日中環境戦略研究家 メルマガ再編集
トピックス
2003年9月28日(日)第48号
□埼玉大学と人民大学環境学院との交流会
先週、埼玉大学と中国人民大学環境学院との学術交流会が行われた。主なテーマは
環境問題であった。私は20日夜のパーティーに招かれ、人民大学環境学院教授や中国
の大気モニタリング専門家、中国の環境コンサル社長らと交流を進めた。
□日中の環境に関する会議
先週は、日中の環境に関する会議に裏方の手伝いとして参加した。詳細は省略。
□日本インターネット新聞に前回メルマガ記事が掲載
日本インターネット新聞に前回メルマガの環境展に関する記事が転送されました。
以下のサイトから閲覧できます。
http://www.janjan.jp/business/0309/0309266844/1.php
□日中環境研究会の学習会がラジオで放送
先日の日中環境研究会環境産業研究会の第1回学習会が日本でのラジオで放送され
ます。中国国際放送局の方から以下の通知がありました。
どのように放送されるのか、楽しみです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●放送日は10月7日(火)・再放送が8日(水)です。
●番組名は「キャッチ・ザ・北京(中国語名;北京写真)」
●放送時間は日本時間で・・・
火曜日が18;55ごろ〜・20;55ごろ〜・22;55ごろ〜(3回放送)
水曜日が19;55ごろ〜・21;55ごろ〜・23;55ごろ〜(3回放送)
●周波数はAM1044KHz、短波7.190MHz
北京では日本向けの番組が受信できないので、国際局ホームページのインターネッ
トラジオが便利です。URLは・・・ http://japanese.cri.com.cn/
です。
右上のウエーブラジオをクリックしてもらうと試聴可能です。
2003年9月21日(日)第47号
□WWF再生可能エネルギープロジェクト記念大会に出席
17日午後、WWFチャイナ主催の「パワースイッチ・クリーン電力キャンペーン」
開始記念大会が開催された。WWFチャイナ代表ジェイムズ・ハークネス氏のあいさつ
のあと、気候変動プロジェクト主任モルガン女史からパワースイッチキャンペーン
の背景と目的等が紹介され、その後政府代表として国家発展改革委員会エネルギ
ー局副局長、WWF顧問企業となっている中国の省エネ環境保護コンサルタント会社の
社長、石炭研究所、エネルギー関連の中国NGO等から発表があった。このプロジェク
トは市民参加を重視しており、会議出席者の多くがマスコミ関係者やNGO関係者で
あった。
このプロジェクトでは、再生可能エネルギーの普及とエネルギー効率化を二大柱
とし、世界規模で展開していく。世界全体で気温を2度下げることを目標としている。
中国では、政府の政策的支援(優遇税制、生態税、補助金制からローン活用への転換
等)、銀行等による金融的支援、汚染排出企業に省エネと汚染排出に関する自主協定
を結んでもらいWWFは宣伝に協力する(企業側メリット:コスト削減、宣伝効果、モ
デル事業への参画、技術交流の機会等)、マスコミに協力してもらい市民の省エネ意
識を向上させる等の内容。中国の電力エネルギー源のほとんどが石炭(96年から減少
傾向だったが、01年から再び上昇)で、エネルギー効率も先進国の1/3から1/10程
度。この世界の大気環境へのインパクトが大きい中国でのプロジェクト展開がカギを
握る。企業への展開は第一期5年間、電力、セメント、大型スーパー、ホテル、ビール
業界を中心に進めていく。すでに加盟したフランスセメント会社のラファージュから
の報告もあった。また再生可能エネルギーの産業化やCDM事業も進めていく。興味深
いところでは、再生可能エネルギーにより発電された電力を他の電力と分離し、選択
購入制を導入して、市民参加を進めようという試み、北京五輪でグリーンエネルギー
率を100%にするよう政府に求めているNGOの取り組み等も紹介された。
□水処理展覧会に参加
第6回中国国際水技術・設備展覧会が16日から19日まで全国農業展覧館で開催され
た。中国技術市場管理促進センター、建設部科技発展促進センター、中国環境科学学
会等が主催、米国21世紀環境センター等が後援して開催された。会場には60以上の
出展があり、水処理のみならず、ポンプやバルブ、パイプ管等の製品も並べられてい
た。日立、米国GE、スイスABB等からも出展があり、全体的に日本や欧米、オースト
ラリア等の製品も多く出展されていた。環境関連では、水環境モニタリング装置、
活性炭、汚水処理、汚染分析機器、中水・水リサイクル利用装置等。興味深いところ
では、家庭用雨水分離システム(家庭用は果たして需要があるのか疑問だが、コミュ
ニティ規模でも可能だと説明あり)も。会場のいたるところで積極的に商談話が持ち
上がっていた。
こちらが日本人だとわかると、日本の機械の代理販売をしたいから紹介してくれと
あちこちで言われ、ビジネスチャンスを肌で感じる機会となった。
□CESDRRC講座に参加
18日午後、日中友好環境保全センター7階の中国環境・持続的発展研究資料センタ
ー(CESDRRC)で環境講座が行われた。テーマは「中央アジア内陸部重度干ばつ地区
における持続可能な都市緑化の研究 新疆南部オアシス都市を例として」、講師は
ウイグル人でドイツボン科技大学ポストドクターのユーミット・ハリック氏。主な内
容は以下の通り。
・オアシス都市周辺の都市緑化は進んでいるが、それ以外の地域では砂漠化が進んで
いる
・新疆の水は増加傾向にあるが、それはヒマラヤ山脈の氷山が温暖化のため溶解して
流れてきたものであり、楽観できないが、現地指導者は楽観視している。
・都市緑化は大都市でのモデルをそのまま適用しており、街に芝生が増えているが、
土壌も芝生も輸入品であり、また水不足な中でスプリンクラーで水撒きしている。あ
まりに都市美化・景観にだけ配慮したもので、生態系や都市の持続的発展に配慮した
ものではない。
・会場からの意見として、漢族の入植が地域の社会システムを変え、少数の富裕層と
大多数の貧困層に2分化し、貧困層のほとんどが少数民族、富裕層の多くが漢族にな
るという構図があり、また過去3回西部地区の大規模開発が失敗したことも挙げ、西
部大開発に疑問を呈した。これに対し、開発そのものは重要であるが、「大」開発の
必要はあるのか疑問だとした。
2003年9月14日(日)第46号
□亜細亜大学の大江教授と同大学中国人留学生の訪中視察に同行
亜細亜大学経営学部の大江教授とその中国人留学生の訪中視察に一部同行した。
中国資源総合利用協会再生可能エネルギー専門委員会事務局の李氏、日本の家電メー
カーの北京事務所、WWF・気候変動エネルギープロジェクトの担当者に再生可能エネ
ルギーや資源循環を中心とする中国の環境問題の現状の聞き取り調査を行った。
また10日には日中環境研究会環境産業研究班の第1回学習会を日中友好環境保全セ
ンターにて開催し、大江先生に日本の廃棄物事情とビジネスチャンスについてお話
していただいた。
学習会の報告やレジメを日中環境研究会のサイトにアップしました。以下のサイト
を参照ください。
http://jcenet.at.infoseek.co.jp/study2003.htm
2003年9月7日(日)第45号
□REEEP会議に参加
1日、雑誌『世界環境』の副編集長の知人より紹介されて、REEEP会議に参加した。
REEEPとは「再生可能エネルギー及びエネルギー効率に関するパートナーシップ」の
ことで、昨年のヨハネスブルグサミット後のパートナーシップの一つ。再生可能エネ
ルギー導入とエネルギー効率化を世界的に進めようと世界的に組織されている。特に
東アジア地区では日本、中国、韓国、モンゴル、豪州が参加している。
会議ではドナーとなっている英国大使館や関係諸国からのスピーチの後、再生可能
エネルギー導入のための融資等の経済政策、電力体制改革、政策的枠組みおよび今後
の実施方案等が話し合われた。
日本は名前には挙がっていましたが、日本の関係者は参加せず、事務局に問い合わ
せると連絡等がうまくいかず日本からの参加者のめどが立たなかったという。
資料は手元にあるので、私に連絡いただければ閲覧可能。
(参考)
REEEPオフィシャルサイト
http://www.reeep.org
2003年8月10日(日)第41号
□北京大学環境保護弁公室を訪問
私の北京大留学時代の北京大学環境科学中心所属の同級生が、同大環境保護弁公室
に勤務しているので、訪問した。ここでは北京大本校周辺の環境管理を行っており、
特に水環境、大気環境、騒音への取り組みが多い。各種モニタリングを行ったり、騒
音や異臭等の環境関連の苦情を受け付けたり、専門家に調査を依頼している。
また今年が北大環保弁公室開設30周年で、記念のレポート「緑色燕園」を発行した。
(1冊もらいましたので、北京にいる方は連絡いただければ閲覧可能)そこには北京大
学の環境問題の経緯、弁公室の歴史、今後の環境保護計画と目標、宣伝教育や大気汚
染防止、水汚染防止等の取り組み、北京大環境関連組織や専門家の紹介、過去の環境
イベント等が掲載されている。
私は約半年ぶりに北京大学の中に入ったが(爆破事件とSARSの影響で校門管理が厳
しくなっている)、私がいた教学楼の隣にまた大きな建物が立つ等発展が速い一方、
北京大の湖・未名湖の水質は悪化していた。彼女によると、現在湖は循環しておらず、
しかも水量が不足し、水源そのものの水質が悪いため、どうにもならないとのこと。
中国北方全体が水不足傾向にあり、このためだけに汚水処理施設を設置するだけの資
