ロバート本1986
【内容紹介】
『デビット100コラム』の続巻といえる、雑学の本。項目は50。以下、要約。
01 女が女であるゆえに虐げられている。そのことに対する鬱積した怒り。その怒りを演じる、水谷八重子の恐ろしさ。
02 有吉佐和子文学へのオマージュと、「女の不幸を描くしかない男の不幸」
03 『完本チャンバラ時代劇講座』で「長谷川一夫におけるくだらなさ」を執筆していたら、「週間新潮」から社会党に関する執筆依頼が来たというエピソード。
04 映画『アマデウス』は青春(ロック)。
05 ベートーベンは、そもそも騒々しい体質だからこそ、必然的に耳をやられた。ベートーベンと、マーラーやワーグナーの比較。『蓮と刀』に関連して、
ホモであるミケランジェロとレオナルドの相違点。
06 三島由紀夫の『金閣寺』は、行動がドモリな可哀想な男の子の物語。マツゲの長い鶴川=『春の雪』の松枝清顕。
07 「鬼子は穴の底から這い上がってきた」が、ロッキード事件で明らかになった政界の黒幕は 児玉誉士夫という有名な人間だったので、みんなガッカリ。
08 マルキ・ド・サド論。妄想が「深遠なる人間性」の現れであるという時代は終わった。
09 芥川龍之介の児童文学のうまさ、大人向き小説のつまらなさ。
10 子供から大人への移行段階で、破綻は必ず起こる。
11 ある日、自分が志賀直哉だったということを発見した橋本治の驚愕。
12 殺しても生きてるようなもんじゃなきゃ愛せない。
13 意志を持った時間の流れは、過去→現在→未来、に限られない。現在→過去→未来、未来→過去→現在、などもある。
14 フェリーニ映画の紹介。また、小説論「登場人物は立派な一個の人格だから、登場人物をほっとかせない作者は嫌い」。
15 手塚治虫論。ヒロインが4歳から27歳まで地下室に監禁される『妖子』が中心。手塚治虫に関連して、「この先、あらゆるジャンル
には膨大な仕事しか残されていない」と明言。
16 中島みゆきの『この空を飛べたら』の絶望の深さ。
17 『貧乏は正しい!』シリーズの『ぼくらの東京物語』へ繋がるテーマ。すなわち、「田舎とは人間の胸の中に住む独善性である」。
18 「人生に立ち向かうことは孤独と対決して恐れないことだ」をジャンヌ・モローに教わった。
19 黒澤映画論。『乱』の首謀者が美少年の鶴丸だったらもっとこわくなっただろう、と想像。
20 若い頃から「独自の道」を歩んでる人は、すぐに行き止まりになる。
21 女の清潔好きは、権威主義の番人としての現れである。
22 太陽がまぶしすぎるからといって人殺しをした人がいたそうだ。
23 『デビッド100コラム』の制作過程。すなわち、まずは、コラムのタイトルを口から出まかせに100本作った。そして、本文を書いた。一遍縛られると後は楽。
24 国宝『源氏物語絵巻』は、中学時代に見たら「きたねェ・・・」だったが、二十歳過ぎて 見たら廃墟であることが気にならないくらいの一級品だった。
25 映画『007』論。
26 人類の歴史は1979年で終わった。これからは、時間は流れるものではなく、干満を繰り返すものになるんじゃないか。
27 アクション映画・SF映画に見られる、人間の肉体性の喪失と復権。
28 『スターウォーズ』論。SFXに金がかけられるようになるとドラマが停滞する。
29 理想は常にシンプルにして美しい。
30 川端康成『伊豆の踊り子』の舞台となった地のルポ。
31 さまざまなカツ丼屋の観察を通して見えてくる、自営業の家族模様や、飲食店の美学。
32 明治村・映画村・ユネスコ村の旅行記。これを読むとユネスコ村に行きたくなってしまうこと、請け合い。
33 ミュージカルの英語を、直訳してみて感じる驚き。
34 再び有吉佐和子へのオマージュ「有吉佐和子は少女マンガだから読めー」。また、有吉佐和子が把握していた真実を説明。
すなわち、活字離れの深刻さは、今まで読んでいた人が読まなくなる事ではない。これから読む人間が増えないことにある、と。
35 虚構を虚構として突き付けてしまった後に真実だけが残る、は間違っている。人間は虚構によって「よりよい」状態を模索する存在だ。
(このテーマは『源氏供養』の玉鬘についても現れる。)
36 辞書をひくことの知的興奮。
37 民主主義の進むべき先は、国家の民営化。
38 自分に自信のない人間は、他人に盲目的愛情を注げない。
39 『ウエストサイドストーリー』で目覚めて、お祭りの演出で爆発した、踊りへの情熱。
40 軍歌『戦友の唄』に見られる少女趣味。
41 谷崎潤一郎へのオマージュ「この人ズーッと現役だったんだ・・・!!」。『桃尻娘』が『卍』の影響による作品であることが明かされる。
42 乳の大きさを問題にできない状況に置かれている女の不幸。
43 (面白いけれど、オミカンヒメはこの文章は要約できませんでした)
44 東宝の特撮映画の模型の見事さ。画面の向こうから「よく出来てるだろォ」と声がする。こっちも「うん!」と言う。
45 皮ジャンで労働していた父に、バイクの後に乗せられて幼稚園に通った幼い日々。
46 前作『デビッド100コラム』の誤った箇所の訂正文。
47 同族会社の多いマスコミの封建性。
48 少女漫画家・美内すずえ論。北島マヤのセリフ「うれしいわ!また演れる・・・!あたしお芝居が好き・・・!」をアレンジ。
「まだまだ文章が書ける。ああ、嬉しい・・・!文章が好き・・・!(ゴーッ・・・!)」
49 橋本治のオリジナリティー確定作業とは、「俺は今迄お前に合わせて来たけれど、ホントにお前に合わせてるとロクなことがないから、
もうこれっきりにする。あー、損した。」という“他人の影響力吹き払い作業”であるらしい。
50 15歳の読者との対談。
【感想】
エッセイ形式で内容が濃く、読んで楽しい本。橋本治の後の作品群の原型が満載。
【おまけ】
あたし、まだまだ橋本治の本が読める。ああ、嬉しい・・・!橋本治の本が好き・・・!(ゴーッ・・・!)