるとの見解を示しました。

 また、厚労省が過去に行った2025年の医療費の将来推計では、1994年推計が1人当たり医療費の伸び率4.5%で141兆円、2000年推計が1人当たり医療費の伸び率3.1%で81兆円としていました。それぞれの国民所得に対する割合は、10.5−14%、12.5%、12.0−13.2%で大きな差はありません。
 94年推計の141兆円と今回の推計の65兆円との大きな違いについては、国会での議論で強い批判がありました。

 この日の検討会では、こうしたこれまでの経緯が説明され、医療費の将来推計のあり方について議論が進められました。
 過去に行った医療費推計の額が大きかったことについては、各委員は「経済の将来推計が当たらないのと同様に、将来推計は当たらないものと考えるべき」との見解を示しました。しかし、だからと言って推計に意味がないことにはならないとしています。

 対国民所得比では過去の推計も現在の推計も大きな違いがないことから、「医療費は国民所得との関係で政治的にコントロールされている」「経済に対する医療費の割合がほぼ当たっていれば正しかった」との意見も示されました。

 一方、経済との関係では、国内総生産(GDP)比で見るのが国際的であり、国民所得(NI)比で見ているのは日本だけとの批判も出されました。国内総生産は国民所得よりも額が大きく、それに対する医療費の比率は国民所得比よりも小さく出てくることになります。

 また、国民所得比では、現在の9%弱が12.0−13.2%に拡大するというのが現在の推計ですが、将来推計による議論が金額の大きさだけで言われ、国民所得比が3ポイント程度の伸びにとどまることの是非が論じられないことへの批判もありました。これに対し、厚労省保険局の唐澤総務課長は、医療費は財源問題と切り離して考えることはできないとして、国民所得比で変わらないのは「医療費のために新しい財源が確保されていないことになる」との見方を示しました。

 一方、将来推計を行うには、改革に資するための推計を行うべきで、今後どのような医療をすすめていくのかというシナリオを見せて、それらを一つ一つ積み上げていく必要があるとの意見、そして技術進歩による増加率をどの程度見込むのかとの意見、また診療報酬改定の影響としては当初予想の改定率を使用するのでなく改定の結果がどうであったかを検証したデータを出すべきとの意見、自然増のなかにも点数改定による医療機関の診療行動の変化によるものや制度改正の影響によるものもありその分析が必要との意見、などが出されました。
 次回は2月6日となります。

医療費の将来見通しに関する検討会メンバー
飯野靖四・慶応大学経済学部教授(座長)
井原裕宣・東京都社会保険診療報酬支払基金副審査委員長
鎌形健三・みずほ総合研究所
権丈善一・慶応大学商学部教授
西村周三・京都大学大学院経済学研究科教授
橋本英樹・東京大学大学院医学系研究科客員教授
松山幸弘・医療法人社団誠仁会専務理事


06年度医療給付費27.5兆円、医療制度改革で1兆円・3.5%削減(2006.5.31)
資料:(社会保障の給付と負担の見通し(平成18年5月)(ここをクリック)「開催状況」→「5月26日議事次第」→「資料2」
社会保障の給付と負担の見通しで示す
 厚生労働省は2015年度までの「社会保障の給付と負担の見通し」を改めてまとめました。医療給付費については国会で審議中の医療制度改革案を前提にし、06年度は27.5兆円で、昨年10月にまとめた医療制度構造改革試案の中で示した現行制度ベースの28.5兆円から1兆円削減されるものとしています。対国民所得比も7.3%で0.3ポイント低くなっています。

 また、5年後の2011年度は32兆円で現行制度ベースより2兆円削減、国民所得比は7.5%で0.5ポイント削減、9年後の2015年度には37兆円で3兆円削減、国民所得比は8.0%で0.7ポイント削減されるとしました。

給付費削減で保険料負担・公費負担とも減少 今回の推計は、給付に対する負担についても示しています。医療の06年度給付額は27.5兆円で対国民所得費は7.3%、これに対する負担は、保険料が16.3兆円で対国民所得比4.3%、公費が11.2兆円で同3.0%です。制度改革がない場合に比べて負担額は、保険料、公費とも0.5兆円の減少、対国民所得比は保険料が0.2ポイント、公費は0.1ポイント低下します。

