双調平家物語14巻2006
【内容紹介】
14巻は前半・後半に分けて紹介する。前半は以仁王(もちひとおう)の謀反、後半が源頼朝の挙兵。
【前半のストーリー】
以仁王による平家討伐の御謀反は、三井寺の僧兵の言葉による戦いが長引いたため、そして、南都興福寺の僧兵の延着のため、以仁王の死に終わった。
乱は平定された。しかし、清盛は落ち着かない。会ったこともない以仁王への恐怖感。目をかけた源頼政に裏切られた痛み。
本文より・・・
頼政(中略)のことなどは、さっさと忘れてしまいたかった。裏切られたことに由来する噛み傷は小さく、しかし、その痛みはしたたかに残った。裏切られることには慣れている。その傷の一々を算え上げても意味はない。煎じ詰めれば、誰も清盛を愛さない(以上本文より)
清盛は、不可解なウイルスに侵されたような都を恐れ、福原へ遷都。外孫の安徳天皇・高倉上皇・いまだ幽閉の後白河法皇を引き連れて。
福原へ移った人々の目は、旧都へ届かなかった。放置された旧都は、人食いザメの消えた海のように静かだった。
不気味な余韻のなか、物語の前半は終わる。(BGM『ジョーズ』)
【後半のストーリー】
裏切りウイルスによるフリーズに怯えた清盛は、帝都パソコンを買い換え、古い機種を不法投機して逃げた。
これを拾ったのは、戦闘ゲームおたくの文覚。文覚はソフト「院宣」を偽造し、源頼朝へ手渡す。
源頼朝はエロゲー「女盗み」にハマっているだけのメカ音痴。源頼朝は偽造ソフト「院宣」をインストールしてしまい、東国システムは再起動を要する。その際、文書「畠山」に損傷が生じるのだった。
【感想】
前半。一番印象的なのは清盛の心情。双調の清盛は、ピュアで小心でもある。
すなわち、以仁王の乱平定後の、勝者の内心の傷、「自分は愛されていない」という悲哀。第1巻の、乱前後の安禄山に似る。
また、逃げるように遷都する、権力者の不安心理。第4巻の、遷都騒ぎを繰り返した聖武天皇に似る。
後半。一番驚くのは、文覚が源頼朝に偽院宣を渡すエピソード。驚くのは、源平の戦いの始まりがあまりにもバカバカしかったからである。
『二十世紀』の、第一次世界大戦の始まりがあまりにもバカバカしかったので驚いた旨の箇所を、連想した。「戦争の無意味」は、『二十世紀』『ぼくらの最終戦争』『ぬえの名前』等でも述べられてきたが、平家物語の源平の戦いにも。