■天津週間レポート(12月16日〜12月22日)

■挨拶
 ここ最近北京に行く機会が少なかったのですが、北京は雪が多いそうです。最高
気温も零下ですので、雪が解けずそのまま凍ってしまいます。滑って転ぶ人が多い
そうです。寒い地域に住んでいらっしゃる方は、お気をつけください。
 今週は特に環境関連のイベントもなく、また天津でも別段イベントもなく、おと
なしい一週間となりました。
 それから私のサイトのプロフィールのページで、私の似顔絵をアップしました。
描いて下さったのは、前号でも紹介した中田暁子さんです。

■連絡事項
 12月27日から1月4日前後まで(30,31日を除いて)基本的に仕事が休みで北京に
滞在しております。また1月下旬から日本に一時帰国しております(詳しくは以下の
私のスケジュール参照)。この期間、都合のつく方がいらっしゃいましたら、ぜひ
お会いして、意見交換いたしましょう。お手数ですが、こちらにメールください。
onogish@yahoo.co.jp

■中国語ひとコマ
 私は元来、「しゃれ」が好きでよく「しゃれ」を言ってきました。しかし最近は日本
語での「しゃれ」に飽きてしまいました。ちょうど中国にいるので、中国語で「しゃれ」
を作って中国人がどう反応するのか見てみようと考えました。
 中国の言語体系や価値観は日本のと全く違っております。「お笑い」の感覚も日中
で差があるだろう、日本の「お笑い」の感覚は中国の中では通用しないかもしれない、
いや、「お笑い」の感覚のみならず、今まで自分が日本で築いてきた言語感覚や価
値感覚を一度はすべて否定し、できるだけ中国の言語感覚と価値感覚に触れてみ
ようと考えたことがあります。
 それで考えたのが、「北京的背景」(北京の背景,beijing de beijing)、「涼快両
塊」(涼しいのは2元,liangkuai liangkuai)、「罕見的漢姦」(まれに見る裏切り
者,hanjian de hanjian)、「傷害上海」(上海を傷つける,shanghai shanghai)です。
何人かの中国人は「面白い早口言葉だ」と言ってくれました。「しゃれ」というより
「早口言葉」という感覚だそうです。
 ある時、知り合いの女性が「我、我…」(私、私…,wo wo)と言ってきたので、と
っさに「我握握我的手」(私は私の手を少し握る,wo wowo wo de shou)と言い返し
たら、爆笑していました。タイムリーなしゃれの面白さは、中国の言語感覚の中でも
通じるようです。


■天津週間レポート(12月9日〜12月15日)

■挨拶

 前回は講演会、シンポジウム、写真展、環境サロンなどイベントが集中し、私もず
いぶん気合を入れてレポートを書き上げました。おかげで購読者からの反応も多く、
また購読者数が大いに伸びました。その反面、疲労がたまったのか、風邪でダウン。
3、4日間ほとんど何もできない状態でした。
 体調が思わしくない兆候を感じていたのにもかかわらず、ついつい北京の地壇公園
で開かれた「本の市」に行ってきて、寒く人込みも多い中、長時間いたことが風邪を
ひどくした原因でした。あまり若さを過信してはいけないようです…。
 今は完全ではないものの、かなり回復してきました。皆さんも風邪にはくれぐれも
お気をつけください。現在天津はうっすら雪が積もっており、滑って転んだ人が多数
いるようです。
 またメールの返信がまだ全員にはできておりません。ここでお詫び申し上げます。
 なお今号は環境ネタがありません。あしからず。

■中国語ひとコマ―大阪城

 日本語をあまり知らない中国人に「大阪城とは何でしょう?」と質問すると、彼らは必
ず間違ってくれます。私も意地悪に「大阪城を英語に訳しなさい」と質問してみました。
そして案の定、「Osaka city」と答えてくれました。
 それもそのはず、「城」という文字は「都市」という意味だからです。日本の城下町と
違って中国の都市は城壁で囲まれていました。ここから「城」といえば「都市」を意味
するようになったのです。いわゆる「お城」は中国語では「城堡」と言います。 

■トピックス

□NHKで放映
 前回お知らせしましたが、天津日中大学院のことが、NHK「アジア情報交差点」の
番組の中で放映されました。私も少しだけ映っていました。

□開発区への見学
 11日(水)午後、天津日中大学院で天津市塘沽開発区の工場見学に行きました。
一つは「天津矢崎汽車配件有限公司」(「汽車配件」とは自動車部品の意)、約3200
人の職員を抱え、自動車の配線造りをしており、日本の多くの自動車会社もここの部
品を使用しているとのこと。そしてもう一つは「天津天富軟管工業有限公司」(「軟管」
とはフレキシブルチューブの意)、約250人が勤務しており、日中合弁で非常に成功
している企業の一つだそうです。ともに学生たちは活発に質問をし、盛り上がった様
子だったそうです。
 残念ながら私は風邪のため同行できませんでした。