金も出せないため、まさしく解のない方程式のようだった。
□天津の環境保護NGO緑色之友を訪問
8日、天津の環境保護NGO緑色之友を訪問した。今回の訪問は2回目になる。現在
成立して約2年になるが、主に環境宣伝教育に力を入れている。また米国フィリップス
社の資金提供による米中環境基金の助成を受け、自然保護区や自然博物館、緑色学校、
汚水処理場など天津の環境保護関連施設で見学可能なのをまとめた「天津市小中学生
校外環保考察指南」、「天津可愛的家郷―天津環境状況概述」等を発行している。オ
フィスは南開大学の近くにある(これらは1冊ずつもらいましたので、北京にいる方は
連絡いただければ閲覧可能)。
また現在天津の水不足と水汚染は深刻で、しかも市政府の認識が薄いので、やむを
えず一部農民が汚水を農作物にまいたりして、汚染野菜が出回る可能性がある。地下
水利用にも井戸建設の資金がなかったりして、困難な問題を抱えている。水汚染の
調査をし、メディアでも公開して市政府と市民、農民の関心を高め、政策を変えていき
たいという計画がある。しかしながらNGOで資金集めに苦労しており、実行のめどが
立たない状況であるという。
<お願い>
もしこのメルマガをお読みの方で、天津市水汚染状況調査に基金助成の可能性につい
て心当たりのある方は、お手数ですが連絡いただけたら幸いです。
2003年6月8日(日)第32号
□海援隊21勉強会に参加
知り合いの紹介で、6月4日、海援隊21の勉強会に参加した。第一テーマは「タイ
経済の現況と新しい日タイ関係への示唆」で、JBICタイ担当職員が、タイ経済のこ
こ数年の状況と今後の日タイ関係のあり方(援助関係から水平的協力関係へ)を紹
介してくれた。第二テーマは、日中間のプラスチックビジネス実践例について、達
人舎の高橋氏からの紹介があった。廃プラを有価物に変え、日中間リサイクルネッ
トワークを作り上げて利益を上げた一方、様々な苦労話もあり、特に、いかに信頼
できるビジネスパートナーを見つけるかが重要だという話は大変参考になった。
2003年6月1日(日)第31号
□亜細亜大学での環境研究会に参加
28日夜に、亜細亜大学での環境研究会に参加した。東京都環境局の方を招いての
東京都の環境対策の取り組みについての話をしていただいた。現在東京都の環境行政
は世界でも注目を集めており、企画立案の現場での生を声を聞くことができた。
□東京経済大学での勉強会に参加
30日に、東京経済大学での中国環境問題勉強会に参加した。内容は中国の退耕還林
政策(条件の悪い耕地を林や草地に戻す取り組み)に関して、フィールド調査した
結果についての報告であった。現場での環境改善に結果を残しながらも、現地住民の
生活レベルの向上には必ずしもつながっていないことは興味深かった。
□2003年環境展に参加
この週に行われた環境展では、日本の各種廃棄物処理、水処理、土壌処理等の設備の
展示のみならず、各大学の環境問題への取り組み、NGO、中小企業サポート団体などが出
展しており、中国に関連のありそうなブースに行って情報交換してきた。資料やリスト
等があるので、興味ある方は連絡を。
2003年5月25日(日)第30号
24日、東アジア環境情報発伝所主催で東アジア環境サロンが開かれ、参加してき
た。自然エネルギー推進市民フォーラムで3月に北京の自然エネルギー関連団体を視
察して来た報告が主な内容であった。家畜、農作物、メタンガスを使ったバイオマ
スエネルギー、小型水力発電、太陽エネルギー発電などの中国での導入状況が紹介
された。主にバイオマスは電力の少ない農村で、太陽熱温水器等は都市部で導入が
進んでいる。農村部では環境保護の意識はあまりなく、便利になるとか経済的に楽
になるという理由で進んでおり、一度バイオマスが導入されても、周囲の経済発展
により天然ガスに切り替えるところも多く、農村の環境意識の向上は大きな課題と
いえよう。
当日紹介された団体は以下のとおり。
・中国可再生能源産業協会(総合) www.creia.net
・中国農村能源行業協会(バイオガス) www.carei.org.cn
・留民営生態農場(バイオガス) www.liuminying.com.cn
・北京市太陽能源研究所(太陽熱)
2003年5月18日(日)第29号
□JASID・JICAの環境センター協力評価セミナーに参加
5月16日、国際開発学会(JASID)と国際協力事業団(JICA)の共催により、環境ODA
評価セミナー「環境センター・アプローチ:途上国の社会的環境管理能力の形成と環
境協力」が開かれた。日本は中国のみならず、タイ、インドネシア、メキシコ、チリ、
エジプトに対して、環境センターによるプロジェクトを実施してきた。この目的は主
に環境モニタリング、環境研究、環境研修にあり、本年にはベトナムでも同様のプロ
ジェクトが予定されている。今回の評価は、この日本独自の環境センタープロジェク
トに限り、相手国の総合的環境管理能力の向上への貢献度等について評価し、今後の
国際協力に役立てようというものである。
社会的環境管理能力を把握するため、政府、企業、市民も対象に含めた具体的な評
価指標群を設定し、評価分析を行った。
援助対象国の社会的環境管理能力の形成には、システム形成期、本格的稼動期、自
律期の3段階があり、効率的で効果的な協力のためには、システム形成期の最終局面で
開始し、本格的稼動期の最終局面で終了するのが望ましいという仮説を提示。その背
景には本格的稼動期に環境汚染の程度が最も深刻化し、相手国政府の環境協力の必要
性に対する認識が最も高まることがある。
例えば中国では、2000年台初めにすでに自律期に移行しているため、現在行われて
いるフェーズ?(2002年〜2006年)は従来の形式での協力の必要性は必ずしも高くな
いと言えるが、新領域への展開で意義を見出していくなら妥当であるとされる。
今後の課題、提言としては、環境センターの行政的位置づけを如何に高くしていく
か、垂直型援助から水平的協力への転換点の明確化、地方分権化の中で市民・企業・
地方政府との連携の展開、南南協力への支援等があげられる。
ディスカッションの中では、多くのプロジェクトがある中で環境センターという協
力方式にこだわるよりも費用対効果という観点からプロジェクトごとの効率性を見た
方がいいのではないかという意見もあれば、人的ネットワーク作り等評価項目になり
にくい領域でも貢献をしており、やはり環境センターは相手国環境問題解決に貢献し
ているという意見も出た。
個人的見解を加えるとすれば、相手国の環境管理能力の完全な自律期には援助形式
よりもビジネスベースでの環境協力が可能になることから、この種の環境センターは
将来は環境ビジネス支援センターという機能を追加することが望ましいであろう。ま
た一般市民に対する日本のプレゼンスを確保することも考え、一般市民との接触面の
広い環境教育分野や地方自治体間交流での環境分野の組み込みへの支援や協力等も行
うことが望ましいであろう。
なお今回の評価に関する報告書はJICAホームページで近日公開される予定。今年後
半に北京でもフィードバックセミナー開催が計画されている。
2003年4月6日(日)第23号
□日中コミュニケーション研究会例会に参加
3月30日開催の日中コミュニケーション研究会の例会に参加。午前中に「中国のイ
ンターネットにおける対日言論分析」に関する研究発表が行われました。中国のB
BS等ネット空間にあふれている反日言論を分析しようというもので、日中問題とい
うよりむしろ中中問題として、中国内部の問題として捉えることで、より深みのある
理解が可能だと認識しました。午後からは日本の新聞の中国報道をめぐる諸問題につ
いての討論があり、メディアの伝える情報の危うさ等から情報の取り扱い方の重要さ
を再認識させられる内容でした。元記者、現役記者、元外交官、商社マンらからも意
見があり、貴重な意見交換の場となりました。その後は中国における日米欧台企業の
人事労務管理の違いに関する講演会が行われました。
2003年3月30日(日)第22号
□東アジア環境情報発伝所サロン「中国環境保護の新たな担い手」に参加
3月29日、東アジア環境情報発伝所主催の月一サロン、第1回「中国環境保護の新
たな担い手」に参加した。アジア経済研究所の大塚健司氏をゲストに招き、約2時間
ほどやり取りが行われた。
詳しくは以下のサイトで報告が掲載されるであろうから、ここでは私の印象に残っ
た部分だけ記すが、諸外国や国際機関も対中環境協力を進めており、日本だけで考え
ていたのでは不充分である。日本の各実施主体間ですら情報交流や実態把握が難しい
のであるが、すでに対中環境協力の競争(「市場」なるもの)が存在しており、グロ
ーバルな視点から取り組まないと、もともとパフォーマンス力の弱い日本のプレゼン
スがここでも薄くなってしまいかねない。
(参考)
東アジア環境情報発伝所
http://www.eden-j.org/
日中韓3言語ホームページ
http://www.enviroasia.info/
2003年3月23日(日)第21号
□日本経団連「自然保護支援10周年シンポジウム」に参加
3月17日(月)、日本経団連自然保護協議会・経団連自然保護基金設立10周年記念シ
ンポジウム「経済界が自然保護活動を進めるために―NGOとの連携を求めて―」が
開催された。第1部では奥田会長、鈴木環境大臣、吉村世銀副総裁の挨拶、堂本千
葉県知事の基調講演の後、日本経団連自然保護宣言を発表した。
第2部では自然保護プロジェクトの映像による事例報告が行われた。マレー半島
でマングローブ林再生のため現地NGOと活動しているマングローブ植林大作戦
