双調平家物語11巻2003
 平清盛が栄華への階梯をゆるやかに昇り続ける。貴族社会の衰退と、武家社会の台頭。旧秩序の崩壊と、新勢力の台頭。その混沌とした世界は、まるで、冷戦終結後の国際社会のようだ。正義の名のもとに己の利権を追い求める登場人物たちは、大国エゴイズムに重なる。それらを緻密に描くためであろうか、橋本治の筆はゆるやかに運ばれる。

 後白河上皇が「暗愚の君」から一転して「日本一の大天狗」へと変貌し始める。かつて橋本治は「馬鹿なヤツほど外界探知・把握能力が優れている」旨述べたが、本巻の後白河上皇がまさにそれであろう。





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