□自治体国際化協会の訪問団
 12日(木)午前中、財団法人自治体国際化協会・北京事務所の所長および関係者
が天津日中大学院を訪問、大学院運営の経緯と現状、今後の見通しなどについて、
意見交換をしました。

<参考>
・自治体国際化協会サイト
http://www.clair.nippon-net.ne.jp/TOP.HTM
・自治体国際化協会北京事務所サイト
http://www.clair.org.cn

□朝日新聞サイトに私を題材にしたマンガが登場
 14日にアップされた朝日新聞サイトの日中マンガ「ぽってりぷう!」に、私を題材にし
た話が掲載されました。作者は中田暁子氏で、プロフィールも掲載されています。
 なおこれはマンガですので、実際と多少変えてあります(例えば名前)。
http://www.asahi.com/international/jc/manga/021214.html


■天津週間レポート(12月2日〜12月8日)

■連絡

 天津日中大学院のことがNHKで放映されます。
以下に記す放映時間は、日本時間ですので、お間違えのないように。

  番組名:アジア情報交差点
  放映チャンネルと放映時間:
   NHKワールド
    ・8日(日)夜9時より
    ・9日(月)午前4時より
          午前10時5分より
    ・10日(火)午前2時より
   NHKプレミアム
    ・9日(月)午前2時より
   BS1
    ・8日(日):午後6時

■挨拶

 この12月上旬は、イベントの目白押しです。
 12月6日に「ウィークリーまぐまぐ」の「今週のおすすめメルマガ」コーナーに
掲載されたことから、ここ数日で購読者が約280名増えました。まぐまぐの広告効
果はすごいものです。

■中国語ひとコマ―「同志」と「小姐」

 中国語の言葉も時代によってまた世代によって変わります。「同志」と「小姐」
これらの言葉の使用には注意が必要です。例えば若い女性に「李小姐!」と呼びか
けたり、お店で「小姐!」と呼びかけたりするには問題ないのですが、「あなたは
小姐ですか」などと単独で使う場合は、それは「風俗嬢」を意味するのです。それ
から今でも年配の人が面識のない人に呼びかける場合によく使われる「同志」は、
昔共産主義という同じ志を持つ者という意味で使っていましたが、若い人の間では
全く意味が変わってしまい、「同性愛者」を意味します。その他、「恐竜」は「ブ
スな女」、「青蛙」(青ガエル)は「不細工な男」などなど。
 え?どうやって知ったかですか?当然辞書には載っていませんから、知らずに使
って中国人から笑われながら覚えていくのです。外国人ということで大目に見ても
らえますので。

■トピックス

□ボパール事件18周年シンポジウム

 12月2日から8日まで、北京大学でボパール事件18周年国際写真家Raghu Rai氏に
よる写真展が開かれました。2日午前に、中国環境科学学会、中国芸術家撮影協会、
北京大学団委主催で開幕式が開かれ、また3日午後にこれに関連した環境生態シン
ポジウムが、北京環境記者サロンの主催で開かれました。

 人類の歴史上最悪の環境汚染事件と言われるインドのBhopal事件は、1984年
12月3日に発生し、当日の死亡者数だけで数千人、その後の死亡者は2万、負傷
者は10万にのぼるという工業汚染事件です。多国籍企業が途上国において一連の
環境汚染問題を引き起こすことの典型的なモデルケースとして国際社会の注目を集
めました。
 18年後の今日でも現地に残された生態環境汚染、住民の健康被害、賠償問題など
は解決されていません。この夏の南アフリカでの環境サミットでも取り上げられ、再
び世界の注目を集めました。

撮影者のRaghu Rai氏は1942年生まれ。インド・ニューデリー在住。数々の受賞
経歴を持つ国際的写真家。マグナム集団所属。Bhopal事件発生当日から現在に至るま
で継続して撮影し国際社会に大きな衝撃を与えました。詳しくは以下のサイトをご覧
下さい。http://www.green-web.org/bhopal/

シンポジウムにはおよそ30人が参加、はじめに自己紹介があり、雑誌『環境教育』
編集者、新聞『南方日報』『中国緑色時報』といったマスコミ関係者からNGO、
大学の先生や学生など多彩な顔ぶれでした。中国人以外には私を含め3人日本人が
参加していました。