連絡協議会、野鳥を通して自然環境を守る各種活動を行っている日本野鳥の会、ね
っとわーく福島潟、尾瀬の約7割を所有しそこで自然保護活動を行っている東京電
力、モデル林「トヨタの森」や中国河北省で植林を進めたり屋上緑化や環境教育な
ど各種活動を進めるトヨタ自動車から報告が行われた。
第3部ではパネルディスカッション「自然保護活動に、NGOとの連携を求めて」
が行われた。意見発表は、緑の地球ネットワークの高見事務局長、TNCジャパ
ンのバイロンシーゲル氏、ラムサールセンターの中村事務局長、日本自然保護協
会の吉田常務理事、サパ=西アフリカの人たちを支援する会の野澤事務局長、可
能参議院議員らにより行われた。現地に密着して活動を続けるNGOとマネージ
メントに経験のある企業とがどのように連携していくかというテーマだったが、
双方の強みを生かして人材交流を強化するという点に議論が集中した。
その他パネル展示もあり、自然保護NGOがおのおのの活動紹介をしていた。
(参考)
日本経団連自然保護協議会
http://www.keidanren.or.jp/kncf/
2003年3月16日(日)第20号
□IGESセミナー「環境報告書の現状と未来」に参加
3月13日横浜で開かれたIGES(財団法人地球環境戦略研究所)セミナー「環境報告書の現
状と未来」に参加してきました。内容は直接中国とは関係ありませんが、日本企業の環境
保護活動の最先端の状況は、中国にとっても有益であろうと思います。テーマは、最近
日本企業の多くが発行するようになった環境報告書という、非常にタイムリーで興味深
いものでした。
IGES企業と環境プロジェクトのリーダー國部・神戸大教授の問題提起発表メモ;ここ
10年で日本企業の環境報告書は質量ともに大幅な向上が見られた。その一因としては通
産省、GRI*、環境省からの報告書ガイドラインが出されたことがあろう。環境報告書が
作成される理論的背景として、アカウンタビリティ理論と意思決定有用性理論がある。
前者は、企業が環境負荷を与えることから、一般市民に対して説明責任が生じるという
もの。それゆえ企業は一般市民のニーズにかかわらず一方的に説明する必要がある。後
者は一般市民が有用な情報を欲するために、そのニーズに応えて報告するというもの。
この両者は、段階的に進歩して前者から後者に移行するという関係になっている。現在
の日本は両者の移行期ではないだろうか。
環境報告書の現状としては、発行企業は増加傾向にあり、またその内容開示量も増加
している。また課題としては、環境報告書の比較可能性や信頼性確保の問題があげられ
る。最近では社会性や経済性まで範囲を広げたサスティナビリティ(持続可能性)報告書
へのレベルアップに対応できるかという課題も出てきた。比較可能性とは、環境報告書
を比較することで初めてその企業の環境配慮活動の相対的評価が可能になるが、報告対
象範囲や分野、表示方法が統一されてないことから、比較に意味があるのか、あるいは
比較しやすい業種別なら環境報告書による企業分析は可能かどうかという問題である。
また信頼性の問題として、第三者意見書が付加されている報告書があるが、意見書にも
検証(開示情報に対する審査)と所見(検証を踏まえた上での意見、感想)が混在している
点、「環境報告書審査人」制度化の是非などが上げられる。
また将来、報告書未発行企業への対処法、質的向上、比較可能性、信頼性の確保、持
続可能性報告書へのレベルアップ、環境報告書のコストベネフィット分析などが課題と
なる。
事例報告1「環境報告書の発行状況と記載内容の分析」(平山氏)メモ;環境報告書の発
行状況と内容分析を行った。発行状況は増加傾向にあるものの、東証1部でも発行企業は
わずか25%程度であり、未発行企業に対する奨励策を考える必要がある。内容分析の結
論部分では、業種間で開示度に差があり、特に電力ガスなど最終消費者との関連度が高
い業種で開示度が高い。また製造業系では企業規模が大きいほど開示度も高くなるが、
非製造業系では両者の関係が弱い。その他の分析とあわせて、より有効な報告書ガイド
ライン作成のためには、記載項目の優先順位の明確化、業種や規模、発行歴の違いによ
り対応法を適切に変えることが必要であるとし、報告書発行促進のためのコストベネフ
ィット分析、読者ニーズの詳細な調査などが今後の課題に挙げられる。
事例報告2「環境報告書における比較可能性の研究(自動車、ビール、化学工業を中心
に)」(北村氏)メモ;分析結果として、自動車業界は、環境報告書作成で先進的な取り組
みをしている。サイトデータで一部比較可能な対象項目が見られ、対象範囲を明確に記
載しているが、各社の範囲に差があり、比較を困難にしている。ビール業界は、環境へ
の取り組みは進んでいる。全体像としての物質フロー図を記載し、各社ビール製造工程
が類似しているため比較しやすく、比較可能性が高いレベルにある。化学工業界は、環
境負荷の比較的大きい業種であるが、環境・安全・健康の自主管理が先行している。企
業ごとに扱う化学物質の種類や製品の種類が多いため、比較可能性を困難にしている。
年毎にデータ開示項目が増加、記載内容が充実してきていることから、比較可能性も大
きくなってきているといえる。総括として、業界により比較可能性に開きがあり、今後
の課題としては対象範囲の明確化、統一化する方向を探り、数値データの算出法、表示
法の共通化する方向を探ることが考えられる。
事例報告3「環境報告書における第三者意見書の機能」(梨岡氏)メモ;環境報告書は増
加しているが、ガイドラインはあるものの作成基準等がないため、信頼性確保が必要と
されている。第三者による意見書を添付しているものもある。この意見書には二機能あ
り、記述そのものに誤りがないことを保証する検証・審査タイプ、そして環境配慮活動
に対する評価を記載した所見・評価・勧告タイプである。検証型は、基準がないので監
査レベルまで行かず審査レベルだが財務監査報告書式の専門化向けの硬い文面が多い。
所見型は記載内容などに対する解説や感想も含まれる。今後はそれらに対応できる環境
報告書審査人制度の是非を論じる必要も出てくるだろう。
報告「損保ジャパンの社会・環境レポート」(損害保険ジャパン瀬尾氏)メモ;損保ジャ
パンは環境報告書から持続可能性報告書へと展開したが、その第一の理由として、企業
をはかるモノサシの変化がある。企業対象の調査や賞などは環境要素のみならず経済や
社会に対する貢献度も評価基準となってきた(トリプルボトムライン)。また国内外でエ
コファンド等の社会的責任投資(SRI)の動きが広がってきた。スイスSAM社ではSustainability
Group Indexを開発し評価基準としている。第二の理由は、読み手の
変化である。社員の会社アイデンティティの確立やステイクホルダーとの対話促進とい
う目的もある。一般市民対象に「環境レポートを読む会」も開催した。今年度レポートの
特徴として、第一に作成プロセスの工夫がある。投資家に判断材料を提供するため幅広
な情報が好まれることもあり、持続可能性報告書のための部署横断的なプロジェクトチ
ームを設置した。第二に第三者意見や読者意見掲載、社員参加の紙面づくりを心がけた。
報告書発行奨励のための金融策も可能である。
報告「松下電器の環境報告書」(松下電器産業菅野氏)メモ;家電製品のLCA(ライフサイク
ルアセスメント)分析によると、二酸化炭素排出量は製造段階よりも消費段階で圧倒的に
多いため、工場での努力だけでは限界がある。ステークホルダーとの環境コミュニケー
ション促進手段として報告書を活用したい。02年では持続可能性、マイナス情報の開示、
環境報告書を読む会、NGO意見報告書添付などを工夫した。
ディスカッションでは、はじめに比較可能性が論じられた。菅野氏からは「外注にする
と工場の環境負荷が減少するなど、事業形態ごとに環境負荷が大幅に違ってくるので、
LCAを基準にするとよいのではないか」、瀬尾氏からは「エコファンドでは業種ごとに
ABC評価をする。業種を混ぜると例えば製造業は圧倒的に不利になる。横の比較より
も縦の時系列比較の方が比較しやすい」。信頼性については、「ISOは管理システムに
限定されているが、これと統合した形で信頼性確保ができないか」、「審査保証の費用
がかさむ」といった指摘が出た。また持続可能性の中で「社会」「経済」概念が出てくるが、
どのように理解しているかという議論では、「日本社会で理解のコンセンサスが得られ
ておらず、手探り状態である」。まとめとしてISO、環境会計など日本でも環境対策で
優れたものがあるにもかかわらず、欧米にいつも先を越される現状に対して、環境報
告書で日本発の世界環境スタンダードを生み出したいものである。
以下は私の感想。中国企業で環境配慮活動は非常に遅れている。ようやくISO取得の動
きが外資系企業の取り組みに引っ張られる形で見られるようになった段階である。それ
を考えれば、中国で環境報告書が普及するのはまだはるか先であろう。まず日本である
程度普及した段階で、初めて中国にも導入を呼びかけることができる。その際に環境報
告書発行のメリットを明確にしておく必要がある。中国企業は一般に日本以上に直接的
短期的利益にシビアだからである。例えば環境会計なら浪費防止という目に見える利益
が上がる。今回は私の最も関心のある報告書発行のコストベネフィット分析は、発表で
きる段階になかったということで残念の限りだが、このような環境報告書の短期的、長
期的、間接的、直接的利益の明確化は、報告書発行奨励に大きなプラスとなる。私が簡
