勉強ができなくても恥ずかしくない(2) やっちまえ!の巻2005
【概要】
子供時代の傷と幸福をしつこく描く。子供時代のトラウマに縛られている大人にとっても、有益の書。
【内容紹介】
引き続き橋本治の、自叙伝三部作の第ニ部。
4年生からケンタくんは学校で友達ができはじめる。一人目は同じクラスのおと
なしい男の子。きっかけはいっしょにゴミ箱を運んでいるときに、漫画が好き
?と話し掛けられたことだった。ケンタくんははじめて同級生と積極的に口をきく。
また、ケンタくんは図書委員の仕事を通して、小さな声によって
ではあるが、同級生たちと話をするのだった。
5年生の二学期には、ケンタくんは活発な学校生活を送っている。
さらには、ケンタくんは学校に飽き足らず、塾の交友関係に憧憬を抱
く。いつしか、ケンタくんは模擬試験では優秀な成績を取り始めるのだ
った。
この第2巻の読みどころは二つ。
一つ目は、ビ―玉遊びで上級生(6年生)に負け続けていたケンタくんが
敗因を分析するシーンである。敗因は、上級生に勝ってしまったら怖いことに
なるかもしれない、という無意識の恐怖であった。ケンタくんはこれを自覚し、
これを跳ね飛ばし、上級生(6年生)のビ―玉を勝ち取る。
本文より・・・
自分に自信がないと、おどおどしてしまって、自分のまわりにあるものがなんにも見えなくなってしまうということです。(以上、本文より)
二つ目は、一緒に勉強するために同級生の家に行ったケンタくんの精神状態。
同級生が宿題を片付ける手早さに驚きながら、同級生の漫画本を読む。しかし
、宿題をしている同級生のそばでは、漫画に没頭できない。宿題を片付け終わ
った同級生のそばで、自分の宿題をするのが面倒になる。このシーンでは、
幼い日に同級生と共にあって初めて直面する雑多な感情、驚き・違和感・けだる
さが濃厚に流れる。大人になってからも人が他者と共にあって抱く雑多な感情
の原型(のひとつ)がここに示されている。
【感想】
第2巻も、10分で読了。ビ―玉遊びの方法の細部などは読み飛ばし。
ビ―玉遊びの方法は詳し過ぎて、女としては興味がわかない。よくここまで子供時代のことを細かく覚えているものと感心。私も少女時代を永遠に抱きしめている性質(たち)の人間だと思っているが、子供時代の遊びの細部までは覚えていない。生きていくために、子供時代の楽しかったことや辛いことを忘れているのだろう。
『極楽迄ハ何哩』(1983)「地獄道」には、「大人になるということは、かつて無力な子供だったことをしつこく忘れず、強い完全な子供になってやる!と決意することだ」との旨が書かれている。本書にそのしつこさが発揮されている。あまりの根気に、マニアなオミカンヒメもついてゆけない。