 歯に衣着せぬ発言で知られる記者・汪永晨女史(中国NGO緑家園)が当日司
会を務め、はじめにグリーンピースチャイナの周雁女史からボパール事件の経過に
ついての説明がありました。
 場所は米国系多国籍企業ユニオン・カーバイド社のインド・ボパール農薬工

場で、1984年12月2日深夜から3日早朝にかけて有毒ガスのイソチアン酸メチル
(MIC)が事故で噴出し、40キロ四方50万人の居住区がガスに覆われ、肺が侵さ
れて次々に死亡、3日間での死亡者が8000人を数え、合計の死亡者2万人、負傷者10
万人を出しました。人類史上最悪の環境汚染事件です。
 当時の調査結果では安全システムに問題があったとされますが、このガスに関す
る通知がないことも、たくさんの被害者を出した一因です。
 また被害者の救済が遅々として進まない現状も問題点です。この企業は被災者で
はなくインド政府に一括して保証金を支払ったため、煩雑な手続きに阻まれ、保証
金を受け取ることができない被災者も少なくないといいます。また被災者が社会か
ら差別を受けるという問題もあります。
 8月終わりの南アフリカの環境サミットでも取り上げられ、11月には企業の関係
資料が明るみに出たり、当時の最高経営責任者アンダーソンは裁判所の召喚を無視
して逃亡中で行方不明でしたが、グリーンピースがついに見つけ出したりなど、国
際社会での注目を再び浴びるようになりました。グリーンピースは今後も工場近く
の地下水や土壌に対する科学調査を行い、データを公開してこの問題をさらに追及
しようとしています。
 このアンダーソンはいわばテロリストと同じであり、死傷者の数で911テロよりも
はるかに酷いと指摘しておりました。
 最後に、今後検討すべき点として、多国籍企業の途上国における責任問題、法律
・補償・保険制度の確立、途上国における環境保護と経済発展のバランス、NGO・
メディアの役割の重要性の4点を指摘しておりました。

 2番目の発表者は中国政法大学公害被害者法律援助センター主任・王燦発教授で、
テーマは「公害被害者への法律援助と中国の現状」です。
 このセンターの活動は、第一に3年前に開設した公害被害者相談ホットラインで
す。環境法に詳しい専門家によるボランティアで運営されています。相談の中には
訴訟に踏み切り、勝訴した例もあるといいます。
 第二に2001年に日中公害紛争処理国際シンポジウムを開催したり、今年10月には
西安で西部大開発シンポジウムを開催するなど、宣伝活動にも力を入れています。
 第三に弁護士や裁判官に対する環境教育です。一般の弁護士や裁判官は決して環
境法の知識にさほど精通していないため、このような研修を通して環境意識の向上、
素質の向上に努めています。
 その他雑感として中国環境保護全般の発展は著しく、環境訴訟案件数は最低年25
%ずつ増加しており、一般の訴訟案件数よりも増加率が高い。その背景として、以
前は環境被害で裁判ができることさえ知らなかった公民の環境意識や法律意識の向
上を指摘していました。弁護士協会にも最近、環境専門ボランティア委員会が設置
されたり、政府の関係部門も重要視し始めたりしているそうです。
 その一方で困難も少なくありません。裁判官に圧力がかかって勝訴判決を出せな
いということも多いようです。地方裁判所の運営資金は地方政府から出ており、地
方政府の地方保護主義や党委員会の意向が影響し、どうしても司法の独立を守れな
いこともありますし、裁判官の環境法知識の欠如などの問題もあります。また原告
にしてみれば訴訟費もばかになりません。
 したがって今後の課題は、第一に環境被害者救済などの法体系を整備すること、
第二に公民を満足させ公民の権利を守る良治政治(グッドガバナンス)の実現、第
三にできるだけ多くの民間組織を環境保護の方向に導くこと、第四に企業は環境汚
染の実情がばれるのを恐れていることなどからもメディアの役割は重要であること
などが指摘されていました。

 3番目の発表者はABB(中国)投資有限公司持続的発展事務部の鄭世文氏で、
テーマは「多国籍企業の環境戦略と運営」です。逆に多国籍企業の側からの論理を
聞こうとのことです。会社の存在として、営利追求と社会貢献といった事業の二つ
の立場がありますが、時代とともに環境保護への見方が推移してきており、
「やっかいもの」→「めんどうなもの」→「チャレンジ」→「チャンス」
となっています。91年の国際商会ICCには持続的発展憲章が作られ、多くの多国
籍企業が加盟するようになりました。このように産業界そのものも持続的発展の考
え方に変わってきています。現在は主にLCA(ライフサイクルアセスメント)と
ISO14000環境基準という二つの方法により環境保護を進めていますとのことでし
た。