 これが2015年度になると、医療給付費は37兆円で制度改革がない場合に比べて3兆円減少、対国民所得比は8.0%で0.7ポイント低下、対する負担は、保険料が21兆円で2兆円減少、公費は15兆円でやはり2兆円減少、対国民所得比は保険料が4.6%で0.4ポイント低下、公費が3.4%で0.3ポイント低下となっています。
 給付費が削減されるため、保険料負担、公費負担とも減少するという推計です。

医療の給付と負担の見通し
  年度    2006年度        2015年度    
 金額 対NI比    金額(兆円) 対NI比(%)   金額(兆円) 対NI比(%) 
 医療給付費      27.5(28.5)  7.3(7.6)    37(40)   8.0(8.7)  
 保険料負担      16.3(16.8)  4.3(4.5)    21(23)   4.6(5.0)  
 公費負担     11.2(11.7)  3.0(3.1)    15(17)   3.4(3.7)  
          厚生労働省・社会保障の給付と負担の見通し(平成18年5月)

 推計は、安倍晋三内閣官房長官が主宰する「社会保障のあり方に関する懇談会」に5月26日に提出され、懇談会はそれをもとに同日、報告書をまとめました。「社会保障の給付と負担の見通し(平成18年5月)」は、懇談会報告書と共に、同懇談会のホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou/)の「開催状況」「議事次第」に掲載されています。

医療費の将来推計、厚生労働省は定期的な取組みをすべき(2006.4.28)

 公明党の上田勇氏は4月28日、医療制度改革案を審議する衆院厚生労働委員会で医療費の将来推計について、医療制度の設計、また社会保障制度全体の設計にも関わるものであり、状況の変化を踏まえた機動的な対応を厚生労働省に求めました。医療制度改革法案の参考として厚生労働省が昨年公表した2025年の国民医療費推計65兆円に対し、日本医師会の推計では49兆円とされ、その差が多き過ぎることへの懸念として対応を求めたものです。

 Online Medは、上田氏の主張をさらに進めて、厚生労働省は医療費の将来推計については新しい実績を踏まえた見直しを定期的に実施していくべきと考えます。年金では5年ごとに財政再計算を行っていますが、少なくとも5年程度の周期で見直すべきです。これまでに厚生労働省がまとめた将来推計は、健康保険制度の大幅な見直しが必要なときに示してきたものでした。医療穂の増大が続く中で、患者負担増などの制度改革をしなければ、国民が支えきれないほどの規模にまで拡大するという予測を示すのが常で、今回の推計も同様のものとなっています。

 上田氏への答弁で、厚生労働省の水田保険局長は、健保本人の3割負担をはじめとする制度改革のなかった1995年から99年までの5年間のデータによると3%から4%の伸びで安定的に推移しているが、過去の推計に比べて伸びが低いのは賃金や物価がそれほど伸びていないためだとしました。一方、日本医師会の推計は01年から05年(介護保険制度創設の02年を除く)のデータを元に推計し49兆円としています。

 水田保険局長は、厚生労働省の推計が制度改正の影響を除外しているのに対し、日本医師会の推計は健保本人3割負担のような制度改革の年を含めた推計であるため「将来もそうした制度改革が続くとの推計となっており、それはどうであろうか」と、日本医師会の推計を批判しました。

 日本医師会の内田健夫常任理事は、4月26日の衆院厚生労働委員会での参考人質疑のなかで、厚生労働省の推計は70歳未満を2.1%の伸び率、70歳以上を3.2%の伸び率としたのに対し、日本医師会の推計は被用者保険の伸び率が1.2%、国保の伸び率が1.7%、高齢者医療の伸び率が1.3%としていると説明しました。

 一方、川崎厚生労働大臣は、28日の衆院厚生労働委員会での質疑の中で、日本医師会の推計のうち高齢者の伸び率に対して、「あまりに楽観的な数値」と批判しました。
 しかし、公明党の上田氏は、どちらが正しいというのでなく、医療制度や社会保障制度の設計の基礎となるデータとして、医療費の推計については共通の認識に立つ必要があるとの趣旨で機動的な対応を求めたのです。

関係者共通の認識に立てる将来推計 厚生労働省は、共通の認識に立てるような将来推計をしっかりと示す必要があります。厚生労働省がそこに手をつけないのであれば、日本医師会が対応することも考えられます。かつて、武見太郎会長時代の日本医師会は研究者に委託して人口の将来推計とともに医療費の将来推計も行っていました。日医総研がしっかりとしたデータを示していくことになれば、その存在意義も高まることになります。