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長時間かけて制作した鳥凧も、空高く安定して揚がらないとがっかりする。
しかし、何処に問題があり何処を改善すれば良くなるのか・・・複雑な制作過程や
不均一な材料を使用するために答えは難しい。
鳥凧作り14年目に挑戦中の私が、あえて「鳥凧の浮揚と安定性の考察」を試みた
のは、ある程度の理屈をふまえた上で先輩の苦労のエキスを取り込み初心者でも
成功率の高い鳥凧作りが出来る道筋が習得出来ないか?・・・と考えたためである。
(1)鳥凧の浮揚(揚力)
普通の凧が大空に浮揚することは、木の葉がかぜに舞い上がる様子からも軽くて
大きい面積を持つ凧なら当然理解が出来る。
しかし、鳥凧は羽(翼)を広げた鳥を真似て作っているが、羽ばたきが出来ないので
グライダーの一種と考える。しがって地上から浮揚させるためには、地上の風(風速)
を羽(翼)に受けその揚力で大空に舞い上がる必要がある。
そこで鳥凧の揚力はどんなものかグライダーと言う仮定で試算してみる。
揚力(抗力)の計算式
飯田誠一著「飛ぶ」のP−53〜54より
揚力(抗力)=揚力(抗力)係数*動圧*翼面積
ここで 動圧={空気(@15℃)の密度*空気の流速の二乗}/{2Gc}
揚力(抗力)係数;P−54 図ー23揚力曲線より読む
翼面積=実測値(羽の図形をトレースして、紙を切り抜きその紙の重量比
より算出したもの)
空気(@15℃、1Atm)の密度;1.226kg/m3
2Gc=9.80665kg(m/s)2/kg重
以上の条件で風速1〜7m/sまでを計算すると

が得られる。 私の作った鳥凧「かもめ」は羽面積は0.30m2、重量120grであるから
風速2m/s以上で揚力の方が大きくなる計算となる。事実2m/s以上で舞い揚がり出す。
この「かもめ」の羽(翼)面荷重は400gr/m2であるが、鳥凧の揚がり易さの目安に
考えている。
鳥凧一般を考えても、小型の「ハヤブサ」は羽(翼)面荷重が大きいわりに揚力が小さいの
で揚がり難い。しかし大型の大鷲は風速が小さいと揚がらないが、大きくなると揚力が
急速に大きくなるので揚がり易いことが図表からも理解出来ると思います。
参考までに私の作った鳥凧の羽面積と重量関係の例では
| かもめ | 軽量 かもめ |
オジロ鷲 | こ白鳥 | 朱鷺 | 軽量 朱鷺 |
ハヤブサ | 鳶 | 軽量 鳶 |
鶴 | からす | |
| 羽面積 m2 |
0.29 | 0.29 | 0.88 | 0.59 | 0.41 | 0.41 | 0.20 | 0.41 | 0.41 | 0.66 | 0.28 |
| 重量 gr | 120 | 88 | 450 | 380 | 200 | 158 | 94 | 195 | 174 | 390 | 105 |
| 羽(翼)面荷重 | 400 | 300 | 511 | 644 | 478 | 385 | 465 | 480 | 427 | 589 | 380 |
であり、グラフにプロットすると大型の鳥凧がの方が風速の増加と共に揚力に大きな余裕が
ある事が解かります・・・・事実風があれば大型鳥凧の方が安定して揚がります。
また、最近制作したカーボンパイプを使用した軽量のかもめ、朱鷺、鳶は何れも翼面荷重が
下がり、揚げやすいことがわかります。
(2)鳥凧の安定性
凧として浮揚の次に必要な条件として安定性があります。
不安定な状態とは一般の飛行物体として次の3形態があります。(ア)ピッチング(縦揺れ)
(イ)ローリング(横揺れ)(ウ)ヨーイング(片揺れ)があり、このいずれかの状況が発生し始
めても自動的にもとの姿勢に戻れば安定した状態にあると言えます。
このうち、時間の経過に関係なく何時も安定した状態に復帰していく性質をもつものを「静的
安定」といい、時間の経過と共に例えば安定と不安定を繰り返しながら、やがて安定な状態
に復帰していくものを「動的安定」と言われています。
鳥凧としては、当然「静的安定」が望ましいが条件を確定することが難しい。
そこで不安定要因と関連する「鳥凧の形態」「バランス」「羽のゆとり」等の経験値と考察を含
めて纏めてみました。
(ア)ピッチング(縦揺れ)
風速の強弱、乱れは揚力の急変を伴うので、ピッチング現象は避けられない。
しかし緩和する要因として「羽のゆとり」が考えられます・・・適正な「羽のゆとり」は強風速時
には「迎え角」を自動的に負の状態にして揚力を低下させるし、弱の時は「迎え角」を上げる
(風をはらむ)働きが推測される。
また、尻尾の羽面積や形状も外乱の大きさに比例して影響が出るものと思われる。
当然鳥凧のバランスの良し悪しは全ての不安定要因になることは間違いのないことである。
(イ)ローリング(横揺れ)
鳥凧を正面から見て、左右に張られた羽(翼)が水平面に対してわずかに上方へ持ち上げ
られている。 この時片側の翼面(前縁)が水平面に対してなす角度を「上半角」と言われて
います。
この上半角はローリングを防ぎ横の安定(上半角効果)を確保すると言われています。
鳥凧ではこの上半角を3〜5度程度(尻尾も同じ)にしているが、最適値かどうかはまだ確認
していません。しかし極端な角度は駄目であることは経験済みである。
また、適正な「羽のゆとり」はローリングにも効果があることは推測されます。
(ウ)ヨーイング(片揺れ)
極端な例は「きりもみ」状態をおこし墜落する。
この対策はまずバランスを良くすることである。 横からの突風など避けられない要因も考え
られるが、適正な「羽のゆとり」が不安定さを緩和させてくれるものと考えられる。
(3)鳥凧作りのヒント
鳥凧作りの目標である @実物の鳥に出来る限り似ていること A必要な揚力が得易いこと
B必要な強度があること・・・などを満足させながら鳥凧作りのヒントを推定すると
(ア)出来るだけ軽く仕上げること
(イ)バランスが良くとれていること
(ウ)羽(翼)には 適当な「上半角」と「迎え角」をつけ、面積は出来るだけ大きくする。
(エ)「羽のゆとり」は安定性の最大要因になるので、経験により適切な「ゆとり」を確保する。