 4番目の発表者は汪永晨女史で、テーマは「NGOが環境保護に果たす監督作用」
です。中国の環境NGOは環境教育分野で著しい成果を挙げていますが、環境分
野の権利保護でできることには限界があります。その一方で河北省での事例を例に
出しつつ、3年間も未解決の問題が、一度メディアで扱われることで一気に解決に
動き出すようになるなどメディアの使命は大きく、その分責任も大きいのです。や
はりこれにも限界があり、中国の全ての環境汚染問題をメディアで取り上げること
は到底できないので、やはりコミュニティや民間団体の力量を向上させる必要があ
ります。
 また南アフリカの環境サミットではNGOの話に耳を傾ける人は少なかったので
すが、アジア開発銀行の理事がNGOに耳を傾けてくれるなど、アジ銀は大変民主
的で期待が持てるとのことでした。

 最後の発表者は中国農業日報撮影部主任の劉剛氏で、テーマは「中国カメラマン
の見たボパール事件」です。全ての汚染事件は、利益追求の結果だという共通点が
あります。いわゆる「財富観」(富や財に対する価値観)を変える必要があります。
また科学の発展は大切であるが、一方で科学に対する盲目的な崇拝も恐ろしい結果
を招きます。そしてこのような写真の価値は時代が移り変わっていくにしたがって
より昇華していきますとのことでした。

 その後は感想を述べ合ったり、具体的な問題についての質問をしたり、活発な議
論が交わされたりしました。特に住民参加の規定についての質問では、王燦発教授
がその規定のあいまいな部分や問題点を指摘し、本当の意味での住民参加には程遠
いと説明していました。

<参考>
・グリーンピースチャイナ
http://www.greenpeace-china.org.hk/chi/
(北京では中央民族大学内にオフィスがあります。繁体字)

□BEVNET主催の高見邦雄氏講演会

 以下、BEVNET(北京環境ボランティアネットワーク)環境サロン主催者・
吉富女史がBEVNETメーリングリストに出された報告をそのまま引用します。

 「異質なものとして混じる」というテーマで、12月3日夕方七時、日中友好
環境保全センターのホールで日本の特定非営利活動法人「緑の地球ネットワー
ク」(GEN)事務局長の高見邦雄さんに大同での緑化活動について講演して頂
いた。寒風の中、北京以外に、天津、西安などのところからも参加者が駆けつ
け、百五十人あまりの聴衆が高見さんの講演に耳を傾け、また討論をした。
 北京環境ボランティアネットワーク(BEV−NET)主催の高見さん講演会は今
年で三回目を迎え、中国語の通訳を入れたこともあり、日本人以外に、中国人、
韓国人、ドイツ人なども加わった。聴講者の内訳は北京の各大学に在籍してい
る各国の留学生及び中国の学生たち、環境NGOのメンバー、環境保護専門家、
マスコミ関係者、北京市人民対外友好協会の方々、北京日本人学校の先生、
日系企業の駐在員とその家族、そして高見さんの植樹活動をささえる大同の
カウンターパートのメンバー、BEV−NETのスタッフなど多彩な顔ぶれであった。
 黄土高原での水土流失を止め、環境破壊と貧困の悪循環を断ち切り、大地に
森を蘇らせるために、高見さんが山西省の大同で緑化協力を始めて11年が経っ
た。予想外の困難とぶつかりながらも、資金と技術の援助以外に、顔の見える
援助としてワーキングツアーも積極的に取り組み、特に人と人との交流を大切
にしながらやってきた。「異質なものとして混じる」という日本語に当てはま
る中国語に「求同存異」という言葉がある。すなわち、環境保護という同じ目
標を求め、考え方の異なる点を残して、敢えて認める。生まれ、育ちも違う人
たちがお互いに相手を尊重しあい、正直に意見を交換し、相互理解しながら、
パートナーシップを築く過程を、実感と体験を交えて高見さんは訴えた。
 黄土高原での緑化協力は道程が遠く、険しいが、講演会を重ねて北京での理
解者が着実に増えてきた。北京の水源地でもある大同の問題は決して大同だけ
で終わらない。多くの北京の人が、大同に関心をもつことで、身近な環境問題
の解決につながると信じたい。

<参考>
・BEVNET・北京環境ボランティアネットワーク
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/7714/
・緑の地球ネットワーク
http://member.nifty.ne.jp/gentree/

