双調平家物語12巻2004
平清盛VS後白河上皇、生臭坊主同士の格闘ショー開始
本巻を開けると、平氏の栄華が始まる。
前11巻は、平清盛が、娘・盛子を通して摂関家(藤原氏北家嫡流)の所領を奪ったところ
で終わった。娘を通して他家をとり込むのは、藤原氏の伝統的手法だった。12巻では、この手
法を清盛が使って、逆に藤原氏を呑み込んでゆく。そして、天皇家を。
12巻で「父と子の対立」を演じるのは、平清盛と平重盛である。六十を過ぎても血気旺盛な
父・平清盛。四十を前にして「父からの自立」に目覚めた、冷静な平重盛。父が息子に精力を及
ぼし、息子が父の暴走を制御する、相互補完関係。
12巻は、後白河上皇の近臣による平氏打倒の陰謀・鹿ヶ谷事件の愚劣さを描く。鹿ヶ谷事件は陰謀でなく、酒の上の冗談だったとも読める。そして、これに怒ってクーデターを起こす平清盛も、冗談を真に受ける愚者の側面を見せる。
12巻の動乱は、王朝の美学が武士道にとって変わられる、人間の意識の中にある。
【雑感】
三日間で通読。
鹿ヶ谷事件の後の、お寺を焼かれて怒るお坊さんたちの騒ぎ、長ったらしい。この騒ぎと鹿ヶ谷事件とが絡み合って、平清盛のクーデターが起きるのか。こんな騒ぎがあったなんて知らなかった。この騒ぎが12巻の最大のテーマだと思うのだが、理解できない自分の愚劣にしばし悩む。
平重盛と藤原成親が恋人だったなんて。史実はやおい小説よりも奇なり?一行だけで同人誌のムード、大サービス。にしても、最初は重盛のほうが成親に夢中なのに、後で重盛が成親を捨てるってのが酷い。やっぱり歴史って残酷。
藤原忠実と藤原頼長父子と付き合ってた源成雅も生きてた。五十過ぎて。
源成雅が鹿ヶ谷事件に関わってたなんて意外。
怒った清盛は後白河上皇を幽閉するが、清盛は白河上皇の落胤で、後白河上皇は白河上皇の曾孫。ということは、清盛は後白河上皇の大叔父?どうでもいいか、あの時代の貴族はみんな親戚なんだから。
上皇を幽閉しようなんて発想が、よく湧いたもの。いや、そもそも天皇が内裏に押し込められている状態という伝統自体が、摂関家による天皇の軟禁状態のようなものだから、別に清盛の発想は、新しくもないか。
やり方が露骨、ということか。下剋上は社会の通常状態でもあろうが、「下剋上」と言い立てられるということは、やっぱり何か異常なのか。あからさまな「下剋上」とは、今の学級崩壊のようなもので、やっぱり人の反感を買うのかもしれない。人の反感を買い過ぎたせいで、清盛の平家は滅亡へ向かったことだけは、オミカンヒメにも理解できる。
というわけで、極端や露骨は避けたほうが身のため、というのが12巻の教訓。