単に思いつくのは、社員教育、会社のイメージアップ、広告宣伝効果などであろう。そ
れを定量分析することは至難の業だが…。
比較可能性に焦点を当てた研究をされていたが、業界内ならまだしも業界を越えた立
場での比較に果たして意味があるのか疑問である。業界内でもビール業といったように
対象事業範囲を極めて限定したりLCA分析等基準を定めたりすればある程度可能になるだ
ろう。企業そのものが多角化し複数の事業を有しているわけであるから、企業間の比較
よりも、企業の特定事業間の比較の方が意味があるのではなかろうか。
かつては公害防止管理者制度、そして今はISO、環境会計、そして環境報告書、今はさ
らにそれが進化して持続可能性報告書となり、企業の環境配慮に対する費用は増大する
一方である。環境シフトをしない企業にとっては厳しい環境になりつつある。
スイス金融機関が持続可能な発展の指標を開発したというが、持続可能性指標の研究
はいたるところで行われている。GDP等と違い指標にしにくいあいまいな概念であるゆえ、
指標化は大変骨の折れる作業だったと思われる。
*GRI:Global Reporting Initiative
持続可能性報告のガイドラインを策定、普及させる組織
*ステークホルダー
企業に対して利害関係を持つ人をさす。社員、消費者、株主、取引関係に加え、地域社
会までをも含める場合がある。
*トリプルボトムライン
企業がこれまで推し進めてきた、経済性追求だけでなく、社会、環境も取り込んだ経営
をするべきだという議論。
(参考)IGES 企業と環境プロジェクト
http://www.iges.or.jp/jp/be/index.html
□早稲田大学環境総合研究センター・シンポジウムに参加
3月14日早稲田大学で開催されたシンポジウム、本庄地方拠点都市地域発「環境共生・
共創都市への挑戦」第4回「アジア圏での資源循環ネットワークの展開」に参加しました。
主催団体等、講師紹介、一部レジメは以下のアドレスより閲覧可能です。環境総合研究
センターでは環境分野の統合的発展、環境制御・環境創造・環境経営を目標にしており、
将来は環境系大学院も設立する構想だそうです。
早稲田大学環境総合研究センター
http://www.waseda.ac.jp/weri/
以下、私のメモ。(経産省・貞森氏)循環型社会の流れには、石油、金属等の有限性か
らくる資源制約と処分場や有害廃棄物問題等の環境制約が要因になっているが、日本は
短期的に迫り来る環境制約のために他のアジア諸国以上に使用済み資源分野でのリサイ
クルの必要性が大きい。アジア地域でもグローバル化が大幅に進んでおり、ここ数年で
古紙、廃プラ、金属くず等再利用可能な有価性廃棄物の輸出が大幅に増加している。こ
の分野は国内だけ考慮しても不充分であり、今後はアジア規模での最適な使用済み資源
循環のシステムを研究・構築する必要があろう。その際にバーゼル規制問題、アジアに
広く展開した動脈産業に対し遅れている静脈産業、技術面での比較優位と人件費等コス
トの比較劣位、国内法整備、不正輸出防止策、資源循環チャンネル開拓等が克服課題と
して挙げられる。
(家電製品協会・小林氏)家電リサイクル法の導入により家電リサイクルは量、率、不
法投棄の少なさなどの面で予想以上に順調に進んでいる。アジアでも定着させるには、
関係者・機関の役割分担と責任の明確化、回収ルート確保(日本では販売店経由)、リサ
イクルを前提とした製品設計、処理技術レベル、回収量の安定的確保(静脈産業の充実
化)が重要であり、資源循環ネットワーク構築のためには、アジア規模での静脈物流シス
テムの整備、国際的な制度の整合性確保、特に不正輸出を中心とした実態調査が重要で
ある。
(ディスカッション)かつての加工貿易の古典的枠組みから脱却し、素材、部品、製品、
中古品、再生材の各段階で日本やアジア諸国を行き来できる、一見複雑だがコスト的に
最適な体制作りが重要。一般に日本は技術、インフラ整備が優れ、人件費など諸経費で
は他のアジア諸国が優れている(分野によってはそうでない場合もあるが)。これらの優
位性をうまく組み合わせて最も効率的なシステムを研究する必要がある。
私の感想:使用済み資源のアジア諸国への輸出は近年大幅に増加しており、大きなビ
ジネスチャンスがあるものと思われる。
2003年3月9日(日)第19号
□スーパーシティに掲載
北京の日本語雑誌『スーパーシティ北京』2月号の「こんにちは、BEV-NETです」
コーナーに私の書いた記事が掲載されました。私の写真まで掲載してくれていま
す。
□日本インターネット新聞に掲載
前号掲載の中国環境ニュース『中国「手をつなごう地球村環境美化」プロジェクト
に日本が援助』が日本インターネット新聞に掲載されました。
http://www.janjan.jp/world/0303051889/1.php
2003年2月16日(日)第16号
□松原市日中友好協会の春節イベントに参加
16日松原市内で開かれた、松原市日中友好協会の春節イベントに参加しました。
当日は会長や大阪総領事館からの参加者、市議会議員、阪南大学の中国人留学生な
ど、50名近くが参加。一緒に中国を代表する餃子と日本を代表するお好み焼きを作
るなど、楽しい歓談のひと時となりました。
私の実家は松原市の南で、あまり中国人を見かけることはなかったのですが、阪
南大学近く(松原市の北西)に30人ほども留学生がいると聞いて意外でした。これま
で日頃は中国にいましたので、地元の日中関連のイベントに参加するのは初めてで、
たいへん新鮮でした。中国人の知り合いもでき、日本滞在で中国語を話す機会があ
まりなかった中で私も中国語を話しまくり(そうしないと、中国語の言語感覚が鈍っ
てしまいます)、とても有意義でした。
2003年2月9日(日)第15号
□バードライフ・アジア事務所を訪問
2月4日、新宿にあるバードライフ・アジアの事務所を訪問しました。このバード
ライフ・アジアとは、ロンドンにあるバードライフ・インターナショナルのアジア
部門。1922年国際鳥類保護委員会が結成され、その後国際鳥類保護会議、バードラ
イフ・インターナショナルと組織改正が行われています。現在は105カ国の環境NG
Oに200万人以上が参加する大きなネットワークに発展しており、日本では財団法
人日本野鳥の会がパートナーになっています。
主旨は、鳥類保護を通じて環境の保全を進めることを目的としています。具体的
にはアジアのパートナー支援、アジア版鳥類レッドデータブックのフォロー、アジ
アの重要自然環境保全、アジア野鳥基金などの活動を展開しています。近くホーム
ページを立ち上げるそうです。
連絡先:東京都新宿区新宿1−12−15 東洋新宿ビル2F バードライフ・アジア
〒160-0022 電話:03−3351−9981
□川崎ベンチャーシンポに参加
2月5日、海援隊21主催、川崎市産業振興財団と日中ベンチャー交流促進センター
後援、かわさき企業化クラブ、日本起業家協会、国際メンターシップ協会協力のも
と、海援隊21新春シンポジウム「川崎市を国際的な起業家の街に −川崎発日本産
業再生論・アジア起業家村構想−」が開催され、参加してきました。
阿部・川崎市長が基調講演し、不況にあえぐ日本経済の突破口として、福祉や環
境といった先進国型産業の振興が重要であり、また活力みなぎる中国などアジアの
起業家との協力により日本の起業家予備軍に刺激を与え、ベンチャー育成の環境を
整えることが重要であると指摘しました。また川崎には公害克服のノウハウの蓄積
があり、これをうまく活用すること、またはじめから利益を得ようとするのではな
く、貢献することで利益があるといったギブアンドテイクの姿勢が重要であるとも
指摘しました。
その後は川崎市長や日本起業家協会理事長ら関係者5名による討論が行われ、川崎
臨海部の起業家村建設案、羽田空港の国際化の重要性、ベンチャー特区設置、日本
とアジアを結ぶ人材の育成、ベンチャー開始直後の実績ない段階で如何に融資を受
けるかといった諸問題について討議しました。
シンポジウム終了後は近くのレストランで懇親会が行われ、多くの参加者が名刺
交換などしてネットワークを広げ、実り多いものとなりました。
(参考)
・海援隊21 http://www.kaientai21.com
・川崎市産業振興財団 http://www.kawasaki-net.ne.jp
・日中ベンチャー交流促進センター http://www.v-news.co.jp/jv
・日本企業化協会 http://www.jea.or.jp
□日中環境協力交流・総合セミナーに参加
2月7日、環境省、海外環境協力センター主催で平成14年度日中環境協力情報交流
会・総合セミナーが開催され、参加してきました。
午前中、アジア経済研究所の大塚氏から江蘇省の工業排水対策の実施課題と問題
点について、自然環境研究センターの市河氏から高山草原での牧畜の炭素循環状況
について、国際協力事業団の今井氏から環境保護をめぐる日中の社会状況について
講演があり、午後は広島修道大学の森嶋教授から中国の中小企業の公害対策につい
て、東北大学の明日香助教授からCDM案件形成でわかったことについて、環境省
の小柳氏から日中の環境協力に対する考えの相違について話題提供を行い、その後
会場から質問や討論が行われました。
特にWTO加盟により環境産業市場がどのように変化してきて、日本企業として
はどのように対応すべきかについて、勢いのある韓国勢に対して日本企業は腰が引
けているとか、コピー対策をすべきとか、政府によるビジネス参入支援の要請とか、
産業関連のやりとりが多かったのは印象的でした。
