貞女への道(1987)

 本書はオミカンヒメの私見では、『恋愛論』の女性向け続編である。すなわち、女性向け、恋の信頼関係の建設・維持マニュアル本。ギャグを交えた真面目な文章で、冗談なのか本気なのかわかりにくい。

 本書を総体的に検討すると、本書の「貞女」とは、恋する相手と信じあえる関係を築きたい、と願望する人間(男女問わない)、と解される。

 第5章まではだいたい、曖昧な自分を持ちこたえる力(知性)のあるしっかりした女性になること、の必要性・方法論。

 第8章冒頭は、貞女の男との正しい付き合い方の指南。
 すなわち、前提として、恋に関して男のタイプはただ2つ。
(1)感情が豊か過ぎて社会に適応しにくい夢見るタイプ
(2)逆に、社会に過剰適応してしまう「心の不感症」のタイプ
 そして、(1)に対しては「ウジウジしないでしっかりなさいよ」と励ますこと。(2)に対しては「困った人なんだ」と見守ること。
 それしか必要が無い、それが現代風の貞女なのです、という、非常に簡略な指南である。

 第9章以下はだいたい、貞女のサンプル。豊臣秀吉の正妻・北政所。映画『シェルブールの雨傘』の2人のヒロインの比較。そして、男の貞女、『風と共に去りぬ』のレット・バトラー。

 最終章第16章。幸福な少女期・少年期を持てないと、貞女(信頼関係を建設・維持できる大人)をやるだけの力が持てないから、あまり早期に無理して貞女をやってはいけない。
本文より・・・
 子供であって遊びながら、胸のうちでぼんやりと、「そうか・・・・・・そういう幸福な未来もあ るんだな・・・・・・」という風に、どこかぼんやりしながら、そしてひたむきに生きるということをしないと、人間としての基礎体力というものは決して備わらないと思いますね。昔の人はそんな風にぼんやりとしながら、豊かな夢というのものを育てていたんだと思いますです。(以上、本文より)






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