月食 − RAHU1994
【内容紹介】
 橋本治は『秋夜小論集』で書いている。古代インドの人々は生きることを無限に続く輪廻転生の中の苦しみだと考え、輪廻転生から脱出することを「悟りを開いて解脱する」と言った。最初に悟りを開いた人の名はゴータマ・シッダルタ(ブッタ)。後に「お釈迦さま」と呼ばれるシャカ族の王子である。
 ゴータマ・シッダルタが生きていた時代に、悟りを開こうとして旅に出たバラモン達はたくさんいて、彼等がゴータマ・シッダルタをライバル視していたとしても不思議はない。
 この『月食』はそんなバラモンの青年の物語。舞台用の脚本。
【感想】
 ところどころで、台詞が胸に響く。去ろうとする男に縋り付く遊女に、ブッタが問う。「あなたが求めるのは男か?自分自身か?」
 ブッタのもとを去ろうとする出家者が、かつて愛していた友人に言う。「暖かな幸福の記憶を切って捨てれば、自分というものが無意味に堕ちる」



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