□東アジア環境情報発伝所サロン番外編に参加
2月8日、渋谷で東アジア環境情報発伝所サロン番外編に参加しました。名目上は
私を囲む会となっておりましたが、足温ネット、日本インターネット新聞などから
の参加者もいて、環境分野での幅広い情報交流および親善の場となりました。
(参考)
・足温ネット:足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ
・日本インターネット新聞 http://www.janjan.jp/
2003年2月2日(日)第14号
□シンポジウム「アジアにおける社会的環境管理能力の形成と日本の国際協力」に
参加
広島大学大学院国際協力研究かと国際協力事業団の主催によるシンポジウム「ア
ジアにおける社会的環境管理能力の形成と日本の国際協力」に参加しました。
講演者やテーマなどは詳しくは、下記のホームページを参照ください。
http://home.hiroshima-u.ac.jp/idec/japanese/body/top/International_WS.htm
はじめに広島大学大学院国際協力研究科の紹介が行われ、さらに今年、国際環境
協力センターが設置されるなど、国際環境協力に積極的な試みをしていることもあ
わせて紹介された。
基調講演の中で、松岡教授は、より効率的な国際環境協力のために、政府・産業
界・市民による社会的環境管理能力システムのモデル化と指標化を進め、またシス
テム形成期、システム稼動期、自己管理期からなる三段階ステージ論を提示し、ま
たそれに基づき中国、タイ、インドネシアの環境管理能力を各環境分野ごとに分析
を行いました。多くのデータをまとめて持続可能性指標(SD
index)とする部分に
ついては、参加者からこれまで国連や各国が数多く試みながらいまだ定着していな
いのに、果たして成功するかどうかという疑問が提示されたり、活発な議論が交わ
されました。
アジアからは中国、タイ、インドネシアからの参加者が発表を行い、中国は国家
環境保護総局環境経済政策研究センターの周新氏が発表しました。はじめに中国の
環境管理の歴史的経緯を五つのステージに分類してそのマトリックスを提示、次に
中国の社会的環境管理システムを政府、産業界、市民の三者の角度から解説、さら
に二国間協力の例として、日中友好環境保全センターを挙げ、日本の環境技術の移
転や技術研修などで成果を挙げており、それらの経験を積み重ねることができた要
因として、需要に基づいた協力、日中共同による取り組み、包括的な協力、適切な
運営メカニズムの採用、開かれた協力を挙げていました。
その後、何人かの研究者からコメントがあり、特に昨今、地方自治やローカルに
注目が集まる中で、それらの言葉の定義を明確にする必要性、環境に関するノウハ
ウは地方に蓄積されており、それらをどう活用するか、今後の南南協力の可能性と
あり方、援助国側の多様な協力主体の交流の場の設定の必要性などが指摘されまし
た。
私自身、持続可能性指標についてはそれなりの意義があるものの、その有効性に
は限界があり、それをうまく評価できないと実情を捉え切れない可能性があるかと
思いますが、その試み自体はたいへん大胆なものだと思います。また多様な協力主
体の交流の場の重要性については、私は何度も指摘し、またそのために北京環境ボ
ランティアネットワークを結成し活動してきましたし、今度は日中環境研究会(仮)
の結成を計画しています。私はこの交流の場に北京などの現地の日本人社会との連
携も考えていくべきであると考えています。
2003年1月19日(日)第12号
□人民網に掲載されました
人民日報系サイト「人民網」に、日中環境戦略研究家の文章が掲載されました。以
下のアドレスで閲覧することができます(以下二つとも中国語)。
(1)北京環境ボランティアネットワークの活動内容と存在意義
http://www.people.com.cn/GB/huanbao/55/20021230/898262.html
(2)緑手印フォーラム 自動車流行時代に如何に青空を守るか 各自の意見
http://www.people.com.cn/GB/huanbao/58/20030117/909595.html
(これは1月17日付人民日報にも掲載されているはずです)
□日中環境研究会(仮)結成に関して
私たちは、2003年3月末日で北京環境ボランティアネットワーク(BEV-NET)の運営
委員から退き、同年4月1日より新たに日中環境研究会(仮)を結成します。その理由
および日中環境研究会(仮)の目指すものは以下のとおりです。
・日中環境研究会(仮)結成の理由
これまでの環境サロンはBEV-NETの所属であったために、大きなイベントを実行す
る際には常にBEV-NETの運営委員会での承認を必要としており、活動の独自性に限界
がありました。新たに日中環境研究会(仮)を結成することで、活動内容を独自で決定
することができるようになります。
また日中環境研究会(仮)では、サークル的活動と日中間の人的交流の推進という
枠組みを明確にし、その枠組みの中で社会貢献活動もしていくというように、その趣
旨を明確にします。またより専門性を高め、学術研究・教育啓蒙活動を主体にし、そ
の他イベント活動も適時行っていくようにします。
・日中環境研究会(仮)の目指すもの
<趣旨>北京にいる日本人として日中の環境分野での架け橋を目指します
<活動内容(仮)>
1.環境学習会、講演会を主催・運営します。
2.国際シンポジウムや国際学術交流会を企画します。
3.中国環境スタディツアーを企画します。
4.活動内容を独自のホームページやメーリングリストで通知・報告します。
5.日中の環境関連団体や日中友好関連団体と協力関係を保ちます。
6.将来は専門性を高めて、学術・調査研究などの委託を受けられるような団体を
目指します。
2003年1月5日(日)第10号
先週は30,31日に仕事があり、31日の午後に北京に移動、休み最終日の1月5日ま
で北京に滞在しておりました。この期間、環境関係のイベントがあったわけではあ
りませんが、人民日報の環境担当記者や清華大学の先生など環境や日中関係、NGOな
どの方面で意見を交わしました。
北京で出版されている日本語タウン誌「コンシェルジュ北京」の2003年中国国際
展覧センターのスケジュールで環境関係のイベントも掲載されていましたので、以
下に引用します。
・3月10日〜12日、国際ストーブ、空調および国際環境保護、水処理技術・設備展
覧会
・6月5日〜8日、第6回全国環境保護産業展および第8回中国国際環境保護展覧会
・9月24日〜26日、国際製紙・林業展覧会
・11月4日〜6日、中国国際環境保護製品・技術設備展覧会
北京にある中国環境NGO「自然の友」のサイトから以下のイベント情報を引用し
ます。
・講演会「野らくだの視察と保護」
講師:袁国映
場所:日中友好環境保全センター701号室
日時:1月8日午後2時半から4時半
主催:新疆環境フォーラム、中国環境・持続的発展資料研究センター
申込:forrest76@21cn.comに氏名と所属をメールで送付(中国語か英語で)
その他:以下のアドレス(中文)を参照ください。
http://www.fon.org.cn/index.php?id=2916
□パネルディスカッション「ボランティアと環境保護」開催
12月27日午後、北京市にある中国社会科学院において、パネルディスカッション
「ボランティアと環境保護」が開催されました。主催団体は北京環境ボランティアネッ
トワーク(BEVNET)、後援団体は中国社会科学院環境・発展研究センターです。
環境問題に関心のある人たちや環境保護メディアの記者、環境NGO関係者など約
80名が参加してくれました。信州大学農学部教授・加藤光一先生の司会のもと、は
じめに4人のパネラーの発表、『緑の地球ネットワーク』大同事務所所長・武春珍女
史の発表「苦しくてもやり抜くこと、そこに発展がある」、北京人民広播電台『時代
ジャーナル』ラジオ番組司会・康雪女史の発表「誰でも環境保護ボランティアになれ
る」、中国社会科学院環境・発展研究センター副秘書長・ゴン益先生(ゴンの字は龍
の下に共)の発表「ボランティアと環境保護」、そして小生の発表「BEVNETの
活動紹介と存在意義」が行われました(近く全パネラーの発表原稿がBEVNETサ
イトにアップされるかと思います)。
その後のコーヒーブレイクの際に質問用紙を渡して質問を書いてもらい、司会によ
り質疑応答と討論が始まりました。質問内容は技術的なことやボランティアに対する
見方、BEVNETの年間スケジュールなどで、その外にプラス面、賛美する部分が
強調されすぎているというパネルディスカッションに対する評価の意見も寄せられま
した。最後は、環境問題も究極的には人間の問題であり、人間の心の汚染が環境汚染
の元凶であるという見解に収れんされていきました。逐語通訳で司会者やパネラーが
通訳に気を遣いながら発表しなければならなかったことや時間が足りなかったことな
どがありましたが、今回のパネルディスカッションは日中の環境保護面における交流
や相互理解を増進し、活発な国際的議論を実現できた点で成功と言え、来年以降もさ
らに充実させて続けていくこと
が確認されました。
なお私の発表原稿については日本語・中国語共に私のサイトにアップします。そこ
からのダウンロードも可能ですし、ご連絡いただければメールでお送りいたします。
2002年12月8日(日)第6号
□ボパール事件18周年シンポジウム
12月2日から8日まで、北京大学でボパール事件18周年国際写真家Raghu