□2つの写真展

・中国環境警告教育大型写真展「生命の歌」
 12月6日から15日まで、北京軍事博物館で上記の環境写真展が開催されており、
私も初日に参観しました。これは環境保護総局を中心する国民の環境意識向上を目
的とした企画・中華環保世紀行の一環で、主催団体は、全人大環境與資源保護委員
会、中共中央宣伝部、財政部、国土資源部、水利部、農業部、環境保護総局、国家
広播電影電視総局、林業局、海洋局、全国総工会(労働者組織)、共青団中央、全
国婦女連合会、中国科学協会。執行団体は中華環保世紀行執行委員会となっていま
す。
 写真展ですから、文字で説明しにくいのですが、山西省、内蒙古、遼寧省などの
各地域での、ひどく汚れた製紙工場排水、煤煙を上げる工場、石炭採掘場の労働環
境の劣悪さ、公害汚染被害者、深刻化する砂漠化、森林伐採・土壌流失により岩石
が地表に顔を出すようになった「石漠化」、黄土高原の生態劣化の様子、養殖した
魚が大量死して呆然とする漁師など、大変生々しい多数の写真が展示されています。
DVDによる上映も行っています。

・ボパール事件18周年写真展
 北京大学大講堂でボパール事件18周年写真展に行ってきました。被害者の生々し
い写真、工場跡地の様子、累々と積み重ねられる死体の山などが展示されていまし
た。
 見学者のメッセージを書ける場所があり、環境の大切さに対する認識を新たにした内容
の感想が多かったのですが、中には「打倒米国帝国主義!」や「米国に日々9・11テロが
起こることを望む」といった感情的なものもありました。

□BEVNET環境サロンによる学習会

 12月7日、BEVNET環境サロン主催の学習会が北京で行われました。日本大
学理工学部講師で日本国環境省総合環境政策局局長諮問委員の奥田進一先生を講師
にお招きし「中国環境法の多面的発展〜地方性環境法規の制定状況と特徴」をテー
マにお話くださいました。
 まず中国に地方自治権がどこまであるのかという問題で、地方自治の規定は憲法
にも法律にもないことから、やはり中国の地方政府は中央国家機関の一構成部分と
捉えるとわかりやすいであろうと指摘。そして省・自治区等の条例制定状況では、
西部地域でも早くから導入しているがゆえに、それが足かせになって改善しにくい
ことや他の三直轄市ではあるのに北京ではないこと等が印象的でした。その後、環
境権、住民参加、紛争処理の三点から検討していきました。
 環境法は、日本の憲法ではプライバシー権や知る権利とともに明確な規定がない
が、中国では環境保護法第6条で「すべての単位及び個人は、環境を保護する義務
を有し、かつ、環境を汚染し又は破壊する単位及び個人を検挙および告発する権利
を有する」(法務省訳)となっている。ただ「権利を有する」の原文が「有権」と
なっているが、これを「権利がある」と訳すか「権力がある」と訳すかで環境権の
有無の議論が分かれる点を指摘されました。地方法規では福建、山東、重慶で損害
賠償請求権を規定しているのみならず、重慶ではさらに危害排除請求権まで規定し
ているとのことです。また上海が明確に環境権を規定しており、大変進んだものと
なっています。
 住民参加では、上海と山東でその規定があり、参加できる住民の範囲などの問題
はありますが、先進的なものとなっています。
 紛争処理では、まず、一般に不法行為訴訟ではかつては原告に証明責任がありま
したが、水俣病訴訟以来、逆に加害者側が無実の証明をしなければならない無過失
責任主義に転換、被害者にとって訴えやすくまた勝ちやすくなりました。これは当
時の日本法曹界の最大の業績で、欧米もこの日本のやり方を導入するようになりま
した。
 86年にできた民法通則(民法の項目カタログのようなものだが、民法そのもので
はない。順に各項目を整備している最中)で、無過失責任が規定されていることは
きわめて画期的で、さらに地方環境条例にも規定があり、とても画期的なことです。
 一方で「混合責任」明文化をしているのは不思議です。これは過失相殺とも別で、
無過失責任主義とは相容れず、法理論としては整合性がありません。
 今後の地方環境法整備は山東モデルと上海モデルを軸に進んでいく可能性があり
ます。両者とも外国法の研究が進んでおり、一方で北方と南方といった水をめぐる
地理的条件の違いがあり、それが法整備に反映しています。その中で中間に位置す
る河南省、そして首都北京に環境保護条例がないのが注目に値します。