Rai氏に
よる写真展が開かれました。2日午前に、中国環境科学学会、中国芸術家撮影協会、
北京大学団委主催で開幕式が開かれ、また3日午後にこれに関連した環境生態シン
ポジウムが、北京環境記者サロンの主催で開かれました。
人類の歴史上最悪の環境汚染事件と言われるインドのBhopal事件は、1984年
12月3日に発生し、当日の死亡者数だけで数千人、その後の死亡者は2万、負傷
者は10万にのぼるという工業汚染事件です。多国籍企業が途上国において一連の
環境汚染問題を引き起こすことの典型的なモデルケースとして国際社会の注目を集
めました。
18年後の今日でも現地に残された生態環境汚染、住民の健康被害、賠償問題など
は解決されていません。この夏の南アフリカでの環境サミットでも取り上げられ、再
び世界の注目を集めました。
撮影者のRaghu Rai氏は1942年生まれ。インド・ニューデリー在住。数々の受賞
経歴を持つ国際的写真家。マグナム集団所属。Bhopal事件発生当日から現在に至るま
で継続して撮影し国際社会に大きな衝撃を与えました。詳しくは以下のサイトをご覧
下さい。http://www.green-web.org/bhopal/
シンポジウムにはおよそ30人が参加、はじめに自己紹介があり、雑誌『環境教育』
編集者、新聞『南方日報』『中国緑色時報』といったマスコミ関係者からNGO、
大学の先生や学生など多彩な顔ぶれでした。中国人以外には私を含め3人日本人が
参加していました。
歯に衣着せぬ発言で知られる記者・汪永晨女史(中国NGO緑家園)が当日司
会を務め、はじめにグリーンピースチャイナの周雁女史からボパール事件の経過に
ついての説明がありました。
場所は米国系多国籍企業ユニオン・カーバイド社のインド・ボパール農薬工
場で、1984年12月2日深夜から3日早朝にかけて有毒ガスのイソチアン酸メチル
(MIC)が事故で噴出し、40キロ四方50万人の居住区がガスに覆われ、肺が侵さ
れて次々に死亡、3日間での死亡者が8000人を数え、合計の死亡者2万人、負傷者10
万人を出しました。人類史上最悪の環境汚染事件です。
当時の調査結果では安全システムに問題があったとされますが、このガスに関す
る通知がないことも、たくさんの被害者を出した一因です。
また被害者の救済が遅々として進まない現状も問題点です。この企業は被災者で
はなくインド政府に一括して保証金を支払ったため、煩雑な手続きに阻まれ、保証
金を受け取ることができない被災者も少なくないといいます。また被災者が社会か
ら差別を受けるという問題もあります。
8月終わりの南アフリカの環境サミットでも取り上げられ、11月には企業の関係
資料が明るみに出たり、当時の最高経営責任者アンダーソンは裁判所の召喚を無視
して逃亡中で行方不明でしたが、グリーンピースがついに見つけ出したりなど、国
際社会での注目を再び浴びるようになりました。グリーンピースは今後も工場近く
の地下水や土壌に対する科学調査を行い、データを公開してこの問題をさらに追及
しようとしています。
このアンダーソンはいわばテロリストと同じであり、死傷者の数で911テロよりも
はるかに酷いと指摘しておりました。
最後に、今後検討すべき点として、多国籍企業の途上国における責任問題、法律
・補償・保険制度の確立、途上国における環境保護と経済発展のバランス、NGO・
メディアの役割の重要性の4点を指摘しておりました。
2番目の発表者は中国政法大学公害被害者法律援助センター主任・王燦発教授で、
テーマは「公害被害者への法律援助と中国の現状」です。
このセンターの活動は、第一に3年前に開設した公害被害者相談ホットラインで
す。環境法に詳しい専門家によるボランティアで運営されています。相談の中には
訴訟に踏み切り、勝訴した例もあるといいます。
第二に2001年に日中公害紛争処理国際シンポジウムを開催したり、今年10月には
西安で西部大開発シンポジウムを開催するなど、宣伝活動にも力を入れています。
第三に弁護士や裁判官に対する環境教育です。一般の弁護士や裁判官は決して環
境法の知識にさほど精通していないため、このような研修を通して環境意識の向上、
素質の向上に努めています。
その他雑感として中国環境保護全般の発展は著しく、環境訴訟案件数は最低年25
%ずつ増加しており、一般の訴訟案件数よりも増加率が高い。その背景として、以
前は環境被害で裁判ができることさえ知らなかった公民の環境意識や法律意識の向
上を指摘していました。弁護士協会にも最近、環境専門ボランティア委員会が設置
されたり、政府の関係部門も重要視し始めたりしているそうです。
その一方で困難も少なくありません。裁判官に圧力がかかって勝訴判決を出せな
いということも多いようです。地方裁判所の運営資金は地方政府から出ており、地
方政府の地方保護主義や党委員会の意向が影響し、どうしても司法の独立を守れな
いこともありますし、裁判官の環境法知識の欠如などの問題もあります。また原告
にしてみれば訴訟費もばかになりません。
したがって今後の課題は、第一に環境被害者救済などの法体系を整備すること、
第二に公民を満足させ公民の権利を守る良治政治(グッドガバナンス)の実現、第
三にできるだけ多くの民間組織を環境保護の方向に導くこと、第四に企業は環境汚
染の実情がばれるのを恐れていることなどからもメディアの役割は重要であること
などが指摘されていました。
3番目の発表者はABB(中国)投資有限公司持続的発展事務部の鄭世文氏で、
テーマは「多国籍企業の環境戦略と運営」です。逆に多国籍企業の側からの論理を
聞こうとのことです。会社の存在として、営利追求と社会貢献といった事業の二つ
の立場がありますが、時代とともに環境保護への見方が推移してきており、
「やっかいもの」→「めんどうなもの」→「チャレンジ」→「チャンス」
となっています。91年の国際商会ICCには持続的発展憲章が作られ、多くの多国
籍企業が加盟するようになりました。このように産業界そのものも持続的発展の考
え方に変わってきています。現在は主にLCA(ライフサイクルアセスメント)と
ISO14000環境基準という二つの方法により環境保護を進めていますとのことでし
た。
4番目の発表者は汪永晨女史で、テーマは「NGOが環境保護に果たす監督作用」
です。中国の環境NGOは環境教育分野で著しい成果を挙げていますが、環境分
野の権利保護でできることには限界があります。その一方で河北省での事例を例に
出しつつ、3年間も未解決の問題が、一度メディアで扱われることで一気に解決に
動き出すようになるなどメディアの使命は大きく、その分責任も大きいのです。や
はりこれにも限界があり、中国の全ての環境汚染問題をメディアで取り上げること
は到底できないので、やはりコミュニティや民間団体の力量を向上させる必要があ
ります。
また南アフリカの環境サミットではNGOの話に耳を傾ける人は少なかったので
すが、アジア開発銀行の理事がNGOに耳を傾けてくれるなど、アジ銀は大変民主
的で期待が持てるとのことでした。
最後の発表者は中国農業日報撮影部主任の劉剛氏で、テーマは「中国カメラマン
の見たボパール事件」です。全ての汚染事件は、利益追求の結果だという共通点が
あります。いわゆる「財富観」(富や財に対する価値観)を変える必要があります。
また科学の発展は大切であるが、一方で科学に対する盲目的な崇拝も恐ろしい結果
を招きます。そしてこのような写真の価値は時代が移り変わっていくにしたがって
より昇華していきますとのことでした。
その後は感想を述べ合ったり、具体的な問題についての質問をしたり、活発な議
論が交わされたりしました。特に住民参加の規定についての質問では、王燦発教授
がその規定のあいまいな部分や問題点を指摘し、本当の意味での住民参加には程遠
いと説明していました。
<参考>
・グリーンピースチャイナ
http://www.greenpeace-china.org.hk/chi/
(北京では中央民族大学内にオフィスがあります。繁体字)
□BEVNET主催の高見邦雄氏講演会
以下、BEVNET(北京環境ボランティアネットワーク)環境サロン主催者・
吉富女史がBEVNETメーリングリストに出された報告をそのまま引用します。
「異質なものとして混じる」というテーマで、12月3日夕方七時、日中友好
環境保全センターのホールで日本の特定非営利活動法人「緑の地球ネットワー
ク」(GEN)事務局長の高見邦雄さんに大同での緑化活動について講演して頂
いた。寒風の中、北京以外に、天津、西安などのところからも参加者が駆けつ
け、百五十人あまりの聴衆が高見さんの講演に耳を傾け、また討論をした。
北京環境ボランティアネットワーク(BEV−NET)主催の高見さん講演会は今
年で三回目を迎え、中国語の通訳を入れたこともあり、日本人以外に、中国人、
韓国人、ドイツ人なども加わった。聴講者の内訳は北京の各大学に在籍してい
る各国の留学生及び中国の学生たち、環境NGOのメンバー、環境保護専門家、
マスコミ関係者、北京市人民対外友好協会の方々、北京日本人学校の先生、
日系企業の駐在員とその家族、そして高見さんの植樹活動をささえる大同の
カウンターパートのメンバー、BEV−NETのスタッフなど多彩な顔ぶれであった。
黄土高原での水土流失を止め、環境破壊と貧困の悪循環を断ち切り、大地に
森を蘇らせるために、高見さんが山西省の大同で緑化協力を始めて11年が経っ
た。予想外の困難とぶつかりながらも、資金と技術の援助以外に、顔の見える
援助としてワーキングツアーも積極的に取り組み、特に人と人との交流を大切
にしながらやってきた。「異質なものとして混じる」という日本語に当てはま
る中国語に「求同存異」という言葉がある。すなわち、環境保護という同じ目
標を求め、考え方の異なる点を残して、敢えて認める。生まれ、育ちも違う人
たちがお互いに相手を尊重しあい、正直に意見を交換し、相互理解しながら、
パートナーシップを築く過程を、実感と体験を交えて高見さんは訴えた。
黄土高原での緑化協力は道程が遠く、険しいが、講演会を重ねて北京での理
解者が着実に増えてきた。北京の水源地でもある大同の問題は決して大同だけ
で終わらない。多くの北京の人が、大同に関心をもつことで、身近な環境問題
の解決につながると信じたい。
<参考>
・BEVNET・北京環境ボランティアネットワーク
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/7714/
・緑の地球ネットワーク
http://member.nifty.ne.jp/gentree/
□2つの写真展
・中国環境警告教育大型写真展「生命の歌」
12月6日から15日まで、北京軍事博物館で上記の環境写真展が開催されており、
私も初日に参観しました。これは環境保護総局を中心する国民の環境意識向上を目
的とした企画・中華環保世紀行の一環で、主催団体は、全人大環境與資源保護委員
会、中共中央宣伝部、財政部、国土資源部、水利部、農業部、環境保護総局、国家
広播電影電視総局、林業局、海洋局、全国総工会(労働者組織)、共青団中央、全
国婦女連合会、中国科学協会。執行団体は中華環保世紀行執行委員会となっていま
す。
写真展ですから、文字で説明しにくいのですが、山西省、内蒙古、遼寧省などの
各地域での、ひどく汚れた製紙工場排水、煤煙を上げる工場、石炭採掘場の労働環
境の劣悪さ、公害汚染被害者、深刻化する砂漠化、森林伐採・土壌流失により岩石
が地表に顔を出すようになった「石漠化」、黄土高原の生態劣化の様子、養殖した
魚が大量死して呆然とする漁師など、大変生々しい多数の写真が展示されています。
DVDによる上映も行っています。
・ボパール事件18周年写真展
北京大学大講堂でボパール事件18周年写真展に行ってきました。被害者の生々し
い写真、工場跡地の様子、累々と積み重ねられる死体の山などが展示されていまし
た。
見学者のメッセージを書ける場所があり、環境の大切さに対する認識を新たにし
た内容の感想が多かったのですが、中には「打倒米国帝国主義!」や「米国に日々
9・11テロが起こることを望む」といった感情的なものもありました。
□BEVNET環境サロンによる学習会
12月7日、BEVNET環境サロン主催の学習会が北京で行われました。日本大
学理工学部講師で日本国環境省総合環境政策局局長諮問委員の奥田進一先生を講師
にお招きし「中国環境法の多面的発展〜地方性環境法規の制定状況と特徴」をテー
マにお話くださいました。
まず中国に地方自治権がどこまであるのかという問題で、地方自治の規定は憲法
にも法律にもないことから、やはり中国の地方政府は中央国家機関の一構成部分と
捉えるとわかりやすいであろうと指摘。そして省・自治区等の条例制定状況では、
西部地域でも早くから導入しているがゆえに、それが足かせになって改善しにくい
ことや他の三直轄市ではあるのに北京ではないこと等が印象的でした。その後、環
境権、住民参加、紛争処理の三点から検討していきました。
環境法は、日本の憲法ではプライバシー権や知る権利とともに明確な規定がない
が、中国では環境保護法第6条で「すべての単位及び個人は、環境を保護する義務
を有し、かつ、環境を汚染し又は破壊する単位及び個人を検挙および告発する権利
を有する」(法務省訳)となっている。ただ「権利を有する」の原文が「有権」と
なっているが、これを「権利がある」と訳すか「権力がある」と訳すかで環境権の
有無の議論が分かれる点を指摘されました。地方法規では福建、山東、重慶で損害
賠償請求権を規定しているのみならず、重慶ではさらに危害排除請求権まで規定し
ているとのことです。また上海が明確に環境権を規定しており、大変進んだものと
なっています。
住民参加では、上海と山東でその規定があり、参加できる住民の範囲などの問題
はありますが、先進的なものとなっています。
紛争処理では、まず、一般に不法行為訴訟ではかつては原告に証明責任がありま
したが、水俣病訴訟以来、逆に加害者側が無実の証明をしなければならない無過失
責任主義に転換、被害者にとって訴えやすくまた勝ちやすくなりました。これは当
時の日本法曹界の最大の業績で、欧米もこの日本のやり方を導入するようになりま
した。
86年にできた民法通則(民法の項目カタログのようなものだが、民法そのもので
はない。順に各項目を整備している最中)で、無過失責任が規定されていることは
きわめて画期的で、さらに地方環境条例にも規定があり、とても画期的なことです。
一方で「混合責任」明文化をしているのは不思議です。これは過失相殺とも別で、
無過失責任主義とは相容れず、法理論としては整合性がありません。
今後の地方環境法整備は山東モデルと上海モデルを軸に進んでいく可能性があり
ます。両者とも外国法の研究が進んでおり、一方で北方と南方といった水をめぐる
地理的条件の違いがあり、それが法整備に反映しています。その中で中間に位置す
る河南省、そして首都北京に環境保護条例がないのが注目に値します。
2002年12月2日(月)第5号
□26日、日中コミュニケーション研究会シンポに参加
11月26日、北京で開催された、日中コミュニケーション研究会主催のシンポジウム
が開かれ、参加してきました。「WTO加盟後の中国市場と日本企業イメージ」と
いうテーマで記念講演あり、ディスカッションあり、懇親会ありといった内容で、
中には、矢吹晋先生の第16回党大会人事の分析と批判、元博報堂の方の中国メディ
アの日系企業バッシングの批判と対策など、興味深い内容もありました。
会場では、北京で開催された以前のシンポの発表原稿や資料をまとめた中国語の書
籍『中日相互意識與伝媒的作用』を購入しました。当日のレジメとあわせて、最寄
の方は閲覧など可能です。
<参考>日中コミュニケーション研究会の公式サイト
http://www.niccs.co.jp/jcc/
□26日、北京大学環境学院成立記念パーティに参加
マスコミシンポジウムでは夜に懇親会がありましたが、私はそれには参加せずに、
シンポジウムの途中で抜け、北京大学に向かいました。前の日曜日に横断幕で北京
大学環境学院成立記念パーティのことを知り、環境学院副院長に就任した私の元指
導教官に電話をして、特別にチケットをもらっていました。
内容は、主に環境学院の学生らによる歌や踊り、劇などのパフォーマンスで、学外
から特別に招請した方もいらっしゃいました。芸術系ではないし学業重視の大学に
しては、案外うまく決まっていたので、大変新鮮味を覚えました。私の知り合いの
本科生も、歌を披露していました。彼女は、北京大学シンガーコンテストのベスト
テンに入っております。
この場では、ほとんど知り合いに会うことはなかったのですが、その後北京大学の
勺園(留学生宿舎)で韓国の元クラスメートに会おうと待っていると、偶然にも日
本人の知り合いが次々に私のいるところを通るのです。当初はアポでも取っておい
た方がよかったかなと思っておりましたが、これならその必要もなさそうだと安心。
その後はその韓国人と日韓文化比較の話で盛り上がりました。
なお北京大学環境学院は、今年5月に、かつての私も所属していた城市與環境学系と
環境科学センターが合併し発足したものです。これを記念して、記念パーティの前
日まで約一週間、環境文化週特別学術活動が行われておりました。
詳しい様子は、以下の北京大学環境学院のサイトに掲載されています。
http://www.environ.pku.edu.cn/
(中文版と英文版のみ)
□29日、農村女性ワークショップ報告会に参加
この週、農家女実用技能訓練学校主催、在中国日本大使館賛助の下、日本政府草の
根無償資金協力事業として、農村各地から人を集めて農村女性指導者研修が行われ
ておりました。29日はその総括をして対外発表するということで、日本からのOD
Aモニターも参加しておりました。
今回の発表では、草の根無償資金による水道や橋などを整備することで、貧しく雰
囲気の暗い村がどんなに明るくなったかということや、妊婦や子供の衛生意識向上
のための研修を開くことで,どれだけ成果があがったかということ、またマイクロ
クレジット(貧困層対象の小規模融資)の効果など、特に苦しい立場に置かれてい
る女性の地位向上に重要な事業についての内容でした。成果ばかりではなく、科学
的知識の欠如や波及効果に限界があるなど今後の課題についての言及もありました。
各発表の後は、研修生によるパフォーマンスが行われ、歌や替え歌、踊りなどで参
加者を盛り上げてくれました。やはりこのようにいわゆる「顔の見える援助」は、
一般民衆からの評価が高いものと実感します。今後の援助政策の参考になるものと
思われます。
ODAモニターは一様に満足して帰国されましたし、情報公開も進展してきたと思
います。ただ、やはり現地の状況がわかる、現地に住んでいる日本人と一緒にモニ
ターする方が、日本からのモニターと横の立場から情報交換できること、現地日本
人社会との連携を図ることなどの点でより望ましいのではないかと思います。今回
現地日本人社会から多くのボランティアが参加しましたが、末端的な仕事をお願い
するだけでなく、少人数でも構想段階から参加のお願いをするなり、ODAモニタ
ーと同行するなりすれば、さらに効果的なのではないかと思います。
なおこの農家女実用技能訓練学校は、北京環境ボランティアネットワーク(BEV
NET)の中国代表・于慧敏女史がこの学校のボランティア講師を勤め、BEVNE
T主催の低農薬農業の体験ツアーのプログラムの一部にこの学校見学が組み込まれ
るようになって以来、日本人社会に知られるところとなりました。
<参考>
(1)農家女実用技能訓練学校
1998年、北京市昌平県小湯山鎮に創設されたこの学校は、農村の女性たちを対象
にした実用技能を学ぶためのコースを開設しています。女性たちは自らの潜在能力
を開花させ、自信を養うことによって、地域社会に積極的に参画し、生活を豊かに
する方法を習得します。現在開設されているコースは、(1)農村基層女性指導者研
修コース(ジェンダーや政治参加に関する理論/実践を学習),(2)農村女性地域指
導者研修コース(主体的に地域作りに参画するための実用技能を学習),(3)経済的
な理由で学校にいけなくなった農村女子を対象とした職業技術訓練の3つであり、
ここ3年で2000名以上の女性・女児に研修を受ける機会を提供しています。
なお、農家女実用訓練学校の設立母体である農家女文化発展センターはNGO(非
政府組織)であり、プロジェクトの受注や寄付(地方政府、外国ドナー、個人会員な
ど)、雑誌の発行によって経営を成り立たせています。
(当日使用した日本大使館の資料から一部抜粋)
(2)マイクロクレジット
マイクロクレジットに関するサイトは以下の通り。
・マイクロクレジット ホームページ
http://www.gdrc.org/icm/japanese/icm-j.html
・日本国政府草の根無償による中国で初のマイクロ・クレジット原資供与内蒙古自
治区赤峰市市敖漢旗における婦女を対象とした貧困脱却支援(02.02.07)
http://www.cn.emb-japan.go.jp/jp/2nd%20tier/06odaj/oda020207j.htm
・国際精神里親運動部CCWT フィリピンでの活動
http://www.ccwa.or.jp/dekirukoto/kyoryoku/t_philippine.htm
・マイクロクレジットの先駆け、バングラデシュ・グラミン銀行
http://www.wftday.org/pages/ptnews05_b.html
(3)草の根無償資金協力について
・草の根無償資金協力に関する外務省サイト
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/seisaku_4/shien/kusanone.html
・日中草の根交流の広場(在中国日本大使館の草の根無償資金援助事業)
http://www.cn.emb-japan.go.jp/jp/1st%20tier/new.htm
2002年11月17日(日)第3号
□天科大・環境保護サークルで講演会
11月14日、天津科技大学緑色環境保護協会(サークル)「原野の風」主催の講
演会が、『使用済み乾電池の回収と処理』をテーマに開かれました。私は講演会
の一人目として「日本における使用済み乾電池の回収・処理の現状」に関して通
訳を使わず中国語で直接、発表を行い、私のあとは天津科技大学環境学系(学部)
の商平・副教授が『使用済み乾電池の分別回収の必要性』について発表されまし
た。対象は、天津科技大学の大学1,2年生で、そのほとんどが専門外のサークル
のメンバー(大学そのものに環境関連の学科はほとんどないため)で、内容も比
較的基本的なことに終始しました。なおこの商先生の所属先である天津科技大学
環境学系は発足したばかりで、まだ学生募集を開始しておりません。レジュメに
ついては、私のサイトでダウンロードできますので、私の発表したおよその内容
はそちらをご覧になればわかるかと思います。
フロント http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5966/
発表歴 http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5966/happyoureki.html
商副教授は、環境科学の専門から、乾電池に含まれる水銀成分がどのように環
境を汚染し、人体に達して健康を害するかについて話されました。
最後の質問の時間では、日本人として中国のこの方面の問題の中で、何が一番
重要だと思いますかという質問を受けました。中国にいる外国人専門家は、特に
しばしばこの種の「○○人として、中国の何が一番問題と思いますか」という質
問を受けます。私は「中国には問題が多いが、特に政府の態度と民衆の環境保護
意識が肝心だ」という旨の回答をしました。
講演会後も何人かのサークルメンバーと個人的に話しましたが、やはり水銀入
り乾電池はあまりに普及して価格も非常に安いため、多くの人が利用するし、ま
たその分別回収など全く意識がないとのことです。今後ともこのような大学生サ
ークルの活動に期待したいものです。
ちなみに、中国の各大学ではこのような環境保護のサークルが結成されていま
す。そのサークル間でのネットワークもできつつあります(例えば、緑色大学生
フォーラム)。日本と違うのは、自由勝手にサークルを作ることができず、必ず
大学に登記する必要があります。
□BEVNET環境サロンに参加
11月16日、私も運営委員を務める日系環境NGO・北京環境ボランティアネッ
トワーク(略称BEV−NET=ベブネット)・環境サロン班主催の学習会が北
京朝陽区の外国人マンションで開かれ、参加してきました。講演者は、JICA
日中友好環境保全センター専門家チーム業務調整員、「国際協力と私」とのテー
マで、話をされました。詳しい報告は、BEVNETメーリングリストで近く流
されるかと思います。
北京環境ボランティアネットワーク
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/7714/
同サイト、メーリングリスト紹介ページ
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/7714/ml.htm
2002年11月10日(日)第2号
□環境保護投融資メカニズム国際シンポジウム(11月5,6日、於北京)
今回、上記のシンポジウムに参加して来ました。これは中国の環境と開発に関する国
際協力委員会(チャイナカウンシル)のなかの作業部会の一つで日本が担当しているも
の。チャイナカウンシルに関する説明は、内容は少々古くて変更がありますが、以下の
サイトから引用しますと
http://www.env.go.jp/earth/coop/jcec/2000/datasheet/2_3_2.htm
世界各国から著名な学識経験者を招待して中国の環境と開発に関して定期的な協議
を行い、首相を始めとする中国政府首脳に対しハイレベルな提言を行う委員会。日
本からは福川伸次(電通総研所長、元通産事務次官)および石坂匡身((社)海外環境
協力センター顧問、元環境事務次官)の両委員が参加している。また、カウンシルに
は8作業部会(生物多様性、クリーナープロダクション、エネルギー戦略・技術、環境
経済、公害防止、持続可能な農業、貿易と環境、交通)および「森林・草地に関する
タスクフォース」が置かれており、そのうちクリーナープロダクション部会の井出亜
夫共同議長(慶應義塾大学教授)を含め、5部会およびタスクフォースに日本人専門家
が参加している。
チャイナカウンシルを主催している中国側の中国環境與発展国際合作委員会(略称、国
合会)の公式サイトは以下のとおり
(中国語版) http://cciced.org/
(英語版) http://cciced.org/index_e/index.htm
今回のシンポジウムはその一つの作業部会、環境保全対策資金メカニズム作業部会(中
国名:環境保護投融資機制課題組)の2003年秋の最終提言報告書作成に向けた中間発
表で、地球環境戦略研究所(IGES)、国際協力銀行(JBIC)、中国環境・発展
国際合作委員会事務局の主催、日本環境省と中国国家環境保護総局の協力のもとで開か
れております。中国側からも、SEPA関係者、その他行政関係者、張世秋・北京大学
教授など学術関係者などが参加しておりました。
主に外国側・中国側作業部会リーダーの井村秀文・名古屋大学教授と張坤・(日中友好
環境保全センター主任)の司会の下で、さまざまな研究結果の報告が行われました。J
BICや世界銀行、アジア開発銀行の中国環境保護への取り組みの紹介やEU環境保護
融資メカニズム、北米のケーススタディ、OECDの経験などが紹介されました。その
他、「日本の中小企業の公害防止対策の経験」(森嶋彰・広島修道大学教授)なども紹介
されました。
なお、当日は環境省関係者やIGES、JBICの関係者多数と再会あるいは新たにお
目にかかることができ、勉強、情報収集、意見交換ができたり、夜は一部のメンバーと
王府井(ワンフーチン)に繰り出すなどたいへん有意義な二日間でした。
最後に、私が参加できるように手配してくださった環境省の方に感謝申し上げます。ま
た手元に関係の資料がありますので、お近くの方で閲覧やコピーを希望される場合はご
一報ください。
(参考サイト)
地球環境戦略研究所 http://www.iges.or.jp/
国際協力銀行 http://www.jbic.go.jp/japanese/
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